コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 シグマクシス シグマクシスは、設立から10周年を迎えた2018年に、自らのミッションを「クライアント、パートナーと共にSociety5・0の実現とSDGsの達成に貢献する」と設定しました。それまで目指してきた「お客さまの企業価値の向上」にとどまらず、企業や業界を超えたコラボレーションを通じ、社会・産業レベルの課題解決を加速することも目指したのです。 このミッションのもと我々が達成すべき一つが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進。企業も国もDXは喫緊の課題として取り組みを始めていますが、現在のところ真意でのDXを実現している企業は限定的であるという実情です。DXとは、テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルの創造であり、社会での在り方や企業価値をトランスフォームさせること。組織構造や社員の働き方にも抜本的な変革が不可欠です。つまり「サービス」「デジタル」「ワークスタイル」「IT」、そしてこれらを動かす「マネジメント」の五つのトランスフォーメーションが起きて初めてDXといえるのです。これを支援する我々コンサルタントは、単にデジタルの知識を持っているだけでは務まりません。企業が「将来こうありたい」という姿を描き、その実現のためにクリアすべき課題を多角的に捉えて解決していく多様な能力が必要です。とはいえ一人で幾つもの能力を完璧に磨くのは時間がかかりますから、まずは得意領域を持つことです。そして他とコラボレーションすることで複雑な課題を解決するスピードと質を上げていく。もちろん、一つの得意領域に安住することなく自らの能力を広げていく、学びへの貪欲さを持つことも求められます。 また忘れてならないのは、DXとは企業のビジョンを実現する「手段=How」であるということ。我々は、お客さまが課題を抱えている時は必ず「なぜ困っているのか=Why」を理解し「ではどうなりたいのか、何をすべきか=What」を描き「どのように実現するか=How」を考えます。その際にお客さま側に立ち、最適な「How」を選択できること、実行段階でも支援し続けることが重要です。シグマクシスは、先述の五つのトランスフォーメーション実現を目指し、各領域の能力・経験を有するチームがコラボレーションしながらプロジェクト活動に取り組むほか、各領域のより専門的な技術やスキルを持つ社外のプレーヤーとのネットワークも拡大しています。今や組織を超えたコラボレーションは当然の時代。社内外から最適な「How」、すなわち技術や人財を選び出し、チームを組成して能力を最大化し、成果実現までやり遂げる「アグリゲーション力」があってこそ、DXは実現し得るものだと考えています。 異質な相手から学び自分ならではの価値を創る コラボレーションやアグリゲーションを基軸とするシグマクシスのワークスタイルは、異質な相手との出会いの連続です。能力、スキル、キャリアが異なれば視点や発想、使う言葉の一つさえも違って当然です。我々は異質な相手を「自分と違う」「分かりにくくて面倒だ」と排除するのではなく「なるほど、そういう視点があるのか」「その角度から見るとどうなるのか」と、尊重する文化があります。異なる能力やスキルを組み合わせることで新しい価値を生み出す面白さを追いかけています。異質はオリジナリティーであり、だからこそ価値があると考えているからです。このためシグマクシスにはロールモデルという考え方がありません。他から学びながらも、いかに自分ならではの価値を高めていくかを追求します。こうした我々の価値観を「異質の尊重」と呼んでいます。 我々自身の強みであり、譲れない価値観をシグマクシスの「バリュー」として定義していますが、「異質の尊重」や先に述べた「コラボレーション」「アグリゲーション」は、その代表たるものです。さらには、お客さまに寄り添い続ける「シェルパ」や常に美しい自分であるよう努力を続ける「美意識」、相手を思いやり助け合い学び合う「仲間」といった12のバリューがあり、これは全社員が共有するアンカー(錨)のようなものです。シグマクシスでは、社員一人一人が、それぞれの強みを発揮しながら自由な発想で活動する一方で、組織の一員としての自律性も求められます。迷った時や厳しい局面に立たされた時、また自らを戒める際にも立ち戻るのが、これらのバリューなのです。今後、我々の仲間として参画していただく皆さんには、この12のバリューに共感を持てるかが、大きなポイントになると思います。また金銭的な価値観や命令によってではなく、「自分は〇〇を成し遂げたい」「新しい社会を創りたい」といった意志とモチベーションを原動力とし、自律的に考え行動するという素養があれば、自らの成長を楽しめる場になるでしょう。シグマクシスの多様性を創る一人として我々を驚かせ、自己研さんへの刺激となってくれるような、新しい人財との出会いを楽しみにしています。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.個の能力をチームの能力へ変えることができる 組織や業界を超えたコラボレーションで新しい価値を生む時代。得た知識やノウハウは仲間と共有し、学び合うことでチームの機動力を高めておくことが、変化の激しい環境下でもお客さまを支え続ける基盤となります 2.異質を尊重し多様性を楽しみ新たな価値を生み出す 正解のない時代に価値を生み出せるのは、固定観念にとらわれない視点やアイデア、それらを組み合わせること。異質同士だからこそ生み出せるものを見つけてほしい。「出るくいは打たない」のがシグマクシスです 3.自らの意志や好奇心を原動力として、自律的に行動する まずは自らのビジョンを描くこと。そこへ向かう意志と好奇心を原動力として成長し続けてほしい。そのためには自らのミッションを忘れず、何をすべきかを自律的に考え、行動することが求められます Company Information 企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するコンサルティングサービスの提供に加え、新規事業開発、ジョイントベンチャーの設立・運営、ベンチャー投資、マルチサイド・プラットホームの形成など、お客さまやビジネスパートナーとの共創による多様な事業展開に取り組み続けている。2013年マザーズ上場、17年東証1部へ市場変更
コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 デロイト トーマツ サイバー デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が加速し、企業の経営方針が大きく変わる今、注目度を増しているのがサイバーセキュリティー分野です。 サイバーセキュリティーと聞くと、外部からの侵入を防ぐ守りのイメージを抱く人が多いかもしれません。実際、以前はサイバーセキュリティーが経営戦略のブレーキとなってしまう光景も少なからず見受けられました。 しかし、現在では事業側が積極的にDXを推進しようとする動きに対し、ビジネスとサイバーセキュリティーは切っても切れない関係になっています。製品やサービスのデジタル化が進み、ネットワークに繋がるようになると、タッチポイントが増える分、サイバーリスクも増えていきます。 例えば近年では、欧米を中心にサプライチェーンセキュリティーが求められるようになってきました。自社が提供する製品はもちろん、部品を調達するサプライヤーも含め、サプライチェーン全体のセキュリティーを担保しなければ、市場に参加することさえできないケースも出てきています。中でも自動車や医薬、金融など人々の生命や財産に直結する領域では、法規制化も進展しており、その必要性がさらに高まっています。 そんな時代だからこそ、サイバーセキュリティーは企業にとって守りの対策のみならず、今後のビジネス成長に関わる重要な経営課題の一つといえます。セキュリティーがビジネスの足を引っ張ってはいけない。むしろ自社のビジネスに合った適切なセキュリティーの姿を描ければ、ビジネスの変革をけん引するアクセルにもなり得るのです。日本企業においても、この1、2年、急速にセキュリティーへの関心が高まり、改めて自社の戦略や体制を見直そうという動きが加速しています。 デロイト トーマツ サイバー(以下、DTCY)は、こうした企業ニーズの高まりを受け、2019年4月に設立されました。サイバー空間でのビジネスの成長を支援する専門家集団として、戦略からオペレーションまで、一気通貫でサービスを提供できる体制を整備。戦略・マネジメント×テクノロジー×研究所のプロフェッショナルが、クライアントのニーズに応じて最適なチームを組成し、企業のサイバー空間における多様な課題解決、ビジネス変革をリードします。 顧客に求められているのは新しい価値の創造 サイバーにおけるセキュリティーの重要性が増すにつれ、企業が直面する課題はより高度化・複雑化しており、それに対するコンサルティングも、ますます難しくなっています。守りのセキュリティーを固めるのであれば、先行事例や既存のフレームワークをクライアントの事情に合わせて適用する形で対応できましたが、もはやそのような一律の提案は通用しなくなってきました。クライアントが求めているのは、新しい価値を生み出すために必要な総合的なコンサルティングなのです。 先ほどのサプライチェーンセキュリティーの例でいえば、調達、開発、生産、販売の各段階で、事業形態も企業規模も異なるさまざまなサプライヤーが関係しています。生産拠点、販売子会社それぞれが異なる国と地域に存在することも珍しくありません。 このようにサイバーの世界に一歩足を踏み入れると、フィジカル空間とは異なり、産業や国の境界を超え一気に裾野が広がります。その中で我々は、未知なる領域を、クライアントと共に開拓していこうとしているのです。 だからこそ、DTCYで活躍するコンサルタントには、クライアントのビジネス環境を理解した上で、サイバー空間における成功要因とリスクシナリオを描いていく力が必要であり、セキュリティーに関する知識とビジネスの知見の両輪が欠かせません。 さらに大切なのは、鳥瞰的な視野で全体像をつかみ、何が重要なのかを見極める能力です。社会がますます密に繋がっていき、複雑性を増していく中で、事業単体を見ているだけでは本質を見誤る可能性がある。ぐっと視座を引き上げ、会社全体、業界全体、市場全体を俯瞰した上で、固定観念にとらわれず、あるべき姿を考えていくことが重要になります。 未知なる領域への挑戦は簡単ではありませんが、あらゆる人と物とが結び付く「つながる社会」が今後さらに進んでいくことは明らかです。もはやサイバーセキュリティーなくして社会の発展、安全・安心は成り立ちません。 正解のない世界だからこそ、クライアントに新しい提案ができ、それが一気に社会全体に広がっていくこともある。自分の提案が社会に新しい価値を生み出すというダイナミックな経験ができるのは、この仕事ならではの醍醐味ではないでしょうか。 DTCYでは、多様なメンバーとグローバルにつながるさまざまなプロジェクトを通じて能力を磨ける環境が整っています。前人未踏の世界で思い切って自分を試したい人は、間違いなく多くのチャンスを手にできるはずです。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.自律的にアクションを起こし未知の領域に挑戦できる 目まぐるしく変化する世界の中で、自ら仮説を立ててアクションを起こし、トライ&エラーを繰り返しながら自分を高められる人。チャンスの多い環境で、新しい挑戦を楽しめる人に向いています 2.グローバルな視野を持ち活躍の場を広げられる デロイトのグローバルネットワークを通じて、海外メンバーとの交流やナレッジの共有を図りながら、グローバルにアンテナを張って、日本に閉じることなく、活躍のステージを広げていける人が活躍しています 3.高い視座から全体を俯瞰して物事を構造化できる 鳥瞰的視点を持ち、全体像をつかめる人。「つながる社会」では、事業単体ではなく、市場全体を見渡した上で、どこにリスクがありどういうビジネス形態があり得るのか、的確にポイントをつかめる力が欠かせません Company Information デロイト トーマツ サイバー(DTCY)は、デロイト トーマツ グループのサイバーセキュリティー部門を統合する形で2019年4月に設立された専門家集団。DTCYは戦略からオペレーションに至るまで、デジタル社会で勝ち抜くための一気通貫のサービスを提供し、企業の持続的成長や競争力の向上に向けた経営変革を支援している
コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 山田コンサルティンググループ 日々急激に変化を続ける社会情勢に対応していくことは、企業にとって簡単ではない時代へとなってきました。しかし同時に、個々の人間としての基礎的能力や資質の重要性が再認識されるきっかけでもある、と私は捉えています。コンサルタントも例外ではありません。高度なスキルやナレッジによって武装するのは当然のことですが、それ以前の課題として「いかに人間力を鍛え、伸ばしていけるか」が今後はより明快に問われ始めていくと考えています。 山田コンサルティンググループ(以下、YCG)は中堅・中小規模の企業を主なクライアントとし、事業再生や戦略的チャレンジにコミットすることで成長をしてきましたが、企業の経営を取り巻く環境はほんの数年で激しく変化をしています。例えば多数の有力企業が、事業承継の時期を迎えたのを機に戦略性の高い変革へと動き出していますし、企業規模の大小によらずM&Aやグローバル化という重大なテーマに直面。デジタル変革やデータ活用という波が押し寄せる一方で、証券取引所による上場審査の見直しも始まっています。つまり我々コンサルタントには、従来をはるかに超えるほどの知見やスキルが問われていますがYCGは「それがまさにコンサルタントに必要なこと」だとは考えていません。先ほど指摘した通り、もっと大切なものとして「人間力」を重視しているわけです。 技能や思考より人間力が優先成長の源は変わらない ではコンサルタントに必要な人間力とは何なのでしょう? まず基本中の基本として挙げたいのは素直さです。中堅企業を牽引する経営者は皆、歴戦のつわものであり365日24時間経営について考えを巡らせている存在。若いコンサルタントが短期間で得た情報や知識で臨んだとしても、それだけで信用を勝ち獲ることはできません。自分をはるかに超える存在である経営者が、それでも解決できない悩みを抱えてコンサルタントに期待をかけてくれるのですから、私たちがまずとるべき姿勢は「真っすぐにお客さまの声を聞き、きちんと理解する」こと。もちろんコンサルタントは、時に厳しい提言をする立場ですが、そういう場面でも鍵を握るのは「ロジックの正しさ」だけではなく「人としての信頼」なのです。 二つめの要素は「ウォームハート」×「クールヘッド」です。危機的局面をお客さまと共に乗り越える事業再生案件を扱うファームはYCGの他にもありますが、お客さまへの「情熱」と「感情」が混同されるケースが多くあります。しかしコンサルタントは本来「経営者に客観的かつ冷静に、経営判断のための助言をする」役割を担います。だから私は「お客さまへの情熱は必要。ただ責任を負いたくても負えないからこそ冷静に判断しなければ」と話しています。 三つめの要素は、企業を多面的に継続して捉え、思考する力です。経営課題を克服し、変革と成長を目指すには、コンサルタントは多様な視点で幅広く思考する必要があります。財務諸表、株主構成、組織、業務、人材など、あらゆる側面に目を向け、問題の在りかを探り、施策を考え抜かなければいけません。自分の得意領域に偏ったり、既存のセオリーや思考法ばかりを過信しては、経営の再生や変革にはつながらないのです。一例ではありますが、私が今でも現場から「こんな施策を打ちます」と報告を受けた際、「ところで株価はどうなってるの」と尋ねると即座に答えられないコンサルタントもいます。これでは「あらゆる視点で考えている」とは言えませんよね。また、経営課題への向き合い方として、「1日2日考える」程度では、十分ではありません。日常的に課題を思考し続ける根気強さがあって、初めて見えてくる新たな課題や施策があることは間違いありません。 以上3点は決して精神論ではありません。もはや正論や最新のノウハウを伝えるだけではコンサルティングが成立しない時代なのです。今なおそういう仕事を求めるならば、他の会社を選択すべきです。YCGは「素晴らしい経営者やそこで働く方々から信頼をいただき、共に目標を達成する喜びを得ていく生き方」をあえて選択しています。だからこそより早いスピードで人間力を高めなければなりません。例えば若いコンサルタントにはまず再生案件を担当してもらっています。20代の若者が極めて優秀な経営者の皆さんと正面から向き合うことで、思考の多様性や持続性を鍛錬していく。素直さやクールヘッドの意義を体感していく。そうした成長の後、事業承継や成長戦略関連の案件で、さらなる飛躍を目指すのです。おかげさまで東証1部上場企業となったYCGには売り上げ数兆円規模の企業からも声をかけていただけるようになりましたが、コンサルタントが真に人間力を高めていけるチャンスは、中堅・中小企業の経営陣と向き合うところにこそある、と我々は信じ続けています。今後も新しい時代にふさわしい人間力あるコンサルタントを輩出し、経営者以上に企業を考えるコンサルタント集団であり続けます。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.情報や知見を駆使する前に、欠かせないのは“素直さ" 365日24時間、経営を見つめ続ける経営者を正論で説得することなど不可能。忖度なく必要に応じて厳しい提案をするのがコンサルタントの務めだからこそ、常に素直な姿勢で接し、人間としての信頼を勝ち得ることが先決 2.“ウォームハート”は必須の条件。大切なのは“クールヘッド お客さまに寄り添い、共に泥臭く格闘するコンサルタントが情熱を持って臨むのは当然。一方で、コンサルタント本来の役割を果たすために、客観的で冷静な判断をロジック立てて行わなければ価値創出につながらない 3.多様な視点で企業を捉え、とことん考え続ける力 大企業が進める複数プロジェクトの1つを任されるだけのコンサルタントで満足ならば、限られた期間に断片的に考えるだけで済む。長い信頼関係を結び、企業と共に価値創出する喜びを求めるならば「考え続ける」ことは必須 Company Information 中堅・中小企業を中心とした企業のあらゆる経営課題に対してコンサルティングサービスを提供。2019年2月、JASDAQから東証1部への市場変更も成立し、総合コンサルティングファームとして経営コンサルティング事業、不動産コンサルティング事業、教育研修関連事業、事業承継ファンドの設立・運営および投資・ファンド事業など多彩な事業を展開している
コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 有限責任監査法人トーマツ 私がトーマツに入社したのはおよそ20年前。大手信託銀行からのチャレンジでした。当時はリスクアドバイザリーという言葉はなく、監査法人といえば「会計士の仕事」という考え方が一般的。今でこそトーマツでは基幹事業をA&A(監査・保証業務)とRA(リスクアドバイザリー)と細分化していますが、当時はリスクという言葉自体が浸透していなかったのです。 監査法人の業務におけるターニングポイントを一つ挙げるならば、経営のグローバル化でしょう。従来、企業経営においては国内の競合企業だけに注視していれば事業は成り立ちましたが、高度情報社会ではそうはいきません。各社で海外での事業展開、人材調達、企業買収などを行っていくことになりますが、現地の人々は「やってくれ」だけでは動かない。その国の文化やマネジメントスタイル、人々の価値観にまで踏み込んでいく必要があるのです。企業経営の難易度が加速度的に増していく中で、求められるソリューションの質も次第に高まっていきました。 そこで登場したのがリスクマネジメントという概念です。ここ6〜7年くらいでしょうか、社会背景を見据え顧客の要望に応えていく中で、リスクアドバイザリーの見地から経営管理(ガバナンス)態勢を見直していくムーブメントが盛んになりました。例えば、企業不祥事の問題です。CEOの一頭体制に陥らず取締役が経営者を実質的に監督できるよう、内部統制が実効性を持っているかどうか見極めるわけです。そのほか、リスクマネジメントの中でも注目されるのがデジタルトランスフォーメーション(DX)です。IoTやクラウドなどの普及に伴い、データアナリティクスを活用した効率的な経営判断が最重要課題となりました。しかし、基幹システムのリプレイスなどのIT投資を推進する一方で、トーマツが得意とする内部統制監査やIFRS(国際会計基準)のアドバイザリーなどのトラディショナルな監査関連アドバイザリー業務も引き続きニーズは絶えません。DXなどのテクノロジーへの理解を深めながら、例えば経理業務・管理会計業務のプロセス自体の見直しなどを行うことで、より効率的な経営に導くことが求められているのです。 自分に武器を持ち社会と変革をつなぐ醍醐味 DXへの理解と監査関連業務のノウハウを有する人材、というとハードルが高いと感じる方もいるでしょう。しかし監査法人のミッションは1人で完結するものではありません。逆に言えば、自分自身がデータアナリティクスに明るくなかったとしても、その領域にたけた社内外のメンバーと協業しソリューションを提供できれば問題ないわけです。大切なのは、顧客の課題に応じ、プロジェクトメンバーだけでなく、国や業界全体に働きかけてそれらをつないでいくこと。すなわち、社会変革におけるカタリスト(触媒)となることです。これがトーマツのあるべきコンサルタント像であるとわれわれは位置付けています。 顧客側に成功のビジョンがなく、またトーマツにも実例やノウハウがない。かといって国家全体でも知見が足りないシチュエーションはいくらでも想定されます。例えば大規模な自然災害。「もし病院がネットワーク化されていたら……」そんな課題が突きつけられたときに、製薬会社や医療関連企業、病院、国など関係する組織をチーム化して、同じ方向を向かせられるようなリーダーが今求められています。社会情勢を先読みするのが困難な現代において、「誰がリードしていくのか?」と問われた時に自ら手を挙げて取り組めるようなコンサルタントであってほしいのです。こうした変革の触媒となっていける人材こそがこれから脚光を浴びるのだと確信しています。 とはいえ、特定分野に知見やノウハウを持つことは重要です。例えばデータアナリティクスやサイバーなどITにおける知識、そのほか業界知識も強みになります。ホットなところでいえば、金融やライフサイエンス、ヘルスケア、パブリック。どんな業界であれとがった知識を持っていれば、それは専門性になり得ます。ただ、学生の皆さんからすると、入社時にこうした専門性を持つのは難しいでしょう。では何が求められるのか。平たく言うと、コミュニケーションスキルです。偏らない、思い込まない、多くの人の意見を尊重し調整をしていく力です。とりわけリスクアドバイザリーの領域では、柔軟性や発想の豊かさは必須条件。特定領域に専門性を持った人間同士がリスペクトしあい、ディスカッションして戦略を練ることができる状態ならば、良いサービスにつながる循環が生まれるに違いありません。 最後に私から学生の皆さんに伝えたいのは、トーマツは成長意欲を持った方にとっては最高の環境だということ。激動の時代にあって、国内にとどまらないクロスボーダーな関係性を通じて社会変革をリードするのは難しいですが、とても鍛えられる環境です。1万2000人のプロフェッショナル全員で、あなたをお迎えします。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.社会に貢献したい、顧客を喜ばせたいという欲求がある プロジェクトを完遂した時に顧客からもらえる「ありがとう、トーマツさんでよかったよ」という一言で次のやる気に火がつく方。社会の変革および顧客の変革を目指すトーマツにおいては非常に強い武器になります 2.好奇心が強く、世界情勢の変化を敏感にキャッチできる 日々変わり続ける世の中の動向と、そこから生まれるリスクについてアンテナを持つこと。さらにその状況をポジティブに捉えられることが、リスクアドバイザリーを提供するトーマツのコンサルタントにとって重要な能力です 3.他者の意見を尊重し、異なる価値観を認める素直さがある これは求心力を持つリーダーの条件です。互いにリスペクトすることではじめて、周囲からの共感を集め目的をやり遂げることができます。トーマツが目指すコンサルタント像のベースにある要素です Company Information 日本初の全国規模の監査法人として1968年に創立。東京・名古屋・京都・大阪・福岡の5都市から始まった国内ネットワークは、現在では全国30以上の都市を結ぶ。「経済社会の公正を守り、率先してその発展に貢献する」ことを経営理念に掲げ、公認会計士を中心とするプロフェッショナルファームとしてさまざまなサービスを提供
コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 EYストラテジー・アンド・コンサルティング EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)のコンサルタントを一言で表すなら、「より良い社会を実現するためのプロフェッショナル集団」です。「Building a better working world」-より良い社会の構築を目指す、というEYの理念のもと、クライアントの課題解決だけではなく、社会問題の解決まで意識した戦略を策定しています。 多くのコンサルティングファームがそうであるように、従来のEYSCのコンサルティングは戦略を最重視し、その枠組みの中で用いる最適な手段としてテクノロジーを利用していました。テクノロジーはあくまで戦略を成功に導くためのツールでしかありませんでしたが、近年、DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)の急速な普及により、そのスタイルに変化が起きています。圧倒的なスピードで技術革新が進み、今までのように戦略を練ってからテクノロジーを選定していては、その戦略自体が時代遅れになりかねなくなったためです。つまり、テクノロジーが主役になり、テクノロジーそのものがビジネスを創出する時代への、パラダイムシフトが起きているのです。だからこそ、EYSCコンサルティングも「戦略ありきのテクノロジー」ではなく、「テクノロジーありきの戦略」という逆流の波を意識し、変革を起こさなければなりません。 この時代の潮流の中で我々に求められていることは、「to beモデル」「to beプロセス」を生み出すこと。クライアントのビジネスを十分理解した上で、業界のあるべき姿を想像し、最適なビジネスモデルをゼロから構築する。それが、コンサルタントの価値に変わったと言っても過言ではないのです。 私がアドバイザリーリーダーを務めるライフサイエンスセクターでのプロジェクトを例に挙げましょう。ある製薬企業で新薬をローンチする際、全国各地で治験を行う必要があり、承認を得るまでに非常に時間がかかっていました。ITインフラが整っておらず、治験のデータ取得から分析、申請書類の作成と、業務フローが煩雑で、非効率だったことが原因でした。そのプロジェクトにおいて従業員の業務効率化を図ることは大切です。しかし、我々がまず意識すべきは、薬の到着が遅れて命を落とす患者さんがいるかもしれない、という現実です。命に関わる業務に携わる者としてあるべき姿を定義し、その姿を実現するために最適な工程を組み立てることを第一に考えるべきなのです。それは時に医療制度の改革という、これまでの社会の仕組みを変えるほどの提案にまで斬り込む必要があるかもしれません。このケースのように利益の追求ではなく、社会を変えることを念頭に置いた支援こそが、EYSCの目指す、理想のコンサルティングの姿です。 コネクテッドを意識し仲間とより良い社会を目指す 新たなビジネスモデルを創出し、社会を変えることは、スケールが大きい分、膨大な知識や行動量が必要で、到底独りで実行できるものではありません。だからこそ重要なのは、協力し合える仲間の存在です。その点において、EYSCは大手コンサルティングファームの中でも仲間を得やすい環境だといえるでしょう。仲間の成功を自分の成功として喜ぶようなメンバーが集まり、チームを重視する文化があることが理由の一つです。個人プレーではなく、縄張り意識もない。共に喜びを分かち合うチームの強さが、新たなビジネスを創出するためのベースとなります。そしてもう一つの強みは、ローカライズされていない、真にグローバルな社風が我々に根付いている点です。各国の拠点とのつながりが深く、常に協力し合っているように、我々はグローバル戦略上、コネクテッド(つながり)という言葉を重要なキーワードにしています。日本で不足している技術でも海外とのネットワークでスピーディーに補えるグローバルなリソースは、まさにコネクテッドを体現しています。先に述べたように、チーム意識が新たなビジネスモデル創出のベースなら、コネクテッドにより構築された体制は、強力な武器なのです。 Building a better working worldを実現するためには、コンサルティングは一つの手段でしかありません。その手段を極めるために、専門性を高め、スキルを磨き、自身の評価を上げるために修練を重ねる侍のような印象が一般的なコンサルタントにはあるかもしれません。しかし、我々はより良い世界の在り方を追求する道をひたすら追い求める者。言い換えれば求道者であり、その集団でEYSCは形作られています。 新たなビジネスモデルの創造が我々の役割ですが、もちろん理想だけを掲げていてはいけません。我々が生み出したビジネスモデルをクライアントが事業化したときに、クライアントの存在価値が向上することが前提です。理想と現実のバランスを取り、世の中を変えるためにイマジネーションを持ち続け、汗をかくことをいとわない。これが、次代のコンサルタントのあるべき姿だと思っています。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.新たな環境に挑戦し、想像を働かせる場数を踏んでいる人 イマジネーションは自身が持つ情報から創出されるもの。コンフォートゾーンにいては新たな引き出しは得られません。常に異なる環境に飛び込み、創造力の糧となる多くの経験を積んでいる人が活躍できるでしょう 2.個人プレーではなく、仲間や周囲のために汗をかける人 プロジェクトは多くの人の協力が必要で、個人プレーでの成功はあり得ません。チームメンバーとより良い社会の実現に向けて徹底的に考え抜き、奔走できる人が力を発揮します 3.グローバルな視点を持ち多様な価値観を受け入れる人 グローバルにビジネスを展開するEYSCにとって、多様な価値観を持つ社員との連携は重要な要素の一つ。ただし、日本対世界ではなく、「日本も多様性の一部」という視点で、価値観を受け入れることが大切です Company Information 世界154の国と地域に約28万人を擁する総合プロフェッショナルファーム・EYの日本におけるメンバーファーム。EY Global を構成する主要なサービスライン、Advisory(アドバイザリー)、Assurance(監査・保証)、Tax(税務)、Transaction(トランザクション)のうち、EY Japanにおけるアドバイザリーラインを担い、グローバル企業の経営課題に取り組む
コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 KPMGコンサルティング KPMGコンサルティング(以下、KC)は事業変革、テクノロジー、リスク&コンプライアンスの分野において、サービス・インダストリーを問わず、さまざまなクライアントの課題を解決してきました。最近増加傾向にあるのが、ビジネスモデルそのもののドラスティックな変革を求める相談です。テクノロジーの進化により長年当たり前だったお客さまへの価値提供のあり方、収益の生み出し方など企業は大きな変革を迫られています。戦後レジームの中で確立された、長年「当たり前」だったビジネスモデルでは対応できない時代へと突入し、企業は今、闇に包まれ、進むべき方向を模索しています。 当然その中でコンサルタントへの企業ニーズも変化し始めました。これまで、業界や企業の伝統的なビジネスモデル、オペレーションモデルを前提とした課題解決業務をご支援する構図が主流でした。そこでは、効率的な規模拡大で売り上げ増加を図るため、大手ファームでは、インダストリーやサービスごとに分業制を敷き、担当領域にフォーカスできる体制を構築してきました。しかし会社の稼ぎ方やビジネスモデル(売り切り型で大量生産・最速納品が売りだった会社が、継続的なサブスクリプションモデルで従量課金型に変化するなど)を変えなければ将来が見えない環境では、特定領域の課題解決よりも、高い視座で新たなビジネス構築の方向性を示唆できるコンサルティングが求められます。こうした企業ニーズの変化に合わせ、コンサルティングファームも変化が求められますが、大手ファームともなると簡単ではありません。その点、KCは若い組織で、組織体系を柔軟に変える機動力があります。また、闇雲に規模拡大を追求せず、お客さまの課題に向き合うことを最優先する企業DNAが色濃く表れています。 これらの強みを背景に、KCは新たなコンサルティングスタイルを強化しています。例えば、組織やインダストリーを超えた横断的なコラボレーション。スポーツ団体やデジタル企業などと積極的にコラボレーションを図り「戦略」×「デジタル」×「スポーツ」の中で新たなスポーツビジネスの価値を創出しています。そして、それを支えるコンサルタント一人一人のデジタルケイパビリティー向上のため、海外大学や専門機関の研修プログラムを積極的に導入し、全社員が受講可能な環境を提供しています。 次世代コンサルタントが担うビジネスモデルの破壊と創造 「特定領域改革型コンサル」から、業界を超えた新たなビジネスモデル創出を支援する「ビジネスアーキテクト型コンサル」へ意識を変えるには、インダストリーや企業の枠を超えてインパクトを生むシンボリックなプロジェクトを増やす必要があります。まだ道半ばですが、将来視点と業界破壊視点の高い視座から変革ソリューションを編み出せるシンボリックなビジネス構築プロジェクトの創出に一層注力していきます。 この変革のリーダーとなる次世代コンサルタントは、常に業界の将来を想像し、お客さまの存在意義や目指す未来を示せること、示そうと思うことが求められます。 未来を担うKCのコンサルタントには個としての価値を発揮できるキャリアを追究し、パーソナルブランドでマーケットに指名されたいという「情熱」を持ってほしいと考えています。コンサルティングファームで働くことではなく、お客さまから信頼されることを目的に、個のスキル・能力を磨く意識が全ての前提です。 もちろん「専門性」や「論理性」は不可欠。私が言う専門性とは、過去の延長線上ではなく高い視座で今後の業界破壊や、変化を見据える力を意味します。 またその変化に対してベストなサービスや技術、チームを選択してビジネス化の道筋を立てる力も含みます。評論家では価値はないですからね。 さらに「デジタルテクノロジーに対する知見」やデジタルネーティブだからこその「発想力・柔軟性」も必須でしょう。今後の変革テーマの完遂には、コンサルタント一人一人の個の能力だけでは対応できないケースも増えていきますが、新たなビジネスは、あらゆる枠を超えたコラボレーションから生まれます。企業規模や法人・個人問わず、必要なパートナーを集め、最適なチームを構築できる人脈や「人間力」を持つ人材が活躍する時代になるはずです。 総括すると、あらゆる業界のビジネス破壊と再構築が混じり合う過渡期にある今だからこそ、個として価値を発揮する人材が集うファームでありたいと考えています。パーソナルブランドで勝負する、コンサルタント本来の価値に原点回帰しながらも、手法や思考は常に柔軟かつ最新であり続ける。大きなうねりに正面から向き合い、時代を切りひらくチャレンジを続けるKCだからこそ、感じられるダイナミズムや面白さがここにはあるはずです。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.常に付加価値を出したいという情熱を持っている 「クライアントや一緒に働く仲間に対して高い価値を発揮したい」という思いを実現するために、自身に必要なスキルや能力を見極め、習得に向けて熱量を持って取り組める人こそ、コンサルタントといえるでしょう 2.未来を想像できる専門性と論理性を兼ね備えている 今後業界がどのように破壊され、変化するのかを想像できる高い専門性を有すること。その上で新しい課題解決の方法やビジネスモデルを論理的に組み上げ、再構築し、明確な方向性を示せるスキルが重要になります 3.エコシステム形成をリードできる人間力を有している かつてない世の中の変革に向き合う際、自社だけで課題解決をすることは不可能です。ベンダーや行政、ベンチャー企業などと協業するエコシステムの構築を担える、ネットワーキング力や人間力が求められます Company Information 147の国と地域に約22万名を擁するプロフェッショナルファームのグローバルネットワークであるKPMG。KPMGのメンバーファームであるKPMGコンサルティングは、日本法人独自の大きな裁量のもと日本固有のニーズや課題に対して柔軟な経営のかじ取りを行っている。若いファーム特有の機動性を生かし、業界に先駆けたチャレンジングなサービスを提供している
コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 アビームコンサルティング 社会や企業を取り巻く環境の変化、テクノロジーの進化により、コンサルティング業界にも大きな変化の波が押し寄せています。従来のように課題起点で変革に取り組むだけのコンサルティングファームは生き残っていけなくなるでしょう。 その背景にあるのは、企業が変革を自分たちの力で推進し始めているということ。多様かつ複雑化する消費者やユーザーのニーズに応えていくため、ここ数年で企業のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)への取り組みが本格化しています。私たちのクライアントもDXを加速させるために、データサイエンティストや最先端技術に精通した人材を採用したり、デジタルツールの活用、または特定の分野において先進的なテクノロジーを持つベンチャー企業との連携によるイノベーションを図ったりと、これまでコンサルタントがサポートしてきた領域を内製化し始めているのです。 その中で、私たちアビームコンサルティング(以下、アビーム)に求められているのは、クライアントがいま直面している課題の解決だけでなく、未来を見据えたDXを実現していくことです。これから社会はどうなっていくのか人の行動や顧客ニーズはどのように変化していくのか。未来の社会やビジネスをデザインし、実現するための変革を先導していくことが私たちの新たな役割なのです。 コンサルタントのミッションも今後大きく変化すると考えています。これからは5年後、10年後の社会の在り方や消費者のニーズを想定し、どのようなビジネスに変革する必要があるのかをクライアントと共にデザインしていかなければなりません。それに加えて、デザインした未来のビジネスを実現するために、クライアントの経営戦略、ビジネスモデル、業務プロセス、ITを再構築する必要性も出てきます。そこで重要となるのが「共創」という考え方です。 いままでにない新しいビジネスモデルを描き、実現していくにはこれまで以上に幅広い知見が必要となるため、クライアントはもちろん、社外のさまざまなビジネスパートナーと協力し、新しい未来を支えるマネジメントシステムを構築することが不可欠です。最近では、デジタルテクノロジーを活用した街づくりを行っているデザイン会社を社内勉強会に招き、未来の社会や街の在り方について議論しました。そうした新たなビジネスパートナーとの共創を積極的に行い、未来を創り出すことが今後ますます求められてくるのです。 そのため、前例のない変革に向けて、チームのメンバーや外部の専門家を巻き込んでチームを作り、プロジェクトを力強く推進していくこともコンサルタントの仕事。お互いの多様性を尊重し、周囲の力を最大限引き出して、プロジェクトを成功へ導こうとする姿勢が、次世代のアビームのコンサルタントとして大切になってくるのです。 若手とベテラン層の共創で未来のアビームをつくる アビームが考える共創は、決してクライアントとビジネスパートナーだけに限る話ではありません。当社の若手コンサルタントと経験豊富なコンサルタントが組織を越えて互いに強みを発揮し合うことで、いままで以上の価値を生み出せると考えています。 コンサルタント、特にデジタルネイティブ世代に期待しているのは、これまでの手法にとらわれない柔軟な発想力です。既成概念を持たないその世代のアイデアには目を見張るものがあります。会社としても成長を後押しするため、デジタルネイティブ世代主導のビジネス創造にも取り組んでいます。直近の事例では、JAXAさまに協力いただき、宇宙ビジネスを模索するための勉強会、そしてミニアイデアソンを開催。デジタルネイティブ世代のアイデアに対して、経験豊富なコンサルタントが実現に向けてサポートしていくという、若手の発想力と既存コンサルタントのノウハウを融合させたハイブリッドなチームを結成し、ビジネス創造に取り組んでいます。この共創こそが、今後のアビームの未来を創っていくのです。 また、若手のうちから海外で活躍できることも、アビームの特徴の一つです。海外駐在や長期出張の機会も多く、全社員の約4分の1にあたるコンサルタントが海外へ渡航しています。日本に本社を置き、海外に進出する日系企業のDXを支えるアビームだからこそ、国境を越えグローバルに活躍することができます。 ここまでお話しした通り、アビームはボーダーレスなコンサルティングファームです。クライアントやビジネスパートナーなどの企業間、組織や役職、年齢、国境、人種、何もかもフラット。だからこそ、全員に対して平等に活躍の機会が用意されています。 新たな情報やテクノロジーをキャッチアップしながら常に未来を想像し、既成概念を壊し、変化に挑戦し続けることは、この先の時代を生き抜くコンサルタントとして必要不可欠な要素です。そのような能力をぜひアビームで身に付けながら、一緒に世界で戦っていきませんか。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.多様な専門性を持つメンバーをオーガナイズできる 未来を描き、実現へと繋げていくためには、時には最先端テクノロジーを持つスタートアップや、デザイン会社などスペシャリストの力を借りることも。多彩なメンバーをまとめ、力強く先導していくことが求められます 2.情報を正しくキャッチアップし新たな価値創造に繋げられる 世の中はインプットにあふれています。価値ある情報を正しく解釈し、新たな可能性を模索する材料として活用できる力は、ビジネスモデルを創造する上でとても重要なスキルです 3.既成概念にしばられることなく常に変化と挑戦を楽しめる これまでの成功体験にとらわれることなく、手法や自分の考えさえも柔軟に変化させながら挑戦していくことが、変革の時代を生きるアビームのコンサルタントにとって必須条件だと考えています Company Information 日本発、アジア発のグローバルコンサルティングファームとして随一の実績と規模を誇り、日本で約4,000名、アジアを中心とした海外約2,000名、合計6,000名のコンサルタントを擁する。戦略立案・構想策定から、業務改革・設計、システム開発・導入まですべての領域を手掛け、複雑化する経営の課題解決に向き合っている
コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 デロイト トーマツ コンサルティング 従来、コンサルティングというものは、戦略の立案・提示のみを行い、実行まで携わらないケースがほとんどだったと言えるでしょう。しかし、クライアント側には、戦略を実行できるような人材もノウハウもなく、成果を出す以前に立ち止まってしまう事例が多くありました。 私たちデロイトトーマツコンサルティング(以下、DTC)は、ここ5年間で「End to End」というコンサル・ビジネスモデルを掲げ、従来のスタイルに捉われず、具体的な成果を残し、クライアント、業界、そして社会全体に、より大きなインパクトを与えていくことを目指しています。 例えば、ビジネスプロデュースという事業では、コンサルタントがクライアント内における新規事業のプロジェクトチームに参画、もしくは新会社の経営陣として着任し、一定期間、チームの一員として汗をかく。立ち上げノウハウやビジネスの知見を持つメンバーが直接携わり、アイデアを実現するところまで行います。また、デジタルやテクノロジーの領域では、「デロイトガレージ」という専門チームを編成し、ウェブやアプリ、データ戦略などの実行・実現まで社内で行う体制も整えました。これまで戦略レベルのみで終わっていたコンサルティングは、人とテクノロジーを融合させ、戦略のみならず実行まで行うという、新たな形へと変容しつつあるのです。 これと同時に、DTCのコンサルタントに求められる役割も、第三者的な外部としての提言者、参謀的役割ではなく、「よりクライアントに寄り添い、時には内部の一員となる伴走者たれ」という考えに変化しています。私たちは〝シェルパ〞と呼んでいますが、これは登山家に登頂・下山のルートを示すのみではなく、自分たちも汗を流し、一緒に目標を達成していく姿勢を示しています。次世代のコンサルタントには、クライアントと同一化し、かつ、成果にまでコミットしていく力が求められるでしょう。それはつまり、自ら戦略を実行する中で、ダイレクトな手触り感を持って、事業のダイナミズムを味わえるということ。〝新たな価値〞の具現化を目指す存在として、DTCの仕事のやりがいも、より大きなものへと変容しているのです。 新しいアイデアを生む環境とグローバルな成長機会がある デロイト トーマツ グループの傘下には、多様な専門性を持つ仲間たちがいることも大きな特徴です。リスクアドバイザリーやファイナンシャルアドバイザリー、公認会計士、税理士など、それぞれが違う必殺技を持っています。例えば、M&A案件では、各分野の専門家の協議・協働が必須となりますが、私たちはワンストップでの統合的なサービスをスピーディーに提供できます。最大の強みは、専門家集団であると同時に、チームワークにも優れているという点。各自の専門領域を活かして意見を重ねていく中、世の中になかった新しいアイデアが生まれます。また、世界で30万人以上いるプロフェッショナルファームのため、人材ネットワークや資源も豊富です。多様な視点や知見のもと、新たなルールの提言や、かつてない新たな市場を生み出すなど、挑戦を続けていける環境があるのです。 ただでさえコンサルティングの仕事は、世の中の多様な仕組みに触れ、理解できる楽しい職業ですが、DTCではさまざまな業界・企業のビジネスや組織、法制度、レギュレーション、そして、働く人々の思いに触れることができます。また、世界最大規模のグローバルネットワークのもと、国籍や文化が違うメンバーと働き、世界を見渡す視座を得て、成長できる機会がたくさんある。日々のワクワク感を高めながら、多くを学ぶやりがいを、間違いなく感じてもらえると思います。 現在、新型ウィルスによって世界経済は大きく揺らぎ、今後、景気後退のさまざまな局面が訪れることが予想されます。しかし、私たちはクライアントにとっての半永続的なパートナーであり続けたいと常に課題と向き合ってきました。だからこそ、この危機的状況においても変わらず、利益を世に還元することが責務であると感じています。実際、東日本大震災の際、社会貢献を目指す多様な企業を支えるために、専門家が無償で協力するプロボノサービスを展開し、今回も、すでに同様のプロジェクトをグローバル規模で展開しています。どんな局面でも、ポジションを変えることなく、世に貢献し続けようというパッションを大事にしていきたい。それこそがクライアントや世の中から最大の信頼をいただける企業の経営姿勢ではないかと考えています。 学生の皆さんにも、そうしたパッションを根底に持ち、「世の中を変えられる人」になってほしいと思います。フラットな組織を志向するDTCでは、立場を超えて意見を出し合い、互いを高め合っています。フレッシュな視点、着想を活かしながら、プロフェッショナルへと成長できる環境がある。社会を良きものへと変えていくために、パッションある皆さんの力を貸してほしいと願っています。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.常に「なぜ」と思える知的好奇心の強い人 「なぜこのビジネスがある?」「なぜマネタイズできる?」「なぜこの商品に心を奪われる?」など、世の事象に対し、常に「なぜ」を問う知的好奇心が大事。社会の変化と課題を先読みする能力を自らアップデートしていけます 2.自分を客観視した上で最適解を導き出せる 自分が置かれた状況や他者との関係性を俯瞰視・客観視できる「メタ認知」能力が高い人。冷静に第三者視点で自分の発言や行動の棚卸しができ、人の気持ちにも寄り添える。DTCに必須のチームワークでも力を発揮できます 3.世の中を自分が変えるというパッションを持っている人 知的好奇心から「なぜ」を考えたその先は、「自分が社会を良きものに変える一助になりたい」というパッションが重要。「私が変える」という強い思いがある人こそ、DTCの次世代コンサルとして活躍してほしいと思います Company Information デロイト グローバル(デロイト)の一員として日本のコンサルティングサービスを担い、提言と戦略立案から実行まで一貫して支援するファーム。2,500名規模のコンサルタントがデロイトの各国現地事務所と連携して、世界中のリージョン、エリアに最適なサービスを提供できる体制を有している
コンサルティングファーム9社の経営者に質問 「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う? ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。 A.T. カーニー A.T. カーニーが手掛けるのは、「変革系」と「創造系」のプロジェクトです。前者は企業の本質的な変革、後者は企業の新規事業創造や、産業・社会の仕組みづくりを指します。まず「変革系」プロジェクトについて。これまでは自社内にテクノロジーやクリエーティブの専門部隊を大量に抱える大規模コンサルティングファームと共に、変革系プロジェクトを推進する企業が数多くありました。ところが数年前から、少数精鋭メンバーで構成されたA.T. カーニーへの相談が増え続けています。 ITの内製化が進むコンサルティングファームでは、自社で開発・運用することを前提にテーマ設定や要件定義を行いがちです。一方われわれは少数精鋭の強みを生かし、クライアント企業にとって本当に必要なことを客観的に考え抜いた上で、組織内外から集めた本物のプロフェッショナル人材からなるベストチームを組み上げることにこだわっています。もう一つの「創造系」プロジェクトは、コンサルタント各自が人生を懸けて成し遂げたいテーマを見つけ、パッションを持って取り組みます。例えば、あるコンサルタントは「日本に宇宙産業を創造し、日本社会の未来をつくる」というテーマで、産官学に働き掛け、業界組織を立ち上げ、当該領域における世界水準のリーダーへと進化しています。「創造系」の仕事はビジネスとしてリターンが限定される面もあります。それでも私たちが注力するのは、日本企業や日本社会の可能性を解き放つことにつながるからです。 三つの専門性を高いレベルで統合した人材が求められる 日本企業の技術やブランドには大きなポテンシャルがありますが、生かしきれていない企業が多いのが現状です。原因は、〝創造と変革のリーダー〟の人数不足であると考えます。そこでわれわれは、2050年までに世界の経営のロールモデルになる大企業20社とメガベンチャー200社を日本から創出すること、それを牽引する創造と変革のリーダーの輩出、志を共にするネットワーク、つまりA.T.カーニーファミリーを構築することを目標に掲げています。そのために、ビジネス、テクノロジー、クリエーティブの各領域で専門性を高め、これら三つを統合できる人材の育成を目指します。 A.T. カーニーの門を叩く方は「ジェフ・ベゾスとラリー・ペイジとスティーブ・ジョブズを合わせたような人」を本気で目指すような人であってほしい。また、パッションを持ち、セルフドライブできる人材が向いています。その前提として不可欠なのが、自分を知ること。「自分は何のために生きているのか」といった問いと向き合うことで、パッションの在りかが見えてくるでしょう。 世界水準の仕事を目指すには、体力、気力、能力のいずれも必要です。体力には「身体的な体力」と「精神的な体力」があり、「身体的な体力」があるから考え、動き続ける気力が生まれ、能力が磨かれる。コンサルタントらしくないアドバイスですが、体力を付けることは重要です。また、「精神的な体力」とは自分のアイデアやアウトプットを否定されても「いつかできる」と信じ、前向きに挑み続ける力のこと。「今できなくても工夫すればできる」と思い込む。そんな“過剰な楽観視”と〝圧倒的な努力〟が、イノベーションをもたらす人材には求められます。 A.T. カーニーではパッション溢れる若手のキャリア形成を応援すべく、ベンチャーへの出向やデザイン・テクノロジー留学、兼業など、多様な選択肢を用意しています。新卒で入社して経験を積み重ね、いずれ先ほどの「20社+200社」から求められる創造と変革のリーダーになる。そして「日本を変える、世界が変わる」を実現する人物になることを目指してほしいと考えています。 この会社のコンサルタントに向いている人とは? 1.世界水準の仕事を目指し、自分をドライブさせられる 感動品質・世界水準の仕事を目指すべく、パッションを胸に抱き、自分で自分をドライブさせられる人材こそが、当社が目指す「日本を変える、世界が変わる」を成し遂げられる人です 2.基礎能力・専門性を磨き続ける体力と気力を備えている 世界水準の人材を目指すには、論理的思考、ストーリー構築などの基礎能力の他、特定の業界やテーマの専門性が必要です。双方の能力を磨くには「身体的な体力」と「精神的な体力」を土台にした気力が欠かせません 3.「日本を変える、世界が変わる」に共感し、高い目線で働ける ビジネス領域のみならず、テクノロジー領域やクリエーティブ領域の専門性を高め、「日本を変える、世界が変わる」の実現にコミットする目線の高さが求められます Company Information 1926年に米国シカゴで創立された世界有数の経営コンサルティングファーム。世界40カ国、約60拠点に3600名以上のスタッフとグローバルネットワークを持つ。日本オフィスは、クライアント企業との事業創造と変革、グローバル・日本の社会課題の解決を通じて、より良い未来をつくること、「日本を変える、世界が変わる」の実現を目指している