ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 山田コンサルティンググループ 急速に変化する社会において、経営者の頭を悩ませる課題は際限なく広がり続けているといえます。未知なる競合の出現やビジネスの隆盛と衰退が急ピッチで繰り広げられる中では、わずか数年後の未来を予測することさえ決して容易ではありません。 国内市場に限ってみても、少子高齢化による人材不足や売り上げ減少、目まぐるしく変化する消費ニーズにどのように対応すべきか、判断や対応に苦慮している企業は少なくないのが現実です。特にリソースが潤沢ではない中堅・中小企業が抱える悩みは、ことさらに深刻といっていいでしょう。状況を難しくしているのは、内外から高い評価を得ている企業であっても、こうした厳しいビジネスの現実と無縁ではないことかもしれません。 例えば本業が順調に成長し、今後の事業展開に死角がなさそうに見える企業の中にも、自社の未来を託せる後継者候補がなかなか見つからず、持続的な成長に黄信号がともっている企業は少なくないからです。 山田コンサルティンググループは、その前身にあたる山田ビジネスコンサルティング時代から現在に至るまで、事業再生やM&A、事業承継といった、中堅・中小のお客さまが抱える深刻な課題と向き合い続けてきました。 税務や会計サービス事業からビジネスコンサルティング事業に進出しておよそ30年たった現在では、以前から注力している業績不振企業の支援だけでなく、成長企業の経営戦略を後押しするための多種多様なソリューションが提供できる総合コンサルティングファームへと成長を遂げました。これもひとえに深い悩みと将来への不安を抱えている経営者の皆さんに寄り添い、数多くの課題解決に尽力してきたことの証しだと自負しています。 とはいえ学生の皆さんにしてみれば、われわれのような国内の中堅・中小企業を主な顧客としているコンサルティングファームは、外資系ファームから受けるような華々しい印象は感じられないのではないでしょうか。事実、われわれのコンサルタントは、経営者をはじめ支援先で働く従業員の皆さんと厳しい現実を直視し、手を泥にひたす覚悟で改革に挑んでいます。美辞麗句ばかりでは語りきれない仕事ですし、その最前線に立つコンサルタントが担う職責も決して軽いものではありません。それにもかかわらず、われわれのもとには、少なくない数の学生さんたちが集まってくださいます。なぜだと思われますか。 企業の難題と向き合うことで本質的な自己成長が促される 人によって思いや考え方はさまざまです。その答えをたった一つに集約させることは少々無理があるかもしれませんが、私が新入社員の皆さんと接する中で感じる共通項があります。 それは、仕分けされ明瞭な輪郭を持った大企業の課題ではなく、複雑に絡み合い、課題の本質がすぐには判別できない中堅・中小企業の課題です。 例えば、製造プロセスやサプライチェーンの無駄を省き、生産性を上げたいという要望をお客さまから聞いたとしても、われわれのコンサルタントは、その言葉だけをうのみにして解決策に走ることはありません。なぜなら製造プロセスやサプライチェーンの見直しだけでは足らず、人事制度や評価制度を改めるなどして従業員満足度を上げなければ、本質的な課題解決につながらないかもしれないからです。 このように、ビジネスの当事者であるお客さまご自身でさえ想像し得ない異次元の解決策を提示し、解決につなげるには、高い専門性と複雑な課題を解きほぐすだけの豊富な経験を持ったコンサルタントが必要なのです。 しかし、顧客から信頼を寄せられるほどの高い能力を持ったコンサルタントを育てるのには、膨大な時間がかかります。私の経験からいっても、20年、30年のキャリアがあったからといって、この先も安泰といえるほど、甘い世界ではないというのが実感です。 だからこそ、われわれが人材育成の面で最も重視しているのは、経営者から本音を引き出し、可視化されていない未知の課題をあぶり出せるコンサルタントを育てることなのです。 そのため、山田コンサルティンググループでは入社1年目から2年目にかけては、特にコミュニケーショントレーニングに重きを置いて傾聴力を鍛えます。3年目から4年目にかけては、セルフマネジメント力強化、さらにそれ以降の年次になるとメンバーやプロジェクトマネジメントの手法を学んでいくなど、段階を踏んでポイントを絞った教育を行う点に特徴があります。 もちろん財務、税務などコンサルティング業務に不可欠な知識や、仮説思考や論理思考といったテクニックを学ぶ機会がないわけではありません。しかしそれにも増して、人間的素養を高め、磨くほうがはるかに重要だと、われわれは考えます。なぜなら知識やスキルはいつでも身に付けることはできますが、経営者から将来を託されるだけの人間性を育むのは、若いうちからはじめなければ難しいことが多く、われわれ自身、知識偏重型のコンサルタントを育てることに意味を感じていないからです。 プロジェクトにおいても、少しでも多くの経験を積めるよう、入社1年目からさまざまな業種や分野、経営課題に挑戦していただきます。そこから数年かけて、ご自分の適性がどこにあるかを模索していくのです。コンサルタントとしての方向性を見定め、そこに向かって歩んでいくために必要なサポートを会社が惜しみなく提供する。これがわれわれのコンサルタント育成の実態です。山田コンサルティンググループは、これから数年を費やし、日本発の総合コンサルティングファームとして世界に飛躍していきます。ぜひあなたのポテンシャルを山田コンサルティンググループで開花させてみませんか。 われわれは、これまでもこれからも、若い世代にチャレンジする機会を提供し、あなたの成長を支援するコンサルティングファームであり続けます。 Company Information 事業再生コンサルティング事業がメインだったが、近年は、M&A、事業承継、組織・人事、成長戦略、海外事業コンサルティング領域に進出。2018年4月には、グループ5社を山田コンサルティンググループに統合し、海外資本が入らない国内最大級の総合コンサルティングファームに生まれ変わった 設立年 1989年7月 資本金 15億9,953万円 売上高 非公開 従業員数 1,615名
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 PwCコンサルティング/PwCアドバイザリー いま世界は「急速な都市化の進行」、「気候変動と資源不足」、「人口構造の変化」、「世界の経済力のシフト」、「テクノロジーの進歩」という5つのメガトレンドに直面しています。 これら巨大な潮流は、今後せめぎ合いながらその勢いを増幅させ、これまでの常識を大きく変えていくことでしょう。もちろんこうした変化は、ビジネスの世界にも多大な影響を及ぼしています。 すでに、伝統的な大企業と業界の常識にとらわれないメガベンチャー、先端テクノロジーを駆使するスタートアップが手を携えたかと思えば、数年後には同じ顔ぶれで刀を交える。そんな時代がやってきています。 私は、これまで多くの学生さんたちから「どの業界、どの企業が有望か?」、「10年で消え去る職業は?」といった質問を幾度となく投げかけられてきました。 しかし、これらの問いに明確に答えるのは容易ではありません。同じ業界でも企業によって明暗が分かれますし、現在業界の上位を占めている企業であっても安泰とは言えないからです。 確かなのは、変化への対応を誤ればどのような企業もその地位を次の勝者に譲り渡さなければならないという厳しい現実のみ。個人レベルにおいても、仕事をデジタルテクノロジーによって置き換えられたり、海外の人材に奪われたりするような事態も今後ますます増えていくはずです。 では、大きな変化の波を乗り越えられる企業と、波に翻弄され後退を余儀なくされる企業にはどんな違いがあるでしょうか。それは組織のなかで働く人々の多様性にある、と私たちは考えます。 生命誕生から数十億年もの間に幾度となく訪れた環境の大激変に耐え、生き延びた生物種がそうであったように、ビジネス環境の変化を生き延びる企業には、多様な「遺伝子」を持つ人材がいます。 ここ数年、多くの企業がその重要性に気づき、ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と包摂)を重要な取り組みとして掲げるようになりました。しかし残念なことに、実体が伴っている企業はまだ少ないのが現状です。なぜなら、さまざまな志向を持った多様な人材を採用できたとしても、彼らを「生かし」、「成長させる」土壌を育むことは一朝一夕にはできないからです。 これは事業会社だけに限った話ではなく、私たちが属するコンサルティングファームにも共通する課題といえるでしょう。 変化に適応するためには2つの「触媒」が必要だ 「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」という言葉があります。私たちPwC Japanは、社員の採用や配属先などを決める際、このアンコンシャスバイアスの排除に多くのエネルギーを注いでいます。なぜなら「PwC Japanの社員はこうでなければならない」という思い込みが、多様性のある組織づくりを阻んでしまうからです。 PwC Japanでは、性別や性的指向、学歴、専門性などの面で、選考が不利になることがないよう、常に細心の注意を払っています。その結果、新卒における男女や文系理系の比率、国内外の出身大学の比率はいずれも約5対5。地方大学出身の新卒や外国籍を持つ新卒も多数活躍する組織となっています。 もちろんこうした多様化への取り組みは、新規採用者だけにとどまるものではありません。 海外から日本に出向で訪れているエクスパットやワーキングマザー、LGBT、障がいがある社員へのサポートについても随時見直しを図りながら、当事者と関係者の相互理解を深める努力を行い、制度の充実に努めています。それは彼らの活躍こそ、毎年着実に成長を続けているPwC Japanの大きな原動力となっているからです。 多様性のある人材を社内に擁することによって具体的にどのような効果があるかといえば、それは異質な才能の掛け算によってしか生まれない"化学反応"といえるでしょう。 例えば、人工知能やデータ解析のエキスパートとマーケティングコンサルタントが協力し、精度の高い意思決定を支援するマーケティング手法を確立する。そういった試みが、各所で自然発生的に起こるような組織は、先行き不透明な変化において実力を発揮しやすい組織だといえるのではないでしょうか。 とはいえ、こうした「化学反応」を引き起こすには、社員の多様性だけでは足りません。もう1つ重要な「触媒」がいります。それが各部門を束ねるパートナー同士の信頼関係です。 一般にコンサルティングファームの共同経営者であるパートナーは、互いをライバル視する傾向があるものです。しかしPwC Japanの場合は、むしろ気心が知れた仲間意識が非常に強い。なぜなら1人のパートナーがクライアントに提供できる価値よりも、専門性の異なるパートナーたちがタッグを組み提供する価値のほうがはるかに有意義であり、そこに個人のエゴが入り込む余地などないと考えるからです。 PwC Japanが、クライアントの数をむやみに追わず、1社1社の課題解決に深くコミットするスタイルを貫けるのは、パートナー以下、すべてのコンサルタントが互いをリスペクトし合っているからなのです。 そしてこの協力の輪は、国境も超えています。グローバルで事例やノウハウを共有し合い、それを異なる国や業界のプロジェクトで生かすためのケーパビリティも整っているため、引き起こされる"化学反応"も世界規模になってくるのです。PwC Japanは比較的規模の大きなファームではありますが、1チームに配属される新人の数は数名から10名程度。手厚い教育制度と人材を大切に育もうというカルチャーが根付いています。 個の能力を伸ばしてスペシャリストへと育成し、そのスペシャリストたちがタッグを組むことで、クライアントに新たな価値を提供することができる。これは、「多様性」と、それを価値へと昇華させる「触媒」を持ち合わせているPwC Japanだからこそ得られる、醍醐味なのです。 Company Information PwC Japanグループは、世界158カ国に展開するPwCグローバルネットワークと連携し、経営戦略の策定から実行まで総合的に手がけるコンサルティングサービスを提供。プロフェッショナルたちが連携して複雑で困難な経営課題の解決に取り組み、グローバル市場における競争力強化に貢献している 資本金 非公開 売上高 非公開 従業員数 約7,300名(PwC Japanグループ全体)
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 プロレド・パートナーズ 社会全体がデジタル技術で劇的に変わろうとしている今、多くのコンサルティングファームもデジタル変革の推進役を標榜しています。一般的には、デジタルによる変革の提案は行うものの、そこで必要となる技術・知見は外部ベンチャーに委ねているケースも少なくありません。プロレド・パートナーズが目指すのは、デジタルによってまず自らを変革すること。その成果を新しいサービスにして提供しようと考えているのです。 例えば、当社のオフィスでは現在、AIスピーカーとカメラを設置して連動させ、その音声・画像データを分析することで、従業員満足度の見える化を実行しようとしています。AIやIoTには、あらゆるものを定量化・データ化する機能が備わっていますが、それらをどう組み合わせれば経営の変革に役立てることができるのかが、まだまだ曖昧です。私たちはその課題解決に身をもってチャレンジしているのです。 これまで私たちは、コストマネジメントの領域にフォーカスし、経営数値にダイレクトに効果が表れるコンサルティングを徹底する中でご支持を得て、成長を遂げてきました。サプライヤーが複雑に絡んでいたり、契約内容による相違が不確かだったりと、さまざまな理由でコストが見えにくく定量化できない現状に対し、地道なリサーチやヒアリングによりコストを可視化し、そのデータを活用することで成果を上げてきたのです。独自ノウハウに裏打ちされたこの強みに、デジタルのメリットを加えることができれば、お客さまにより一層の価値を提供できる。顧客満足度や従業員満足度といった「人の気持ちに関わる分野」のデータ化は困難だと言われてきましたが、先端技術を巧みに活用し、組み合わせることでそれが可能になれば、企業は具体性と客観性を得て、変革をさらに加速させていけるはずです。 先ほどご紹介したトライは、当社が進めているさまざまなチャレンジの一例にすぎません。先行き不透明な5年先、10年先を見据え、夢のような変革マップを描くことにも大きな意味と価値はありますが、早期に企業のKPIに響くような変革を達成していくノウハウについては、誰も体系化できずにいます。だからこそ、私たちは自らの変革を通じてトライしているのです。目に見え、数字に表れる成果で成長してきたプロレド・パートナーズらしいチャレンジが進展しているわけです。 毎年150%成長を遂げる、その競争力の源泉 なぜプロレド・パートナーズが独自の姿勢を貫いているかといえば、創業時から愚直に追求しているクライアントファーストの理念があるからです。企業はこれからのコンサルティングに共創という価値を求めています。共に未来を創造していくパートナーになることが、私たちの使命。それゆえに、創業時から成果報酬型のサービス提供を貫いてもいるのです。明確な成果を出せなければ報酬を頂かない。この当たり前のビジネス姿勢を従来のコンサルティングファームは取らずにいましたが、先見性の高い経営知見を戦略提案という形でお渡しすること自体に価値があった時代は終わりました。コンサルティングというビジネスそのものが生まれ変わらなければいけない。だからこそ成果報酬主義にこだわります。歴史と世界的な規模を持つファームが存在感を放つこの領域で、新興勢力として参入したからこそ実現できたクライアントファーストの姿勢だと、私たちは自負しています。 そして、私たちのこの姿勢を多くの企業が評価してくださいました。昨年、上場できたのもそのおかげです。さらに言えば、非上場でいることを選択するファームが多いコンサルティング業界で、あえて上場の選択をしたこともまた私たちの挑戦でした。上場することで広がる資金調達とM&A等の投資機会獲得の可能性が、これからのコンサルティングには不可欠だと判断したのです。専門性や先進性の高いプレイヤーとの連携や融合がなければ、お客さまである企業が求めている価値を生み出すことは、今後ますます難しくなります。非上場経営に閉じこもるのではなく、開かれた上場企業としての責任を背負いながら、自社の価値を膨らませていく。これもまた、プロレド・パートナーズならではのクライアントファーストの表れ、というわけです。 ありがたいことに、この上場を選択した姿勢が、また新たなチャンスを広げてくれています。これまでお付き合いのなかった1兆円規模の大企業などからも、お声をかけてもらえるようになりましたし、3年前から手がけてきたソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)においても、上場の効果が表れています。SIBとは、自治体などの行政機関が民間企業に業務を委託し、成果に応じて報酬を払うという社会課題解決の仕組みですが、上場で得た社会的信用のおかげで、複数の自治体から引き合いがあったのです。これまでに培ったノウハウを、いよいよ社会に直接役立てるチャンスが巡ってきていると言えます。 新たな付加価値を生み出し続けるために、私たちが大切にしている概念があります。「think Out」=できない理由ではなく、どうすればやりきれるかにフォーカスし、考え抜く姿勢と、「Outside the Box」=既存の考えにとらわれず、革新的な視点を持ってトライし続ける姿勢。これらをひたむきに体現する急成長ベンチャーだからこそ、コンサルティングのあるべき姿を、業界の常識にとらわれることなく掴み、自分たちの手で形にできる。そう確信したから、私自身も当社に参画していますし、その判断は間違っていなかったと改めて感じています。 プロレド・パートナーズでは1年目からお客さまの意思決定層と向き合います。一般的には3〜4年かかるような経験を、ロケットスタートによる濃密な1年間で体感し、その経験則をもってキャリアの選択肢を広げてもらう、という独自の成長環境があるのです。真にクライアントに価値を提供できる、新しいコンサルタントのあり方を獲得し、圧倒的スピードで成長したいと願う人にとって、ここにしかない醍醐味をきっと感じられる。そう考えています。 Company Information think Out(考え抜く)等のコアバリューのもと、従来型と一線を画すクライアントファーストの成果報酬型コンサルティングを軸にした事業展開で飛躍的成長を果たし、国内系ファームとして最大級の規模にまで拡大。2018年7月には東証マザーズへ上場し、東京、名古屋を拠点にさらなる成長を目指している 設立年 2008年4月 資本金 11億34百万円 売上高 16億51百万円 従業員数 約100名
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 アビームコンサルティング 私はこれまで一貫してコンサルタントとしてキャリアを形成してきました。製造、鉄道、物流、金融、総合商社などのクライアントと共に、数多くの変革を成し遂げてきましたが、今ほど大きな変化は経験したことがありません。第4次産業革命といわれる現在、欧米などの先行事例で築き上げられた方法論を体系化し、日本やアジアに向けて最適化しながら提供する従来の方法では、もはや価値を生み出せなくなっているのです。 背景にあるのは、デジタルテクノロジーを武器にしたディスラプション(創造的破壊)。例えば自動車業界ではAIやIoT、ビッグデータ解析といったデジタルテクノロジーを武器に、自動運転の普及に向けて、技術革新が進んでいます。結果、自動車業界はGoogleをはじめとするIT企業が脅威となっています。FinTechなどの進展も相まって、異業種の企業が金融サービスに参入するケースも生まれています。つまり、技術の進化が業界の壁をディスラプト(破壊)して、市場を大きく変えようとしているわけです。グローバル化の進展が国際競争を加速させる一方で、こうした業界間の壁を越えた競争も始まっています。そのため、企業は本当の意味での変革、前例のないイノベーションを生み出そうとしているわけです。 多様性あるチームをまとめ、マエストロとして機能する こうなれば、私たちコンサルタントも従来の考え方、取り組み方に加えて、新しい存在意義を確立しなければなりません。そこでアビームコンサルティング(以下、アビーム)にとって重要な考え方が“共創”です。クライアントやビジネスパートナーと共に新たな価値の創造を追求し、真のパートナーとして成果を出す必要があるのです。 もう一つの大きな変化は、クライアント自体が変革を内製化し始めているということです。先進的な技術を持つ人材を採用したり、変革を推進していくための専門組織を設けたり、突出した技術力を有するベンチャー企業との連携によるオープンイノベーションを推進しているのです。 コンサルティングファームも自らのビジネスの在り方を見直さなければ、この変革のムーブメントから置き去りにされてしまいます。アビームは、この社会の変化に先駆けて、強い危機意識をもって自己の変革を推進し、共創パートナーとなり得る集団へと変貌を遂げています。 具体的にアビームがどこに重点を置いて変化を遂げているのかというと、「価値創造型ダイバーシティ」の確立です。 大きな変革の流れの中で、前例のないイノベーションを起こすために必要な知見は非常に幅広く、多様な人材が必要不可欠です。多彩な人材をそろえるだけでなく、このメンバーによって最適解が導き出されるように取りまとめていくリーダーシップも問われます。オーケストレーティング、つまりさまざまな楽器の演奏者の力をフルに引き出す指揮者としての力量が、われわれコンサルタントには必要なのです。 アビームは今、変革を進めるクライアントと、ビジネスパートナーと共に、最高のオーケストラを編成し、マエストロの役割を果たすべく、創造性に富んだダイバーシティ集団へと生まれ変わろうとしています。最近では衛星画像の分析技術を持つ米国のスタートアップ企業と損害保険会社を連携させるなど、いち早くアビームらしい“共創”のかたちを生み出しています。最先端のデジタルテクノロジーを日本のマーケットに導入し一企業だけでなく、業界や社会全体の課題解決に生かすことも今後重要な役割だと思っています。 このように、クライアントの技術革新や経営・業務改革、事業改革にドライブをかけていく集団でありながら、さらに事業家や投資家のようなアクションも積極的に起こし、クライアントと共に“共創”という挑戦を繰り返すのです。 私自身の役割も時代とともに変化し、今は一人のコンサルタントとしての役割、約6000人の組織を率いる取締役としての役割に加え、CWOにも就任しました。CWOとはチーフ・ワークスタイル&ウェルビーイング・オフィサーの略称で、アビームの「働き方改革」の実現にコミットするポジションです。アビームの全社員がチームとして最高のパフォーマンスを発揮し、一人一人が生き生きと働くことができる環境づくりに取り組んでいます。ダイバーシティを浸透させるとともに、継続的に社員が高いパフォーマンスで仕事ができるよう、睡眠・食事・運動などあらゆる面で健康管理をサポートする取り組みも行っています。 「これから先、どんな人がコンサルタントに向いているか?」私は3つの要素が必要だと考えています。 1つ目は、人の話をきちんと聞き、その意味や意図を理解した上で、瞬時に反応を返すことができる人です。常に正解でなくても構いません。自身の経験やバックグラウンドをベースに自分の言葉で反応を返せることが重要です。相手のことを理解せずに一方的に意見を押し付けるだけでは、たとえそれが正論であっても相手は納得してくれません。 2つ目は、変化することを楽しめる人物です。変えるべきは変え、変えるべきでないことは変えない。それが変革の時代を生きるすべてのビジネスパーソンの条件だと思います。 3つ目は、クライアントをはじめ、業界や社会も巻き込んで変革を起こそうとする意志の持ち主です。 今、アビームは大きく変わろうとしています。もちろん、日本発のグローバルコンサルティングファームとして、日本とアジアにアドバンテージを持つ強みは変わりません。その上で、企業が変革に向かう動きを追い風とし、より大きな変革を導く共創パートナーとして、私自身もアビーム自体も大きなターニングポイントを迎えています。今までにない、変革期だからこその面白さがあると感じています。共に世界で戦い、成長していきましょう。 Company Information 本発、アジア発のグローバルコンサルティングファームとして、随一の実績と規模を誇り、国内4,500名、アジア中心の海外1,500名、合計約6,000名のコンサルタントを擁する。業界の複雑化する課題解決と向き合い、デジタルテクノロジーを活用して社会全体の課題解決においてもいち早く成果を上げている 設立年 1981年4月 資本金 62億円 売上高 748億円 従業員数 5,917名
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング 過去20年の流れをざっと振り返るだけでも、いかに私たちの生活がテクノロジーで大きく変化したのかがよくわかります。インターネットの常時接続が当たり前になったのは、2000年代初頭のことでした。それ以来、モバイル、SNS、クラウド、ロボティクスなど、多くのテクノロジーが私たちの生活に恩恵をもたらしてきましたが、一般に普及するまでにかかる時間は、年を追うごとに短くなっている印象です。 こうした変化は「デジタル革命」と呼ばれ、シェアリングエコノミーの誕生や製造業のサービス業化など、これまでのビジネスの常識を覆すような現象を生み出す原動力になり、便利で優れたプロダクトやサービスとなって、私たちの生活を変えているのです。 デジタル革命は、これからもスピードを上げながら、あらゆる業界、企業、人々を巻き込み、世界を変え続けていくことでしょう。では、今後どのようなビジネスが隆盛し、どのようなビジネスが衰退するのでしょうか。 ここでそれを明言するのは難しいのですが、一つ言えるのは、今後ますます「コネクテッド」な企業が業績を伸ばすのは間違いないということです。 言うまでもないことですが、コンサルティングファームの使命は、クライアントが持ち得ない専門知識と課題解決の鋭い切り口によって、企業や組織の改革を促すことにあります。企業変革のドライバーであることは、コンサルタントのレゾンデートル(存在価値)そのものです。複雑化する社会において「外部からの刺激を活かして自社を変えたい」というニーズがなくなることはなさそうですが、デジタル革命が本格化するにしたがってコンサルティングファームに求められるサービスが変わりはじめているのは確かです。 例えば、新規事業の立ち上げ案件を例に挙げると、かつては調査と計画に数年を費やしていました。しかし、今では数週間サイクルで状況を判断し、ビジネスの精度を高めながら数カ月から1年で成果を出すというアジャイル型のプロジェクトが主流です。なぜなら、コネクテッドな社会は情報が拡散、収れんするスピードが非常に速く、確実性を重視する旧来のやり方に固執していては、計画しているそばから内容が陳腐化する恐れがあるからです。また、優勝劣敗の見極めが難しい社会においてはスピードもさることながら、自前主義や孤立主義は、停滞と衰退を招きかねない危険な選択と言えます。今、私たちが直面している課題のほとんどは、一社の知見だけで解決できるような代物ではなく、有能な企業や個人とコラボレーションすることでしか、解決できないものばかりだからです。 クライアントの変革のために自らも変えていく覚悟 デジタル革命は、100年以上にわたって積み上げてきた伝統産業の堅固なビジネスモデルをも破壊してしまうほどのパワーを秘めています。EYグローバルは、この3年、27社ものデータアナリティクスやマーケティング関連企業を買収し、内部リソース強化とサービスラインの拡充に努めてきました。それは、私たち自身がデジタル社会に適応し、コネクテッドな企業にならなければ、クライアントの期待に応えられるはずがないと考えるからです。業界トップクラスの企業とパートナーシップを締結するにしても、私たち自身が外に開かれた組織でなければ、良好な関係を築くことすらできません。だからこそ私たちは、クライアントを変える前に、自分たちを変える行動に出たのです。 昨年、東京ミッドタウン日比谷に開設したデジタルコラボレーションスタジオ「EY wavespace」も、そうした私たちのスタンスを示すものの一つと言えます。この施設では、人工知能、ブロックチェーン、サイバーセキュリティといった、世界先端のツールをハンズオンで試せるほか、世界150以上の国と地域に展開するEYのグローバルネットワークとクライアントをつなぎ、国境や業界を超えたコラボレーションがもたらすポテンシャルを体感していただけます。クライアントのデジタル戦略やビジネス戦略を模索する場として、さらにここで得た成果を形にするためのきっかけをつくる場として開設したのですが、必ずしも私たちが「教師」で、クライアントが「生徒」という関係ではないというのが、面白い点かもしれません。急速に変化する社会の中では、ときに役割が入れ替わるような、対等でフレキシブルな関係のほうが、自由で豊かな発想やクリエーティビティの高い解決策が生まれます。これもまた、デジタル革命のもたらした影響の一つと言えるでしょう。 EYは世界150以上の国でビジネスを展開するグローバルファームです。EY Japanは今後APACをはじめ、グローバルとの連携をさらに深めていきます。そうすることでより複数のグローバル企業と大きな消費市場が存在し、隣接するアジア・太平洋地域だけでなく、欧米をはじめ諸外国との結びつきをより強固にすることができます。また、EY Japanは23カ国が参画するAPACにおいて最大の事業拠点となり、より一層重要な役割を担うことになります。 グローバルファームで働くことは、コンサルタントのキャリアにも有益に働きます。担当するプロジェクトで難題に直面しても、EYグローバル全体を見渡せば、必ず解決の糸口になるアイデアや経験を持つメンバーが見つかりますし、自分が知っている知識を提供することで感謝もされます。また優秀なスキルと経験を持つ仲間と直接つながれるということは、すでに存在する解決法を一からつくろうとする、いわゆる「車輪の再発明」をしなくても良いということでもあります。そのおかげで私たちは、より多くの時間をクライアントへ提供する価値の深化に割くことができるのです。私はコンサルタントにとって、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(以下EYACC)ほど非常にエキサイティングな環境はないと思います。ここには向上心と好奇心を備えたコンサルタントにふさわしい環境があります。 Company Information EYACCは、グローバル企業が抱える多種多様な経営課題の解決に取り組む総合コンサルティングファームです。変化し続ける社会を見据え、未来に向けた新しいビジネス価値の創造と持続的成長を目指す企業をグローバル規模で支援しています 設立年 1999年4月 資本金 4億5,000万円 売上高 非公開 従業員数 1,450名
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 シグマクシス 私たちは今、300年単位のパラダイムシフトを迎えています。工業社会と金融資本主義を組み合わせ、GDPレベルでの成長を追求し続けてきた私たちが目の前にしているのは、人間の知恵とデジタルテクノロジーの組み合わせで課題解決をしながら豊かさを実現する、人間中心の社会です。 例えばインターネットを使った無料電話、太陽光の自家発電、シェアリングエコノミーといったサービスの進化は、限界費用を限りなくゼロに近づけ、人々の暮らしを便利で豊かなものに変えています。また、人々はモノを持つよりもシェアすることを好み、企業は業界内での「競争」よりも、価値観を共有できる企業同士による価値の「共創」を重視し始めています。 これを私たちは「共感資本主義」と呼んでいます。このような時代の端境期において、私たちコンサルティング会社も、既存の常識にとらわれていては未来の価値を生み出すことはできないと考えています。だからこそ、シグマクシスは業界の常識にとらわれることなく常に自らの価値創造のあり方を再定義し、自己変革を続けてきました。 2008年の創業時には、企業の戦略を描く、あるいは仕組みをデザインすることにとどまらず、それらを実行し成果を生み出すまで顧客企業に伴走し続けることが求められる時代であると信じ、「コンサルタント」ではなく企業の「シェルパ」を目指して会社を立ち上げました。以来、事業戦略策定、業務・システム変革、デジタルテクノロジー活用、組織・人財変革、プロジェクトマネジメント、M&Aなど、多様なコンサルティング能力を擁するプロフェッショナルチームとして、顧客の価値創造に取り組んできました。 13年の上場を機に、価値創造のレベルをもう一段あげることを目指し、事業投資、事業運営にも事業領域を拡大。そして今、この10年間で積み上げた経験、知見、そして多様な業界にわたるネットワークを結集し、顧客企業やビジネスパートナーと共に、新たな社会創りに生かしていくフェーズに入ったと考えています。 では、具体的にどのような取り組みで社会を変えようとしているのか。一つは、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進です。国内企業のDXは、各国に比べてかなり遅れているという現状があります。企業が社会における新たな価値を生み出すためには、このハードルはなんとしても越えなければなりません。ここで生きてくるのが、私たちが13年以来強化してきたデジタル領域の能力と、社外に広がるさまざまな企業とのネットワーク。あまたあるテクノロジーの中から最適なものを見いだし、組み合わせてチームを組成し、実行支援を行います。社内外問わず必要な能力を自由自在に集めてチームを作って成果を出す「アグリゲーション」は、シグマクシスが自信を持つ得意技です。長年、企業の経営課題解決において実績を積んできましたが、これは社会課題解決においても成功の鍵になると確信しています。 事業投資やベンチャー企業支援も社会を変える取り組みです。優れたアイデアや技術を自ら事業化する、あるいはそれらを持つ企業の能力を引き上げていくことは、イノベーション実現のスピードをあげ、新しい社会を創り出すことに通じるからです。具体的には、顧客企業やビジネスパートナーと共に資金や人財を投じてジョイントベンチャーを設立・運営するほか、ベンチャー企業の経営基盤強化を目指したコンサルティングの提供、ベンチャー企業と大企業の協業促進、ベンチャーキャピタルを通じての投資など、さまざまな形で取り組んでいます。19年3月には、アパレルメーカーとともに試着体験アプリ『fitom』の企画・運営会社、株式会社fitomを立ち上げました。 組織と個人の新たな関係性が成熟度の高い人財を創る さらに本年度から、企業や組織、業界や地域の壁を越えて価値創造活動に共に取り組むプラットフォームの形成と運営を本格化させました。これを私たちは、マルチサイド・プラットフォーム(以下、MSP)と呼んでいます。例えば17年からシグマクシスが主催している「食・料理×テクノロジー」をテーマにした活動、スマートキッチン・サミット・ジャパンには、フードテック企業、キッチンメーカー、サービスプロバイダー、料理家、起業家、投資家、デザイナー、そしてビジネスクリエイターといった多岐にわたる業界・企業・個人が参画し、一企業だけでは描けない食の未来予想図を皆で創り、社会課題を解くためのビジネスモデルの構想策定を始めています。 サミット開催後も、企業間をまたいだいくつものコミュニティでの取り組みが具体的に動き始めており、MSPの持つ可能性の大きさを実感しています。このようなMSPをさまざまな領域で立ち上げていく動きが、社内にも生まれています。 シグマクシスはコンサルティングを主軸に、社外の有能なプレイヤーとのコラボレーション、また事業投資とその運営を通じて、従来の「コンサルティング」の枠組みを超えた活動を加速しています。優秀で成長意欲の高い人財が多様なキャリアを積むことができる、幅広い環境が整ったとも言えるでしょう。社員は組織を仕事や人財のプラットフォームとして活用し、自分が掲げたテーマに取り組む。そこで身に付けた知識や経験、ネットワークを組織に還元することで、組織全体の能力も向上する。これは、私たちが理想とする、未来社会における組織と個人の新たな関係性の実践でもあるのです。 常に未来を予測し、既成概念を壊し、変化に挑み続けることは、この先の時代を創る人財に欠かせない行動様式です。これはまさにシグマクシスがネイチャーとしてきた姿勢でもあります。学生の皆さんには、常に未来を見つめながら視野を広げ、視座を高め、多様性に富んだ環境で物事に取り組んでほしいと思います。人間としての成熟度を高められる人財こそが、これからの社会を創ることができるからです。 Company Information 企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するコンサルティングサービスの提供に加え、新規事業開発、ジョイントベンチャーの創設・運営、ベンチャー投資、マルチサイド・プラットフォームの形成など、顧客やビジネスパートナーとの共創による多様な事業展開に取り組み続けている 設立年 2008年5月 資本金 28億1,900万円 売上高 133億円 従業員数 480名
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 KPMGコンサルティング テクノロジーの急速な進歩と発展が、企業を大きな変革へと導きつつあるのはみなさんもご承知の通りです。KPMGコンサルティングのクライアントも、人工知能、IoT、RPA(Robotic Process Automation)など、最新のデジタルテクノロジーをわが身に取り込み、ビジネスモデルやビジネスプロセスの刷新に日々心血を注いでいます。とはいえ、この数十年に一度の変革期に直面しているのは事業会社ばかりではありません。コンサルティング業界にもこれまでにない大きな変化の波が押し寄せています。 かつて多くのコンサルティングファームは、コンサルタントの考え抜く力で見えざる問題をあぶり出し、分析力と行動力によってそれを解決することに忠実でした。そのためコンサルティングファームはクライアントの期待に応えるべく、コンサルタント一人一人に質、量、スピードを兼ね備えたアウトプットを出せるクオリティを要求し、そのためのスキルレベルの達成を課し、コンサルタントは絶え間ない自己研鑽を重ねて能力を最大化することに命を賭けていたのです。 ところが、時代が下るにつれ、コンサルティング業界も徐々に変容してきました。例えば、実行支援の名のもとに、システム運用や保守、あるいはベンチャー投資といった非コンサルティング領域の事業規模を拡大していくファームが増えているのも、コンサルティングファームの変化を示す一端と言えるでしょう。むろんコンサルティングファームも営利企業であり、事業の多角化や規模の拡大を目指すことに問題があるわけではありません。ただ、過度に売り上げ至上主義に陥り、本質から外れた「儲かる」ソリューションに走るファームが増えたとしたらどうでしょうか。クライアントはもちろん、高い志を持ってキャリアを歩み始めた個々のコンサルタントの自律的なキャリア形成においてもその影響は無視できないものと言えます。 コンサルティングファームが売り上げ規模や事業規模を追い求めた結果もたらされるのは何かと言えば、それはコンサルティングファームのコモディティ化と、コンサルタント自身が「売り上げや規模優先」でアサインされることにより視野が狭まり、本来の課題解決力をコアとした“本質的なコンサルティング能力”の低迷が生じるという弊害です。もちろんこうした業界の潮流は当社とも無関係ではありません。その中であえて一線を画すことにこそKPMGコンサルティングの存在意義があると考えています。 18カ月間の育成期間を通じ、コンサルタントの礎を築く では、具体的にKPMGコンサルティングの特徴を挙げてください、と言われたならば、次の二点に集約できると思います。一点目はいたずらに売り上げ規模の拡大を志向する経営から距離を置いている点であり、二点目はテクノロジーを駆使しながらコンサルタントとしての課題解決力を核心においたサービスを提供することに強いこだわりを持っている点です。 規模の拡大を目指すなら他業界の有力企業とアライアンスを組み、目新しいソリューションを仕立て、パッチワーク的にクライアントに提供していけば、それなりに大きな売り上げを立てることができるでしょう。われわれが他社に先駆けてマーケット創出をリードしてきたRPAにおいてもそれを手段と捉え、いかに企業を変革するか、に本質的なこだわりを持ち、ツールとしてのRobot構築は外部パートナー企業にお任せする、というスタンスでクライアントと向かい合っているのも、売り上げ規模よりもコンサルタントのコアバリューにこだわった当社ならではのスタンスです。Robotをたくさん作ることを自らが請け負えば売り上げ規模はつくれますし、構築スキルさえコンサルタントに与えられれば即活躍できるでしょう。 しかし、こうしたアプローチに終始すると、クライアントの根本的な課題抽出には至らず、われわれのアウトプットがクライアント独自の差別化要素に結びつきにくく、気づけば競合と同質的な姿にしか変革し得ていない、などという事態を招くリスクも少なくありません。そして、働くコンサルタント個々人に目を向けてみても、本来培うべき課題解決スキルが身につかないばかりか、こうした同質的・場当たり的なソリューションでコンサルティングサービスを提供していくスタイルにがっかりする人も少なくないのではないかと感じています。 ここ数年、コンサルティング業界はその規模の拡大を見事に実現し、より多くの投資余力も備え付け新たな事業買収等の動きも活発化させてきました。その一方で、コンサルタント個人にとって“働きがい”のある仕事であるか、“自身のバリュー・力”あるいは“独立力”をスピードを持って高められる場なのか、といった点では逆行していく流れを感じます。 当社は新卒社員に18カ月間の育成プログラムを提供し、OFF-JTだけでなく、さまざまなタイプのプロジェクトにローテーションアサインする制度を設けています。その期間と機会を生かして、テクノロジースキルだけでなく、ロジカルシンキング、仮説思考、構造化思考、財務会計など、コンサルタントの基礎力を徹底的に鍛え上げてもらいたいのです。この基礎力が高いレベルで備わっていなければ、いくらテクノロジーへの知見や専門性があったとしてもコンサルタントとしての価値の核心は築けない、と考えているからです。 これからの時代に求められるのは、複雑化する課題の本質を見極める独自のソリューションを発想できる力と、手段としてのデジタルテクノロジーを使いこなす能力と見識、そしてその力をもって、いかなる難解な局面であっても突破しようとする情熱を秘めたコンサルタントだと思います。変革期の今だからこそ、当社は、自律的なキャリア形成を望み、はやりもののテクノロジーやAIの進化に飲み込まれることなく10年後、20年後も価値を出し続けられるコンサルタントを育て、一緒にチャレンジしていくさまざまなチャンスを提供できるファームでありたい、と考えています。 Company Information KPMGコンサルティングは、ビジネストランスフォーメーション、テクノロジートランスフォーメーション、リスク&コンプライアンスの3分野において、クライアントのビジネスモデルやビジネスオペレーションを変革・刷新するためのソリューションとコンサルティングサービスを提供している 設立年 2014年7月1日 資本金 6,000万円 売上高 非公開 従業員数 1,018名
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 デロイト トーマツ コンサルティング ここ数年、クライアントから寄せられる依頼内容が、大きく様変わりしています。 ほんの5年ほど前までは「成長著しい新興国市場のどこに販売・生産拠点を設ければグローバル競争力を強化できるか」、また「競合他社からシェアを奪取するためにどのような開発戦略を立てるのが有効か」など、大多数が政存事業の枠内に収まるテーマでした。 しかし、現在、デロイト トーマツ コンサルティング(以下、DTC)が手掛ける経営課題の中心は、より抽象度の高いもの、例えばクライアントのビジネスモデルの刷新を含むドラスティックかつ発想力と創造力が求められるような案件に移りつつあります。 それはAI、クラウド、IOTなどのテクノロジーの急速な進展や、破壊的IT企業による異業界参入、コミュニケーションや消費行動のデジタル化など、社会環境の大きな変化がもたらしたものと言っていいでしょう。 こうした社会環境の変化を見過ごし、対応を誤ると、業界のリーディングカンパニーでも簡単にその地位から追い落とされてしまう。これが現在すべての業界に共通する経営課題となっていると言っても差し支えなさそうです。 ここからは、いま大きな転換期に差し掛かっている自動車業界を。例に話を進めていきます。 現在国内外の自動車メーカーは、環境負荷の低減や交通事故ゼロ社会の実現、新たな移動価値の創出に向けて、電気自動車、燃料電池車、自動運転車の開発競争にしのぎを削っています。 こうした変化はモノづくりの領域だけに限らず、バリュープロポジションの再定義や収益モデルの転換にまで及ぶ、まさにトランスフォーメーションなのです。 そのため、現在自動車メーカー各社は、「所有」から「シェア」に移行しつつある顧客嗜好の変化に着目し、移動手段を提供するMaaS(Mobility as a Service)に注目し始めました。とはいえ製造業がサービス業に転身するのは容易ではありません。MaaSを実現するためには、これまで自動車づくりのコア技術ではなかった高度な情報技術やデータアナリティクス、ネットワークセキュリティー、通信、課金決済など、さまざまなテクノロジーをサービスに実装する必要があるからです。 自社にない技術が必要なら、各業界の有力企業との緊密なアライアンス関係を築くべきなのは明白ですが、いずれも変化の激しい世界です。どの企業と協業するかは慎重に検討するべきでしょう。 さらに、コラボレーションの実行において、結果を出すまでの速度感も変化しています。コンセプト策定からパートナー選定、PoC(概念実証)からビジネスモデルの確立までを1年程度で実行しきることが求められています。 こうしたクライアントの直面する課題・われわれへの期待の変化を背景に、求められるリーダーシップやマネジメント能力も、急速に変化しています。最先端技術を最大限活用し、多様な社会のプレーヤーと共創しながら、新しい価値創造の実行を支える存在として進化するために、われわれ自身にも変革が必要なのです。 自らの創造力を糧に真摯に努力する方を支援する DTCは、世界最大級の規模を誇るコンサルティングファームとして、あらゆる業種の民間企業、地方自治体、中央官庁と手を携えて課題解決を手掛けてきました。 積み重ねた実績で得た信頼と知見は、業界横断プロジェクトや複数の業界を巻き込んだコンソーシアムの組成などに活かされており、実際に自動車業界が渇望しているアライアンス先のご紹介や、われわれ自身がリスクを取り新規ビジネスの立ち上げの当事者として関わる機会も増えています。われわれ自身も実行責任を負うことによって、改革のスピードと精度を上げることができるからです。 こうした取り組みは自動車業界に限りません。すでにさまざまなクライアントと業界の垣根を越えるような試みが始まっています。 また、このようなビジネスの広がりが、思いも寄らない世界との結び付きを生み始めています。 例えば愛媛県今治市をホームタウンとする『FC今治』と地方創生やカスタマーエクスペリエンスの実証研究を実施したり、東京の乃木坂に開設したデロイトデジタル スタジオでクリエーティブとデジタル、コンサルティングの掛け算によって人の心に響く価値創造に挑んでいたりするのはいずれも多様化する社会のニーズに応えるためであり、われわれ自身に必要なことでもあるのです。現在DTCは、あらゆる業界のトランスフォーメーションに取り組む一方、業界と業界、企業と企業、人と人を結び付けるカタリスト(触媒)として、またクライアントとともに歩むビジネスパートナーとして活動しています。 こうした取り組みを持続するには、さまざまな専門性と個性、価値観を持った人材が不可欠です。コンサルティングファームの新たなスタンダードをつくるという意味でも、人材の多様さは非常に重要であると考えています。もちろん新入社員の皆さんに期待するのも多様性と創造性です。コンサルティングの手法に加え、テクノロジーの基礎知識も、3ヵ月間のブートキャンプと呼ばれる研修で学んでいただきます。 創造性を発揮していただくために、まずは、自分の5年後、10年後、20年後の未来に思いをはせていただきたい。例えば『世界で1億5000万人以上に上る児童労働を廃絶したい』、『世界を席巻するGAFAに比類するような大企業を日本から生み出したい』といった、コンサルタント人生を懸けて実現したい夢や目標を自分の中で持っていただきたいのです。 必ずしも入社前に明確でなくとも良いです。入社後にさまざまな業界やテーマに携わりこれまで想像できなかった世界が見えた時に、自身が主人公として解決すべき課題だと捉えるアンテナの感度を高めてほしいと思います。わたしは大義を抱く若者たちの意欲と行動力こそがより良い社会を築くカギになると信じています。 われわれは自らの創造力を糧に真摯に努力する人たちに成長機会を提供することを惜しみません。 ぜひDTCでその夢や目標を実現してください。 Company Information デロイト トーマツ コンサルティング(DTC)は、世界150カ国以上に展開するDeloitteのメンバーファームの一員として、国内外の民間企業、地方自治体、政府機関などに、組織課題の解消に向けたソリューションを提供。さらに、社会課題の解決や新産業創造など多面的なアプローチによって社会に貢献している 設立年 1993年4月 資本金 5億円 売上高 非公開 従業員数 2,542名
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 KPMG税理士法人 実は今、税理士法人はとても大きな変革期を迎えています。従来の税理士法人の仕事といえば、税務申告書の作成業務を思い浮かべる人が多いかもしれません。確かにそれも重要な仕事の一つですが、以前は業務の多くを占めていた税務申告書の作成業務は、現在、減少傾向にあります。テクノロジーの進化により、人の手を介さずにできるようになりつつあるためです。電子申告制度も普及してきて、税務署への申告もワンクリックで済みます。こういった技術革新は今後もさらに進み、KPMGでもプロジェクトを立ち上げて、完全な自動化を目指しています。 申告業務自動化が進む一方で、急増しているのが税務コンサルティング業務です。特に国をまたがる取引や投資に関わる国際税務コンサルティングのニーズが、爆発的に高まっているのです。 実はこれまで日本では、全社的な税務マネジメントを行っている企業はそれほど多くありませんでした。日本企業は、伝統的に営業利益を重視しており、税金は、目標を達成した結果として支払うものだという考えが主流だったからです。実際に日本企業は、世界各地に海外子会社を持っていても、子会社の税務は現地任せというケースがほとんどです。 これに対して欧米企業、とりわけアメリカ企業は、株主へのリターンを最大化することが経営者の責務であるとの考えから、一般的に株主配当の原資となる「税引き後利益」を経営の指標としています。つまり税金はコストの一部だと捉えている。そのため、CFO(最高財務責任者) 直轄の税務責任者が、海外子会社も含めたグループ全体をマネジメントし、税金というコストを厳格に管理しています。 こうした企業とグローバル競争をしていくには、日本企業も対策を講じる必要があります。しかも今、国際税務の枠組みが大きく変わろうとしており、「BEPS」対策のための新ルールへの対応が求められています。BEPS(Base Erosion and Profit Shifting) とは『税源浸食と利益移転』のことで、各国税制の違いや課税ルールの抜け穴を利用して、一部のグローバル企業が行きすぎた節税をしている問題のことです。著しく税額が低くなってしまうことが問題視され、OECDが新たな国際ルールを策定し、2015年10月に最終報告が公表されました。グローバル企業は各国の税務当局への情報開示が義務付けられ、より厳しくチェックされるようになります。 増え続けるニーズに対して国際税務のプロ育成が急務に 事業環境が変化する中、当社では、KPMGのネットワークを活用してグローバル企業の税務ニーズに幅広く対応しています。例えば移転価格税制への対応では、グループ企業内での国際取引における適正な販売価格を分析・提案し、各国への適切な納税をサポートします。場合によっては、各国の税務当局との交渉も行います。 M&Aでは買収対象企業が適正に納税しているか調査する税務デューデリジェンス業務を手掛ける他、税コストの適正化を図るため、各国の税制を踏まえて企業グループの組織再編のアドバイスも行います。いわば国際税務コンサルティングとは、各国の法律や制度を踏まえて最も適切な組織や事業のあり方を考え基盤構築をサポートする仕事なのです。しかし増え続けるニーズに対して、国際税務の専門家は圧倒的に不足しています。そのため、当社では各階層別に体系的なトレーニングを整備し、人材育成に取り組んでいるところです。 育成の一つは、専門性を高めるテクニカルトレーニングです。新卒の場合、内定段階から税務講座受講の機会があるなど、専門知識を養うサポートをしている他、新入社員研修で税法の基礎はしっかりと勉強してもらいます。 ただし税務の知識だけでは十分ではありません。プロフェッショナルとは、クライアントの質問にただ答えるのではなくその裏にあるニーズを見極めて問題解決できる人のことです。そこで、ロジカルシンキングやコミュニケーションなどコンサルタントとしてのスキルを養うソフトスキルトレーニングも用意しています。「キャンプ」と呼ばれる宿泊研修もあり、階層別に行っています。また、実際のプロジェクトでは海外事務所とのやり取りが多いので、語学トレーニングも充実しています。入社2年を過ぎれば海外語学学校への短期留学に参加できますし、シニア以上になると海外事務所との短期派遣にも応募できます。交換留学のような形で、海外からも人が派遣されており、国際経験の第一歩となっています。 税務コンサルタントとして取り扱うテーマも、関わる国や地域もどんどん広がっている今は、非常に面白い時代だと思います。若手にもチャンスがたくさんあり、私も今の時代にもう一度新入社員を経験してみたいと思うほど。自分のアドバイスが確実な成果として実を結んだときの醍醐味をぜひ味わってほしいですね。 Company Information KPMGのメンバーファームとして、1954年に日本に進出。日本の税務専門家集団の先駆けとして高品質なサービスを提供。グローバルネットワークを活用し、あらゆるニーズに応える幅広いサービス提供力が強み。資格取得者に限らず『税務コンサルタント』の新卒採用を強化しさらなる成長を目指す。 設立年 2004年1月 資本金 非公開 売上高 非公開 従業員数 約700名
ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味 ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 ローランド・ベルガー ローランド・ベルガーに私が入社したのは今から15年以上前。当時の東京オフィスには30名程度のメンバーしかいなかったのですが、並み居る米国系グローバルファームとは一線を画し、戦略の実行局面にコミットしながら、お客さまとの間に長期的なリレーションシップを築く姿勢で、一気に成長をしてきました。他方、近年は国際的に進展しつつある新しい流れ、変革へ向かう大きな波を先取りする格好で、新たにトライしています。とりわけこの1〜2年は、長島(代表取締役社長) が自ら先陣を切る形で、他ファームとはまったく異なるアプローチを重ねています。それが『ジャパン・ストラテジー2・0』です。コアとなるテーマは、変革を望む企業のスピードを劇的に上げていくことです。 当社が長年にわたり信頼関係を築いてきたお客さまの多くは、実績ある大企業です。しかし、これからの社会では規模の大小に寄らずスピードが命。巨象をまるでチーターのように機敏に動ける組織に変貌させ、イノベーションを加速させることが、われわれのミッションだと考えているのです。その実現のために核となるアクションは4つ。未来構想プロジェクト、新規事業の量産、アクセラレーション(高速化)、スピードBPRです。 第一の未来構想プロジェクトでは、2035年の社会や産業界、企業が『最も幸せになっている状態』を思い描きます。デジタルによる変革がすべてのビジネス、世の中を変えようとしている今『先が見えない時代』とも言われています。しかし、より幸せな未来をきちんと想像・構想し、羅針盤ともいえる指標を中長期的展望で持たなければ、お客さまもわれわれも動き出しようがありません。妄想レベルでも構わないという条件設定で愚直に考え抜いています。 2つ目は新規事業を創出しようというものですが、重要なのは量産する姿勢を持つこと。『変革達成のためにはトライ&エラーを覚悟する』ことが重要だと強調しつつ、われわれはすでに具体的なアクションを起こしています。現状でも10社を越える先鋭的なベンチャー企業との連携を実現し、変革実行のためのエコシステムを築いています。その中の一社がアスタミューゼ。知的情報プラットホーム事業で世界をリードする同社には、『知』に関わるあらゆる情報が集積されています。特許情報、ベンチャーキャピタルなどによる最新の投資情報、大学で行われている先端的な研究情報などを有効活用することができるのです。どんな研究や特許案件がホットなのかを知ることで、例えば日本の大企業がオープンイノベーションのパートナーを選択する際にも、一役買っています。 3つ目は、アクセラレーション、つまり高速化です。机上で新しいビジネスを考えていても新規事業の量産にはつながりません。デジタルトランスフォーメーションを多くの企業が目指すようになって以来、PoC(実証実験) の重要性を叫ぶ声が高まっているわけですが、この局面でも当社は具体性をもって動き出しています。言うなれば、『高速PoC』。先鋭企業とのパートナーシップを活用しながら、スタートアップ・ベンチャー並みのスピードでPoCをドライブしているんです。最後がスピードBPRですが、以前から行われてきた業務改善とは異なります。RPAやIoTをはじめとする実効性の高いデジタル技術類を積極的に投入することで、業務オペレーションを劇的に高速化します。これも、先鋭企業との連携を開始しています。例えば、コアコンセプト・テクノロジー社は、メーカーの製造プロセスで基盤とも言える金型の製造期間を45日から15時間にまで短縮するノウハウを備えています。新規事業プランを進める中で、試作品の製造が必要になった際、これをウェブ上で部品レベルにまで落とし込んで設計できるプラットホームも活用できています。 違和感はいずれ高揚感に固定概念が覆る変化を実感 以上のように、ローランド・ベルガーでは単に『こうあるべき』を説くだけではなく、エコシステムを設け、『あるべき姿』を構築するプロセス自体のスピード、そして、それを実装するスピードを上げていく点で、すでに成果を出しています。ほんの数年で、なぜここまで進展できたのかといえば『われわれ戦略コンサル自体が超高速で変わらなければ』という危機意識が、どこよりも強かったからだと自負しています。 とはいえ、当初は私自身も懐疑的でした。先鋭企業との連携話の多くは、長島が率先して持ち込んだものでしたが、「どういう会社か? 精査し確認しないと、安直に連携すべきではないのでは?」などと意見したものです。もちろん、大切なパートナーとなった各企業は、小規模だったり、歴史が短かったりするところでも、いずれも強みを維持しているわけですが、なにより私の意識を変えてくれた要因は各社が「あれ?」という驚きを見せてくれたことにあります。「この会社のこの強みを活用できたら、一緒にこんなことまで実現できるのか」という意味での驚きです。今、多くの大企業がベンチャーとの連携によるオープンイノベーションで変革を達成しようとしていますが、難航している実情があります。「自分たちとは別の世界に、自分たちにはできない力を持った存在がいる」ということを、腹の底から納得できていないから、うまくいかないのだと、今なら私も言い切れます。言い換えれば、私をはじめ当社にいる者たち自身がオープンイノベーションのために格闘し、もがいてきたからこそ、その重要性と難しさを理解している。よって今、どこよりも具体性を持ち、お客さまの変革に貢献できているのです。 新しいチャレンジでありながら、いかにも当社らしい戦略性・実行性を持って、変革の時代ならではのダイナミズムをわれわれは感じているところです。ですから、今後は「あれ?」という感覚をワクワクしながら形にしていける人に参画してほしい。未来を築いていく輪の中でしか時代のダイナミズムは味わえませんが、変革の未来という時代において、ローランド・ベルガーには間違いなくそれがあると断言できますから。 Company Information ドイツに本社を構えるヨーロッパ最大の経営戦略コンサルティング会社。世界34カ国に50のオフィスを展開し、グローバルで2, 400名の社員が活躍している。長期的リレーションシップを築きながら戦略コンサルティングを実践する独自の強みを武器に、近年では先進性の高いプロジェクトにも積極的に取り組んでいる。 設立年 1967年 資本金 非公開 売上高 非公開 従業員数 110名