「大企業勤めの肩書きではなく、自分の名前で勝負できるように」――。安定が約束された企業なんてない今の時代、ビジネスパーソンには個人の力を磨くことが、世代を問わず求められるようになっている。
今回登場するマネジメントソリューションズ(MSOL)の李成蹊氏と吉村康氏も、それぞれ大手企業で長年会社員経験を積み、50歳を越えて新天地を求めた二人だ。「新しい挑戦がしたい」とMSOLに入社した二人は、改めて「企業名で仕事を選ぶのではなく、自らキャリアを選び、つくっていく力を養うこと」の重要性を認識しているという。
30年以上ビジネスの世界で第一線を走っている二人の先輩に、自らキャリアをつくるとはどういうことなのか、そのためにはどんな環境を選べばいいのか、就活生に向けたメッセージを聞いた。
――お二人とも50代でMSOLに転職されています。その経緯を教えてください。
李: 私が転職をしたのが、59歳9カ月。前にいた企業の定年が60歳でしたから、定年前に「転職」をしたかったんです。定年後は第一線を退いてゆったり働くというのが、自分としてはもったいない気がしていて、まだまだやるぞという思いでした。
MSOLとの出会いは10数年前、前職で組織的にプロジェクト強化に取り組んでいた頃でした。その中で「プロジェクトマネジメント」に特化したコンサルティングサービスを行なっているMSOLのことを知り、仕事を依頼したのが最初です。つまり、私はもともとMSOLのクライアントだったんです。
当時からプロジェクトマネジメントのスキルは、グローバルに通用するビジネスパーソンのリベラルアーツ、教養として持つべきものだと感じていました。それまでは大手企業でいろいろな経験をさせてもらったので、今度はプロジェクトマネジメントを事業として行っているMSOLに移り、このスキルを広く世の中に広めて、社会に貢献していきたいと考えたんです。
吉村: 私の場合は新卒で東洋経済に入って33年間、販売、宣伝、広告、マーケティングを中心に、営業畑を歩いてきました。その間、一度も転職を考えたことがありませんでしたが、きっかけは組織改革です。それまでプレイングマネジャーとしてやってきていたのが、マネジャーに専念することになり……。ちょうど55歳と定年も視野に入ってくる年齢だったこともあり、改めて「残りの仕事人生、このままで良いのか」と考えてみたら、やはり「プレイヤーとして現場で働き続けたい」と初めて気付いたのです。
MSOLのことは以前から知っていました。社長の高橋(信也氏)とは、前職時代、個人的に参加した勉強会で知り合い、オンラインメディアに広告を出してもらうなど、ビジネス上の付き合いもありました。転職先として改めて考えたときに、前職の経験が活かせるポジションがあったことに加え、世の中的にこれからプロジェクトマネジメントのニーズは急増していくだろうなという予想もあって。MSOLはこれからますます会社が大きくなり、成長を共有できると思ったんです。
――お二人が「転職して良かった」と思うのはどんなときですか?
李: 私はもうすぐ61歳になりますが、今でもビジネスの第一線で、若い人と一緒にMSOLが成長するための戦略を考えています。そのたびに刺激を受けたり、勉強して新しい知識を取り入れたりして、とても充実した毎日です。あとは六本木という華やかな場所で働くのも楽しいですね(笑)。
吉村: 私の場合は、会社の成長と共にどんどん新しい仕事が増えていくときですね。プレイヤーとしていろいろなことに挑戦できるので楽しいんです。やはりイスに座って管理だけしているのは自分の性に合わないと思いますし。あとは、やはり若い人たちが多いので社内全体が活気に溢れていますよね。私と李さんが平均年齢を押し上げているんですが(笑)、この中にいるとつい年齢を忘れてしまいます。
李: そうそう。年齢関係なく、やる気のある人にどんどん仕事を任せる会社ですから。昔は細かいことは部下に任せて、頭を動かしていれば済みましたが、今は自分で頭も手も動かしている。刺激的な環境に身を置けるので、この年齢になってもなお日々成長を感じられます。
――今は人生100年時代と言われ、働く環境は日々変化しています。20代の若手が、これから豊かなキャリアを築くために必要なことは何だと思われますか。
吉村: これからは個人が、会社に対していかにフェアな関係性でいられるかが重要になってくると思います。私も昔、自分が会社から貰っている給料以上の働きをしているのか、ふと考えたことがありました。そのとき、まだ自分は会社に“借り”をつくっているんだと気付いて焦った記憶があります。給料以上の成果を出して、会社に“貸し”をつくるくらいでないと、会社にぶらさがることになってしまう。
そこから必死に借りを返し始めましたね。自分の中で「もう会社への借金は返し終わった」と感じてからは、貯蓄するように貸しをつくり始めたという実感です。
これは転職を考えて初めて気付いたのですが、会社に借りをつくっていたままでは、自由に転職もできなかったのではないかと思うのです。だから若い人には、早くから会社に貸しをつくれと言いたい。そうすれば、会社とフェアな関係性でいられるし、組織に依存することなく自由になれますから。
李: 私も同感ですね。自分自身を振り返ると、私は20代でベンチャー企業で働いた経験が、自分のキャリアにとってプラスだったと思います。大企業のように社名が通用しないので、自分のプロフェッショナリティーを意識せざるを得ませんでした。自分の強みは何か、これから何を自分の専門性として生きていくのか、早いうちに考えることはとても大事なことだったと。
その点でいうと、MSOLはベンチャーから上場企業へと成長し経営基盤はしっかりしていますが、働く環境面では、若い人たちが力を付けるために最適な条件が揃っていると思いますね。
――「若手が力を付けるための条件」とは、具体的にはどのようなことでしょうか。
李: 将来どのような方向を目指すとしても、共通の土台となるような経験を、20代の頃から徹底的に積み上げていくことができるかどうかということです。
ピーター・ドラッカーは、「リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である」と残しています。プロジェクトマネジメントって、まさにそのためのツールといえるんですよ。だからこそ、プロジェクトマネジメントはビジネスパーソンのリベラルアーツであり、どんな仕事にも当てはまるビジネスの基本スキルなのです。
そんなスキルを使って、MSOLではさまざまなクライアントの社内に深く入り込んで実践していける。多種多様な業種・業務に触れながら、学ぶことができるんです。
――なるほど。そこで早いうちから自分の専門性を見つけ、磨くことができるということですね。
李: はい。さらに付け加えれば、MSOLは若い会社ですから、会社と共に成長していけるのも大きなメリットです。自分たちの力で会社を良くしていくという経験はなかなかできるものではありませんから。
吉村: そうですね。成長過程の会社ですから、与えられる仕事、決まっている仕事はあまりない。自分次第で仕事の質をどんどん高めていけますよね。先ほどの貸し借りの話でいえば、借りをつくって会社にぶら下がっている人は見かけません。逆に、与えられるのを待っている“借り”の姿勢の人には厳しいかもしれませんね。
李: 若いうちにこうした環境でみっちりとプロジェクトマネジメントの経験を積んで、もし次のステップとして新しい環境を求めるのなら、それはそれで良いことだと思います。さすがに1~2年で辞めてしまうとなるともったいないとは思いますが、5年~10年ぐらい後にここで培った経験を生かして、次の挑戦に向けて羽ばたいていく人がいても、人生100年時代を見据えた上ではキャリアプランの一つだとは思います。
――MSOLでは新人育成をする上で、どんな環境が整っていますか?
李: MSOLの社員はあくまでも、「自分のキャリアを自律的に考える」ことを重視していますから、自分のキャリアは、会社が用意してくれるのではなく、自分で考えるものという意識が強いです。
ただ、それと同時に、人を育てようという意識もとても高い会社です。知識やスキルを磨くトレーニング体系はかなり充実していますし、社長自ら研修を実施したりすることも多い。他社と比べても人事評価プロセスがしっかり整備されているので、意欲のある人にはさまざまな仕事のチャンスが与えられ、自分が学んだことを実践できます。
吉村: サービスラインにも「教育・トレーニング」があるように、社内でもどんどんメンバーを育てて、早く自分の業務を任せたい。そして自分自身は、次の新しい挑戦をさらに続けていきたいという人が多いように思います。だからこれから入社してくる皆さんにも、たくさんの面白い仕事を経験しながら、飽くなきチャレンジ精神を持ってキャリアを歩んでもらいたいです。
取材・文/瀬戸友子 撮影/赤松洋太
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