国内リーディングカンパニーの経営者たちに聞く “伸びる会社”の条件 世界経済に甚大な影響を与えたコロナショック。ビジネス環境が劇的に変化する中で、これからも“伸びる”会社は何が違うのか。各社のアフターコロナにおけるビジョンを知り、企業理解を深めよう GEヘルスケア・ジャパンの母体であるGEは、発明家トーマス・エジソンを創始者とし、事業をスタートしています。「産業の未来を切り開くリーダーとして、イノベーションを推進していく」という理念のもと、創業から130年以上にわたり、照明や発電、医療、航空分野など多様な事業を展開。時代のニーズに迅速に対応するべく、主力事業も次々と変化させてきました。医療機器の開発や最新の医療サービスを提供するGEヘルスケア・ジャパンもその姿勢を受け継ぎ、時代の要請に対応するべく、変化し続けることを重視しています。 現在、コロナショックにより生活様式が一変し、あらゆる企業が方針転換を迫られていますが、時代のニーズを捉えて変化してきた私たちにとっては、この未曾有の事態も新たな変革の始まりと捉えています。 最近の動きでは、病院内における新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、CT in Box(コンテナ型の簡易CT室)をいち早く開発。緊急事態宣言発令直後の2020年5月、日本にも導入し、隔離された場所でコロナ患者さまの治療を完結できるよう、院内感染を防止するソリューションを生み出したのです。 このような医療の課題にタイムリーに対応できるのは、130年の歴史を通じて培ったノウハウ、最新のテクノロジーなどのイノベーションを課題解決のために社会実装している点が大きいでしょう。そしてこれらの背景には、GEヘルスケア・ジャパンの社員一人一人が発揮しているリーダーシップがあります。 GEグループにおけるリーダーシップとは、役職に関わらず、全ての社員がそれぞれの業務の中で発揮すべきものと定義しています。管理職よりもむしろ、現場の最前線で顧客と最も身近に接している社員こそがリーダーシップを発揮し、課題解決に導かなければなりません。社員全員のリーダーシップが、GE全体の先導力につながっているのです。 世界市場においても、GEヘルスケア・ジャパンはリーダーシップを求められています。例を挙げるなら、少子高齢化や労働人口の減少、過疎化など、課題先進国と言われる日本において、今私たちが取り組んでいるプレジジョン・ヘルス(医療の精密化・個別化)の促進があります。現在の治療では薬剤の必要性を厳密な意味で検討することが難しいこともあり、薬の大量処方や非効率なサービスの提供などから、社会保障費への圧迫、ひいては患者さまへの不利益が生じるケースなども散見されます。その改善に私たちの技術が使えますが、問題は、当社単独で全てを改善することは極めて厳しいということ。そこで必要となるのが、私たちとは異なる強みを持つ他企業とのパートナーシップです。直近の事例で言うと、アマゾン ウェブ サービスとの協業があります。私たちの持つヘルスケアのノウハウと、アマゾン ウェブ サービスの最新テクノロジーを掛け合わせ、GEのAI開発環境「Edisonプラットフォーム」を駆使した、効率的かつ精度の高い医療サービスを提供できる仕組みを構築。人員不足が叫ばれる医療現場の改善につなげています。 このように国内で成果を挙げることで他社の模範となり、世界をリードする存在としてあり続けることが私たちの目標です。実際にグローバルにおいても、日本のヘルスケア市場は戦略次第で今後も成長できる市場と位置付けられています。そこで18年より日本は単独地域としてグローバル本社直結組織となり、日本におけるビジネスのかじ取り全てを任されています。世界に先んじて直面する医療課題に対し最適な解決策を生み出し、世界にノウハウを還元していくためにも、社員のリーダーシップは不可欠です。 「成功よりも成長」を重視し、挑戦心が育まれる風土を醸成 世界をリードする存在として価値を発揮するためには、変化に強く、挑戦を楽しめる人材が必要です。そこで私たちはまず、社員が失敗を恐れずに挑戦できるよう、人事評価制度の変革に取り組みました。過去、GEグループには「9ブロック」と呼ばれる、レイティング(格付け)による人事評価制度がありました。世界から認められた制度でしたが、社員が失敗や他者からの評価を気にしてチャレンジを恐れる側面もあったため、16年に思い切って廃止したのです。その後、導入したのが、「PD(パフォーマンス・デベロップメント)」と呼ばれる新しい制度。良い仕事はすぐに評価し、失敗はその場でフィードバックをするようにしたタイムリーな評価制度です。失敗にも寛大であり、人との比較をなくすことで挑戦を促し、個人の成長を第一に考えるスタイルに変換したのです。 そんな私たちの環境を例えて言うなら、動物園ではなく、サバンナのようなフィールド。自走することが求められ、困難や緊張も伴いますが、その分高い成長が望めます。実際に、GEヘルスケア・ジャパンでは若い年次でも高いレベルの業務に携わることが珍しくありません。40代で売上規模10兆円以上のGEグループのCEOに抜てきされた社員など、卓越した人材の輩出につながっています。挑戦に臆せずリーダーシップを発揮できる人材が今後のGEヘルスケア・ジャパンの成功をけん引し、より良い未来の創造に貢献していくことは間違いないでしょう。 リーダーシップマインドを一人一人が持ち続けること。この信念が、時代を切り開き、成長し続ける上で重要な鍵となるはずです。 伸びる会社の条件とは? 1.過去の成功にとらわれず、変革を推し進められる 2.厳しい現実をポジティブに捉え、挑戦し続けられる 3.社員全員がリーダーシップを発揮できる
国内リーディングカンパニーの経営者たちに聞く “伸びる会社”の条件 世界経済に甚大な影響を与えたコロナショック。ビジネス環境が劇的に変化する中で、これからも“伸びる”会社は何が違うのか。各社のアフターコロナにおけるビジョンを知り、企業理解を深めよう コロナショックが広告業界に突き付けたものとは何だったのか。そしてこの領域でいかなるニューノーマルが築かれていくのか、というテーマについてはさまざまな視点から語る必要があります。しかし結論を先に言うならば「原点回帰」。クライアントである企業・団体が抱える課題を解決する、という本来の使命と向き合い、明確な成果を上げていくことが求められると考えます。 新型コロナウイルスは社会のあらゆる場面に影響を及ぼしました。エンターテインメントや旅行、飲食など日々の楽しみのための消費が激減し、人々の生活は〝断捨離化〞とも呼べる現象が広がっています。ビジネスにおいても、あらゆる局面でコスト削減が図られ、メディアを主たる収益源としてきた広告会社を圧迫しているのです。さらに、コロナ禍前には堅調な実績を上げていたプロモーション案件やウェブ・デジタル関連のプロジェクトも影響が避けられず、厳しい状況が続いています。しかし、社会全体が立ち直っていく段階に入れば、マーケティング分野における広告会社のプレゼンスは再び重要性を増していくでしょう。 ポイントは当たり前ですが、全てが以前の状態に戻るわけではない、ということ。ニューノーマル時代を見据え、われわれも真剣に考え、チャレンジする必要がある。だからこその「原点回帰」。一度断捨離を実行した多くの企業は、これから先、業績を立て直すべく今までと異なる多くの課題を解決していく必要があるでしょう。広告業界が目指すべき事柄も「かつてのような収益分野の依存を再び手に入れる」ことではなく、クライアントの多様化する課題に正面から向き合い、共に解決していくこと。われわれにはその姿勢と力とが備わっていると自負しています。 「ルールバスター」だからこその強みが今こそ発揮される 今でこそジェイアール東日本企画(以下、jeki)は国内広告会社の売り上げランキングで常に上位に位置する企業ですが、そもそもは後発組。先行する大手競合企業がマスメディアを中心に圧倒的地位を占めている中、彼らと競うためには数々の挑戦をしていく必要があったのです。 JR東日本のグループ会社である利点も武器の一つであり、ハウスエージェンシーとして交通スペースという強みを持ち、独自のビジネスモデルを築きました。人々が行き交う「列車・駅」という付加価値の高さや機能を〝移動者〞というヒトに着目することでマーケティングに活かしていく独自モデルも、ゼロから創出してきたと言っても過言ではありません。しかしjekiの強みはそればかりではなく、事実、営業収入に占める交通広告は今や全体の3割ほど。残る全ては「お客さまの課題解決を目指し貢献する」というテーマに真剣に向き合い、泥臭い姿勢で生み出してきました。 「課題解決」と言ってもその手法は多岐にわたります。例を挙げると、地域創生を目指す地方自治体や公共機関の案件では、独自のコンサル手法やデジタルソリューションを活用した取り組みを早期から徹底し、突出した成果を上げ続けています。また、最初のTV番組化から長年手掛けているポケットモンスター、近年では〝天気の子〞等、有力な映画・アニメ等のコンテンツに数多く参画し、独自のタイアップ企画で業界の注目を集めています。既存の発想やルールにとらわれない課題解決手段をその都度考え、試行錯誤の末に結果につなげることが後発組であるjekiが進むべき道。業界のルールバスターとして現在の地位を築いてきましたし、結果として従来分野にばかり依存しないウィングの広い独自の事業体を構築したのです。 そしてこれこそがニューノーマル時代において、命運を大きく分けると言えるでしょう。DXをはじめ多様な変革を目指す多くのクライアントからは、今まで以上に多くの難題が寄せられるはず。もはや広告会社のライバルは同業だけにとどまらず、コンサルティングファームやデジタル・IT系企業が競争相手であり、時には共創相手とも成り得ます。実際、大手の広告会社やコンサルティング企業などの間で、M&Aによるデジタル系プレーヤー、デザインファーム争奪戦も始まっています。しかし最も重要なのは、ニューノーマル時代に向かって試行錯誤を繰り返すお客さまの課題に、どれだけ愚直に取り組んでいけるか。規模や資本や専門性にモノを言わせるのでなく、自らの機動力や創造性で立ち向かえるかどうかです。誤解を恐れずに言えば、jekiは決して超一流のレストランでも、日本最大の高級店でもなく、B級グルメのお店。ただし、どこにもまねのできないオリジナル料理を自力で生み出し、他にはない多彩なメニューで、地道にお客さまの信頼を勝ち得てここまで来ました。今後もそのスタンスは変わりません。お客さまが欲するものを〝先読み〞し、いつでも新しいメニューを創り出すカルチャーが根付いています。 「広告業とはこういうもの」という旧来型の常識を捨て、ルールバスターの発想と愚直な姿勢の掛け合わせで風穴を開けてきた私たちには、ニューノーマルという新しい枠組みに向かい、社会の変化を楽しむほどの気概がある。またリーマンショックにおいて総合広告会社の中で最も実績を伸ばしてきたという自信もある。ですから、伸びる会社に入るという発想ではなく、自らニューノーマルを創り出したいと望む方と共に新たな時代を歩みたいですね。 伸びる会社の条件とは? 1.課題解決という本来の使命に、誠実に向き合える 2.過去に固執せず、独自のモデルを構築できる 3.変化をチャンスと捉え、楽しむ気概を持てる
国内リーディングカンパニーの経営者たちに聞く “伸びる会社”の条件 世界経済に甚大な影響を与えたコロナショック。ビジネス環境が劇的に変化する中で、これからも“伸びる”会社は何が違うのか。各社のアフターコロナにおけるビジョンを知り、企業理解を深めよう 新型コロナウイルスのまん延により、多くの企業でリモートワークが導入され、半強制的に働き方を変えざるを得なくなりました。この出来事によって、今後どのような企業が伸びるのか、明暗が浮き彫りになったと感じています。 まず、デジタル化が進んでいる企業では、こうした非常時であっても普段と変わらず効率的に仕事ができているということが分かりました。その中でも一部の企業では、このコロナの影響が不可逆的なものであり、もう元に戻らなくなることを前提に、早い段階から事業や働き方の変革に着手していました。ただ一方で、一時的にリモートワークを取り入れたものの、緊急事態宣言が解除された後、すぐにビフォーコロナのワークスタイルに戻った企業が一定数存在するのも事実です。その理由としては、経営層のデジタルリテラシー不足や、メンバーを身近でマネジメントできない不安によるところが大きいと私は考えています。 前者と後者、今後伸びる会社はどちらかというと、前者であることは明らかです。それを分かりやすく表しているのが、デロイト トーマツ グループが企業の経営層と社員向けに実施したリモートワークに関するアンケート。経営層はリモートワークを週1日程度に限定したいと考えているのに対し、社員からは週3〜4日程度のリモートワークを希望する声が多数あがったのです。このアンケート結果が意味するのは、企業の思惑とは異なり、個人ベースではフレキシブルに働くことへのニーズが高いということ。つまり、優秀な人材は次第に柔軟な働き方を許容する企業に集まり、そうした企業の成長力はさらに高まると言っていいでしょう。これはビジネスにおいても同様。変わりつつある社会のニーズを的確にキャッチし、多岐にわたるリスクをコントロールしながら、スピーディーに事業を変革していける企業がこの先も伸びていくはずです。それでは、ここで言う変革とはどういうものを指すのでしょうか。われわれデロイト トーマツ サイバー(以下、DTCY)が事業の主軸として注力している〝サイバー空間〞は大きなキーワードになるでしょう。 DTCYはデロイト トーマツ グループに属していた2社のサイバーセキュリティ部門の統合により設立された、サイバーセキュリティに特化したコンサルティングファームです。サイバー攻撃や情報流出など、サイバー空間におけるリスクを経営やDX戦略に直結する課題として捉え、新たなサービスやソリューションを提供しています。 デジタル化が加速するアフターコロナにおいては、私たちが普段生活しているフィジカル空間(現実空間)だけでなく、サイバー空間(仮想空間)をいかに活用できるかが重要な点だと考えます。しかしながら、前述のとおりデジタルリテラシーが低く、サイバー空間をうまく活用できていない企業が多いのが実状。だからこそ、顧客に合わせたコンサルティング、いわばサイバー空間をデザインしていくことが、われわれDTCYが残すべきインパクトだと思っています。そこで最近注力しているものの一つとしてご紹介したいのが、スマートシティやスマートワーク、スマートモビリティなど、フィジカル空間とサイバー空間を融合した〝スマートX〞です。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。まだ実証実験の段階ですが、東京のある地域でスマートシティを構築するべく、デジタルインフラの整備、そしてサイバー空間を守り、活用していくプロセスの全てにおいて、DTCYが大きく関わっています。 会社は成長するためのプラットフォームに過ぎない 今後のビジョンは、3〜4年後に企業規模を5倍まで拡大すること。それは単純な水ぶくれではなく、付加価値と収益性の高いソリューションを提供していくことを目指しています。顧客がサイバー空間を駆使できるようになるためのトランスフォーメーションを、われわれが主導となって仕掛け、サイバー空間において不可欠な存在になっていきたいのです。そのビジョンを達成するために求めるのが、新しいことや楽しいことに挑戦したいという強い欲求を持っている人。なぜならば、サイバー空間というもの自体がこれから加速度的に成長してく段階にあり、それだけ新しいことにチャレンジしているということだからです。 一人一人がプロフェッショナルとして自分でやりたいことを決め、居場所をつくり、価値を発揮していく。デロイト トーマツ グループではおのおのがこうした働き方をしています。会社は自分を成長させるためのプラットフォームに過ぎません。そこで声を大にして伝えたいのは、DTCYは成長したい人にとって最高のフィールドであるということ。なぜならグローバルに広がるグループのリソースを活用でき、自由なチャレンジが可能だからです。サイバーセキュリティ人材は需要に対し著しく枯渇しており、市場価値が急上昇することは間違いありません。そのため、トレーニングの7〜8割はグローバル水準のプログラムを取り入れ、一人あたり数百万円もの教育費用を投資。グループ内でも人材育成は最も注力している部分の一つとなっています。加えてサイバーセキュリティ領域には国境がありません。ですから、世界のどこでも活躍できる市場価値の高いプロフェッショナルを目指したい。そう考える人にとって、DTCYはうってつけのフィールドであるはずです。 伸びる会社の条件とは? 1.市場変化を前向きに捉え、強い意志を持ち変化・成長する 2.社会のニーズをつかみ組織や事業を素早く変革できる 3.デジタルネイティブな人材が活躍している
EYのメンバーファームとして2020年10月に新設されたEYストラテジー・アンド・コンサルティング。彼らが掲げるパーパスBuilding a better working worldを実現するために打ち出した、“NextWave”戦略とは何か。同社代表の近藤聡氏と、パートナー4名のインタビューから紹介する。 グローバルで一丸となり“より良い社会の構築”に向けて本質的な価値を提供する EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社代表取締役社長近藤 聡氏 大手総合系コンサルティングファームにて、自動車・ハイテク業界を中心に、企業戦略、オペレーション改革、海外展開戦略策定・実行支援などクロスボーダーを含むプロジェクトを数多く手掛ける。2011年より、同ファームで日本代表を務める。19年1月、EY Japanに参画し、その成長戦略実行の責任者として活動 次世代を見据えて長期的な視野に立って動く このたび2020年10月1日付けで、EY Japanにおけるコンサルティング部門とトランザクション部門を統合し、EY ストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)として新たなスタートを切りました。同じくEY Japanを構成するEY新日本有限責任監査法人やEY税理士法人と共に、EYのメンバーファームとしてグローバルが持つネットワークやアセットを活用しながら、さらなる飛躍を目指します。 EYは、Big4と呼ばれる世界四大ファームの中で最初にパーパス・ステートメントを掲げました。それがBuilding a better working world(より良い社会の構築を目指して)です。これは単なる標語ではなく、「EYがなぜ存在するのか」という根源的な意義を対外的に示したものです。それはつまり、「われわれはより良い社会の構築に資さないことはしない」という宣言でもあります。 ただし、より良い社会はすぐにつくれるわけではありません。だからこそ、EYは長期的な視野に立って物事を実行します。"Create Long-Term Value as the world's most trusted, distinctive professional services organization"がEYのアンビション(なりたい姿)です。世界には、派手なインパクトや一時的な経済的メリットをもたらすことを良しとする風潮があるように感じますが、EYは常に「次世代に何を残せるのか」というLong-Term Value(長期的価値)の創出を考え、そのために必要なことは投資も含めてどんなことでも積極的に行います。つまりこれからEYに参画する方々は、「より良い社会の構築のために、約40年続く自分のビジネス人生を懸けて何を構築するか」がキャリアのテーマになるのだと思います。 そのような志や活動が評価され、EYは、グローバルにおけるプレゼンスが非常に高いです。一方で、日本における認知度や影響力はグローバルに比べるとまだまだでしょう。その理由は、日本での歴史が浅いことにあります。2017年に日本を統括する法人としてEY Japan合同会社が設立され、翌年にはそれまで別々の場所にあったメンバーファームのオフィスを全て東京ミッドタウン日比谷に集結させて、自分たちがEYの一員であることを改めて明確に打ち出しました。つまり日本での歴史はまだ3年ほどというわけです。だからこそ日本のメンバーたちは、「より良い社会の構築を目指して」というパーパスを自分ごと化しようとする熱意にあふれています。グローバルから与えられた他人ごとの概念で終わらせるのではなく、自分たちの力によって本気でその志を実現したいという情熱を持った人たちばかりが集まっています。これなら数年のうちにグローバルと同レベルのプレゼンスを獲得できるはずだと確信しています。 さらには、グローバルとの距離が非常に近いこともわれわれの強みです。パーパスに対するこだわりがEY全体に浸透しており、それにどう貢献しているのかが、最重要なKPIとなっています。そのためグローバル全体が一つのチームとして連携し、成果を出すことを求められており(Teaming)、それを実践することができます。国同士やサービス間の垣根も低く、国籍や文化による壁もなく、ダイバーシティ&インクルーシブネスが組織のDNAに根付いています。よってEYでは、戦略もグローバル共通のものしか存在しません。それが"NextWave"です。「Client」「People」「Technology」「Global」の四つを柱に、クライアントに対してチームでEYとしての総合的な価値を提供することを目指します。 コロナ禍によって世の中の価値のありさまは大きく変わりました。これからのファームは、知名度や組織の規模、オフィスのロケーションというような物理的な魅力ではなく、より本質的な価値を出せるか、所属メンバーとしてファームが掲げる理念やなりたい姿というようなソフトな側面に共鳴できるかどうかが、より重要になってくると思います。われわれはこれからもパーパスに基づき、社会に対して本質的なLong-Term Valueを提供することを追求していきます。 個人と組織の成長をどちらも体験できる 先ほど述べたように、日本のEYは歴史が浅く、早く成長してグローバルのプレゼンスに追い付くことが目標です。これから入社する方々には、その推進力の中核になってくれることを期待します。まだ日本では新しい組織だからこそ、EYSCでは若手コンサルタントが自分でプラクティスをつくり上げていくという貴重な経験を積むことができます。すでに出来上がった大きな組織では、その一部として動くことになってしまいがちですが、弊社なら、プロフェッショナルとして自身の能力をビルドアップして成長していくと同時に、自分が所属するプラクティスを強くしていくことも体験できます。グローバルプロジェクトに参画し、各国のメンバーが持つ知見を取り入れながら、世界に通用するプラクティス構築にチャレンジする機会も豊富にあります。個人としても組織としても成長を実感できる機会が得られるでしょう。そのためにも、若い人たちには愚直であってほしいと思います。「これはやりたくない」「これは向いていない」などと仕事を選別するのではなく、まずは何でもやってみて、その体験や周囲からの言葉を素直に吸収してください。その方が圧倒的に成長は早いですから。 どんな仕事を与えられても成果に結び付けようとする姿勢があれば、必ず一流のプロフェッショナルに成長していけるはずです。 長期的価値の創造を目指すEYのNextWave四つの柱 EYが掲げるNextWave戦略の四つの柱、Client(顧客)・People(人)・Technology(技術)・Global(グローバル)。それぞれどのような取り組みを実施しているのか、それらはこれから入社する若手のキャリアにどう影響するのか。4人のパートナーに話を聞いた。 Clientクライアントを中心に組織の枠を超えてチーミングし課題解決に挑む EYパルテノンマネージングディレクター/パートナーStrategy Execution Lead for Asia-Pacific小林暢子氏 複雑化するクライアント課題「顧客視点」でひもとく EYがNextWaveの重要な柱の一つとして「Client」を掲げたのは、EYとして「顧客視点で考える」姿勢を改めて全社で徹底するためです。その背景として、クライアントが抱える課題の複雑化が挙げられます。今や彼らが抱える問題は、単一の事業課題で捉えることは難しく、さまざまな問題が絡まって、複雑かつ広範囲に及びます。「この問題はこの専門家に」と、両者を単純に結び付けるのが難しくなる中、複雑な問題を解決する役割が私たちコンサルタントに強く求められています。一方で、コンサルティングファーム間の競争の激化も目立ちます。多様なサービスが展開され、ファーム間の差別化が以前にも増して難しくなっている今、私たちはより一層クライアントの立場に立ってサービスを提供しなくてはならないと考えています。 そこでEYは、クライアントに対して課題解決を提供するだけではなく、Long-Term Value(長期的価値)を提供することを重視しています。EYは、四つのサービスライン(監査、税務、コンサルティング、ストラテジー&トランザクション)から成り立っているのですが、それぞれに会計士や税理士を含めた多数の専門家が在籍しています。消費財、製造業、金融機関などクライアント業界ごとのセクターアプローチを取っており、それぞれに深い知見を持った専門家がいます。クライアントの課題を解決するためには、サービスラインの枠を超えて、ベストなメンバーでの「チーミング」が重要です。まずはクライアントがどのような悩みを抱えているかを傾聴し、その上で専門家同士の知見、経験を集約しながらソリューションを柔軟に組み立てるべきだと考えます。そうした顧客視点のコンサルティングサービスを提供すること、クライアントにLong-Term Value(長期的価値)を提供することは、クライアントの満足度を上げるだけでなく、他ファームとの差別化にもつながります。 新卒でコンサルティングファームに入社すると、若手のうちから企業の経営者と働き、経営課題に向き合う貴重な経験を積むことができます。高い視座に立ってビジネスを捉えることができるようになることは、コンサルティングファームならではの醍醐味でしょう。EYでは入社後、グローバルなプロジェクトを複数、短期間で経験することができ、キャリアの初期から企業を見る目を養うことができます。一流のコンサルタントになるために必要な条件は、個々人の「専門性」と、人間的な魅力、すなわち「人間力」が必要です。いきなり「専門性」を磨くことは難しいので、まずはクライアントに真摯に向き合い、「人間力」を磨くことに集中することをお勧めします。頭でっかちではない、地に足の着いたコンサルティングができるようになるためには、若手のうちから「顧客視点」を身に付ける必要があります。EYはそのベストな環境が提供できると強く信じています。 Peopleダイバーシティ&インクルーシブネスを経営の中核に EYは多様なキャリアのあり方を支援する EY Japanコンサルティングダイバーシティ&インクルーシブネス リーダーパートナー佐々木 惠美子氏 EYの多様な人材が、長期的価値を生む 「人を大切にする」カルチャーを育んできたEYは、新戦略NextWaveにおいても「People」を4本柱の一つに置き、多様なキャリア体験の支援に力を入れています。今、クライアントを取り巻く環境は大きく変化していると同時に、コンサルタントにはより最新で包括的なサービスが求められるようになりました。このハイレベルなニーズに応えるためには、今まで以上に多様なスキルやバックグラウンドを持った人材が不可欠です。 そうした人材をそろえるために大切なのは、EY自身が、真に魅力的な職場であることです。私たちはお客さまにLong-Team Value(長期的価値)を提供したいと考えていますが、それはメンバー自身がEYで働くことに長期的価値を感じて、初めて実現することです。優秀なメンバーに選ばれ、かつ今いるメンバーが誇りを持って働ける職場であるために、EYではメンバー一人一人の長期的なキャリア支援に取り組んでいます。具体的には、メンバーのキャリアを支援する「ファミリー」が存在し、パートナーは「ファミリーリーダー」として、所属メンバー全員のキャリアパスを踏まえた配置を行います。キャリアに関する不安は個別にカウンセラーに相談することも可能です。 また、多様化するEYのサービスにおいてメンバーがキャリア構築に悩むことがないよう、各種ガイドラインや学習ツールも整えました。学びのコンテンツと、丁寧なサポートの両方を活用し、優秀なコンサルタントに育っていただきたいと考えています。 さらにEYではパートナーが率先してインクルーシブなカルチャーの醸成に取り組んでいます。モノカルチャーの中ではイノベーションは生まれません。個人の違いが認められないために不安や不利益を感じてしまう環境では、パフォーマンスを発揮できないのは当然でしょう。マイノリティーだけでなく、異なる個性を認め合うことが大切だと考えます。アンコンシャスバイアスへの対処も含め、誰もが気持ち良く働ける職場であるよう、ダイバーシティ&インクルーシブネスを経営戦略の一つと位置付けて推進しています。 もちろん、新入社員の多様なキャリアをサポートする体制も整っています。特に、NextWaveが打ち出された今は、新入社員の方にとっては成長のチャンスです。目先のタスクに振り回されただけで終わってしまう1年よりも、パートナーが育成に責任を持ち、長期的な目線で仕事や課題を与えてくれる1年の方が成長できるのは言うまでもありません。 キャリアの初期に得られる学びは、その後の人生でずっと生きる大切なものです。期待のあまり、時にはチャレンジングな業務を任されることもあるかもしれません。でもその先には、理想的なキャリアが続いています。コンサルタントとしての成長を重視する方には、ぜひ挑戦していただきたいですね。 Technology課題解決の「手段」としての テクノロジーの素養は新時代のマストスキル EY Japan コンサルティングテクノロジーコンサルティング リーダーパートナー田畑紀和氏 データ・ドリブンな組織を編成目指すは「変革のリーダー」 EYでは2020年7月、NextWave戦略の一貫としてテクノロジー部門の組織拡大を行いました。クライアントの変革を実現するために、今やテクノロジーの知見は絶対に欠かせないものです。しかし単にテクノロジーを導入するだけでは、ビジネス価値は生まれません。テクノロジーはあくまで「手段」にすぎず、それが「目的」ではないからです。手段としてのテクノロジーを活用して、いかに価値を生み出し、変革を叶えるか。そうした役割が今、コンサルティングファームに強く求められています。そこでわれわれが目指すのは、もはや「コンサルティングのリーダー」ではありません。テクノロジーを通じてクライアントの変革を実現する「変革のリーダー」です。 従来のテクノロジーコンサルティング業界では、ウォーターフォール型の長期開発が基本的なスタイルでした。答えは要件を定義するクライアントの中にあり、コンサルティングファームはそれを実現する「御用聞き」のような存在でした。しかし今は、こうした常識が崩れつつあります。大規模な長期開発をしているうちに、経営環境や技術はあっという間に変化してしまいます。しかもデータやデジタルを使ってどんなビジネスをしたいのか、クライアントの中に明確な答えはありません。変化の激しい世界をどうやって乗り越えていくかをクライアントと共に考え、率いていくのがわれわれの新たな役割なのです。 こうしたテクノロジーの進化は、われわれコンサルタントのワークスタイルにも影響を及ぼしています。今までのコンサルタントは、「クライアントが一つの作業に何時間かけているか」を調べるのも重要な仕事でした。ところが今は、リモートワークの浸透が追い風となり、あらゆるアクティビティーがデータ化されるようになりました。こうした状況下では、今までのやり方は時代遅れと言わざるを得ません。変革そのものをデータに基づいて行うのが、これからのコンサルタントのあるべき姿です。そのためには、スピード感を持ってアジャイルアプローチで変革を進めなくてはなりません。コンサルティングファームは今、仕事のやり方を根本的に変えなくてはならない転換期を迎えているのです。そこでEYでは、変革に必要な5つの要素│サイバーセキュリティー、エマージングテクノロジー、データアナリティクス、テクノロジー・ソリューション・デリバリー、トランスフォーメーション│を一つに集めた組織をつくりました。他のコンサルティングファームでは、セキュリティー、デジタル、アナリティクスは別組織になっているケースが多いのですが、5つの要素がそろわなければ、変革は実現できません。もともとEYは組織間の壁が低い会社ですが、今回の組織改編により、さらにクライアントの変革を実現しやすい体制が整ったのです。 EYでは、キャリアの早期からテクノロジーに深く携わることができる環境が用意されています。繰り返しになりますが、これからの時代にコンサルタントを目指す方には、テクノロジーの素養は欠かせません。ITの領域は学ぶ時間も相応に必要ですから、若い頃から技術に触れておくといいですね。テクノロジーを知らなければ、適切なコンサルティングができないばかりか、クライアントと会話すらできません。早くから最新のテクノロジーに深く関わっていける会社かどうか、就活生は十分に知った上でファーストキャリアを選べるといいですね。 Global新常態でグローバル連携が加速世界中の同僚と働く機会が増えている wavespace Tokyo リーダーパートナーヘレン・ベントレー氏 世界各国の専門家集団と最先端プロジェクトを推進 他ファームとの差別化を推し進める上で、「Global」はEYにとって大変重要なコンセプトです。私たちはプロジェクトを実行する際、各国別ではなく、グローバルで一つのチームを組んで対応します。クライアントのデジタル領域の課題を解決するイノベーションハブ『EY wavespace』では、FinTechならニューヨーク、データ・アナリティクスならロンドンやマドリード、カスタマーエクスペリエンスならロンドンやサンフランシスコというように、各国に最新テクノロジーの専門家集団を組成。これらのテーマに関係するプロジェクトを進める際は、日本だけでなく、グローバルの知見を借りて進めていくのがEYの特徴です。 実際に、昨年『EY wavespace』のJapanチームが携わったプロジェクトをご紹介しましょう。EYがオフィシャル・プロフェッショナル・サービス・サプライヤーを務めた『ラグビーワールドカップ2019日本大会』では、EYシンガポールとのパートナーシップの下、VRの体験コンテンツを作成しました。また、EYイタリアとは、ワインブロックチェーン(ブロックチェーン技術を活用し、ワインなどの商品バリューチェーンを管理するシステム)を日本の酒造業界に導入するプロジェクトを協力して実施しました。さらに、先日はEYスペインと連携し、同チームが開発した人材育成のデジタルアプリケーションを日本企業に導入する取り組みを行っています。 このようにEYでは、グローバルなチームと共に最先端のプロジェクトに参画する機会が豊富にあるのです。また、グローバル規模で働くコンサルタントの活躍を後押しするため、外部のビジネススクール、と連携し、最新技術やイノベーションの専門知識を学べるオンラインMBAプログラム(『EY Tech MBA』)の提供もしています。コンサルタントとして働きながら正式なMBAの取得や、スキルアップも実現できるのです。 コロナ禍は世の中に大きなストレスをもたらしましたが、EYでは今まで以上に海外のメンバーと共に働くチャンスが増えたとも言えます。実際、Japanチームは、グローバルのプロジェクトにオンラインで参画する機会が増えました。将来的に渡航制限が解除されたら、リアルとバーチャル両方の環境を駆使して、今まで以上に他国のメンバーとの連携ができるようになるでしょう。 また、日本のチーム自体も大変ダイバーシティーに富んでいます。アメリカ、台湾、中国、インド、タイ、シンガポールといったさまざまな国の出身者やLGBTQの方が一緒に働いています。 もちろん新入社員であっても若いうちからグローバルなプロジェクトに参加できる環境があります。現在、私のチームに所属している新卒のメンバー2人は、ロンドンやニューヨーク、上海のチームとすでにプロジェクトを進めています。日本にいながらにして、年齢や立場に関係なく、これほど多様性のある職場で働ける会社はそう多くはないのではないでしょうか。同じコンサルティングファームでも、グローバル化の程度はさまざまです。これから就活をする皆さんは、自分が本当に希望する働き方ができるのか、真にグローバルな会社なのかを慎重に見極めて、社会への第一歩を選択するようにしてください。EYには間違いなく、トップクラスのグローバルな環境があることをお約束します。
コロナショックにより、これからのビジネスの在り方はどう変わっていくのか。デロイト トーマツ コンサルティング代表執行役社長の佐瀬真人氏と、同社の現場でTech×Digitalでビジネスを推し進める2名のパートナーに、DTCが描く「ニューノーマル」への道筋を聞く。 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社代表執行役社長 佐瀬 真人 氏 2000年4月にDTCに新卒入社。自動車業界を中心にコンサルタントとしてキャリアを積み、近年はデロイト アジアパシフィックやデロイト トーマツ グループのセクターリーダーを歴任。19年6月より現職 コロナ禍により増す「END to END」のニーズ 2018年、デロイト トーマツ グループは50周年を迎えました。その一員としてコンサルティングサービスを担うデロイト トーマツコンサルティング(DTC)は、コンサルティング業界の中でも極めてユニークなポジションを築くことができました。戦略特化のファーム、テクノロジーに強いファームなど、各社さまざまな特徴がある中で、DTCはあらゆる業種・業界のクライアントに、戦略策定から実行までを一貫して支援する総合コンサルティングファームとして地歩を固めています。総合ファームとしてあらゆる課題に対応できる理由としては、創業以来、徹底して「クライアントファースト」の姿勢を貫いてきたからだと思います。 新型コロナウイルスのインパクトは非常に大きなものでした。クライアントは目の前の問題に対応せざるを得ず、通常のコンサルティングテーマに取り組む状況ではありません。緊急事態宣言前後は当社も苦労しましたが、リモートによるクライアントとのコミュニケーションを強化し、6月以降ビジネスは好調に転じています。最近ではアフターコロナに向けたコンサルティングテーマが増加。特にコロナの影響が大きかった業界では、生き残りを目的にM&Aの動きも出てきています。事業ポートフォリオの再編に注目する企業も多いですね。中でも増えているのが、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に関するもの。近年、企業はDXを大きな経営課題と認識していましたが、コロナ禍で不可逆な変化として受け入れざるを得なくなりました。例えば非接触型の営業をどう進めるか、リモートワークに適した社内プロセスをどう整えるか。コロナ禍を事業を変えるチャンスと捉える企業と、まだ様子を見ている企業では、今後大きな差がつくはずです。 企業、コンサルティングファームともに、これからのキーワードは3つ。まずは「アジャイルでのアプローチ」。これだけ不確実な状況であると、短期でトライアンドエラーを繰り返し、成果を導き出すアプローチが必要です。検討している間に世の中は変わりますから「スピーディーな意思決定」も同じく重要。そして成果が見えない変革に企業は投資をしないので「タンジブルな成果」も欠かせません。タンジブルな成果を前提に、アジャイルなアプローチを取りながら、スピーディーに意思決定、もしくは実行する。それが新しい企業の経営スタイルであり、コンサルティングファームの在り方になっていくでしょう。 他にコロナ禍による変化として、トップダウンでの変革が主流になったことも挙げられます。つまりコンサルタントは、最上流の戦略構想を描くところから、オペレーションに落とし込み、さらにテクノロジーを利用して実行していくところまで、「END to END」でクライアントを支援することが求められている。これはこれからのコンサルタントにとっての大きなやりがいでしょう。DTCの強みは、戦略からオペレーション、さらには働き方改革や人事制度の見直し、財務・経理、マーケティングの業務改革、デジタル化など、全ての経営課題に応えられる提案力がそろっていること。全社変革といった大きなニーズに応えられる「総合力」は、まさにこの先コンサルティングファームの競争力を左右する要素の一つになると考えています。 先行きが見えないからこそシェルパのような存在に コンサルティングファームの資産は言うまでもなく、人材です。社員がDTCで働くことに最大限の満足を得られるかが、今後の会社としての成長力を左右する、一番大きな要因でしょう。だからこそ、当社では「メンバーファースト経営」を掲げています。 それを推進するために、昨年から「タレントハピネス」という取り組みを始めました。これはメンバーがDTCで働くことや自分のキャリアを築くことに対してポジティブな状況をつくることを目的とした活動。年1回のサーベイではDTCで働くことに対して「非常に意義を感じている」という回答が多く得られています。コロナ禍で働き方は変わりましたが、テクノロジーを活用することで引き続きメンバーの心身の健康をサポートし、満足度を上げる仕組みをつくりたいですね。 また、具体的な人材育成において重視しているのは「パープル・ピープル」。これは青(ビジネス)と赤(テクノロジー)を兼ね備えた人材を意味します。従来コンサルティングにおいてはストラテジー&オペレーションが重視されていましたが、今後は戦略を立て、変革をする際にテクノロジーは切り離せません。だからこそ旧来のコンサルタントに求められていた思考力に加え、テクノロジーの知見があることが重要です。今後、われわれが目指すべきは「シェルパのような存在」だと思っています。シェルパとはヒマラヤ登山の案内人のこと。山の頂を目指す過程において、ある時はクライアントをけん引し、またある時は寄り添って共に歩く、そんな役割を果たしたい。先行きの見えない時代だからこそ、DTCの知見を結集し、未来を照らしながら、クライアントと一緒に頂上を目指す存在でありたいです。 デロイト トーマツ グループには「Shared Values」という共通の価値観がありますが、その一つ目が「Lead the Way」。「世の中や社会を変えていく先駆者たれ」というメッセージです。DTCがコンサルティングを行う対象は企業だけでなく、業界や日本の社会にまで及びます。NPO団体の支援の他、SDGsに基づくソーシャルインパクトの大きい活動にも力を入れ、より良い社会、より強い産業をつくることに貢献したいと思っています。 今、コンサルティングファームはかつてない変革を求められています。だからこそ、経営コンサル常に大きい。「日本を良くしたい」「業界を変えたい」「企業を強くしたい」。われわれはそういった思いで日々コンサルティングを行っています。同じ志を持つ方にとって、DTCでの仕事はきっと有意義なものになるはずです。ライフサイエンス×テクノロジー分野の執行役員に聞く「医療分野」のニューノーマル ヘルスケア領域で仕事をして約20年。今は医療業界全体が大きく変わっていくフェーズ デロイト トーマツ コンサルティング合同会社ライフサイエンス&ヘルスケア執行役員 根岸彰一氏 新型コロナウイルスによりデジタルシフトが加速 現在のライフサイエンス×テクノロジー分野には、二つの大きなトピックスがあります。 一つ目は、今までバラバラだったデータがつながるようになってきていること。これまで製薬や医療機器といった業界では、業務ごとに個別のアプリケーションを使用しており、データが一元化されていませんでした。しかしテクノロジーの進化により、膨大なデータを扱えるようになったことで変わりつつあります。 二つ目は「病気を治す」ことに対して、薬以外のアプローチが増えていること。例えばアプリです。日本ではすでに禁煙の補助をするアプリが医療機器として承認されています。 こうした流れを受け、最近では他業界からの新規参入も増えています。例えばテクノロジー業界や保険業界。データやアプリに関してテクノロジー企業が強みを発揮できるのは言わずもがなです。保険会社については病気や健康に関するデータを持っていることが大きいですね。データを有効活用すれば、病気を防いだり、治療後のケアに役立てたりできるかもしれない。そこに商機を感じる企業が増えているのです。 また、新型コロナウイルスにより、ライフサイエンス分野ではテクノロジーへのシフトが一気に進みました。例えばMRがドクターに会えなくなったことで、オンラインでのやり取りが必要になってきています。サイエンスに基づいたエビデンスをいかに見やすく整え、オンラインでドクターに見てもらうか。双方ともテクノロジーが得意とするところであり、MRの仕事の在り方は劇的に変わってきています。他業界からすると当たり前のことのように映るかもしれませんが、医療業界はこれまでなかなかデジタル化が進まなかったので、テクノロジーによって医療業界全体を変えていこうと考えているわれわれにとっては追い風といえる状況です。 また、臨床試験にも変化があります。被験者が医師と対面したり通院したりしなくても進められるやり方を検討し始めているのです。例えば血圧などの簡単なデータは家で計れますし、唾液などの検体も郵送できる。その上で遠隔診療を行えば、臨床試験の一部は自宅で実施できます。アメリカでは以前からすでにそのようなビジネスモデルがあり、「薬を配送する」といったサービスも現実味を帯びてきています。 今はまだデジタルやデータの本格的な活用は始まったばかり。薬事承認を得て医療機器として使えるアプリもまだ多くありません。そこでわれわれが注目しているのは、健康や病気に関するデータを集約し、個人の状態に合わせた薬の開発や病気の予防、治療後のケアに役立てること。いわゆるパーソナルヘルスケアの進展です。現状では、電子カルテを始めとした医療情報やIoT機器で収集されたパーソナルヘルスレコードは世の中に散在しています。製薬会社や医療機器メーカーも、商業化されたデータを購入する以外は自社が取得したデータしか保持していないのが現状です。 データを一元化するには、例えば医療機関から直接取り入れる、あるいは電子カルテのベンダー、サービスプロバイダーや病院と組んで情報を集める、といった方法が考えられます。しかし、これは一企業だけで推進できる規模の課題ではありません。場合によっては政府と協力し、国の事業として進める必要もあるでしょう。 これまでDTCは製薬企業や医療機器メーカーに対してコンサルティングをしてきましたが、今はその枠を超えて、「医療業界全体に対して何ができるのか」を追求しているところ。まだ始まったばかりですが、最近ではコンソーシアムのサポートも行っています。このような医療分野の現状において、DTCの強みの一つはグローバルの知見を持っていることでしょう。デロイト トーマツ グループにはグローバルで30万人以上の社員が在籍し、1万人以上ものライフサイエンスのコンサルタントがいます。新しいことへのチャレンジが盛んなアメリカや、テクノロジーが特異的に進んでいるイスラエルなど、世界各国の情報が即時に入ってくるし、コラボレーションも容易にできる。医療先進国の事例は、日本のクライアントにとって非常に有益ですから、こういったDTCの基盤は今後も生かしていきたいですね。 大きな目標を持った人たちと共に仕事ができるのが醍醐味 ライフサイエンス分野でコンサルタントとして活躍できる人は、自分の専門分野に限らず多様なことに興味を持ち、楽しんで仕事ができる人だと思います。今はテクノロジー、デバイス、アプリ……と、ライフサイエンスの領域がどんどん広がっています。製薬企業や医療機器メーカーもまた、事業の幅を広げようとしていますから、クライアントに先駆けて興味や視野をいかに広げられるか。好奇心旺盛に、自ら調べ、理解しようとする姿勢が重要です。 また、クライアントと同じ目線を持つことも大切です。もちろんビジネスではありますが、「どうにかしてこの患者さんを助けたい」「何とかしてこの病気をなくしたい」と、クライアントは常に患者さんのことを考えている。そんな優しく、大きな目標を持った人が多い業界だと感じています。だからこそ、コンサルタントにはクライアントをリードしながらも、しっかり寄り添う姿勢が求められます。相手が言っていることを、表層だけではなく、真意まで理解しなくてはなりません。 そして、そんな志を持ったクライアントや同僚と仕事ができることが、この分野で仕事をする醍醐味です。私は約20年間ライフサイエンスの領域に携わっていますが、ここ数年の変化はすさまじく、新型コロナウイルスの影響により、この動きはさらに加速するでしょう。今後は医療業界全体が大きく変わっていくフェーズですから、やりがいはより一層大きいと思っています。AR/VR領域のマネジャーに聞く「会社の在り方」のニューノーマル リモートワークの急速な普及でAR/VRの価値はより増していく デロイト トーマツ コンサルティング合同会社マネジャー 奥村大樹氏 AR/VRは社員の力を高めるためのテクノロジー AR(拡張現実)/VR(仮想現実)は、デジタルで生み出されたものを「体験」するためのテクノロジーです。私たちは現在、働き方改革の文脈で、「従業員エンゲージメントの向上」にその技術的特性を生かすことができないかを検討しています。 従業員エンゲージメントを高めるために、企業は社員が持つ力を常に発揮できる状態にすることが重要だと考えています。例えば効率的に仕事ができれば、作業は楽になり、早く帰宅することもできますよね。充実した職場環境があれば能力も発揮しやすくなります。生産性向上施策や従業員教育といった、従業員エンゲージメントを高める取り組みとしてのAR/VR利用は、2015年頃から少しずつ増えてきています。 では、実際にどのような事例があるのか。例えば製造業では、若手従業員のサポートにARグラスが利用されています。若手従業員がARグラスをかけて機械の前に立つと、グラスに付いたカメラを通じて遠隔地にいる熟練工は若手従業員の視野を共有できる。二人はあたかも同じ環境にいて、熟練工が横から指示を出しているかのように若手従業員は作業ができるというわけです。 高所での作業や工作機械での加工などリスクを抱える業務に従事する人に対しても、VRは使われています。作業に慣れるにつれて、恐怖心は薄れ、安全性への意識も薄れてしまうもの。そこでVRを使って事故をリアルに体験することで、安全性に対する啓発を図るのです。高所からの落下や、工場のプレス機などの巻き込み事故といった、命に関わる危険をリアルに近いかたちで体験する。リスクを認識することを通じて安全に対する意識を高める点で、非常に効果的です。 20年は新型コロナウイルスの影響で、働き方が大きく変わりました。改めて、この特殊な状況下で企業が継続していくために、何をする必要があるのか。アンケートを採ってみると、多くの企業で「従業員を第一に考える」という結果が出ました。 また、景気の減衰によって、一時的にIT投資を凍結するケースも見られる一方で、「働き方に関連するIT投資を継続する」と回答した企業は約3割に上ることも分かりました。「従業員が安心して働くことができる社内環境を提供していかなくてはいけない」と、改めて考える経営者が増えています。 これに対し、AR/VRは価値を大いに発揮します。コロナショックからの回復段階では、企業のリモートワーク体制は確立しているでしょう。しかし、リモートワークになったがために、孤独を感じてしまったり、オフィスに出勤しないことによって帰属意識が薄れてしまったりといった新たな課題が発生しています。 それに対応して、例えばVR空間上で他のメンバーと会って話をするといった、2Dのオンライン会議よりもリアルで自然なかたちでコミュニケーションが取れるサービスがつくられています。リアルアバターという自分自身を三次元キャプチャーしたリアルな分身が仮想空間に集い、身ぶり手ぶりも含め、同僚と会って話しているのと同じコミュニケーションができるのです。 さらに先の成長段階においては、AR/VRを単独のテクノロジーとして語る時期は終わり、テクノロジーそのものとしてはコモディティー化していくと思います。リモートワークが急速に普及したことによる反動としての「リアルなコミュニケーション」へのニーズや、AIやIoTなどの他のニューテクノロジーとの組み合わせによる新たな付加価値創造など、AR/VRの価値が再認識されるでしょう。AIアバターによる仮想空間上での従業員サポートや、IoTで収集したビッグデータを用いてリモートでも実機と同じ状況をARで具現化するなど、より多様なことができるようになると思います。 ただし、問題点があるのも事実。一つは通信スピード。高解像度でのリアルタイムなやり取りを実現するためには、通信スピードが追い付かない。これは5Gの登場により劇的に改善されるかもしれません。もう一つは、バッテリーの問題。特にARグラスに搭載できるバッテリーは小さく、長時間の連続利用ができません。 また、コスト面も課題です。AR/VRデバイスはPCよりも高いものですから。他に、新型コロナウイルスによってウエアラブル端末の共用利用への抵抗も生じています。 さらに多くの経営者にとっては、AR/VRのビジネスでの利活用はまだまだなじみが薄く、最初の一回目につなげることの難しさを感じています。ただ、一度体験すれば効果を実感していただけますし、特に先にお話した人命に関わるリスクの回避は、ROI(費用対効果)では語れないものです。 テクニカルの軸があれば自分のバリューは高まる コンサルタントはクライアントの課題解決を目的として従事しています。最善のソリューションを考えるにあたっては、AR/VRと他のテクノロジーを組み合わせることもしますし、反対にテクノロジー自体を採用しないこともあります。 コンサルタントにとって、AR/VRといったテクニカルな分野に精通している意義は、強力な課題解決のツールを使いこなし、クライアントにより高いバリューを提供できるということ。自分が興味を持っている最新のテクノロジーを用いて、ソリューションを提案し、クライアントと一丸となってゴールすることがこの仕事の大きな醍醐味。クライアントに価値が提供できるならば、ソリューションに制約は設けませんし、当社ではそれができる環境にあると思います。そんなクリエーティブマインドを持った方とDTCで一緒に新しいチャレンジをしていきたいですね。
会社員18人のチャレンジヒストリーを公開 「自分の仕事」ってどう見つけたの? 「自分が本気で打ち込める仕事」って、一体どうすれば見つかるんだろう?その答えを探るべく、この特集では、トップカンパニーで働く若手社員たちに、どんなチャレンジを経て「本気で打ち込める仕事」に出会ったのかを聞いてみた。自分に合った仕事は、どんな環境で、どう仕事に向き合えば見つかるのか。先輩たちの姿を通して考えてみよう。 A.多様な業種のプロジェクトを通じて、多くの経験が積めそうなコンサルタントの仕事に引かれたからです。学生時代から知的好奇心が旺盛な性格で、就職活動時は「幅広い知識を学びながら専門性を身に付けたい」という思いがあり、大手コンサルティングファームの選考を複数社受けました。その中でもデロイト トーマツ コンサルティング(以下、DTC)の、社員の成長を大切にしている雰囲気が特に印象的で、入社を決めました。A.「多くの経験を積みたい」という思いは今もベースにありますが、「専門性を持つリーダーになりたい」という目標が増えました。きっかけは入社3年目の大手自動車会社のプロジェクトで初めてリーダーに挑戦したことです。上司からの指示をこなすだけではなく、プロジェクトの中で自ら考え、チーム運営を行ったことで視野が広がり、「周囲にどんな価値を提供したいか」という視点で自身のキャリアを考えるようになりました。A.顧客の潜在的な要望をくみ取り、期待以上の成果に喜んでもらえた瞬間が仕事の醍醐味です。大手自動車会社のプロジェクトでは、顧客の業務改善のPDCAサイクルを加速させるBIツールの導入がミッションでした。ツールの開発・導入を目的とせず、ツールを利用するシーンを具体的に想像し、本質的なニーズを理解しようと努めました。要望になかった機能を提案し、喜んでいただいた時に、この仕事のやりがいを理解しました。A.誰かの役に立ちたいという思いです。複数のプロジェクトの経験を通し、ベクトルが周りに向いている時に、成果を上げられていると感じます。顧客や上司、後輩に対する、「必ず誰かの役に立つ」という思いが力に変わりますね。DTCには利他の精神を大事にする風土があり、国境を越え、グループ全体で支え合っています。周りの力になりたいという気持ちが、私やDTC、さらには社会の成長につながっていると信じています。A.リーダーを目指すことはもちろん、大手自動車会社のプロジェクトで携わったBIツールの専門性を深め、プロフェッショナルになることです。入社前は専門的に学びたい分野がはっきりと決まっていませんでしたが、多くのプロジェクトに積極的に取り組むことで興味・関心の幅が広がり、目指したい道が明確になりました。専門性を活かして、自分にしか出せない付加価値で社会の変革を実現していきたいです。A.DTCにはキャリアを真剣に考え、成長の機会を与えてくれる社員がたくさんいます。入社年次が浅いうちから、私のようにリーダーなど裁量の大きな仕事を任されることは珍しくありません。しかし、その機会に気後れして行動できないと、自身の可能性の幅を狭めてしまいます。「今後の糧になる」という気概で臨めば多くのスキルが得られ、キャリアの選択肢が増えるはず。そして熱中できる仕事も見つけられるでしょう。 1年目 初のプロジェクトで海外出張を経験 入社後初プロジェクトとして国内大手製薬会社のIT部門の業務を支援。上司の指導の下、会議の進行役や海外出張など、さまざまな経験を積めました 3年目 大手自動車会社のBIツール導入を支援 入社後2つ目に参加した国内大手自動車会社の案件では、販売店舗の売上高など、あらゆる数値を可視化するデジタルツールの作成に挑戦しました。このプロジェクトは上司の指示をこなすのではなく、初めて自らが主導した案件だったため、思考力と行動力が養われました 3年目 リーダー役に抜てき 目指す道を見いだす 同じ自動車会社のプロジェクトでは、リーダーとしての役割も担当。初めて触れるIT技術に四苦八苦しながらもあきらめずに取り組み、大きな遅延もなくプロジェクトを成功に導きました。また、リーダーとしてはチームを引っ張るやりがいと共に難しさも実感。この経験が、深く身に付けたいスキルと目指すキャリアを明確にする機会になりました
会社員18人のチャレンジヒストリーを公開 「自分の仕事」ってどう見つけたの? 「自分が本気で打ち込める仕事」って、一体どうすれば見つかるんだろう?その答えを探るべく、この特集では、トップカンパニーで働く若手社員たちに、どんなチャレンジを経て「本気で打ち込める仕事」に出会ったのかを聞いてみた。自分に合った仕事は、どんな環境で、どう仕事に向き合えば見つかるのか。先輩たちの姿を通して考えてみよう。 A.大学時代のアルバイト先が税理士事務所だったのですが、お客さまである経営者から電話が来てはその場で解決策を示す先生の仕事ぶりに憧れていました。聞けば「これは税理士というより、コンサルタントの仕事だよ」と教えてもらい、コンサルタント業界に絞って就活。内資外資含め10社ほど回り、中でも若いうちから経営者と膝と膝を突き合わせながら課題解決に走り回れる当社の働き方が理想像に近く、入社の決め手に。A.変わっていません。大学卒業したての駆け出しコンサルタントにも、経営者と向き合える機会をどんどん与えてもらえる職場で、イメージ通りに働けているからす。想像以上だったのはフットワークの軽さがものを言うこと。経営者から何か相談された時に「1~2週間待ってください」だと遅い。小さな結論を素早く積み上げながらゴールを目指すくらいがいい。そのスピード感が後々、信頼や結果に変わる仕事だと知りました。A.“お客さまのために”全力疾走できることです。一般的には“自社のため”に働くことが多いと思いますが、コンサルタントという仕事においては逆。加えて、企業や経営者とは表面的な付き合いではなく、コアとなっている部分に触れながら、寄り添い、課題解決していく仕事です。一筋縄ではいかないシーンも多々ありますが、その分、手応えある仕事ができますし、貴重な経験を積むことができています。 A.やったらやった分だけ反応があり、そこに必ず新しい発見があることです。自分が考えてかたちにしたものに、関係者からフィードバックがあり、新しい視点や知識が得られる。その学びがモチベーションの源泉です。もちろん、お客さまからの感謝も原動力。3年目に担当した先述の案件では、金融機関から「長年の懸案が消された」、社長からは「これでやっと事業に集中できるよ」とお礼をいただき、うれしかったですね。A.お客さまのお悩みに関係なく、山田コンサルティングの杉本さんにお願いしたいと名指しでご依頼いただけるコンサルタントになりたいですね。この仕事は経験を積めば積むほど、自分自身に知識や情報が蓄積され、その集積されたノウハウが武器になる側面があります。だからこそ、社内外問わず、日々受ける相談や依頼には背を向けず、自分なりに答えを模索し、糧にしたいと考え、行動することを大事にしています。 A.圧倒的な成長を求めるのであれば、当社のようなコンサルタント業界にチャレンジしてほしいですね。日々企業オーナーやそこに近い方々とお仕事をさせていただくため、企業のコアな部分と向き合うことが多く、経験の積み方や速度が全く異なると思います。その分、期待されるレベルも高いので覚悟は必要です。それでも挑戦したい、成長したいという気持ちが湧くなら、その期待を裏切らない環境が待っています。 1年目 ひたすら調べ学び知識を蓄える毎日 事業承継で必要な税金や法律の知識をはじめ、右も左も分からない状態でもお客さまの前に立たなければならないので、毎日猛勉強の日々でした 2年目 広範囲に及ぶ要望も果敢に応え信頼獲得 アパレル卸売企業の事業承継を手掛けた際、主業務とは別で新事業立案などの相談もいただくように。スピードを重視されるお客さまだったため、Noと言う暇はなし。全力で調べ、経営層と意見を交わし、小さな解を重ねながら結論へ導く。このプロセスが信頼を得る近道だと知りました 3年目 金融機関依頼の調整 難航案件を無事完遂 ある企業で先代の奥さまから娘婿の社長への承継案件を担当。方向性は早々に固まったものの、当人同士の折り合いがつかない、かつ人と人との関係ゆえに機械的には進まず、停滞気味に。オーナーに寄り添い話し合いを重ねるかたちで支援に入り、約1年半をかけて収束。紹介元の金融機関からも感謝いただき、介在価値を感じることができました
人事に聞きたい「会社」と「働く人」のこと コンサル業界の採用はどう変わる? コロナショックをきっかけにあらゆる企業が経営方針や、働き方の見直しを行っている。こうした変化が、コンサルティングファームに与える影響とは?業界のリーディングカンパニーで働く人事責任者8人に、各社のコンサルタントに求められる役割の変化や、今後の人材採用の方針について聞いた。 Profie ベンチャー立ち上げに参画後、IT企業を経て2011年に中途入社。人事制度改定やタレントマネジメントシステムの導入に従事。15年から新卒採用マネージャーを経て、現在は、採用責任者として国内の新卒採用、経験者採用、障がい者採用に加え、海外拠点の採用支援をリードしている アフターコロナの世界では新しい日常が創造されると言われています。その中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流はさらに加速し、「働き方」や「サプライチェーン」の面で大きな変化が起こるでしょう。 まず働き方について。いまだメンバーシップ型の雇用や時間管理型の勤務形態が一般的な日本において、リモートワークがスタンダードになってもグローバルな競争力を保ち続けられるよう、早急にインフラを整備すると同時に、意識改革も進めていく必要があります。アビームコンサルティング(以下、アビーム)では、以前からリモートワークを活用しており、プロジェクトの進め方や新人社員の育成方法など、オンラインの制約下における新しい手法を確立しつつあります。クライアントの変革に貢献し続けるためには、世の中のパラダイムシフトを予見し、私たち自身がいち早く適応することが必要だと考えています。サプライチェーンにおいては、ヒトやモノの行き来が制限され、従来の流れが分断される中で、新たな資材調達の方法や生産体制の変革が全国各地で起こりました。例えば、緊急事態の中で「アパレル企業がマスクを製造しよう」などの動きをとる場合、意志決定にはスピードが求められます。経営情報をリアルタイムに確認できる基盤を確立することは、企業の経営戦略にとって非常に重要であり、私たちはその支援を続けてきました。 スポーツなどのエンターテインメント業界でもコロナ禍において興行できない状況が続いていました。しかしこれからのウィズコロナの社会を見据えて、安心安全に興行を打てるようにアビームでは既にサポートを始めています。具体的には、日本フットサル連盟さまに対してリーグに所属する全選手とチームスタッフ等の体調を日々記録し、リスクを早期に検知してコントロールできるようにするための支援です。 このようにアビームではさまざまな業界に対して、これまで蓄積してきた豊富な知見を活かして支援していきます。パンデミックによる未曾有の危機に直面している日本企業を支えていくのは、“日本発”“アジア発”のグローバルファームである、私たちアビームの使命です。 企業の変革に最後まで寄り添うためあらゆる専門性を兼ね備えた集団へ アビームの特徴は大きく三つ挙げられます。一つ目は、常識にとらわれず新しいものを生み出していく「発想力」です。人工衛星で撮影された複数の画像をAIで解析して被災分析を行い、保険支払いに活用したり、エンターテインメント業界で国内初となるブロックチェーンを採用したチケットの不正転売防止プラットホームを提供したりと、柔軟な発想で新しいサービスに着手してきました。 二つ目は、変革を遂げるまでクライアントに伴走する「リアルパートナー」としての姿勢。現場に深く入り込んでクライアントに寄り添い、あるべき姿が実現されるまでやり遂げるという信念です。対面でコミュニケーションが図れない中でも、アビームの神髄であるリアルパートナーとしての価値を発揮し続けるべく、“新しいリアルパートナー”のかたちを模索しています。 そして最後に、企業や業界の壁を越えてコラボレーションする「共創」。変化の激しい中で、コンサルタントは新しいテクノロジーや専門性を持つ企業や人とタッグを組むことが必要不可欠であり、多様な視点・強みとの掛け合わせで課題を解決していく共創が、近年では当たり前になりつつあります。 こうした新しい価値の創造のためには、多様な人材を確保することが鍵となります。近い将来コンサルティングファームは同一性の高いコンサルタントの組織ではなく従来の枠組みでは存在しないような尖った専門性を持つ個の集団となり、コラボレーションすることが求められるはずです。それに伴い採用も、国籍や性別はもちろん、専攻や専門性をより多様化させていきます。テクノロジーの知見を持つ理系の方、海外経験を持つ方なども多様性の一つだと思います。 こうしたあらゆる強みの掛け合わせによってDXを加速させ、企業単体だけではなく、業界全体、社会全体の変革のハブとなっていく。これこそまさに、私たちが目指す「進化したリアルパートナー」のかたちなのです。 一緒に働きたいのはどんな人? 1.変化を楽しみ挑戦できる 常にインプットを行い、変化を楽しむことが重要。現状に満足せず、まだ見ぬ新しい分野に興味を持つことが良い仕事につながります 2.責任を持ち伴走できる リアルパートナーはアビームのDNAとも言える価値観。クライアントが成功するまで寄り添い共創を実行できる方を求めています 3.多様な価値観を尊重できる さまざまな強みや個性を持つ人をつなぐハブとなり、共創を推進していくことが必要不可欠。多様な価値観を受け入れることが鍵です アビームコンサルティング アビームコンサルティングは、日本に本社を置く、日本発、アジア発のグローバルコンサルティングファーム。主に、海外に進出する日系企業向けのビジネス支援を行っている。「リアルパートナー」を経営理念に掲げており、クライアントの変革に共にチャレンジし、成果の共創までやり遂げる実行力を強みにしている
人事に聞きたい「会社」と「働く人」のこと コンサル業界の採用はどう変わる? コロナショックをきっかけにあらゆる企業が経営方針や、働き方の見直しを行っている。こうした変化が、コンサルティングファームに与える影響とは?業界のリーディングカンパニーで働く人事責任者8人に、各社のコンサルタントに求められる役割の変化や、今後の人材採用の方針について聞いた。 Profie 外資系コンサルティングファームにて人事・組織変革コンサルタントとしてキャリアをスタート。その後、戦略コンサルティング、さらに通信ハイテク業界専門のインダストリーコンサルティングを経験。2013年に日本IBMに転職。現在は人事責任者としてコンサルタント一人一人が活躍できる組織づくりを推進 新型コロナウイルス感染症の影響で変わったことと変わらなかったことがあります。多くの企業で在宅勤務が取り入れられるなど、ワークスタイルが大きく変わったことは学生の皆さんもご存知かもしれません。日本IBM(以下、IBM)のコンサルタントの働き方、特にお客さまとの働き方は大きく変わりました。IBMのコンサルタントは従来お客さまと膝を突き合わせてプロジェクトを進めていたのですが、様相が一変。テクノロジーを使えばオンラインでも会議やワークショップができることが分かり、一度もお客さまと顔を合わせずにプロジェクトが進んでいくケースも増えました。紙文化の強かったお客さまですらその利便性に気付き、現在は手軽にオンライン会議を利用されています。小さなお子さんがいらっしゃる社員からは、期せずして働き方改革につながった、という話も聞きます。 また、新型コロナウイルス感染症の影響で世界中の企業を取り巻く環境は大きく変わりました。例えば多くの小売業のお客さまは、誰もが店舗に足を運びにくい状況の中で「オンラインでどのように顧客を獲得していくか」が大きな課題になっています。小売業に関わらず、新型コロナウイルス感染症の影響であらゆる企業がデジタル化に取り組む待ったなしの状況に。だからこそ、今まで以上にコンサルタントはテクノロジーに対する知見がないと、デジタル化の波に直面しているお客さまの課題を解くことができないと考えています。どのようなテクノロジーがあり、どのように使うと企業の課題が解決できるのか。テクノロジーをどのようにビジネス上の価値に変換できるのか。それらを分かっているコンサルタントがこれからお客さまに求められ、活躍するのではないかと思っています。もはやテクノロジーは技術者だけが受け持っていればいいという時代ではなくなってきたとも言えます。 より良い社会をつくり続けるには“枠”を超えられる人材が不可欠 新型コロナウイルス感染症の影響で変わらなかったことに、私たちIBMの採用方針があります。IBMは創立以来100年以上にわたり、テクノロジーを活用し、社会をより良く変えていくことに取り組んできました。それは私たちが大事にしてきたDNAであり、これからも持ち続けていくことと思います。また、いつの時代もテクノロジーは実用的であるだけでなく、信頼に足るものでなければならないと私たちは考えています。IBMは最高のテクノロジーを正しくオープンに、倫理的に提供・活用し、個人、地域社会、そして世界にポジティブな影響を及ぼすことを目指しています。これがGood tech(グッドテック)です。世界のテクノロジーをけん引する私たちは、“グッドテックカンパニー”として、テクノロジーが正しく活用されるよう社会を導く責任があると考えています。このような長きにわたり引き継がれているIBMのDNAを体現し、誇りと使命感を持って活躍できる人材を求めています。 テクノロジーで世の中にインパクトを与え変革をもたらし続けるには、IBM1社だけの力では難しくなってきているのも事実です。組織や、時に企業の枠を超えて、多様なバックグラウンドを持った人材がコラボレーションすることが今まで以上に求められてきています。今後ますますそのような働き方が必要とされるでしょう。そうなったときにコンサルタントに必要なのは、背景の異なる多様な人々の考えを受け入れ、国内外問わずさまざまなメンバーや専門家を巻き込む力はもちろんのこと、より大きな社会課題を解決していくために自分のコンフォートゾーンを超え、情熱を持って行動していく“枠を超える力”だと考えています。 ここまでのお話でIBMでの仕事やコンサルタントの仕事に対し、ハードルの高さを感じた人もいるかもしれません。ですが、テクノロジーが好きで、テクノロジーでより良い社会をつくりたいという情熱を持ち、他者を巻き込みコラボレーションできる方にとっては、多くのお客さまがIBMに対して大きな期待を寄せてくださっているからこそ、非常に面白い時代を迎えているとも言えるでしょう。テクノロジーで世界をけん引する“グッドテックカンパニー”での経験や日本のお客さまの課題を解決する仕事は、必ずや、皆さん一人一人のやりがいや成長につながるに違いありません。 一緒に働きたいのはどんな人? 1.好奇心を持ち学び続けられる 変化し続ける社会・技術環境の中で、その変化や挑戦を楽しみ、好奇心を持ち、自分のスキルや知識をアップデートし続けられる方 2.多様な考えを受け入れ共創できる 難易度の高い課題解決に向けて、考えや専門性・バックグラウンドが異なる人たちを受け入れ、つながり、チームで共創できる方 3.社会や未来に責任を果たす テクノロジーを「正しく」「効果的に」活用し、社会やお客さまに貢献していくことに誇りと責任感を持って取り組める方 日本IBM 世界170カ国以上でビジネスを展開するグローバルITカンパニー。ビジネスコンサルティング、ITシステム導入・運用管理など、世界中に蓄積した専門知識や実践的ノウハウ、最先端テクノロジーを活用し、企業変革を実現するソリューションを提供。近年は複数の企業との協同による新たなビジネスモデル創出におけるプロジェクトの推進も担う
人事に聞きたい「会社」と「働く人」のこと コンサル業界の採用はどう変わる? コロナショックをきっかけにあらゆる企業が経営方針や、働き方の見直しを行っている。こうした変化が、コンサルティングファームに与える影響とは?業界のリーディングカンパニーで働く人事責任者8人に、各社のコンサルタントに求められる役割の変化や、今後の人材採用の方針について聞いた。 Profie A.T. カーニー、日清食品ホールディンングス経営企画部長、日清シンガポール社長/アジア総代表を経て、ボストン コンサルティング グループに参画。消費財・流通・運輸グループ、グローバル化戦略のコアメンバー。マーケティング・営業戦略、海外進出戦略、新規事業、DX、M&Aなどのプロジェクトを手掛ける 本質を捉える力と右脳的な発想力で企業を変革に導く人材を積極採用 コロナショックによって、企業を取り巻く状況は大きく変わりました。これだけ環境が激変すると、コロナ以前に策定した経営計画や経営戦略の多くは無意味になり、あらゆる企業がこれから先のプランを一から立て直す必要に迫られています。 さらに、業界構造の変化も加速しています。例えば、飲食業界における外食需要の減少は、コロナ禍を象徴する変化です。もちろん感染が収束すれば、以前のように外食を楽しむ日常が戻ってくる可能性はあります。ただ現時点では、外食しなくなったことで家族と過ごす時間が増えたり、お金が節約できたりといったメリットを感じる生活者が多いのも事実です。このためコロナ収束後も、「今まで外食に使っていた時間とお金を他のことに使いたい」と考える人が増えるかもしれません。 こうした変化が続けば、それに応じた均衡点が生まれ、新たな業界構造が形成されます。すでに、中食や内食の需要に応えるネットスーパーや『UberEats』などのデリバリーが急拡大しました。これまでなら5年や10年かかっていた変化のスピードが、今年に入って一気に加速しています。この変化を踏まえて、新たな戦略をどのようにつくっていくか。それをわれわれのようなコンサルティングファームに支援してほしいという企業からのニーズは非常に高まっています。これはコンサルタントにとってチャレンジングな環境です。コロナ以前は、業務の効率化やコスト削減といった継続的な改善を目的としたプロジェクトもありましたが、今クライアントが求めているのは抜本的な変革です。 よって経営戦略やコア事業の戦略に関わる本質的な課題に取り組むことが、よりコンサルタントの役割として求められています。ボストン コンサルティング グループ(以下:BCG)でも、ビジネスモデルや事業ドメインを見直すプロジェクトが増えています。 例えば、ある教育業界のクライアントは、これまでグローバルに紙媒体の学習コンテンツを提供してきました。しかし外出自粛期間にオンライン授業が普及したことで、子どもたちもデジタルコンテンツで学ぶことが当たり前になったため、ビジネスモデルのデジタル化を進めることになりました。子どもの学び方が変われば、家庭内での親との関わり方も変化するため、親子関係をサポートするための新たな事業開発も進めています。 こうしてビジネスモデルを再構築したり、事業ドメインを再定義したりすることは、企業の存在意義そのものに関わる重大なアジェンダです。それくらい本質的な課題解決をコンサルタントは期待されています。 コロナショックによる変化に対応できるかどうかで、企業の業界内における5年後の立ち位置が大きく変わります。新たな業界構造の中で、勝ち組と負け組のどちらになっているか。それを決める重要な局面に関われることは、すべてのコンサルタントにとって非常にエキサイティングな経験になるのではないでしょうか。 正しい問いを立てられるファームがクライアントから選ばれる 変化するのはクライアント側の業界だけではありません。コンサルティング業界の構造も、今後は変化していくと考えています。これからのコンサルティングファームは、「共に変化を乗り越える経営者のパートナーとなれるか」を問われることになります。経営戦略や事業戦略など、企業の中心的課題に取り組むには、クライアントのCEOとともに正しい問いを立て、それを解決するというプロセスが必要になります。つまり、答えを提供する前に「今解くべき本質的な問いは何か」を正しく設定することが求められるということ。そしてこの力こそ、BCGの強みでもあります。 しかし残念ながら一部には、正しい問いを立てず、答えありきの問題解決しかしないファームもあります。例えば「うちのファームはコスト削減に強いです」と言って、どの企業にも似たようなコスト削減プロジェクトを売り込むようなケースです。 それがたまたま企業のニーズとマッチすれば、こうしたファームが選ばれることもあり得ます。しかし企業がコンサルタントに求めるものが変わった今、本質的な課題につながる正しい問いを立てる能力がないファームは、いずれ選ばれなくなるでしょう。 一方で、直近でもBCGのプロジェクト数は増えており、今年に入ってからは昨年の同時期に比べて二桁以上の成長を遂げています。同じコンサルティング業界の中で、クライアントに選ばれるファームと選ばれないファームの二極化がすでに起こりつつあると言えます。 発想力や創造力などの右脳的な能力も求められる クライアントのニーズが変わったのですから、コンサルタント個人に求められる能力も当然変わります。 これまでコンサルタントに求められるものといえば、ロジカルシンキングや分析力などの左脳的な能力が筆頭に挙げられました。もちろんこれらも引き続き必要です。ただし、それ以上に重要となるのが、発想力や創造力などの右脳的な能力です。 変化の激しい非連続な世界では、突如として新しいものが生まれたり、業界が劇的な進化を遂げたりします。もしかしたら10年後には、自動運転の配送トラックが高速道路を走ったり、自宅のベランダにドローンが宅配物を届けたりするのが当たり前になっているかもしれない。これまでSFの世界でしかあり得なかったことが、現実になる可能性があるのです。 よって、未来を見通すには、SF的とも思えるような新しい発想が必要となります。それはロジカルな思考を積み上げていくだけでは見えない世界であり、従来の常識や価値観にとらわれず自由に発想する力や、さまざまなインプットから新しい世界観を構築する創造力が求められます。 最近は、アンラーニングの重要性が高まっています。これは一度学んだ知識や既存の価値観を意図的に捨て、新たに学び直すこと。特にコロナ以降は変化のスピードが加速し、わずか1カ月前の常識や価値観でさえ古くなることだってあり得ます。これだけ目まぐるしい変化に対応しながら先を見通すには、状況に応じて前提条件を置き換えながら、柔軟に発想する力が必須です。それは例えるなら、新しいものを作っては壊し、また新しいものを作っては壊す作業をものすごい速さで繰り返すようなもの。これほどのスピードでアンラーニングを求められた時代は、過去になかったのではないでしょうか。 ユニークな経験を積むことが発想力や創造力を養う 前述の通り、コンサルティング業界全体では企業からのニーズが高まり、プロジェクト数も増えているため、採用を積極化するファームも多いでしょう。その中でもBCGは、新卒・中途を問わず、活躍できる人材の採用をさらに強化していきます。 とはいえ、採用の基準を下げるわけではありません。先ほど挙げた発想力や創造力、柔軟性なども重視しながら、採用を進めることになります。 そのためBCGの一部の採用選考では、発想力や創造力を測るためのクリエイティビティテストを導入しています。ロジカルシンキングをはじめとする従来型のコンサルティングスキルは、すでにコモディティー化し始めています。コンサルタント経験者が事業会社に転職し経営に携わる事例が増え、コンサルタントが使う思考法やフレームワークを紹介する本も数多く出版されているため、今は企業の中にも論理的思考や分析力を備えた人が当たり前のように存在するからです。 よってコンサルタントがクライアントの役に立つには、プラスαの付加価値を提供しなくてはいけない。それが幅広いインプットに基づいたクリエイティビティであり、入社後にプロジェクトを経験しながら身に付ける専門性です。これからコンサルタントになる人には、ぜひこれらを意識的に磨いてほしいと思います。 発想力や創造力を養うには、その人ならではの固有の経験を積むことが近道になります。よく学生から「コンサルタントになるにはどんな勉強をすればいいか」と聞かれるのですが、知識を詰め込むより、今のうちに他の人があまりやっていないようなユニークな体験をすることをお勧めしています。 例えばインドへ行って、ガンジス川の水を飲んでいる人や、そこで洗濯して1日数十円を稼いでいる人を見て、日本での生活しか知らなかった自分の価値観はガラリと変わった。そんな体験が知見や視座を広げることになり、新しい発想につながります。今はコロナの影響でリアルな体験がしにくくなっていますが、その代わり世界中の人にオンラインで簡単にアクセスできるようになったのですから、例えばユニークな体験を持つ人に積極的にコンタクトを取り、その知見を取り入れてみるのも一つの方法です。 アフターコロナの世界は若手にチャンスが訪れる BCGで一緒に働くなら、多様性を受け入れる力のある人が望ましい。今は一人のコンサルタントだけで答えを導き出せる時代ではなく、性別や国籍、バックグラウンドが異なる多様な人たちが集まり、それぞれの視点から意見やアイデアを出し合いながら議論するプロセスが不可欠です。自分と違う考えを取り入れ、それをかみ砕いて新たな発想につなげる柔軟性を備えた人なら、ダイバーシティーから新しいものを生み出していけるでしょう。 加えて、物事を変える推進力を持っていることも大事です。変化が必要だと分かっていても、今までのやり方を変えることに抵抗を感じるクライアントは少なくありません。そんな場面で相手を動かすには、「私と一緒に変えていきましょう!」と説得できるだけの熱量や、「この人の言うことなら聞いてみよう」と思ってもらえるだけの人間的な魅力が必要になります。 コロナショックによる混乱で、将来に不安を感じている学生もいるかもしれません。でも視点を変えれば、これは若い人たちにとってチャンスでもあります。アフターコロナには業界構造も生活者の価値観も変わり、コロナ以前とは異なる新しい世界が訪れます。 そうなると、ビジネスでも過去の成功体験は通用しなくなる。よって、経験のみを武器にしてきた人材の価値は一気に下がるでしょう。反対に、過去の成功体験や古い常識にとらわれることなく新しい発想ができる若い人にチャンスがあります。 これから社会に出る皆さんには、大きな可能性と活躍の場が広がっています。ぜひ前向きな気持ちでコンサルティングの世界、そしてBCGに飛び込んできてくれることを期待しています。 一緒に働きたいのはどんな人? 1.物事の本質を捉えられる 企業経営に正解のない時代。課題解決をするためには、物事の本質を正しく把握し、適切な問いを立てる力が欠かせません 2.クリエイティブに発想する これからの新しい時代に対応するには、過去の常識にとらわれない、非継続的でクリエイティブな発想力・創造力が求められます 3.人を動かし変化を推進する 論理的な説明やデータを示すだけでは人は動きません。「この人と一緒なら変われそうだ」と相手に思わせる熱量や人間性が必要です ボストン コンサルティング グループ 1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設され、世界90拠点以上のネットワークで戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組む。日本では経営戦略コンサルティングファームNo.1の地位を築き、各産業を代表する企業と共に変革を推進。“日本発”でコンテンツや技術を世界に展開するグローバル案件も多数あり、世界の経済・社会に大きなインパクトをもたらしている