デロイト トーマツ コンサルティング
執行役員
Deloitte Digital Japan Lead Customer & Marketing Division Lead
外資系、総合系コンサルティングファームを経て現職。CRMを専門領域として戦略立案からデジタル変革まで業界横断的に手掛ける。近年はCRMの知見を生かした社会課題解決、NPO支援、スポーツビジネス、元スポーツ選手のキャリアチェンジ開発などにも取り組む
執行役員
SMART X LABリーダー
シンクタンクにて製造業を中心とした戦略コンサルティングに携わった後、投資銀行にて大型案件を多数手掛ける。 DTCでは金融セクターの責任者を経て、現在はクロスインダストリーで社会アジェンダの解決に取り組む組織であるSMART X LABを率いている
執行役員
公共セクターを中心に政策立案・実行支援、業務改革、PMOなどのコンサルティング業務に従事。特に、地方創生・復興支援の領域において、官民連携スキ ームやソーシャルファイナンススキームをてことした地域のまちづくり、新規産業創出支援に注力
テクノロジーの力を最大化させる
デロイト ネットワークのシナジー
X-Tech(クロステック)とは、既存のビジネスやサービスに、AIやビックデータ、IoTなどの先端テクノロジーを結びつけて、新しい価値を生み出すことだ。今、コンサルティング業界全体に、「X-Techの波」が押し寄せている。
中でも、デロイト トーマツ コンサルティング(以下、DTC)は、デジタルを活用したコンサルティングで業界の最先端をいく企業。地方創生、スポーツビジネス、製造業など、あらゆる業界でX-Techコンサルティングを展開してきた。
DTCが他のコンサルティングファームと一線を画すのは、同社が持つグループシナジーだ。日本各地のデロイト トーマツ グループ間はもちろん、グローバル全体で蓄積してきた知見を共有し、各分野のプロフェッショナルが協力し合うことで、革新的なアイデアを生み、幾多の経営改革を実現している。
では、DTCのコンサルタントたちはどんなX-Techコンサルティングを行ってきたのか。テクノロジーの活用で進化する、コンサルティングの現場を領域別にお見せしよう。
拡大する地方創生ビジネス
課題は予算とテクノロジーの普及
テクノロジーで最大化
住まう人の「誇り」を育む
ロマンがある
DTCが考える地方創生のミッションは、「あらゆる世代が、住んでいる自治体に誇りを持てる生活圏を生み出す」こと。そのために必要となる高い地域競争力を生み出す支援を行っています。
コロナ禍でリモート化が進んだことにより、地方創生というビジネス領域は拡大しました。しかし、地方自治体の目線で考えると、財政面を中心にいまだ多くの課題が残されています。そこに対して、補助金などの国の支援スキームを基にしたプロジェクトを提案し、自治体の予算取りを支援する、企業版ふるさと納税やクラウドファンディングを活用して資金を集めるなど、サポートを行うのもわれわれの役割です。
各分野でデジタル活用の重要性が高まっていますが、それは地方創生も同様。事実、われわれのユニットの売り上げは半分以上がスマートシティや自治体DXなどのテクノロジー案件です。
例えばスマートシティの領域では、中央省庁におけるスーパーシティ構想の有識者会議の運営支援やスマートシティ全国展開に関する調査支援など、スマートシティ実現に向けた戦略を自治体と策定。実行のために、都市開発者(デベロッパー)やスマートシティにおけるサービス・リソース事業者などの民間企業とも連携する。ルール形成の超上流から、スマートシティを実現するまでを一貫して手掛けます。
ただ、こうした動きは東京などの大都市がリードしており、都心から離れた小規模な市町村ではデジタルに親しみがないところも多いのが現状です。そういった地方へ、都心部の武器であるテクノロジーを持ち込むことで、地域を盛り上げたいと考えています。
具体的な事例を挙げると、北海道の某都市では現在デジタル技術を活用したイベントを企画中です。海の上でのドローンショーなど、テクノロジーを掛け合わせつつ、地域の食や観光を楽しんでもらえるような、複合的なエンターテインメントの場を実現したいと考えています。状況次第ではリモート配信に切り替えながら、地域や地元の民間企業にお金が落ちる仕掛けをつくることも検討しているところです。
地域への思いと想像力が
地方創生を加速する
コロナ禍以降、出張の機会は減りましたが、以前は毎週のように日本中の各地域に飛び回っていました。行政も含めて民間企業の方と一緒に仕事をする上では、地域に直接足を運ぶことが大切だと思っています。
コンサルタントに求められるスキルや素養は今も昔も大きくは変わらないかもしれません。その上で、地方創生の分野において不可欠なのは、地域に貢献したいという強い思いです。地域の方のモチベーションを高め、チームで成果を上げていくこと。そして、どのような取り組みで地域をよくしたいのか、コンサルタントとしての興味・関心を追求することが必要です。先の北海道のエンタメ案件でも分かるように、アプローチの幅は無限です。「何がしたいか」を考え、ビジョンを描く力が求められます。
もう一つ欠かせないのが、想像力。教育や観光、医療、第1次産業など、地域によって抱えている課題は実に多様です。その地域にとって必要なものを見抜く能力は、相手の目線に立ち、想像力を働かせるスタンスによって磨かれていくものだと私は思います。
提案の引き出しの多さも必要ですが、最新テクノロジーや事例を全て把握する必要はないのかもしれません。鍵を握るのは、その分野に詳しい人をどれだけ知っているか。 DTCにはさまざまな専門家がいますから、連携すれば提案の幅も広がります。そのためのコミュニケーション能力も重要ですね。
DTCは自由度が高いですが、自由にやる以上は結果を出さなければいけません。結果に対して貪欲にコミットする責任感がある人にとって、加速度的に成長できる環境だと思います。
コンサルタントが描くのはスポーツを俯瞰的に捉えたシナリオ
スポーツの世界を
デジタルの仕掛けで
変えていく面白さ
スポーツビジネスは、コロナ禍で大きく影響を受けた領域の一つです。しかし、実のところ市場の伸び悩みはかねてより課題でした。以前、DTCが実施したスポーツ観戦体験調査によると、日本人が関心を寄せるのは試合の勝ち負けが中心。スポーツの観戦という体験がエンターテインメントになっていない現状があったのです。
コロナ禍にはオンライン観戦といった新たな収益モデルが生まれましたが、テクノロジーを「リアルの再現」に用いるだけでは不十分。デジタルならではの新しい体験を生み出していく必要があります。例えば、観戦のパーソナライズ。どの位置から、どこに注目してプレーを見るか、人それぞれ異なる切り口での観戦を実現するのです。他にも、アスリートのけが防止を目的としたAI活用など、新しい価値の提供も考えられます。
重要なのは、スポーツビジネスを広義に捉え直すこと。その他の産業や社会課題と掛け合わせ、スポーツという市場を拡大していく必要があります。新しい取り組みとして挙げられるのが、スポーツを通じた地域活性化です。 DTCでも島根県の隠岐の島町の高校生向けに、VRでの野球指導を実施。360度カメラで録画したフォームを、DXを推進する組織であるDeloitte Digitalメンバーであり元プロ野球選手の久古健太郎がチェックし、技術やメンタルコントロールなどを遠隔で教えました。デジタルには練習環境の格差解消の可能性もあるのです。
デジタルを健全に活用するには、むしろ人間らしさが大切だと私は考えています。スポーツビジネスで言えば、チーム、スポンサー、地域などのステークホルダーをつなぎ、それぞれの価値観を受け止め、新しい価値を創出していかなければいけない。シナジーを生むためのリレーション構築力やリーダーシップがより求められるでしょう。描くべきは、一つのチーム、特定のスポーツに限定しない、スポーツ市場全体を変革するためのシナリオです。このスケールの大きさこそ、コンサルタントとしてスポーツビジネスに携わる一番の醍醐味だと思います。
「モノ」から「コト」へ移る価値
領域を超えた成長戦略を描く
見据えたビジョン策定で
日本の製造業の価値を
アップデートする
長きにわたり、製造業は日本が世界に誇る産業の一つとして成長を続けてきました。その根源にあるのは、各企業が培ってきた技術と、数々の成功体験への自信です。しかし、従来のスタイルにとらわれていては、さらなる発展は見込めない時代が訪れています。社会全体が「モノ消費」から「コト消費」へとシフトし、製品を提供するだけでは価値を生み出しにくくなっているのです。
そこで注目を集めているのが、テクノロジーの活用。象徴的な例として、自動車メーカーが取り組むMaaS(Mobility as a Service)があります。さまざまな交通手段をシームレスにつなぎあわせ、統合的なモビリティーサービスとして提供しようというものです。このプラットホームを構築するためには、ICTを用いた情報管理が不可欠。インダストリーの壁を越え、IT企業や金融機関、地方自治体など多方面のプレーヤーとの協力が必要となります。
これからは、テクノロジー活用を前提として成長戦略を描いていかなければいけません。ただし、そこで大切なのは、「X-Techで何をしたいか」「どんな未来を実現したいか」を明確にすること。意外なほどに多いのが、「テクノロジーを使うこと」「デジタル化すること」にばかり気を取られて、パーパスを見失っているケースです。
DTCは、クライアントのビジョン策定にまで深く踏み込んだコンサルティングを得意としています。目指すべきゴールを定め、そこに向けたマイルストーンを置いていくバックキャスティング思考で戦略立案を行うのが私たちの真骨頂です。その上で私が大切にしているのは、「三つのH」という視点。ステークホルダーの幸せ(Happiness)、人権の尊重(Humanity)、そしてSDGs推進のための環境との調和(Harmony)。これらを満たして初めて将来性のあるビジネスが生まれると考えています。
もう、その産業単体が成長すればいいという時代は終わりを迎えました。これからは、クロスインダストリーで社会構造そのものを変えていくような取り組みが増えていくでしょう。多様な領域に強みを持つDTCであれば、そのダイナミズムを肌で感じることができるはずです。
領域別X-Tech コンサルティング事例
DTCでは、あらゆる領域でX-Techプロジェクトを展開している。
過去の取り組み事例を領域別にご紹介しよう
ヘルスケア
深刻な高齢化に対し、DTCでは病院や製薬企業、地方自治体と連携した医療サービスの実装支援を行っている。通院支援をコアとしたオンデマンド型の移動支援サービスの実現を通じ、治療離脱による重症化の抑止などを目指す
ファイナンス
新たな経済圏を創出する各地域独自のデジタル通貨(ポイント)の導入を支援。データプラットホームに蓄積された決済情報を顧客の行動分析に活用することで、より良いサービス提供や企業の収益向上が見込まれる
資源
世界共通の課題である資源の枯渇。安定的なエネルギー供給実現のためにも、化石燃料からの脱却が必要不可欠だ。再生可能エネルギーの安定利用が急がれる中、次世代型エネルギー戦略の立案と実装支援を手掛けている
モビリティー
近年急増したライドシェア、サイクルシェア、カーシェアなどのモビリティーサービスだが、多くの企業が収益化に苦戦している実情がある。 DTCでは、単なる「移動対価の獲得」にとどまらないサービス創出によるマネタイズを支援している
サーキュラーエコノミー
大量生産・大量消費・大量廃棄をベースとした経済からの脱却が求められている昨今。プラスチック資源の循環戦略策定などの支援を通じて、持続可能性のある循環型の経済(サーキュラーエコノミー)の実現を後押ししている