2017/11/9 更新 ビジネス編

【KPMGコンサルティング代表取締役社長/宮原正弘氏】攻めと守り両側面に強いコンサルティングによって、海外での競争力を高める

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コンサルティングファーム 3つの「戦略」シフト
【ビジネス編】

目まぐるしく変わるビジネス環境を背景に、クライアント企業の経営変革を担うコンサルティングファーム各社のビジネス領域も拡大しつつある。各社が手掛ける案件の変化と、クライアントニーズに対応するための戦略について経営ボードにインタビューした。コンサルティングファーム各社が挑む”自社変革”に注目してみたい。

KPMGコンサルティング

代表取締役社長 兼 COO
宮原正弘氏

攻めと守り両側面に強いコンサルティングによって、海外での競争力を高める


――KPMGはグローバルアカウンティングファームのBIG4として知られる存在ですが、日本企業の海外進出が増える中、どのような領域に注力していますか。

 日本の企業は、生産・販売を中心に海外に進出し、製品力・サービス力で世界に伍してきましたが、グローバルのビジネスで勝ち抜くためのマネジメントにおいては、欧米企業の後塵を拝してきました。例えば、海外子会社から情報をタイムリーに吸い上げ、それをマネジメントに活かす管理体制や優秀な人材の確保、グループ間の連携、ITインフラの整備など改善が必要です。今後、日本企業が世界で戦う競争力を持つためには、グローバルでのガバナンスを徹底することが不可欠。そこにコンサルティングファームの介在価値があるのです。

 KPMGは監査法人系のファームのため、不正のない健全な企業文化を育むリスクコンサルティングに強いイメージがありましたが、2014年、KPMGジャパンとして、マネジメントコンサルティングにも注力する戦略へと、大きく舵を切りました。これにより、海外展開する企業の競争力強化を支援し、ビジネスを支える革新的なテクノロジーの研究・活用も強化しています。

 企業が社会的信用や市場からの信頼を獲得し、かつ、全体のパフォーマンスを向上し健全に成長していくために、リスクコンサルティングとマネジメントコンサルティングの両輪で支援する体制を構築したのです。私たちは会社の成長に貢献するコンサルティングで、お客様から信頼されるNo.1ファームを目指します。

――組織や体制において、具体的に強化している点を教えてください。

 私たちが目指すのは、最先端テクノロジーを活用し、ビジネスモデルやビジネスオペレーションを変革していくドライバーになることです。「デジタルとトランスフォーメーション」をキーワードに、企業がグローバルで戦えるよう支援していく。そのために、多様なサービスラインを連携させる体制を整備しました。

 例えばリスクコンサルティングでは、内部統制やサイバーセキュリティーなどのリスクマネジメントを担うラインを。マネジメントコンサルティングでは最先端テクノロジーの活用を主とするライン、ビジネスの変革を担うラインなどを用意。その上で、デジタル活用、人材マネジメント、リスク管理など、全てのサービスライン間でコラボレーションする仕組みを取り、各種業界の知見を持つコンサルタントと連携することで、全方位から企業成長と信頼性向上を促進可能な体制を作ったのです。

 各々が専門分野に注力し、互いの知見や知識を活用し合い、所属する部門を越えてお客様の課題解決に向かう。グループ各社とのコラボレーションもドライブし、KPMGジャパンとして一枚岩となります。横断的な連携で、総合的な価値を提供する文化こそが、私たちの強みとなるのです。

――人材育成や働き方においては、どのような変革が行われていますか。

 入社1~2年目は新人育成の組織に所属し、横断的な発想やつながりを育むために各部署へのローテーションを実施しています。各部門の役割を知ると共に、多くの人とコミュニケーションを取ることで、部門内の垣根を越えコラボレーションしながら働くための基盤を作ることができます。ローテーション先には、NASA出身の技術者や博士号を取得した優秀な人材がAIやブロックチェーン、ロボティクスなど最先端分野の研究を行う部署もあり、コンサルティングにおけるテクノロジー活用の自由な発想力も身に付くはずです。

 また、各分野のスペシャリストや同期、別のサービスラインの先輩とコネクションをつくれるように、サークル活動や制度を用意して社員同士の接点を増やしています。これらの環境も、人を巻き込んで仕事を進めるコンサルタントの素地を伸長させるでしょう。

 私たちの目指すコンサルティングは「格好いい絵を描いて終わり」ではありません。コンサルティングは、お客様の課題に対し、各部門のスペシャリストが共に考え、提案から実行まで一緒に汗をかいて成功に向かうもの。各自が当事者意識を持ち、互いのアイデアをリスペクトし、コラボレーションによる変革を実現することが求められます。入社初年度から各部門との連携を意識した研修を推進する理由もそこにあります。

「日本を代表する企業の成長を支え、自身も成長していく」。そんなやりがいを意気に感じ、柔軟な発想で他のコンサルタントと連携して課題に向かえる人材に期待しています。

PROFILE
みやはら・まさひろ/1991年、早稲田大学政治経済学部卒、同年旧 朝日新和会計社(現 有限責任 あずさ監査法人)入所。95年、ビジネスコンサルティング部門に出向。米国・ロサンゼルス事務所、ニューヨーク事務所への駐在を経た後、2010年、IFRS(現 アカウンティング・アドバイザリー・サービス(AAS))事業部長、11年、日本・アジア太平洋地域代表に就任。アジア上場アドバイザリーグループ責任者を歴任した後、14年、あずさ監査法人アドバイザリー企画部長に就任。17年7月よりKPMGコンサルティングにて現職

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