2018/4/17 更新 個×組織で最高のバリューを生み出すコンサルティングファーム

戦略の立案から実行までをやりきるプロジェクトの現場で実践スキルを磨く! 若手育成のリアルな舞台裏【KPMGコンサルティング/戦略コンサルタント座談会】

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個×組織で最高のバリューを生み出すコンサルティングファーム【第2回】 ―powered by KPMG―
コンサルタント一人一人の“個の力”を引き出し、チームワークで“組織の力”に変えて、クライアント企業へ最高のバリューを生み出すスタイルを貫くKPMGコンサルティング。本連載では、同社の組織風土や若手人材への成長機会の提供について紹介していく。第2回は、同社の戦略コンサルティング案件に携わるコンサルタント3名による座談会を開催。「ビジネストランスフォーメーション」を手掛けるプロジェクトの現場で、どのように仕事に取り組み、学びを得ているのかを聞いた。

KPMGコンサルティング株式会社
Business Transformation ディレクター
永島 大氏 【写真左】

慶應義塾大学大学院修士課程修了後、大手外資系コンサルティング会社に入社。戦略立案、オペレーション変革、組織再設計、ITシステム導入支援など、幅広いコンサルティング案件に従事。KPMGコンサルティング参画後は、先進テクノロジーやデジタル技術を活用した、マーケティング・営業およびSCM領域の改革プロジェクトを多数リード。スペインIESEビジネススクール経営学修士(MBA)

ビジネスアナリスト
似鳥ひとみ氏 【写真中央】

慶應義塾大学卒業後、2017年4月、KPMGコンサルティングに入社。現在、新入社員が全員所属する『StartUps』と呼ばれるビジネスユニットにて、社内のさまざまなチームの案件に参画しながらトレーニング中

シニアコンサルタント
久村洋介氏 【写真右】

青山学院大学大学院修士課程修了後、大手金融機関へ新卒入社。その後、コンサルティングファームに転職し、システム開発から導入、運用までを行うITコンサルティング案件を数多く手掛ける。2015年4月にKPMGコンサルティングへ入社。ITの知見を活かし、大手製造業クライアントの事業変革などに携わる

結果にこだわるからこそ、人を育て、その力を伸ばす

――まずは戦略立案や変革構想策定案件を主としてリードするユニットであるBusiness Transformation(以下、BT)のミッションを教えてください。

永島 大氏(以下、永島):
BTが担っているのは「ビジネストランスフォーメーション」、つまりクライアント企業全体の事業変革の支援です。

クライアントの全社戦略・事業戦略、マーケティング戦略・営業戦略、サプライチェーン再構築、グローバルオペレーティングモデルの再構築、各種オペレーション変革・効率化など、幅広い領域において、構想立案から実行までを支援していきます。

そのためには、業界や各業務領域の深い知見に加え、最近でいえば最新テクノロジーに関する知見も必要とされます。従って、プロジェクト推進においては、BT内でのメンバー同士の連携はもちろん、KPMGコンサルティング(以下、KC)内の各チームやグローバルチームとの連携など、さまざまなプロフェッショナルとコラボレーションすることが非常に多いですね。

――クライアント企業に深く入り込み、企業・事業の全体を見渡しながら幅広い領域に携わることから、BTのプロジェクトは新入社員のOJTの場として活用されることも多いと聞きました。

そうですね。その背景にある、当社での若手メンバー育成の仕組みをまずは簡単に説明させてください。

KCでは、若手メンバーが早く価値あるコンサルタントとして立ち上がるように、『StartUpプログラム』を実施しています。これは、学習と交流を主軸に置き、コンサルタント基礎スキルの鍛練と共に幅広い経験・社内ネットワークの構築を支援するものです。

このプログラムの一環として、マネジメントコンサルティング部門の新人はビジネスアナリストの間は、共通プール組織『StartUps』に所属します。一つのプロジェクトや特定領域のみに偏ることなくベースの力を高められるように、この期間はさまざまなユニットのプロジェクトに参加してトレーニングを重ねていきます。

先ほど申し上げたように、BTのプロジェクトはクライアント企業・事業の全体を見渡しながら幅広い領域に携われるので、新入社員のOJTの場としては良いものだと思っています。似鳥さんも、『StartUps』に所属して最初に参画したのが、うちのプロジェクトだったよね?

似鳥ひとみ氏(以下、似鳥):
はい。新卒入社して1カ月の時でした。初めてのプロジェクトで、最初は一人では満足にタスクをこなすこともできませんでした。とはいえクライアントと直接相対するわけですから、常にプロフェッショナリズムを意識しつつ、どうすれば少しでもチームに貢献できるのかを必死に考えていましたね。

永島さんに毎日のようにフォローしていただいたり、日々の業務を久村さんに教えていただく中で、参加していた3カ月半の間に自分自身が物凄く変わっていくのを実感しました。

久村洋介氏(以下、久村):
間近で見ていて、私が一番変わったなと思った点は、似鳥さんの物事の捉え方や考え方。最初は、自分がこれまで生きてきた20年と少しの人生で得た見解や価値観に基づいて感覚的に意見を言うことが多かったけれど、最後の方はクライアントの視点に立って意見を言うようになっていたよね。

永島:
そうそう。私もすごく覚えているのだけれど、新入社員研修時にケーススタディーをやった際、似鳥さんに「自分の考えに固執せず、柔軟に物事を捉えるのが重要だよ」とアドバイスをしたことがありました。入社当初はなかなか自分の意見を変えないタイプだったよね(笑)。でもこのプロジェクトを通して、自分の考えをいろんな観点から見る力が備わったと私も思うよ。

似鳥:
何がきっかけで、というわけではなく、現場で仕事をしているうちに徐々に変わっていった感覚があります。1つのことを決めなければならない時、クライアントに本当に必要とされていることは何かを突き詰めていくと、自然といろんな立場の視点で考えてみなければならないことが分かって。とても学びの深いプロジェクトでした。

――似鳥さんが大きく成長されたというそのプロジェクトについて、具体的な内容を教えていただけますか?

永島:
大手製造業の販売プロセス改革プロジェクトです。と言っても、これは「業務プロセスを効率化します」というだけの単純な話ではありません。クライアントの事業にとって柱となる重要な業務の改革ですから、当然、全社戦略と整合を取った形での改革構想立案、営業のみならずマーケティングやバックオフィスなど関連する業務のオペレーション再設計、それらを下支えするための仕組み構築など、複数の改革テーマを一貫性をもって統合した形での推進が必要となります。

まずは、どういった姿を目指すか、という改革構想を練り、全体像を明確にしました。クライアントの顧客のニーズはどう変化してきて、今後どうなっていくのか。それらのニーズをタイムリーかつ正確に把握して的確なアクションを取るためには、社内の各機能がどのように連携し、動いていくべきか。社内・社外の膨大な情報をいかにして収集し、解釈し、利用していくか。そのためには、先進テクノロジーやデジタル技術の活用は避けては通れません。それらをどうやって社内に組み込んでいくのか。……というように、変革の骨格となる構想を描くことから始めました。

もちろん、絵を描いただけでは変革は起きません。ですので、その後は、それらあるべき姿に向け、一つ一つの改革テーマを具体化・実現していくことをご支援する形で、プロジェクトを推進しています。

最初に申し上げた通り、まさにビジネストランスフォーメーションを実現していく長期プロジェクトですので、プロジェクトリーダーである私はもちろん、久村さんも今もこの案件に参加しています。

久村:
そうですね。私はこのプロジェクトに携わって2年になります。ほぼクライアント先に常駐しており、マーケティング・セールス領域の担当として、日々クライアントとの検討や議論を進めています。

永島:
久村さんはこのプロジェクトの最初のフェーズから関わって、クライアントとの信頼関係を築いてくれたいわば立役者。本当に苦労しながらも結果を出し続けてきてくれたおかげで、クライアントとの関係も良好で、とても良い状態でプロジェクトを進行することができています。

久村:
プロジェクトの初期、改革の全体構想に沿って具体的施策を実行していくフェーズに移行した頃、着手すべきテーマの一つに、外部の顧客情報をどのように自社の顧客情報基盤に統合していくかの検討がありました。クライアントはいくつもの会社が統合してきた背景もあり、自社の顧客情報もまだ未整備の状態。ですので、その現状を一つ一つひも解きながら最適解を探していく必要がありました。

当然、新たなデータプラットフォームの構築ですから、クライアント側もベンダー側も正解を持っていない。しかし全社的に活用できる仕組みを構築しなくては、プロジェクトの今後にも大きな影響が出てしまう。責任重大かつ、非常に根気のいる作業でしたが、そこで一定の成果を出したことがクライアントからの信頼を得る最初のきっかけになったと思います。

永島:
立派な構想や方針を示しても、ではどうすれば実現できるのかまで踏み込んでいかなくては変革など起こらないし、クライアントからの信頼も得られません。戦略を描き、それをしっかりと具体化して結果を出すところまで一気通貫で担うというのが、我々がグローバル共通で掲げているポリシーです。

久村さんの担当領域は、プロジェクトの核となる部分。しかもしっかりと成果を出してくれていましたから、似鳥さんの修行の場としても最適だと判断し、久村さんのサポートに入ってもらうことにしました。

久村:
このプロジェクトに携わってもう長かったので、私にとっても似鳥さんのように第三者、新たな視点で意見を言ってくれる存在が入ってくれて助かりました。

似鳥:
久村さんとクライアント先に常駐し、クライアントの目の前で作業をするので、自分が無駄なことをしないか、チームメンバーの足を引っ張ってしまわないか不安でした。

しかし、現場に入るとチームメンバーの「新人を育てよう」という雰囲気、頻繁にレビューやサポートがもらえる体制があり、安心して業務に集中できました。また、常駐というスタイルによって、クライアントのニーズをタイムリーに把握し、肌で感じることができました。

永島:
BTがこだわっている「具体的な結果を出す」ためには、これまでの経験や自分の力だけで何とかしようとするのではなく、新たなことや多面的な視点を取り込んでいくことが必要になります。

BT内でも、シニアメンバーが得意とする、いわゆるトラディショナルなコンサルティングスキルが全てではなく、若手の方がキャッチアップが得意な最先端のテクノロジーやソリューションなどをうまい形で掛け合わせることで、さらに「できること」が広がっていきます。

だから我々も、自分たちが持っているものを若い人たちに伝えていくだけではなく、若い人たちからもどんどん学んでいきたいと思っています。

久村:
実際は最新の動向についてもシニアの方たちの方が詳しいことが多いですが(笑)、人の意見を聞き、それをチームのナレッジとしていこうというスタンスは浸透していますね。

周囲が若手を常に見守り、密にコミュニケーションを取る

――プロジェクトの中で特に印象に残っているエピソードはありますか?

似鳥:
クライアントの経営層に報告するための資料作りの一部を任されたことです。まだアサインされて2週間くらいの頃で、自分の作ったものがそのまま経営層の目に触れることを考えると、期待されるレベルのものが作れるだろうかとプレッシャーも感じましたが、永島さん、久村さんが後押ししてくれて何とか作りきることができました。

通常のパワーポイントの報告資料だけではなく、変革コンセプトを分かりやすく訴求するため、一部については動画を準備して説明したところ、クライアントからも高く評価していただくことができ、「別の役員にも見せたいから、こんな内容も盛り込んでほしい」と新たなリクエストもいただきました。

これを機に、プロジェクト参加中は周囲から「動画といえば似鳥」と、仕事を振っていただく機会が増え、自分が必要されていることが実感できました。とてもうれしかったですね。

久村:
「このくらいでいいか」と途中であきらめることなく、通常のタスクに加えて、動画作りにもチャレンジしてクオリティーを追求していたのをよく覚えています。最後の最後まで魂込めて作っていたよね(笑)。

似鳥:
はい。お忙しいのに、久村さんにも本当に長時間お付き合いいただいて(笑)。

永島:
新人の頃は、限られた範囲であっても、自分が責任を持って“目に見えるアウトプット”を出す経験が非常に重要です。

先輩社員の業務の一部をサポートするだけでは、オーナーシップも持てないし、やりがいも感じられない。範囲は小さいかもしれないけれど、しっかりと最初から最後まで責任をもってやってもらえるよう仕事を割り振りすると、目の色が変わるし、必死になって取り組むものです。その結果、より大きな成長を感じられると思います。

チームで仕事をしているので、たとえうまくいかない場面が出てきても、一生懸命にやっている姿を見ている他のメンバーがちゃんとフォローしてくれます。それがチームワークですから。

――チーム全体で若手育成に取り組んでいらっしゃるんですね。成長機会の提供という意味で、特に配慮をされたことはありましたか?

久村:
前述した通り、私自身はプロジェクトに長く携わっていることもあって、良くも悪くもクライアントのことを知っている部分が多い。だからこそ、新しく入ってきた人には、先入観を抜きにして何でも意見を言ってもらいたかったのです。それがしやすい雰囲気を作ろうと意識していましたね。

一方で、第三者的な意見を言っているだけではクライアントには届かない。クライアントとコミュニケーションを取りながら、相手の立場も踏まえてビジネスの実態に即した具体案に落とし込んでいくスキルを磨けるよう導いていきたいと考えて接していました。

似鳥:
自分で考えていく中では、進捗を説明する機会、議論する機会を頻繁に作っていただけました。仮に詰まってしまっても、定期的に状況を把握してくださっていたので、路頭に迷ってしまうことはなく、自分でタスクを遂行している感覚で作業ができ、常に高いモチベーションでいることができました。

また、永島さんには毎週、個別に時間を取ってもらい、1週間の自分の成長と課題を資料にまとめ、レビューしてもらっていました。その際も、毎週同じことの反復ではなく、資料の形態を変えたり、切り口を変えてみたりなど、内部でもトレーニングをする機会を作ってもらっていました。その時その時の自分の力量を知ってもらった上でタスクを振っていただいていたので、プレッシャーはあっても不安はなかったです。

永島:
毎週定期的に自分を振り返り、今何ができて、何が課題なのかを書き出していくと、自分の成長が目に見えて分かります。人によって強み・弱みも成長のスピードも異なるのだから、画一的なステップを提示して型にはめたレベルアップを押し付けるのではなく、一人一人に合わせてナビゲートしていくことがリーダーの役割だと思っています。

そのためには日々のコミュニケーションが大切。フォーマルなミーティングに限らず、「今どんな感じなの?」と途中経過でもいいから日々話をして、こまめにフィードバックすることを心掛けています。

強い個が集まって、関わり合い、強いチームができる

――では最後に、皆さんが今後目指していきたいことを教えてください。

似鳥:
現在は『StartUps』に所属してトレーニング中の身ですが、1年半の期間終了後、正式に配属ユニットが決まります。今は別のプロジェクトにアサインされていますが、さまざまなプロジェクト・タスクを通じて総合的な力を付け、自分のバリューを上げていきたいと考えています。

ゆくゆくはBTで活躍していけるように、久村さん、永島さんを目標に追いかけていきたいと思っています。

久村:
個人的な目標としては、マーケティング・セールス領域の専門家を目指していきたい。これまでCRMシステムに携わることが多かったのですが、そうしたバックグラウンドを活かしながら、戦略的思考と最新のテクノロジーをどんどん吸収して、うまく掛け合わせていければと考えています。

チームの中では、若いメンバーに対して明確にゴールを示し、言語化しながらリードしていけるように心掛けています。永島さんの話を聞いていて、高校時代、野球部の監督に「背中で見せるだけではなく、口に出して言っていかないとチームは強くならない」と散々言われたことを思い出しました。

新しいメンバーがどんどん入ってくる中で、プロジェクト内でのコミュニケーションはもちろん、研修など後進育成にも積極的に関わって自分から情報発信する機会を増やしていきたいですね。チームを強くするために力を尽くしていきたいと思っています。

永島:
2人の言葉はすごく頼もしいですね。プロジェクトのマネジメントにしても、メンバーの育成にしても、私自身のやるべきこと・やりたいことは、基本的にこれからも変わらないと思いますが、そういった私の思いや考え方に共感してくれるメンバーが増えてくれるとうれしいですね。

ただし、私のやり方を押し付ける気は全くありません。むしろ別の観点から「自分ならこうする」というアイデアや意見をどんどん出してもらいたい。それらを組み合わせながら、チームとして、組織として、常に進化し続けることが理想です。そのようなことが実践できたら、非常に多様性のある、魅力的で強固な組織になるのではないかと思っています。

取材/福井千尋(編集部) 文/瀬戸友子 撮影/竹井俊晴


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