超AI時代に企業はどう備えるか
経営者たちの課題と挑戦Society5.0の実現を目指す「AI戦略」を国が発表した。 産業分野におけるAI化の促進や、AI人材の育成がさらに加速していく見込みだ。 そんな中で、企業を取り巻くビジネス環境はどのように変化し、それに対してどのような打ち手が必要となるのか。 経営層が持つ課題意識や、今後のビジョンを知り、各社の企業理解を深めよう。
われわれのクライアントを取り巻く市場環境は、大きな変化に直面しています。アマゾンやグーグルに代表される企業群がさまざまな事業に進出し、業界全体をディスラプト(破壊)している。一方で、消費者やユーザーのニーズは多様かつ複雑なものになっています。これらの変化により、企業が提供してきた価値を見直し、自社のビジネスを再定義する時が来ているのです。
例えばカーシェアリングを手掛ける企業は、これまで顧客ニーズを「車を持たない人が移動手段として活用する」と定義していました。ところが今、「空間を活用する」という新たなニーズが生まれています。育児中の女性が周囲の目を気にせず授乳するために、あるいは終電を逃した人が睡眠を取るために、車という空間をシェアする。そんな活用事例が増えているのです。となればカーシェアリングを提供する企業は、車内に育児用ブランケットを用意するといったサービスが有用となるかもしれません。このように多様かつ複雑化した顧客ニーズの実態を正しく分析し、「消費者にとって何が価値なのか」を追求することが企業として求められています。
そのために必須なのが、データの活用です。消費者の購買行動を分析する場合、従来のようなアンケートだけではなく、SNSやネット上の口コミなどあらゆる情報をデータとして捉え、収集・解析する必要がある。今後はすべての企業がデータを活用して、デジタルトランスフォーメーションを推進し、業務プロセスの改善はもちろん、時にはビジネスモデルそのものを変革しなくてはいけません。クライアントの変革を支援するのが、われわれコンサルティングファームの使命です。
デジタルトランスフォーメーションを実現するには、コンサルタントも仕事のやり方を変える必要があります。デジタル技術は汎用性が高く、使いようによってはどんな課題も解決できる。それは裏を返せば、最適解を見つけるのが非常に難しいということです。クライアントの課題が特定の業務に関するものが中心だった頃は、課題解決に使えるツールも明確だったため、「経理の業務プロセスを改革するために、ERPを導入しましょう」といったベストプラクティスをすぐに提案することができました。しかし現在のように、多様で複雑な課題と汎用的なデジタル技術をマッチングして課題を解決するには、正解のない中で最適解を探し出さなくてはいけません。
そうなると、コンサルタントが果たすべき役割も変わります。かつてはコンサルタント自身が高い専門性を武器にクライアントに価値を提供する時代がありましたが、前例のない変革を起こすには非常に幅広い知見が必要になるため、現在は多様な専門性を持った人材がチームを組んで課題解決に当たることが不可欠です。クライアントの中にいる人材を巻き込むのはもちろん、時には新しいテクノロジーを持つスタートアップと手を組んだり、データサイエンティストや弁護士などスペシャリストの力を借りることも必要です。
では、新時代においてコンサルタントは何をすべきか。それは、デジタル技術とビジネスやオペレーションをつなぎ、事業の課題を解決するアイデアを生み出すことです。技術とビジネスやオペレーションがバラバラに存在しているだけでは、事業は成立しません。今では多くのビジネスに活用されているブロックチェーンも、「技術をどのビジネス課題に対して、どう活用すれば価値を生み出せるか」を考える人がいなければ、ここまで広まることはなかったでしょう。今までにない価値を見つけ、創造し、課題解決に活用することこそが今、コンサルタントに求められる重要な役割なのです。
さらに、チームのメンバーや外部の専門家の力を最大限に引き出し、プロジェクトを推進するのもコンサルタントの役目。それには周囲にいるメンバーの多様性をリスペクトし、相手の個性を尊重しながら、コミュニケーションを通してお互いを高め合おうとする姿勢が大切です。
アビームでも、今後さらに人材の多様性を高め、一人一人の個性を最大限に発揮できる環境を整えることで、新時代のニーズに合ったコンサルティングを提供していきたいと考えています。
特にデジタルネイティブの20代には、アナログ世代にはない発想力を期待しています。社内のビジネスコンテストで、20代社員がプレゼンしたアイデアが実際にビジネス化されるなど、会社として若手のチャレンジを応援する風土があるのもアビームの特長です。また、若手のうちから積極的に海外に送り出し、現地のプロジェクトに参画する育成プログラムも用意しています。海外駐在や長期出張の機会も多く、2018年は全社員の約4分の1にあたる790名が海外へ渡航しました。
これからもアビームは、さまざまなチャレンジを通じて成長したいと考える若い人たちを会社をあげて応援していくつもりです。あなたの個性を、コンサルタントとして輝かせませんか。