世界150カ国に25万人のプロフェッショナルを有するEYのメンバーファームである、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)で、事例の少ない新規事業の開発プロジェクトを手掛ける三浦貴史さん。新卒で入社した大手メーカーでの経験を通じ、20代は迷いながらスキルを磨く時期だったと振り返る。
「社会貢献性があり、海外に展開できる働き方をしたくて大手メーカーに入社しました。海外では年齢を問わず大きな権限が若手に与えられていることを知り、ビジネス環境の差に衝撃を受けました」
30代になり、新たな挑戦の場を求めた三浦さんは、国内コンサルティングファームに入社し、ベンチャー企業の新規事業立ち上げなど、事業創出の経験を積み重ねていった。常に新たな可能性を模索し続ける三浦さんが次のフィールドに選んだのがEYSC。大手メーカーでの海外経験と、蓄積したコンサルティングの経験を組み合わせ、さらに自らを高められる可能性を感じたからだという。
「世界中の拠点に在籍するプロフェッショナルなメンバーと協力してスケールの大きなプロジェクトを動かせる。私にとって、理想的な環境だと感じました」
現在、ディレクターとしてプロジェクトを指揮している三浦さんが手掛けているのは、イノベーションの領域だ。
「価値を創造する“イノベーション”は、国内企業が出遅れている領域です。現在は、AIやIoT、ロボティクスなどのテクノロジー活用に関連した事業創出に取り組んでいます。最近では特にオープンイノベーションのテーマを扱うことが多いです」
オープンイノベーションと一口に言えど、「どのような事業領域に進出すべきか」「目的達成のために何を外部から補完すべきか」「どのスタートアップ企業を選定すべきか」と無数の選択肢がある。
「予測される市場の規模と成長性から、ビジネスモデルの構築、マネタイズモデルの構築と、検討すべき項目は膨大です。飛散しがちな議論を整理することも大切ですが、重要なのはクライアント自身が気付いていないニーズを顕在化させ、実現のための筋道を立てること。それこそが、私が提供すべき価値なのだと思っています」
進化するテクノロジーと既存のビジネスをどう組み合わせるか。先行する海外事例も、日本では商慣習や市況感が異なる。スピード感が求められる中で、専門分野の異なるプロフェッショナルが連携するEYSCの強みを最大限活用し、プロジェクトが動き出す。
「私がリーダーとして心掛けていることは2つ。一つは、EYSCのグローバル規模で蓄積されたナレッジを活用すること。そして、もう一つは、チームとして任せるべきは任せ、引き受けるべきを引き受けるという役割分担です」
ゼロから生み出すのではなく、既存の手法やアイデアを掛け合わることで、今までにない切り口の解決策が生まれる。そのためには、想定されるエンドユーザーや、販売チャネルに自ら足を運び、直接ヒアリングすることをいとわない。
「机上で収集できるデータだけではなく、生の情報を取得する。そうすることで、市場の実態に深く切り込むことができるのです」
クライアントのために自ら汗をかく情熱を欠かさない一方、先進性の高いテクノロジー領域については専門家であるメンバーを信頼し、客観的な分析に徹する冷静さも持ち合わせている。三浦さんは、複雑に絡み合う全ての組み合わせを最適化して、新たな価値を生み出すという強みを武器に、今日も新たな可能性に挑み続けている。
PROFILE
みうら・たかし/ 2004年に国際基督教大学を卒業後、大手メーカーで海外営業を経験。その後、国内コンサルティングファームを経て、2013年2月、EYストラテジー・アンド・コンサルティングへ入社。「イノベーション」をテーマとしたプロジェクトをリーダーとして主導し、グローバルな舞台で活躍を続けている