EYのメンバーファームとして2020年10月に新設されたEYストラテジー・アンド・コンサルティング。彼らが掲げるパーパスBuilding a better working worldを実現するために打ち出した、“NextWave”戦略とは何か。同社代表の近藤聡氏と、パートナー4名のインタビューから紹介する。 グローバルで一丸となり“より良い社会の構築”に向けて本質的な価値を提供する EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社代表取締役社長近藤 聡氏 大手総合系コンサルティングファームにて、自動車・ハイテク業界を中心に、企業戦略、オペレーション改革、海外展開戦略策定・実行支援などクロスボーダーを含むプロジェクトを数多く手掛ける。2011年より、同ファームで日本代表を務める。19年1月、EY Japanに参画し、その成長戦略実行の責任者として活動 次世代を見据えて長期的な視野に立って動く このたび2020年10月1日付けで、EY Japanにおけるコンサルティング部門とトランザクション部門を統合し、EY ストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)として新たなスタートを切りました。同じくEY Japanを構成するEY新日本有限責任監査法人やEY税理士法人と共に、EYのメンバーファームとしてグローバルが持つネットワークやアセットを活用しながら、さらなる飛躍を目指します。 EYは、Big4と呼ばれる世界四大ファームの中で最初にパーパス・ステートメントを掲げました。それがBuilding a better working world(より良い社会の構築を目指して)です。これは単なる標語ではなく、「EYがなぜ存在するのか」という根源的な意義を対外的に示したものです。それはつまり、「われわれはより良い社会の構築に資さないことはしない」という宣言でもあります。 ただし、より良い社会はすぐにつくれるわけではありません。だからこそ、EYは長期的な視野に立って物事を実行します。"Create Long-Term Value as the world's most trusted, distinctive professional services organization"がEYのアンビション(なりたい姿)です。世界には、派手なインパクトや一時的な経済的メリットをもたらすことを良しとする風潮があるように感じますが、EYは常に「次世代に何を残せるのか」というLong-Term Value(長期的価値)の創出を考え、そのために必要なことは投資も含めてどんなことでも積極的に行います。つまりこれからEYに参画する方々は、「より良い社会の構築のために、約40年続く自分のビジネス人生を懸けて何を構築するか」がキャリアのテーマになるのだと思います。 そのような志や活動が評価され、EYは、グローバルにおけるプレゼンスが非常に高いです。一方で、日本における認知度や影響力はグローバルに比べるとまだまだでしょう。その理由は、日本での歴史が浅いことにあります。2017年に日本を統括する法人としてEY Japan合同会社が設立され、翌年にはそれまで別々の場所にあったメンバーファームのオフィスを全て東京ミッドタウン日比谷に集結させて、自分たちがEYの一員であることを改めて明確に打ち出しました。つまり日本での歴史はまだ3年ほどというわけです。だからこそ日本のメンバーたちは、「より良い社会の構築を目指して」というパーパスを自分ごと化しようとする熱意にあふれています。グローバルから与えられた他人ごとの概念で終わらせるのではなく、自分たちの力によって本気でその志を実現したいという情熱を持った人たちばかりが集まっています。これなら数年のうちにグローバルと同レベルのプレゼンスを獲得できるはずだと確信しています。 さらには、グローバルとの距離が非常に近いこともわれわれの強みです。パーパスに対するこだわりがEY全体に浸透しており、それにどう貢献しているのかが、最重要なKPIとなっています。そのためグローバル全体が一つのチームとして連携し、成果を出すことを求められており(Teaming)、それを実践することができます。国同士やサービス間の垣根も低く、国籍や文化による壁もなく、ダイバーシティ&インクルーシブネスが組織のDNAに根付いています。よってEYでは、戦略もグローバル共通のものしか存在しません。それが"NextWave"です。「Client」「People」「Technology」「Global」の四つを柱に、クライアントに対してチームでEYとしての総合的な価値を提供することを目指します。 コロナ禍によって世の中の価値のありさまは大きく変わりました。これからのファームは、知名度や組織の規模、オフィスのロケーションというような物理的な魅力ではなく、より本質的な価値を出せるか、所属メンバーとしてファームが掲げる理念やなりたい姿というようなソフトな側面に共鳴できるかどうかが、より重要になってくると思います。われわれはこれからもパーパスに基づき、社会に対して本質的なLong-Term Valueを提供することを追求していきます。 個人と組織の成長をどちらも体験できる 先ほど述べたように、日本のEYは歴史が浅く、早く成長してグローバルのプレゼンスに追い付くことが目標です。これから入社する方々には、その推進力の中核になってくれることを期待します。まだ日本では新しい組織だからこそ、EYSCでは若手コンサルタントが自分でプラクティスをつくり上げていくという貴重な経験を積むことができます。すでに出来上がった大きな組織では、その一部として動くことになってしまいがちですが、弊社なら、プロフェッショナルとして自身の能力をビルドアップして成長していくと同時に、自分が所属するプラクティスを強くしていくことも体験できます。グローバルプロジェクトに参画し、各国のメンバーが持つ知見を取り入れながら、世界に通用するプラクティス構築にチャレンジする機会も豊富にあります。個人としても組織としても成長を実感できる機会が得られるでしょう。そのためにも、若い人たちには愚直であってほしいと思います。「これはやりたくない」「これは向いていない」などと仕事を選別するのではなく、まずは何でもやってみて、その体験や周囲からの言葉を素直に吸収してください。その方が圧倒的に成長は早いですから。 どんな仕事を与えられても成果に結び付けようとする姿勢があれば、必ず一流のプロフェッショナルに成長していけるはずです。 長期的価値の創造を目指すEYのNextWave四つの柱 EYが掲げるNextWave戦略の四つの柱、Client(顧客)・People(人)・Technology(技術)・Global(グローバル)。それぞれどのような取り組みを実施しているのか、それらはこれから入社する若手のキャリアにどう影響するのか。4人のパートナーに話を聞いた。 Clientクライアントを中心に組織の枠を超えてチーミングし課題解決に挑む EYパルテノンマネージングディレクター/パートナーStrategy Execution Lead for Asia-Pacific小林暢子氏 複雑化するクライアント課題「顧客視点」でひもとく EYがNextWaveの重要な柱の一つとして「Client」を掲げたのは、EYとして「顧客視点で考える」姿勢を改めて全社で徹底するためです。その背景として、クライアントが抱える課題の複雑化が挙げられます。今や彼らが抱える問題は、単一の事業課題で捉えることは難しく、さまざまな問題が絡まって、複雑かつ広範囲に及びます。「この問題はこの専門家に」と、両者を単純に結び付けるのが難しくなる中、複雑な問題を解決する役割が私たちコンサルタントに強く求められています。一方で、コンサルティングファーム間の競争の激化も目立ちます。多様なサービスが展開され、ファーム間の差別化が以前にも増して難しくなっている今、私たちはより一層クライアントの立場に立ってサービスを提供しなくてはならないと考えています。 そこでEYは、クライアントに対して課題解決を提供するだけではなく、Long-Term Value(長期的価値)を提供することを重視しています。EYは、四つのサービスライン(監査、税務、コンサルティング、ストラテジー&トランザクション)から成り立っているのですが、それぞれに会計士や税理士を含めた多数の専門家が在籍しています。消費財、製造業、金融機関などクライアント業界ごとのセクターアプローチを取っており、それぞれに深い知見を持った専門家がいます。クライアントの課題を解決するためには、サービスラインの枠を超えて、ベストなメンバーでの「チーミング」が重要です。まずはクライアントがどのような悩みを抱えているかを傾聴し、その上で専門家同士の知見、経験を集約しながらソリューションを柔軟に組み立てるべきだと考えます。そうした顧客視点のコンサルティングサービスを提供すること、クライアントにLong-Term Value(長期的価値)を提供することは、クライアントの満足度を上げるだけでなく、他ファームとの差別化にもつながります。 新卒でコンサルティングファームに入社すると、若手のうちから企業の経営者と働き、経営課題に向き合う貴重な経験を積むことができます。高い視座に立ってビジネスを捉えることができるようになることは、コンサルティングファームならではの醍醐味でしょう。EYでは入社後、グローバルなプロジェクトを複数、短期間で経験することができ、キャリアの初期から企業を見る目を養うことができます。一流のコンサルタントになるために必要な条件は、個々人の「専門性」と、人間的な魅力、すなわち「人間力」が必要です。いきなり「専門性」を磨くことは難しいので、まずはクライアントに真摯に向き合い、「人間力」を磨くことに集中することをお勧めします。頭でっかちではない、地に足の着いたコンサルティングができるようになるためには、若手のうちから「顧客視点」を身に付ける必要があります。EYはそのベストな環境が提供できると強く信じています。 Peopleダイバーシティ&インクルーシブネスを経営の中核に EYは多様なキャリアのあり方を支援する EY Japanコンサルティングダイバーシティ&インクルーシブネス リーダーパートナー佐々木 惠美子氏 EYの多様な人材が、長期的価値を生む 「人を大切にする」カルチャーを育んできたEYは、新戦略NextWaveにおいても「People」を4本柱の一つに置き、多様なキャリア体験の支援に力を入れています。今、クライアントを取り巻く環境は大きく変化していると同時に、コンサルタントにはより最新で包括的なサービスが求められるようになりました。このハイレベルなニーズに応えるためには、今まで以上に多様なスキルやバックグラウンドを持った人材が不可欠です。 そうした人材をそろえるために大切なのは、EY自身が、真に魅力的な職場であることです。私たちはお客さまにLong-Team Value(長期的価値)を提供したいと考えていますが、それはメンバー自身がEYで働くことに長期的価値を感じて、初めて実現することです。優秀なメンバーに選ばれ、かつ今いるメンバーが誇りを持って働ける職場であるために、EYではメンバー一人一人の長期的なキャリア支援に取り組んでいます。具体的には、メンバーのキャリアを支援する「ファミリー」が存在し、パートナーは「ファミリーリーダー」として、所属メンバー全員のキャリアパスを踏まえた配置を行います。キャリアに関する不安は個別にカウンセラーに相談することも可能です。 また、多様化するEYのサービスにおいてメンバーがキャリア構築に悩むことがないよう、各種ガイドラインや学習ツールも整えました。学びのコンテンツと、丁寧なサポートの両方を活用し、優秀なコンサルタントに育っていただきたいと考えています。 さらにEYではパートナーが率先してインクルーシブなカルチャーの醸成に取り組んでいます。モノカルチャーの中ではイノベーションは生まれません。個人の違いが認められないために不安や不利益を感じてしまう環境では、パフォーマンスを発揮できないのは当然でしょう。マイノリティーだけでなく、異なる個性を認め合うことが大切だと考えます。アンコンシャスバイアスへの対処も含め、誰もが気持ち良く働ける職場であるよう、ダイバーシティ&インクルーシブネスを経営戦略の一つと位置付けて推進しています。 もちろん、新入社員の多様なキャリアをサポートする体制も整っています。特に、NextWaveが打ち出された今は、新入社員の方にとっては成長のチャンスです。目先のタスクに振り回されただけで終わってしまう1年よりも、パートナーが育成に責任を持ち、長期的な目線で仕事や課題を与えてくれる1年の方が成長できるのは言うまでもありません。 キャリアの初期に得られる学びは、その後の人生でずっと生きる大切なものです。期待のあまり、時にはチャレンジングな業務を任されることもあるかもしれません。でもその先には、理想的なキャリアが続いています。コンサルタントとしての成長を重視する方には、ぜひ挑戦していただきたいですね。 Technology課題解決の「手段」としての テクノロジーの素養は新時代のマストスキル EY Japan コンサルティングテクノロジーコンサルティング リーダーパートナー田畑紀和氏 データ・ドリブンな組織を編成目指すは「変革のリーダー」 EYでは2020年7月、NextWave戦略の一貫としてテクノロジー部門の組織拡大を行いました。クライアントの変革を実現するために、今やテクノロジーの知見は絶対に欠かせないものです。しかし単にテクノロジーを導入するだけでは、ビジネス価値は生まれません。テクノロジーはあくまで「手段」にすぎず、それが「目的」ではないからです。手段としてのテクノロジーを活用して、いかに価値を生み出し、変革を叶えるか。そうした役割が今、コンサルティングファームに強く求められています。そこでわれわれが目指すのは、もはや「コンサルティングのリーダー」ではありません。テクノロジーを通じてクライアントの変革を実現する「変革のリーダー」です。 従来のテクノロジーコンサルティング業界では、ウォーターフォール型の長期開発が基本的なスタイルでした。答えは要件を定義するクライアントの中にあり、コンサルティングファームはそれを実現する「御用聞き」のような存在でした。しかし今は、こうした常識が崩れつつあります。大規模な長期開発をしているうちに、経営環境や技術はあっという間に変化してしまいます。しかもデータやデジタルを使ってどんなビジネスをしたいのか、クライアントの中に明確な答えはありません。変化の激しい世界をどうやって乗り越えていくかをクライアントと共に考え、率いていくのがわれわれの新たな役割なのです。 こうしたテクノロジーの進化は、われわれコンサルタントのワークスタイルにも影響を及ぼしています。今までのコンサルタントは、「クライアントが一つの作業に何時間かけているか」を調べるのも重要な仕事でした。ところが今は、リモートワークの浸透が追い風となり、あらゆるアクティビティーがデータ化されるようになりました。こうした状況下では、今までのやり方は時代遅れと言わざるを得ません。変革そのものをデータに基づいて行うのが、これからのコンサルタントのあるべき姿です。そのためには、スピード感を持ってアジャイルアプローチで変革を進めなくてはなりません。コンサルティングファームは今、仕事のやり方を根本的に変えなくてはならない転換期を迎えているのです。そこでEYでは、変革に必要な5つの要素│サイバーセキュリティー、エマージングテクノロジー、データアナリティクス、テクノロジー・ソリューション・デリバリー、トランスフォーメーション│を一つに集めた組織をつくりました。他のコンサルティングファームでは、セキュリティー、デジタル、アナリティクスは別組織になっているケースが多いのですが、5つの要素がそろわなければ、変革は実現できません。もともとEYは組織間の壁が低い会社ですが、今回の組織改編により、さらにクライアントの変革を実現しやすい体制が整ったのです。 EYでは、キャリアの早期からテクノロジーに深く携わることができる環境が用意されています。繰り返しになりますが、これからの時代にコンサルタントを目指す方には、テクノロジーの素養は欠かせません。ITの領域は学ぶ時間も相応に必要ですから、若い頃から技術に触れておくといいですね。テクノロジーを知らなければ、適切なコンサルティングができないばかりか、クライアントと会話すらできません。早くから最新のテクノロジーに深く関わっていける会社かどうか、就活生は十分に知った上でファーストキャリアを選べるといいですね。 Global新常態でグローバル連携が加速世界中の同僚と働く機会が増えている wavespace Tokyo リーダーパートナーヘレン・ベントレー氏 世界各国の専門家集団と最先端プロジェクトを推進 他ファームとの差別化を推し進める上で、「Global」はEYにとって大変重要なコンセプトです。私たちはプロジェクトを実行する際、各国別ではなく、グローバルで一つのチームを組んで対応します。クライアントのデジタル領域の課題を解決するイノベーションハブ『EY wavespace』では、FinTechならニューヨーク、データ・アナリティクスならロンドンやマドリード、カスタマーエクスペリエンスならロンドンやサンフランシスコというように、各国に最新テクノロジーの専門家集団を組成。これらのテーマに関係するプロジェクトを進める際は、日本だけでなく、グローバルの知見を借りて進めていくのがEYの特徴です。 実際に、昨年『EY wavespace』のJapanチームが携わったプロジェクトをご紹介しましょう。EYがオフィシャル・プロフェッショナル・サービス・サプライヤーを務めた『ラグビーワールドカップ2019日本大会』では、EYシンガポールとのパートナーシップの下、VRの体験コンテンツを作成しました。また、EYイタリアとは、ワインブロックチェーン(ブロックチェーン技術を活用し、ワインなどの商品バリューチェーンを管理するシステム)を日本の酒造業界に導入するプロジェクトを協力して実施しました。さらに、先日はEYスペインと連携し、同チームが開発した人材育成のデジタルアプリケーションを日本企業に導入する取り組みを行っています。 このようにEYでは、グローバルなチームと共に最先端のプロジェクトに参画する機会が豊富にあるのです。また、グローバル規模で働くコンサルタントの活躍を後押しするため、外部のビジネススクール、と連携し、最新技術やイノベーションの専門知識を学べるオンラインMBAプログラム(『EY Tech MBA』)の提供もしています。コンサルタントとして働きながら正式なMBAの取得や、スキルアップも実現できるのです。 コロナ禍は世の中に大きなストレスをもたらしましたが、EYでは今まで以上に海外のメンバーと共に働くチャンスが増えたとも言えます。実際、Japanチームは、グローバルのプロジェクトにオンラインで参画する機会が増えました。将来的に渡航制限が解除されたら、リアルとバーチャル両方の環境を駆使して、今まで以上に他国のメンバーとの連携ができるようになるでしょう。 また、日本のチーム自体も大変ダイバーシティーに富んでいます。アメリカ、台湾、中国、インド、タイ、シンガポールといったさまざまな国の出身者やLGBTQの方が一緒に働いています。 もちろん新入社員であっても若いうちからグローバルなプロジェクトに参加できる環境があります。現在、私のチームに所属している新卒のメンバー2人は、ロンドンやニューヨーク、上海のチームとすでにプロジェクトを進めています。日本にいながらにして、年齢や立場に関係なく、これほど多様性のある職場で働ける会社はそう多くはないのではないでしょうか。同じコンサルティングファームでも、グローバル化の程度はさまざまです。これから就活をする皆さんは、自分が本当に希望する働き方ができるのか、真にグローバルな会社なのかを慎重に見極めて、社会への第一歩を選択するようにしてください。EYには間違いなく、トップクラスのグローバルな環境があることをお約束します。
コロナショックにより、これからのビジネスの在り方はどう変わっていくのか。デロイト トーマツ コンサルティング代表執行役社長の佐瀬真人氏と、同社の現場でTech×Digitalでビジネスを推し進める2名のパートナーに、DTCが描く「ニューノーマル」への道筋を聞く。 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社代表執行役社長 佐瀬 真人 氏 2000年4月にDTCに新卒入社。自動車業界を中心にコンサルタントとしてキャリアを積み、近年はデロイト アジアパシフィックやデロイト トーマツ グループのセクターリーダーを歴任。19年6月より現職 コロナ禍により増す「END to END」のニーズ 2018年、デロイト トーマツ グループは50周年を迎えました。その一員としてコンサルティングサービスを担うデロイト トーマツコンサルティング(DTC)は、コンサルティング業界の中でも極めてユニークなポジションを築くことができました。戦略特化のファーム、テクノロジーに強いファームなど、各社さまざまな特徴がある中で、DTCはあらゆる業種・業界のクライアントに、戦略策定から実行までを一貫して支援する総合コンサルティングファームとして地歩を固めています。総合ファームとしてあらゆる課題に対応できる理由としては、創業以来、徹底して「クライアントファースト」の姿勢を貫いてきたからだと思います。 新型コロナウイルスのインパクトは非常に大きなものでした。クライアントは目の前の問題に対応せざるを得ず、通常のコンサルティングテーマに取り組む状況ではありません。緊急事態宣言前後は当社も苦労しましたが、リモートによるクライアントとのコミュニケーションを強化し、6月以降ビジネスは好調に転じています。最近ではアフターコロナに向けたコンサルティングテーマが増加。特にコロナの影響が大きかった業界では、生き残りを目的にM&Aの動きも出てきています。事業ポートフォリオの再編に注目する企業も多いですね。中でも増えているのが、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に関するもの。近年、企業はDXを大きな経営課題と認識していましたが、コロナ禍で不可逆な変化として受け入れざるを得なくなりました。例えば非接触型の営業をどう進めるか、リモートワークに適した社内プロセスをどう整えるか。コロナ禍を事業を変えるチャンスと捉える企業と、まだ様子を見ている企業では、今後大きな差がつくはずです。 企業、コンサルティングファームともに、これからのキーワードは3つ。まずは「アジャイルでのアプローチ」。これだけ不確実な状況であると、短期でトライアンドエラーを繰り返し、成果を導き出すアプローチが必要です。検討している間に世の中は変わりますから「スピーディーな意思決定」も同じく重要。そして成果が見えない変革に企業は投資をしないので「タンジブルな成果」も欠かせません。タンジブルな成果を前提に、アジャイルなアプローチを取りながら、スピーディーに意思決定、もしくは実行する。それが新しい企業の経営スタイルであり、コンサルティングファームの在り方になっていくでしょう。 他にコロナ禍による変化として、トップダウンでの変革が主流になったことも挙げられます。つまりコンサルタントは、最上流の戦略構想を描くところから、オペレーションに落とし込み、さらにテクノロジーを利用して実行していくところまで、「END to END」でクライアントを支援することが求められている。これはこれからのコンサルタントにとっての大きなやりがいでしょう。DTCの強みは、戦略からオペレーション、さらには働き方改革や人事制度の見直し、財務・経理、マーケティングの業務改革、デジタル化など、全ての経営課題に応えられる提案力がそろっていること。全社変革といった大きなニーズに応えられる「総合力」は、まさにこの先コンサルティングファームの競争力を左右する要素の一つになると考えています。 先行きが見えないからこそシェルパのような存在に コンサルティングファームの資産は言うまでもなく、人材です。社員がDTCで働くことに最大限の満足を得られるかが、今後の会社としての成長力を左右する、一番大きな要因でしょう。だからこそ、当社では「メンバーファースト経営」を掲げています。 それを推進するために、昨年から「タレントハピネス」という取り組みを始めました。これはメンバーがDTCで働くことや自分のキャリアを築くことに対してポジティブな状況をつくることを目的とした活動。年1回のサーベイではDTCで働くことに対して「非常に意義を感じている」という回答が多く得られています。コロナ禍で働き方は変わりましたが、テクノロジーを活用することで引き続きメンバーの心身の健康をサポートし、満足度を上げる仕組みをつくりたいですね。 また、具体的な人材育成において重視しているのは「パープル・ピープル」。これは青(ビジネス)と赤(テクノロジー)を兼ね備えた人材を意味します。従来コンサルティングにおいてはストラテジー&オペレーションが重視されていましたが、今後は戦略を立て、変革をする際にテクノロジーは切り離せません。だからこそ旧来のコンサルタントに求められていた思考力に加え、テクノロジーの知見があることが重要です。今後、われわれが目指すべきは「シェルパのような存在」だと思っています。シェルパとはヒマラヤ登山の案内人のこと。山の頂を目指す過程において、ある時はクライアントをけん引し、またある時は寄り添って共に歩く、そんな役割を果たしたい。先行きの見えない時代だからこそ、DTCの知見を結集し、未来を照らしながら、クライアントと一緒に頂上を目指す存在でありたいです。 デロイト トーマツ グループには「Shared Values」という共通の価値観がありますが、その一つ目が「Lead the Way」。「世の中や社会を変えていく先駆者たれ」というメッセージです。DTCがコンサルティングを行う対象は企業だけでなく、業界や日本の社会にまで及びます。NPO団体の支援の他、SDGsに基づくソーシャルインパクトの大きい活動にも力を入れ、より良い社会、より強い産業をつくることに貢献したいと思っています。 今、コンサルティングファームはかつてない変革を求められています。だからこそ、経営コンサル常に大きい。「日本を良くしたい」「業界を変えたい」「企業を強くしたい」。われわれはそういった思いで日々コンサルティングを行っています。同じ志を持つ方にとって、DTCでの仕事はきっと有意義なものになるはずです。ライフサイエンス×テクノロジー分野の執行役員に聞く「医療分野」のニューノーマル ヘルスケア領域で仕事をして約20年。今は医療業界全体が大きく変わっていくフェーズ デロイト トーマツ コンサルティング合同会社ライフサイエンス&ヘルスケア執行役員 根岸彰一氏 新型コロナウイルスによりデジタルシフトが加速 現在のライフサイエンス×テクノロジー分野には、二つの大きなトピックスがあります。 一つ目は、今までバラバラだったデータがつながるようになってきていること。これまで製薬や医療機器といった業界では、業務ごとに個別のアプリケーションを使用しており、データが一元化されていませんでした。しかしテクノロジーの進化により、膨大なデータを扱えるようになったことで変わりつつあります。 二つ目は「病気を治す」ことに対して、薬以外のアプローチが増えていること。例えばアプリです。日本ではすでに禁煙の補助をするアプリが医療機器として承認されています。 こうした流れを受け、最近では他業界からの新規参入も増えています。例えばテクノロジー業界や保険業界。データやアプリに関してテクノロジー企業が強みを発揮できるのは言わずもがなです。保険会社については病気や健康に関するデータを持っていることが大きいですね。データを有効活用すれば、病気を防いだり、治療後のケアに役立てたりできるかもしれない。そこに商機を感じる企業が増えているのです。 また、新型コロナウイルスにより、ライフサイエンス分野ではテクノロジーへのシフトが一気に進みました。例えばMRがドクターに会えなくなったことで、オンラインでのやり取りが必要になってきています。サイエンスに基づいたエビデンスをいかに見やすく整え、オンラインでドクターに見てもらうか。双方ともテクノロジーが得意とするところであり、MRの仕事の在り方は劇的に変わってきています。他業界からすると当たり前のことのように映るかもしれませんが、医療業界はこれまでなかなかデジタル化が進まなかったので、テクノロジーによって医療業界全体を変えていこうと考えているわれわれにとっては追い風といえる状況です。 また、臨床試験にも変化があります。被験者が医師と対面したり通院したりしなくても進められるやり方を検討し始めているのです。例えば血圧などの簡単なデータは家で計れますし、唾液などの検体も郵送できる。その上で遠隔診療を行えば、臨床試験の一部は自宅で実施できます。アメリカでは以前からすでにそのようなビジネスモデルがあり、「薬を配送する」といったサービスも現実味を帯びてきています。 今はまだデジタルやデータの本格的な活用は始まったばかり。薬事承認を得て医療機器として使えるアプリもまだ多くありません。そこでわれわれが注目しているのは、健康や病気に関するデータを集約し、個人の状態に合わせた薬の開発や病気の予防、治療後のケアに役立てること。いわゆるパーソナルヘルスケアの進展です。現状では、電子カルテを始めとした医療情報やIoT機器で収集されたパーソナルヘルスレコードは世の中に散在しています。製薬会社や医療機器メーカーも、商業化されたデータを購入する以外は自社が取得したデータしか保持していないのが現状です。 データを一元化するには、例えば医療機関から直接取り入れる、あるいは電子カルテのベンダー、サービスプロバイダーや病院と組んで情報を集める、といった方法が考えられます。しかし、これは一企業だけで推進できる規模の課題ではありません。場合によっては政府と協力し、国の事業として進める必要もあるでしょう。 これまでDTCは製薬企業や医療機器メーカーに対してコンサルティングをしてきましたが、今はその枠を超えて、「医療業界全体に対して何ができるのか」を追求しているところ。まだ始まったばかりですが、最近ではコンソーシアムのサポートも行っています。このような医療分野の現状において、DTCの強みの一つはグローバルの知見を持っていることでしょう。デロイト トーマツ グループにはグローバルで30万人以上の社員が在籍し、1万人以上ものライフサイエンスのコンサルタントがいます。新しいことへのチャレンジが盛んなアメリカや、テクノロジーが特異的に進んでいるイスラエルなど、世界各国の情報が即時に入ってくるし、コラボレーションも容易にできる。医療先進国の事例は、日本のクライアントにとって非常に有益ですから、こういったDTCの基盤は今後も生かしていきたいですね。 大きな目標を持った人たちと共に仕事ができるのが醍醐味 ライフサイエンス分野でコンサルタントとして活躍できる人は、自分の専門分野に限らず多様なことに興味を持ち、楽しんで仕事ができる人だと思います。今はテクノロジー、デバイス、アプリ……と、ライフサイエンスの領域がどんどん広がっています。製薬企業や医療機器メーカーもまた、事業の幅を広げようとしていますから、クライアントに先駆けて興味や視野をいかに広げられるか。好奇心旺盛に、自ら調べ、理解しようとする姿勢が重要です。 また、クライアントと同じ目線を持つことも大切です。もちろんビジネスではありますが、「どうにかしてこの患者さんを助けたい」「何とかしてこの病気をなくしたい」と、クライアントは常に患者さんのことを考えている。そんな優しく、大きな目標を持った人が多い業界だと感じています。だからこそ、コンサルタントにはクライアントをリードしながらも、しっかり寄り添う姿勢が求められます。相手が言っていることを、表層だけではなく、真意まで理解しなくてはなりません。 そして、そんな志を持ったクライアントや同僚と仕事ができることが、この分野で仕事をする醍醐味です。私は約20年間ライフサイエンスの領域に携わっていますが、ここ数年の変化はすさまじく、新型コロナウイルスの影響により、この動きはさらに加速するでしょう。今後は医療業界全体が大きく変わっていくフェーズですから、やりがいはより一層大きいと思っています。AR/VR領域のマネジャーに聞く「会社の在り方」のニューノーマル リモートワークの急速な普及でAR/VRの価値はより増していく デロイト トーマツ コンサルティング合同会社マネジャー 奥村大樹氏 AR/VRは社員の力を高めるためのテクノロジー AR(拡張現実)/VR(仮想現実)は、デジタルで生み出されたものを「体験」するためのテクノロジーです。私たちは現在、働き方改革の文脈で、「従業員エンゲージメントの向上」にその技術的特性を生かすことができないかを検討しています。 従業員エンゲージメントを高めるために、企業は社員が持つ力を常に発揮できる状態にすることが重要だと考えています。例えば効率的に仕事ができれば、作業は楽になり、早く帰宅することもできますよね。充実した職場環境があれば能力も発揮しやすくなります。生産性向上施策や従業員教育といった、従業員エンゲージメントを高める取り組みとしてのAR/VR利用は、2015年頃から少しずつ増えてきています。 では、実際にどのような事例があるのか。例えば製造業では、若手従業員のサポートにARグラスが利用されています。若手従業員がARグラスをかけて機械の前に立つと、グラスに付いたカメラを通じて遠隔地にいる熟練工は若手従業員の視野を共有できる。二人はあたかも同じ環境にいて、熟練工が横から指示を出しているかのように若手従業員は作業ができるというわけです。 高所での作業や工作機械での加工などリスクを抱える業務に従事する人に対しても、VRは使われています。作業に慣れるにつれて、恐怖心は薄れ、安全性への意識も薄れてしまうもの。そこでVRを使って事故をリアルに体験することで、安全性に対する啓発を図るのです。高所からの落下や、工場のプレス機などの巻き込み事故といった、命に関わる危険をリアルに近いかたちで体験する。リスクを認識することを通じて安全に対する意識を高める点で、非常に効果的です。 20年は新型コロナウイルスの影響で、働き方が大きく変わりました。改めて、この特殊な状況下で企業が継続していくために、何をする必要があるのか。アンケートを採ってみると、多くの企業で「従業員を第一に考える」という結果が出ました。 また、景気の減衰によって、一時的にIT投資を凍結するケースも見られる一方で、「働き方に関連するIT投資を継続する」と回答した企業は約3割に上ることも分かりました。「従業員が安心して働くことができる社内環境を提供していかなくてはいけない」と、改めて考える経営者が増えています。 これに対し、AR/VRは価値を大いに発揮します。コロナショックからの回復段階では、企業のリモートワーク体制は確立しているでしょう。しかし、リモートワークになったがために、孤独を感じてしまったり、オフィスに出勤しないことによって帰属意識が薄れてしまったりといった新たな課題が発生しています。 それに対応して、例えばVR空間上で他のメンバーと会って話をするといった、2Dのオンライン会議よりもリアルで自然なかたちでコミュニケーションが取れるサービスがつくられています。リアルアバターという自分自身を三次元キャプチャーしたリアルな分身が仮想空間に集い、身ぶり手ぶりも含め、同僚と会って話しているのと同じコミュニケーションができるのです。 さらに先の成長段階においては、AR/VRを単独のテクノロジーとして語る時期は終わり、テクノロジーそのものとしてはコモディティー化していくと思います。リモートワークが急速に普及したことによる反動としての「リアルなコミュニケーション」へのニーズや、AIやIoTなどの他のニューテクノロジーとの組み合わせによる新たな付加価値創造など、AR/VRの価値が再認識されるでしょう。AIアバターによる仮想空間上での従業員サポートや、IoTで収集したビッグデータを用いてリモートでも実機と同じ状況をARで具現化するなど、より多様なことができるようになると思います。 ただし、問題点があるのも事実。一つは通信スピード。高解像度でのリアルタイムなやり取りを実現するためには、通信スピードが追い付かない。これは5Gの登場により劇的に改善されるかもしれません。もう一つは、バッテリーの問題。特にARグラスに搭載できるバッテリーは小さく、長時間の連続利用ができません。 また、コスト面も課題です。AR/VRデバイスはPCよりも高いものですから。他に、新型コロナウイルスによってウエアラブル端末の共用利用への抵抗も生じています。 さらに多くの経営者にとっては、AR/VRのビジネスでの利活用はまだまだなじみが薄く、最初の一回目につなげることの難しさを感じています。ただ、一度体験すれば効果を実感していただけますし、特に先にお話した人命に関わるリスクの回避は、ROI(費用対効果)では語れないものです。 テクニカルの軸があれば自分のバリューは高まる コンサルタントはクライアントの課題解決を目的として従事しています。最善のソリューションを考えるにあたっては、AR/VRと他のテクノロジーを組み合わせることもしますし、反対にテクノロジー自体を採用しないこともあります。 コンサルタントにとって、AR/VRといったテクニカルな分野に精通している意義は、強力な課題解決のツールを使いこなし、クライアントにより高いバリューを提供できるということ。自分が興味を持っている最新のテクノロジーを用いて、ソリューションを提案し、クライアントと一丸となってゴールすることがこの仕事の大きな醍醐味。クライアントに価値が提供できるならば、ソリューションに制約は設けませんし、当社ではそれができる環境にあると思います。そんなクリエーティブマインドを持った方とDTCで一緒に新しいチャレンジをしていきたいですね。
2018年に50周年を迎えたデロイト トーマツ グループ。そのメンバーファームであるデロイト トーマツ コンサルティング(以下、DTC)は、コンサルティング業界において独自のポジションを築いてきた。次の50年の成長を支える、事業戦略とは何か。また同社のコンサルティング力は、どのように磨かれているのか。同社代表執行役社長 宋 修永氏、人事担当者に聞いた。 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 代表執行役社長宋 修永氏 韓国の大手電機メーカーで大規模のGlobal BPRプロジェクトに携わる。コンサルタントに転身後、グローバルSCM分野での戦略策定、業務プロセス・組織改革、IT計画策定・実行支援などを、自動車、電機といった製造業中心に数多く手掛ける。2018年より現職 50周年を迎えたデロイト トーマツ グループ 2018年、デロイト トーマツ グループは50周年を迎えました。その一員としてコンサルティングサービスを担うデロイト トーマツコンサルティング(DTC)は、コンサルティング業界の中でも極めてユニークなポジションを築くことができました。戦略特化のファーム、テクノロジーに強いファームなど、各社さまざまな特徴がある中で、DTCはあらゆる業種・業界のクライアントに、戦略策定から実行までを一貫して支援する総合コンサルティングファームとして地歩を固めています。総合ファームとしてあらゆる課題に対応できる理由としては、創業以来、徹底して「クライアントファー スト」の姿勢を貫いてきたからだと思います。 DTCは華々しくアドバルーンを打ち上げて満足するような会社ではありません。むしろ極めて地道な会社と言えるでしょう。いたずらに目先の収益のみを追求することはせず、我々のサービスがいかにクライアントの成果につながったのかを重視してきました。そのために、自社で高い基準を設けて、提供するサービスの品質にこだわり、ひたすらクライアントのビジネスの成功を追求してきた歴史があります。 我々は、その時々の流行のソリューションに安易に走ることなく、一つ一つの課題に真摯に向き合い、真に必要な改革を支援してきました。その結果として、特定分野にとどまらず、あらゆる領域における知見が蓄積されていったのです。 業種と課題の2軸でサービスラインを整備 DTCでは現在、二つの軸によるチーム編成をとっています。製造、金融、資源、パブリックセクターといった業界・業種別のインダストリーサービスと、戦略、組織変革、オペレーション、テクノロジーなど機能別のコンピテンシーサービスがあり、各領域にプロフェッショナルを有しています。 例えば、私自身はもともと電機メーカー出身で、半導体の専門家でした。コンサルタントとしては製造業を中心に、主にSCM分野でのストラテジーやオペレーション改革のプロジェクトに数多く携わってきました。このように、それぞれの専門分野において豊富な経験と高度な知識を持つメンバーがチームを組み、複雑な課題を解決に導きます。 そして重要なのは、このマトリックスが日本国内にとどまらないということです。全世界150カ国に及ぶデロイト ネットワークのエキスパートと連携して、グローバルな知見を共有しているのです。 これにより、クライアントに提供できるサービスの幅が大きく広がります。人材採用や組織改革における課題であっても、オペレーション変革であっても、DTCなら幅広い領域の知見を駆使してコミットし、いかなる難題にも応えることが可能です。そして、その積み重ねがDTCへの圧倒的な信頼につながるのです。 一方、社内のコンサルタントの視点から見ると、活躍のフィールドがそれだけ広いとも言えます。特に若い方々にとっては、あらゆる産業・領域のプロジェクトを、グローバルレベルで経験できるのは大きな魅力でしょう。DTCのクロスボーダーなアプローチは、世界中のどこにいってもその領域の第一線で活躍できることにつながるのです。クライアントファーストを徹底する厳しいサービス基準の下で、幅広い経験を積んで成長していただきたいです。 若手がクリエーティブに働ける環境を整えていきたい これまでにDTCは未来を見据えた投資を行いながら、総合ファームとして体制を固め、急成長を遂げてきました。しかし、この先も従来のやり方が通用するとは思えません。人口問題や環境問題などさまざまな社会課題への対応も必要ですし、デジタル、AI、クラウドなどテクノロジーの革新も進んでいます。 それに伴い、クライアントのビジネスも大きく変化していきます。例えば自動運転が普及したとき、自動車保険はどうなるのか。保険会社はどのようなサービスモデルを提供し、新しい時代をどう生き抜いていくのでしょう。このようなことを、クライアント自身も真剣に考えています。 そこでコンサルタントが従来の延長線上のアドバイスしかできないようでは、やがて必要とされなくなってしまいます。今、我々がなすべきことは、この先30年、50年後のDTCがどうあるべきか、大局的な見地から未来を描いていくことなのです。 私は、DTCの未来を創る主役を担うのは、若い方々だと信じています。我々の固定観念を軽々と飛び越えるような自由な発想をどんどん出してもらい、新しいDTCをつくってもらえたらと考えています。 私の役割は、若い人たちがクリエーティブに働ける環境を整えること。そのための投資は惜しみません。次の50年のために、未来を創るという挑戦に挑む若い人たちをしっかりとサポートしていきたいですね。 【人事インタビュー】DTC「次の50年」を支える 人材育成の取り組み デロイト トーマツ グループ50年の歴史で培ったノウハウを強みに、グローバルに通じるプロフェッショナル人材を育成してきたDTC。「次の50年」を担うコンサルタントを育てるための取り組みを、人事担当者に聞いた。 デロイト トーマツ コンサルティング 新卒採用チーム マネジャー押切 麻里子氏 コンサルタントの実力を伸ばす「基礎スキル」と「専門性」の強化 「デロイト トーマツ グループの一員として、『100年先に続くバリューを生み出すコンサルティング力』を強みに成長してきた私たち。今後のDTCを支えるプロフェッショナルを育てるための仕組みや機会を多く提供しています」 そう話すのは、DTCの人事を担当する押切 麻里子氏。実際に、新入社員の育成については特に力を入れている。 「入社するとまず、約2カ月間の『BA(ビジネス・アナリスト) ブートキャンプ』と呼ばれる新人研修が待っています。ここでは、プロジェクトに配属されてすぐに役立つスキルセットのトレーニングはもちろん、チームワークの醸成や自己の殻を破るためのプログラムも用意しています。活躍するビジネスパーソンとしての素地をつくるため、スキル・メンタル両面から成長をサポートすることが重要だと考えています」 とはいえコンサルタントが本当に成長するためには、実際のプロジェクトにおいて経験を積むこと以上のものはない。そこに、『インダストリー/コンピテンシーマトリックス組織』を持つDTCならではの成長機会がある。 「入社後数年は、数カ月単位のサイクルでさまざまな領域のプロジェクトにアサインされます。DTCでは、戦略・テクノロジー・組織変革・オペレーションなどの分野に分けられる『コンピテンシーサービス』の縦軸と、金融・資源・パブリックセクターなど業界別の『インダストリーサービス』の横軸が組み合わさってプロジェクトが発足します。専門性の高い各分野のプロフェッショナルたちのもとでプロジェクトに参画することで、コンサルタントとしての基礎スキルを身に付けるとともに、各業界や分野について学ぶことができます。そしてさまざまな領域を経験した後、自身のこれまでのプロジェクトを振り返りながら、適性や将来を考え専門領域を絞り込み、その中でさらにスキルを積み重ねていく成長モデルです」 その後は各プロジェクトの現場責任者ともいえるマネジャー、そしてプロジェクト全体を取り仕切るパートナーへとキャリアパスを歩んでいく。 「代表の宋をはじめ、社内は次世代の活躍に対して期待が最高潮に高まっています。コンサルタントとしての総合力・実践力だけではなく、専門性の高いプロフェッショナルに育ち、これから先のDTCをつくっていってほしい。そう考えるマネジャーやパートナーが多く、若手の方々が挑戦できる機会も豊富に用意されています」 専門性の高いビジネスプロフェッショナルとしてコンサルタントを育てる仕組み、そして若手の成長を大きく促す組織風土が、これからもDTCの成長を加速させる。 取材・文/瀬戸友子、大室倫子(編集部) 撮影/赤松洋太
内定も得て最終的に入社すべき会社を決定すると、いよいよ就職活動も終了します。しっかり準備をして長期間のプロセスを乗り越えた方、推薦を利用した方、短期間で決めてしまった方、いろいろな就職活動があることでしょう。 しかし、その最終版にあって多くの方がある疑問を持つことになります。 それは、“これは自分にとってよい就職なのか?”という疑問です。 周りの友人や知人、メディアやネットから就職活動について過剰ともいえる情報は、就職活動を終了させようとする時期にも、とぎれることなく流れてきます。そしてそれらの情報は、“自分の判断は本当に正しいのだろうか?”という疑問を生じさせる要因となるのです。自分のキャリアはどうなるのか、その仕事は自分にあっているのか、その会社の業績は今後も伸びてゆくのか、社員の人たちとうまくやっていけるのか、一人暮らしをできるのか、などなど疑問は尽きることなくあふれるように出てきます。 そもそも日本人はネガティブな情報発信を好みます。“知ってるか?あの会社って○○なんだぜ”のようなトーンでネガティブな情報を知っていることが、その会社のことをよく知っているかのように勘違いしていることが多いのです。加えて日本人は安定志向が強いなので、ネガティブな情報に過剰に反応してしまうということもあります。それらは仕方のないことなのでどうしようもありませんが、それらに振り回される必要もありません。世の中には星の数ほどの会社があります。そのすべてを詳細に確認して、すべてを理解したうえで一つの会社を選ぶことは不可能なことです。であるならば、あとは腹をくくって信じることこそが重要です“この就職はよい就職だ”と。 そもそも“よい就職”とはどんなものなのでしょうか。 私は、バブル世代で超売り手市場での就職活動でした。3泊くらいの拘束旅行(ご存知ですか?)もありました。同期は、証券会社、銀行、保険、TV局など名立たる企業に入社していましたが、私は従業員数200人程度の日系大手の子会社へ入社しました。社会人になって数か月後、そうした友人たちと旅行にいったときのことです。私の知らないところで“あいつは就職に失敗した”というようなことを言われていたのです。確かに企業も小さいし知名度もないし給与も年収で100万以上は違っていました。私が就職活動を適当にやっていたことも友人たちは知っていました。会社説明会は3社にいっただけで、最初に内定がでたところでその場で決めてしまうような就職活動です。そういうこともあって、“就職活動に失敗した”と言われてしまったのだと思います。しかし、そのいい加減な就職活動にも理由があります。それは学生時代にバイトをしていた塾の経営者から教えていただいた言葉です。一部上場企業の部長職まで勤められたその方は、私がとても尊敬する方で、一流企業の仕事のできる人をそのまま体現しているような方でした。“入社したら2週間で必ず辞めたくなる”、“やりたい仕事をさせてくれる会社なんてない”、“最初の3年で次の10年がきまる”ということをその方に教えていただきました。単純な私は、“だったらどこに行っても同じなのだから、就職活動は適当でいい”と考えたのです。勝負は入社してからだ、と。総合職で入社した私は人事に配属され、給与計算の担当になりました。確かに入社して1週間で“こんな会社やめてやる”と思いました。それでも、この3年が大事と思い1年目からとにかく勉強しました。会計、労働法、人事関連制度、システム、データーベース、経営など、あらゆることに手をだしていました。退屈な仕事も一生懸命やりました。人にも恵まれ、そうした方々から学ぶ機会もたくさんありました。 以後人事の領域で9回転職をして8社を経験し、今は採用を中心とした人事関連のコンサルティングを行う自営業をしています。(数が合わないのは1社出戻りがあるからです)私の経験やスキルは、一般的にみても優位であるらしく、日本はもとより、アメリカやマレーシア、インドなどからも直接仕事の相談をうけることができるようになっています。 結果として多すぎる転職をしてしまいましたが、最初の会社に就職したことも、この道を選んだことも後悔したことはありません。仕事も楽しいですし、経済的にも十分です。そういう意味では、1社目も間違いなく“よい就職”ができたと心から思っています。 少し、自慢話のようになってしまいましたが、お伝えしたいのは“いい就職”であるかどうかは、いまこの時に決まるものではなく、自分で“いい就職”にしていくものであるということです。皆さんもきっと多くの方が入社して2週間(おそくとも2か月)以内に会社を辞めたくなることでしょう。それでも、その会社と自分を信じて、よい就職にしていく努力が必要です。良い就職は与えられるものではなく、自分で作り上げていくものなのです。就職してからは、自分で決断し、その結果に責任を負うことになります。自分の将来を決めるのは、自分自身です。就職した会社で決まるわけではありません。 それでも、様々な事情でどうしてもその企業で勤め続けることが難しいという答えに行き着くこともあると思います。私自身は、できれば、3年は働いてみてほしいという思いはありますが、一日でも早くやめたほうが良い場合も必ずあることも理解しています。 人は誰でも自分の幸せのために行動する権利を持っています。(他の人を不幸にしないことが前提ですが。)幸せの形は人によって異なりますから、当然そのための行動は人によって異なります。入社後の早期退職ということであっても、それが自分の幸せのために必要なら行動を起こすべきです。新しいチャレンジのためのエネルギーが残っているうちに。 就職はゴールではありません、スタートなのです。 皆様のご健闘と活躍を心からお祈りいたします。 黛 武志採用コンサルティング 黛/MaYuZuMi 代表 大学4年秋に内定していた企業の親会社が社会的問題を起こし内定を辞退。担当教授に卒論を不可にしてもらい、就職留年。卒業後大手日本企業の人事に”不本意ながら”配属されるが、その仕事に魅了され以後一貫して人事のキャリアを歩む。SAPジャパンの採用責任者、メットライフ生命保険の採用部長などを歴任。現在は、採用全般についてのコンサルティングを行っている。日本人材マネジメント協会で採用についてのセッションを担当、LinkedInでいくつかの記事を公開し、”元採用部長”の名でNote にも執筆中。
こんにちは!type就活インターン生の横瀬です。 今回は2019年2月21日に京都市勧業館みやこめっせで開催された「type就活フェア プレミアム・キャリア in京都」の当日の様子をお伝えしたいと思います。「type就活フェア プレミアム・キャリア」は、コンサル・金融・IT・メーカー・商社などさまざまな業界から厳選された約30社が集結するイベントです。3月1日の情報解禁に先がけて、一流企業のビジネスを一気に知ることができます。また、企業の人事だけでなく現場社員の方も参加するため、よりリアルな話を聞くことができます。 また当日はイベント内セミナーとして3つのコンテンツをご用意いたしました。 (1)就活生の悩みに答える「19卒内定者トークセッション」 (2)「グローバルを舞台に、自分を超える挑戦を」 by:アクセンチュア (3)「外資メーカーの仕事内容・働き方」 by:P&G Japan どのセミナーも開始前から入場列ができ、多くの方にご参加いただきました。 それでは、当日の様子を少しずつですがご紹介してまいります!イベントは11:00スタートですが、「19卒内定者トークセッション」は10:15から。イベント開場1時間前という朝早い時間から、多くの方にお並びいただきました。 トークセッションでは、4名の19卒内定者が登壇しました。外資コンサル・外資メーカー・外資IT・日系金融という違う業界の内定者なので、それぞれ全く違う動き方をしているはず。 今回はスマートフォンを使ってリアルタイムで内定者に質問ができる形式で行われました。内定者の話をただ受け身で聞くのではなく、自分たちが聞きたいことをその場で伝えることができます。開場前から200人以上の方にお並びいただきました。合説は立ち見になってしまうことが多いですが、朝のオープン時はお目当ての企業の話を聞きやすいのがポイントです。この時間を逃すまいと、11:00のオープンと同時に自分の興味がある企業のブースにまっすぐ向かっていく方が多いのが印象的でした。 関西は東京に比べて就活に対する動きが遅いと言われていますが、解禁前ということもあり皆さん熱心に話を聞かれていました!用意された椅子が足りなくなっても後ろに立って説明を聞いたり、現場社員の方に質問をしようと並んで待っていたり…。また、午前から参加しお昼休憩後に再入場して、午後もたくさんの企業の説明を聞こうという方がたくさんいらっしゃったように思います。3月の情報解禁を前に多くの方が参加してくださった今回のイベントですが、やはり解禁間近ということで企業の方の説明を熱心に聞き、メモを取るなど「気合い」や「意気込み」を感じました!20卒向けの関西での大きな合同説明会はこのイベントが最後ということで、この時期には皆さんの中にも危機感や焦りもあると思います。このイベントで聞いたことを参考にして、自分の中で自分なりに整理して進んでいっていただけたらと思います。 今後は合同説明会よりも、企業や業界ごとに行うイベントが多くなってきます。自分の興味があるものには手間を惜しまず積極的に参加することが、就職にも、人生にも関わっていくと思います。type就活でもそのような就活イベントはまだまだ開催しておりますので、ぜひ足をお運びください! ■関西で開催するイベント一覧はこちら
今では外資系のみならず、多くの日本企業が“グローバル人材”を求めています。グローバルにビジネスを展開する、グローバルにパートナーと協業する、グローバルに生産拠点を構えるなど、ビジネス活動のあらゆる場面で“グローバル人材”が求められています。今後日本の人口が減少し市場も小さくなっていくことを考えれば、その傾向がより強くなることはあっても、弱くなることはないでしょう。 では、日本における“グローバル人材”というのは、いったいどのような人材のことをいうのでしょうか。ビジネスを中心とした活動の中で求められる人材という点を考慮すると、英語など日本語以外の言語が利用できる、というだけでは足りません。 私自身も調べてみて、いくつかの定義をみつけましたが、そのうち政府が設立した「グローバル人材育成推進会議」のものが一番わかりやすく整理されており、最も的をえているように思いましたので、ご紹介させていただきます。 「グローバル人材育成推進会議」によるグローバル人材 要素Ⅰ:語学力・コミュニケーション能力 要素Ⅱ:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感 要素Ⅲ:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー 言葉としてはとても簡単で当たり前なことにように思えますが、実はこれらを高いレベルで備える人材は、今の日本では非常に少数であり、その数はむしろ減少しているのではないかと私は考えています。 それぞれの要素について、私なりに少し解説を加えたいと思います。 要素Ⅰはスキルです。 そもそも意思疎通ができなければ何事も始まりませんので、語学力は必須といえます。語学、特に英語については大学生の方も努力をされる方々が増えているようで、その点は非常に良いことであると思います。ビジネスではコミュニケーション力とは、お互いの意思を理解する力だと私は考えています。ですので、うまく話をする、話題が豊富である、口数が多い、というもの意味するのではありません。相手の考えていることを理解し自分が考えていることを理解してもらうことができるかどうかがとても重要です。この要素Ⅰはスキルですので、いずれも本人の努力によってより高いレベルにすることが可能であるといえます。 要素Ⅱはコンピテンシー(行動様式)、です。コンピテンシーとは、行動をするうえで基本となる価値観や特性のことを指します。与えられるのではなく獲得する、難しいと思われることもあきらめない、同じ目的を達成するために協力しあう、自分の考え方に固執しない、そして最後まであきらめない、ということを意味します。いずれも一般的な言葉ではありますが、これを高いレベルで実現することは容易であるとは言えません。特に責任感・使命感については、わかってはいてもなかなか維持し実行するのは難しいかもしれません。社会にでれば、自分ではいかんともしがたい条件の元で目的を達成しなければいけないことが多々あります。その時に“○○を変えることができないんだからこれは実現しない”、とあきらめてしまうのではなく、あらゆる手段と可能性を探って何とかして粘り強く取り組み、目的を達成することが求められます。 これは、仕事も同じだと思いました。やりたくない仕事はやりたくなる仕事にすればいい、面白くない仕事は面白い仕事にすればいい、仕事をするのは自分自身なのだから。そう考えたのです。それ以降は仕事そのものに対してのネガティブな感情はほとんど持たなくなりました。どうにもならないことを嘆いても仕方ないので、自分の力でできることに全力で取り組む。それだけで仕事は楽しく充実したものになります。 そして最後の要素Ⅲ、“異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー”は、私はもっとも重要な要素であると思います。“グローバル人材”という言葉を考えたときに、どうしてもスキルやコンピテンシーにばかり目が行きがちで、多くの“グローバル人材”の定義は、この要素Ⅲの部分を考慮していないものが多くみられます。そういう意味では、「グローバル人材育成推進会議」のメンバーの方々は“グローバル”と“人材”のことを大変よく理解されていらっしゃるのだと思います。 “異文化に対する理解”というのは、知識や経験として異文化を知っている、ということとは意味が違います。いわゆるDiversity(多様性を受け入れる)のことを指しています。私たち日本人は幸運なことに(不幸かもしれませんが)、ほぼ同じ価値観をもつ人たちの中で生活をしています。そうすると自然にその生活の中で、暗黙の基準・標準(あたりまえ)がうまれ、共通の価値観がうまれます。その価値観を共有している人たちとの生活は非常に快適なので、そこから外れてしまう価値観を排除したり無視したりしてしまいます。ところが、日本の外に目を向ければ、本当に多種多様な価値観があることがわかります。グローバルな環境で働くときには、自分の日本人としての価値観(暗黙の標準・基準)は意味をもちません。日本人として当たり前であることがわからない人たちはたくさんいます。その状況で、“なんでこんなことがわからないんだ”と、その価値観とは異なる考えを持つ人たちに対してネガティブな感情を持ったり、その価値観を否定してしまうことは、自分を孤立させることになり、それこそ仕事になりません。大切なのは、自分と違う価値観があることを理解しそれを受け入れることです。そしてその異なる価値観には、それぞれの国ごとに背景や理由があるので、それも理解し受け入れることが重要です。 そしてこの“異文化に対する理解”と表裏一体となって“日本人としてのアイデンティティー”があります。「グローバル人材なのだから、日本に帰属するということを意識しない方がよいのではないか」という意見を聞くことがありますが、私はそうではないと思います。実際、私がいろいろな国の方々と仕事をするときに最も時間と労力を割いたのは、日本を説明することです。私たちが他者の価値観を理解し受け入れようとするのと同時に、他社も私たちのことを理解したいのです。その時、日本人である自分が日本のことを説明する責任が生じます。それには、“日本人としてのアイデンティティー”が必要となります。私は“グローバル人材”は自分がなにものであるかを説明できる人であると思っています。それができないと相互に理解しあい受け入れあうことができないからです。 “異なる価値観を受け入れ理解し、自分がなにものであるかを語ることができる”、これこそが“グローバル人材として最も重要なことであると、私は思います。 黛 武志採用コンサルティング 黛/MaYuZuMi 代表 大学4年秋に内定していた企業の親会社が社会的問題を起こし内定を辞退。担当教授に卒論を不可にしてもらい、就職留年。卒業後大手日本企業の人事に”不本意ながら”配属されるが、その仕事に魅了され以後一貫して人事のキャリアを歩む。SAPジャパンの採用責任者、メットライフ生命保険の採用部長などを歴任。現在は、採用全般についてのコンサルティングを行っている。日本人材マネジメント協会で採用についてのセッションを担当、LinkedInでいくつかの記事を公開し、”元採用部長”の名でNote にも執筆中。
こんにちは!type就活事務局インターン生の横瀬です。 今回は京都で開催した「【20卒限定】就活力レベルアップ講座」の様子をお伝えします。 この講座は、“3月の情報解禁までに就活準備をしてきたけれども、なかなか不安や心配が抜けきらない”という20卒の方に向けて企画しました。当日のプログラムは以下の3部構成! (1) ワークシートを用いた振り返り (2) 講師の方と19卒の方によるセミナー (3) 今後の就活の方針を決めるワークシート では、早速イベントの様子を見ていきましょう。まず初めに、今までの自分の就活準備に対して振り返りをしていただきました。インターンや企業説明会、自己分析などこれまで行ってきたことに対して「なぜ?どうして?」と深く考え、自分の目で見える形で動き・考えの再確認をしました。 参加者の方はワークシートの枠を目一杯使い、しっかりと文字に起こして振り返りをしていました。セミナーの初めにtype就活で長年企業の採用支援を行ってきた講師から、実際の就活の動きについて説明がありました。3年生から4年生までの年間スケジュールを用いて、学生と企業の動きをチェックしていきます。今年の関西学生の傾向や動き出しの部分も併せて説明があり、皆さん熱心に話を聞いていました。 また、19卒の内定者の方からは、身につけておくべき就活に必要となる力についてアドバイスもいただきました。実際に去年感じた経験をまじえて話をしてくださったので、今現在の自分と重ね合わせて聞くことができたかと思います。自己分析についての話の中でも、講師の方から「100人の友人に自己分析を手伝ってもらった人がいる」という驚きのエピソードが飛び出しました。19卒の方も、スマートフォンのメモ機能に思ったことや感じたこと、考えなどをすぐ書き込むようにして何百枚もの膨大な量のメモになったと話されていて、就活のためにどれほど力を入れのだろう…と考えてしまいました。最後のプログラムでは、講座の冒頭で記入したワークシートと、セミナーで聞いた内容に基づいて「これからの就活の自分の動き」を整理していきました。 1, 今までの就活準備で身につけたこと 2, まだ身につけられていないが必要だと思ったこと 3, それをいつまでにどう身につけていくのか 以上3つの点を可視化できるよう、もう1つのワークシートにまとめていきます。 身につけられていないことをセミナーの内容から見つけ出し、それを3月の情報解禁まで、またはそれ以降の選考までにどういう形で身につけていくのかをできるだけ具体的に書き出します。講師の方と19卒の方から就活イベントの上手な使い方や、行動していくことの大切さなどのアドバイスを受け、自分自身と向き合っていただきました。 今回の就活力レベルアップ講座は「書き出す」行為が多くありました。頭の中で思っていることを文字にすることで、自分自身の行動がより一層深く理解できるのではないかと思い、そのようなプログラムにしました。参加者の方の中には、ワークシートの枠の外までギッシリと書き詰めている方もいらっしゃいました。2時間の講座でしたが、この2時間で整理できたこと・得たことは大きかったのではないでしょうか。(来場者アンケートより) 「とてもためになりました。自分の強みを振り返る機会がなかったので、今日は人生の分岐点になりました。」 「自分がどの位置にいるか可視化できるいい機会になりました。」 「物理的なゴールまで逆算して今自分に何ができて何ができていないかを考えるべきだという話がとても印象的でした。」 自分自身の今まで行ってきたことを振り返る時間をしっかり取る機会がある方は少なく、この時期に時間を取って振り返りをできたことへの満足度はとても高かったです。 また、これからの活動についても可視化することで明確になった方が多く、今後に活かせるという声もいただきました。 今回の講座は、自分でイチから考えて「同じ20卒として今の不安を少しでも和らげることはできないか」と思い、作り上げたものでした。初めてのことが多く当日の司会も自分の思っているようにはいきませんでしたが、それでも何かを得たり感じてくれた方がたくさんいらっしゃってとてもうれしかったです。参加してくださった方々、本当にありがとうございました。 引き続きtype就活ではさまざまなイベントを行ってまいります。関西で行う選考会もありますので、興味があるものにはお早めにエントリーください! ■関西地方で開催するイベント一覧はこちら
豊かな人生を送るための働き方を考える時に、最初に思い浮かぶキーワードは、ワーク‐ライフ・バランスでしょう。これまでの仕事中心の生き方から仕事以外の時間を充実させることで、クオリティ・オブ・ライフをより高いものにしていこうとする考え方は、いまでは非常に一般的なものになっています。働く環境をよりよいものにすることがリテンション(良い人材をつなぎ留めておく)に有効であり、またパフォーマンスの向上にも効果が見込めるとして、企業も積極的に取り組むようになっています。また、より多くの学生に興味をもていただけるキーワードであることも承知しているので、会社説明会でもかならず取り上げられるトピックスの一つになっています。 確かにワーク‐ライフ・バランスは、人生を豊かにするためにとても重要な考え方だとおもっています。 しかし、仕事に真剣に取り組むことを悪いことであるかのように語り、楽な仕事選ぶ方がよいというような考え方に私は全く賛同できません。新卒採用の担当者として学生の方と話をしていても、“楽に仕事をする”、“仕事はお金のため”、“自分の時間を楽しむ”といったような考え方で、仕事を適当に片づけてそこそこの地位と報酬さえもらえれば十分、といったような価値観が見え隠れすることが多くなってきたように思います。こうした考え方は、非常に危険で正しいものではありませんし、決してクオリティ・オブ・ライフを高めることにはなりません。 理由は大きく二つあります。 一つ目は、休みが多く働く時間が短くても、仕事は人生の可処分時間(自分の意思で使える時間)の多くを占めるものであるということです。いくら仕事以外の時間が充実していても、人生の多くの時間を占める仕事そのものが充実していなければ、それは人生の多くの時間を無駄にしていることになりますし、仕事が楽しくなければ、それ以外の時間も楽しむことは難しいでしょう。とはいえ、キャリアを追い求めたり、休むことなく遅くまで残業するような働き方を勧めているわけではありません。仕事をしている時間を『充実感や達成感を得られるようなものにすること』が重要なのです。自分のやりたい仕事ではないことをさせられたり、思い通りにならないこともきっとあるでしょう。しかし、それを理由にして仕事に真剣に取り組むことから逃げてしまうのは、あまりにももったいない気がします。 確か20年近くも前、私が30代だったときのことです。ある料理家の女性の方へのインタビューを、偶然テレビで拝見しました。「これだけ沢山の料理をしていると、失敗作も多くあったのではないですか?」という質問に対して、「失敗はありましたが、失敗作はありません。確かに、料理を作っているうちに本来作ろうと思ったものとは程遠いものになることはあります。でも、そのあと工夫をしてちゃんと美味しい別の料理に仕上げるようにします。ですので、私がつくった料理で失敗作はありません。」 これは、仕事も同じだと思いました。やりたくない仕事はやりたくなる仕事にすればいい、面白くない仕事は面白い仕事にすればいい、仕事をするのは自分自身なのだから。そう考えたのです。それ以降は仕事そのものに対してのネガティブな感情はほとんど持たなくなりました。どうにもならないことを嘆いても仕方ないので、自分の力でできることに全力で取り組む。それだけで仕事は楽しく充実したものになります。 二つ目の理由は、仕事を充実させることで将来の選択肢の幅を広げることができる、というものです。今の自分にとって何が最善であるかを決めることは、難しいことですが、可能です。一方、未来の自分や自分に起こるかもしれない何事かについての最善の策を、今の自分が決めることはほぼ不可能です。それでも今の自分にできる有効な手段が一つだけあります。それは、その時のために可能な限り多くの選択肢を持てるように準備をすることです。そして仕事は、選択肢を多くするための非常に有効な手段となります。日々の仕事を充実させ、楽しみながらやっていくことで、自ずとキャリアは高くなっていきます。仕事の内容も、権限も、役割も、関係者からの信用も、報酬も、本人の能力も、仕事に関連するあらゆることがより高いレベルになっていきます。将来、何事か対処しなければいけないことが起こったときに、そのための選択肢は、キャリアが高いほど多いものになります。理由は簡単で、自分の選択肢は自分のキャリアを超えることができないのですから、高ければ高いほど選択肢が増えるからです。 私もワーク‐ライフを考えて二度大きな決断をしました。一度目は、あまりにも仕事に使う時間が多すぎて、家族との時間を作るために転職したことです。結果、私は十分な家族との時間と、世の中一般からすれば十分な報酬と役職を両立させることができました。二度目は、つい最近ですが、自営業になったことです。自営業になった理由は、一人になった実家の母親との時間を持つことと、思い出のある生まれた街のために仕事をしたい、という二点です。これらを実現させるために自営業となりました。それでも会社員でいた間に前向きに、積極的に仕事に取り組んでいたおかげで、自営となってからも十分に生活できるだけの仕事をいただけるようになりました。当時一緒に働いてくださった多くの方々に助けていただいています。今は、実家のある街で新しい取り組みをするために準備をしています。周りの人からは“もったいない”といわれたこの二度の決断ですが、それまで仕事を充実させてきたからこそ実現が可能であったと思っています。 誤解を恐れずに言えば、仕事をすることは間違いなく個人の価値を上げていくための研鑽の場であるといえます。価値が高くなるほど将来の選択肢は増えてゆき、人生の多くの事に対処できる可能性が高くなります。そのためにも、仕事には真剣に前向きに取り組むべきです。与えられる環境に大きな違いはありません。違いがでるのは、その環境で自分がどのように振る舞い、取り組むかということによるものです。仕事なんてどうせ面白くないと思う人は、楽しい仕事に巡り合うことはありません。仕事なんて適当でいいと思う人は、仕事で充実感を得ることはありません。仕事なんて思う通りにならないと思う人には、思い通りの仕事ができるチャンスは訪れません。仕事をないがしろにして余暇のみを楽しむ人たちは、余暇以上に時間を使う仕事が充実していないので、全体として考えたときにはクオリティ・オブ・ライフは決して高いとは思えないと考えます。 仕事には、面白くないこともあるのは確かです。だからと言って、仕事を余暇のための時間にしてしまうのは、勿体ないと思いませんか?どうせやらなければいけないのなら、積極的に、前向きに、楽観的に、楽しみながら、(少しだけ)わがままに、そのほうが充実した時間を過ごせるとは思いませんか? 黛 武志採用コンサルティング 黛/MaYuZuMi 代表 大学4年秋に内定していた企業の親会社が社会的問題を起こし内定を辞退。担当教授に卒論を不可にしてもらい、就職留年。卒業後大手日本企業の人事に”不本意ながら”配属されるが、その仕事に魅了され以後一貫して人事のキャリアを歩む。SAPジャパンの採用責任者、メットライフ生命保険の採用部長などを歴任。現在は、採用全般についてのコンサルティングを行っている。日本人材マネジメント協会で採用についてのセッションを担当、LinkedInでいくつかの記事を公開し、”元採用部長”の名でNote にも執筆中。
2,3年前までは、最新のテクノロジーでまだ研究段階であったAIが私達の生活の中に入り込みはじめています。そのAIは、これから労働人口が減少するであろう日本で、一つの対応策として期待されています。そして、それは働く現場での大きな変化、つまりAIと私達が共存するということを意味しています。 AIの可能性は十分に理解してはいるものの、一方でAIによって仕事が奪われていく、というようなことを考える方もいらっしゃいます。AIが100%私達人間の変わりが務まるわけではない(今のところは)ですが、それはある意味正しい考え方だとも言えます。働く現場でこれまで人間が行っていたことをAIに代替するわけですから、それによって実際に仕事を失う人たちは必ず存在するからです。では、私達はAI時代でどのような仕事選びをすればよいのでしょうか。 まだ終身雇用が前提とされていた昭和では、社会的なステイタス、長期安定雇用、平均以上の収入など、大手企業への“就社”には相応の意味がありました。入社した後のキャリアを会社に委ね、人事異動によるローテションで様々な業務につき、その会社のスペシャリストになることで、就社した会社でのキャリアアップを実現していました。企業は成長し続けていましたので、多くの人が一定レベルの管理職につくことができ、相応の報酬を得ることができていました。しかし、終身雇用が絶対的なものではなくなり、就職した企業の存続さえ約束されたものではなくなってきている現在では、自分のキャリアを会社に預けてしまう“就社”は、大きな将来的なリスクを抱えてしまうことになります。 私は、仕事を選ぶ際に留意しなくてはいけないこととして、以下の2点があると考えています。 1) これまでの仕事はAIが代替できる仕事とそうでない仕事に区分される 2) 新たにAIを作る、AIを操作する、AIを利用するという三つの仕事が生まれる こうした働く環境についての大きな変革は過去にも起きていました。古くは産業革命です。それまで人力に頼っていた動力源が蒸気機関という道具によって、より効率的に、より大きな成果を得ることができることになりました。この結果、人の仕事は蒸気機関で代替できる仕事とできない仕事に分けられました。 そしてもう一つ、私自身が経験したことでもありますが、PCとインターネットの普及による変革です。それまで、人がおこなっていた計算・分析・描画・デザインなどを、PCとインターネットで代替できるようになりました。これにより仕事はPCとインターネットで代替できる仕事とできない仕事に区分されたのです。 同じようにAIという新しい道具の登場は、それによって代替される仕事と代替が不可能な仕事に分かれることになります。当然ですが、代替可能な仕事は価値の低い仕事とみなされることとなります。こういう話をすると、“AIで仕事がなくなる危ない業界”といった業界単位でくくってしまう論調もありますが、実際は業界による区分ではなく、企業の中の一つひとつの業務、さらに一人が担当している業務の中でその区分が行われることになるのです。AIに任せるべき業務と人が行うべき業務、それぞれが一人の業務のなかに混在していくことになると思います。当然、AIに任せるべきことは任せて、人はそれ以外のところに集中できますので、生産性はあがっていくことになります。産業革命のときも、仕事を奪われると考えた一部の労働者が暴動のようなことをしたりしましたが、実際には肉体労働から解放された結果、生産性があがり個々人の賃金も上昇した、という事実もあります。 AIに代替される可能性がある仕事を考える時に、キーワードとしてあげられるのが、“マッチング”です。“マッチング”は、過去の統計を利用しつつ利用者の移行にあった商品(情報やサービスを含む)を提案する仕事があります。具体的には営業、マーケティング、仲介(人材、不動産など)が考えられます。そして、ルールや制度でやるべき仕事がきまってくるものも、ルールや制度との“マッチング”を行う業務といえますのでAIに適しています。申請・報告・処理をおもな業務とするような仕事などで、例えば公務員の事務方のような仕事です。ただしこれらもすべてが代替するわけではありません。人間の五感を通じて感情に訴える要素があるような業務は、引き続き人間での対応が必要となります。たとえば高価な買い物をするときに、いくつかの提案をAIが行い営業は顧客に寄り添い意思決定を促す、というようなことが考えられます。AIに代替できないのは、結局のところ人間としての力ということになりそうです。 新しい道具の誕生は、新たな仕事を生み出すことになります。それはその道具を、作る仕事、操作する仕事、そして利用する仕事です。例えばPCでは、PCを作る仕事、PCを操作する仕事、そしてPCを利用する仕事ということになります。 PCが世に出始めたときには、PCを作り販売する仕事は花形でもあり、そうした会社の多くは大きな成功を収めていました。ご存知の方も多いかもしれませんが、IBMは、International Business Machineという社名のとおり、もともとはハードウエアの会社でした。1980年代までは、メインフレームを中心としたハードウエアで大きな成功を収め、その後もビジネス利用のPC事業を行っていました。しかし、テクノロジーの発展にともないPCはコモディティ化し、PC事業でのIBMの優位性はなくなってしまいました。その後のIBMはソリューションビジネス(利用する仕事)に大きく舵をきり、堅調であったThinkPadの事業さえ発表から10年で売却しています。(事業開始時点で決めていたとも言われています)。いまではPCは物家電と同等に価格以外の差別化が難しい状況になってしまい、日本でも数多くあったPCメーカーが事業の売却や撤退などを行い、現在では大手メーカーとしてはパナソニックのみになっています。 また、当時はPCとそのソフトウエアを利用するために専門的な知識が必要とされる仕事も少なくなく、高いレベルの利用をするための専門職が存在していました。しかしその後、ハードとソフトのユーザビリティとユーザーのリテラシーの向上によって、操作に専門的知識を必要としなくなりました。その結果、現在では、『技術を要する専門職』ではなく『その業務を専門的に行う専門職』という位置づけになってしまい、その職種の価値は大きく変わりました。そして、現在でも高い価値を生み出しているのはPCを利用する仕事です。これは使用するという意味ではなく、PCを利用して新しい価値を生みだす仕事という意味です。PCの持つポテンシャルを十分に生かして業務を行ったり、新しいサービスを提供することを指します。 こうした考え方は、間違いなくAIについても同じことが言えると考えています。AIを作る仕事、AIを操作する仕事、AIを利用するという3つの仕事が新たに生まれます。 PCがそうであったように、こうした新しい道具は予想以上に早くコモディティ化することになりますので、安価になったAIで代替できる仕事の経済合理性の限界点はどんどん低くなっていく、つまり価値が下がっていくことになります。また新たに生まれる仕事のうち、AIを利用するという仕事以外の価値は、一部の人を除きそうは長続きしないということも予想できます AIが当たり前となる世の中にあって、どのような仕事に就けばよいのか、明確な答えをだすのは難しいですが、AIの特性を理解したうえで、AIでは代替できない仕事もしくはAIを利用する(利用して新しい価値を生む)仕事を選ぶことは、自分の仕事の価値を高く維持するためには、間違いではないように思います。そして、それは業界や職種というより、働く人一人ひとりの意識にかかっているとも言えます。 これまでの日本人は、一般的に“作る”と“操作する”というところがとても好きで得意としていました。最先端の技術を使った新しいものを作る、そうしてつくられたものを操作するといったような仕事です。一方“利用する”というところはあまり得意ではなかったようで、他国に後れをとっている部分もありました。例えばITシステムなどでもそうですが、どうも日本人は最先端の技術に携わりたいであるとか、必要以上に細部にこだわったシステムを作るといった特性があり、作り手の満足のためにシステムを作るともいえるような傾向がみられました。そうしたことが高いクオリティを実現することになるので、すべてを否定するつもりはありませんが、それにしても作ることにこだわりすぎる感がありました。しかし、インターネットが世の中の基盤となり、スマートフォンやタブレットが手元にあることが当たり前である皆さんのような新しい世代の人たちは、これまでの日本人と比べると“利用する”ということに非常に長けていると実感しています。 AIが当たり前である世の中であっても、自分自身が、“AIには代替できない”、“AIを利用する”といった意識をもって仕事をする限り、新しい世代の皆さんは大きな心配は不要であると思います。AIも(いまのとことろは)道具なのですから。 黛 武志採用コンサルティング 黛/MaYuZuMi 代表 大学4年秋に内定していた企業の親会社が社会的問題を起こし内定を辞退。担当教授に卒論を不可にしてもらい、就職留年。卒業後大手日本企業の人事に”不本意ながら”配属されるが、その仕事に魅了され以後一貫して人事のキャリアを歩む。SAPジャパンの採用責任者、メットライフ生命保険の採用部長などを歴任。現在は、採用全般についてのコンサルティングを行っている。日本人材マネジメント協会で採用についてのセッションを担当、LinkedInでいくつかの記事を公開し、”元採用部長”の名でNote にも執筆中。
こんにちは!type就活インターン生の土肥です。 今回は2018年11月2日に京都市勧業館「みやこめっせ」で開催された「type就活フェア OB・OG訪問 in京都」にはるばる関東から関西まで行ってきましたので、当日の様子をご紹介します!総合商社、コンサル、金融、メーカー、ITなど業界のトップ企業30社が一堂に集結する合同説明会です。ではなぜ「OB・OG訪問」なのでしょうか? 実は今回のイベントは通常の合説と異なり、企業の人事のみが参加するわけではありません。新卒で入社した若手社員を始め、現場で活躍している方々や、内定者も参加します。 さらに、type就活上でフォローした企業の説明会に参加するとOB・OG訪問のご案内が届く可能性があります。イベント全体をとおして、就職活動で一度はするであろうOB・OG訪問のチャンスを早い段階から掴めるというわけです。 秋冬インターン情報や本選考情報が満載の企業ブースほか、セミナー会場では日系大手企業の特別講演が行われました。開場30分前ほどから会場に学生が集まりだし、少し硬い表情をされている方が多かったような気もします。 12:00になりいよいよ開場です。前日に発売された『type就活プレミアム・マガジン』を受付でもらい、お目当ての企業のブースに向かいます。先日行われた東京開催の同イベントに引けをとらない大盛況!関西の土地柄なのかもしれませんが、企業の方に積極的に話しかけている方が多く、会場が明るいような気がしました。 13:00からは先着制の特別セミナーもスタート。今回はソニー様、JT(日本たばこ産業)様、LINE様、三菱商事様にご講演いただきました。どの企業の講演もすぐに満席となり、企業の方にも熱の入った講演をしていただきました。 イベントは19:00まででしたが、最後の最後までいらっしゃる方も多く、企業の方も終了時刻いっぱいまで学生さんの質問に答えていらっしゃいました。みんながこれから本格化する就職活動に向けて行動しているんだなぁと感じました。関西でのイベントは年に数回しかないからこそ、学生の皆さんは熱心に聞き入っている印象でした。また特別セミナーもめったに講演を聴く機会のない企業様もいらっしゃったので、新鮮でしたね。 インターン生の視点から言わせていただきますと、「就職活動のための就職活動」になりがちな世の中になりつつあると感じています。しかし今回のイベントのように社員の方と交流する機会を通して「一回しかない人生の一部としてどう働きたいか、それを考えることの一つに就職活動がある」と感じてもらえればうれしいです!今回のイベントの前日11月1日、『type就活プレミアム・マガジン』が発売となりました!今回のイベントに参加してくださった関西の学生の皆さんには受付でお渡ししました。 年に一回だけ発行するこの雑誌、今年はデザインや内容も、今までとは一味も二味も違うテイストになっております。 今年のテーマは「変わる、就職」。企業の方のインタビューを始め、芸能人や世間で話題に上がっている著名人にもインタビューをしており、それぞれが考える今後の仕事のあり方や価値観を語っていただいております。充実した人生を送るためにも、学生の皆さんにはぜひ読んでいただきたい一冊になっております! 全国の書店や大学生協にもありますのでご一読を! オンライン購入はこちらからどうぞ! →Fujisan.co.jp →Amazon.co.jpいかがでしたでしょうか?次回のイベントレポートもお楽しみに! ■今後開催予定のイベント一覧はこちら