2018/8/30 更新 デロイト トーマツ コンサルティング

DTCコンサルタントが挑んだ「新産業創成プロジェクト」の裏側(後編)

  • デロイト トーマツ コンサルティング
  • 桐原祐一郎

新産業創成プロジェクトの裏側(後編)
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デロイト トーマツ コンサルティングでは、持続可能な社会の構築という観点から、個々のクライアントへのサービス提供という枠を超え、さまざまな社会課題の解決につながる新たな事業機会や価値の創造を目指している。その現場では、実際にどんなコンサルタントが活躍し、どんな案件を扱っているのか。壮大な新規事業プロジェクトに取り組むチームメンバーたちに、普段は表にでることのない仕事内容や、同社で働く醍醐味を聞いた。
(取材・文/森川直樹 撮影/大島哲二)

執行役員 桐原 祐一郎氏
新卒入社の自動車関連メーカーで社内コンサルタントを務めた後、DTC入社。10年以上のコンサルティング経験の中でも特に航空宇宙・防衛業界において業界全体をカバー。事業戦略、新規事業確立、M&A、組織・業務設計、IT戦略、企業風土改革等、幅広い課題解決のプロジェクトを手掛けている他、DTCの海外採用責任者でもある

社会と産業を変え、ルールを創る。
これからのコンサルタントの使命

今、コンサルティングファームを取り巻く環境は、かつてないほど激しい変化の波の中にあります。技術革新やグローバル化のさらなる進展、産業構造の再編などが次々に起こる中、クライアント企業が望む成果を着実に達成することは、ますます難しくなっているのです。
そこでデロイト トーマツ コンサルティング(以下、DTC)では、数年前から「社会アジェンダ」と総称される案件への取り組みを強化し、推進してきました。
これまでコンサルティングファームが担う仕事の多くは、クライアント企業が抱える課題を解決することにありました。しかし変化の激しい今では、個別企業の固有の問題を解決するだけでは、有効な突破口を切り拓くことが難しくなっています。社会課題の解決を通じて産業の枠組みを変え、ひいては世の中を変える必要があります。そうして新たな事業ニーズを導き出したり、業界の枠組みを超越した成長機会を創出していくのが社会アジェンダです。
今回ご紹介した大手製造業のチャレンジはその一つですが、ほかにもさまざまな事例に取り組んでいます。中でも、最近特に力を入れているのが「水素社会」の構築に向けた取り組みです。石油をはじめ、化石燃料が地球上から枯渇していく中、世界中で代替エネルギーを追求する動きが出ています。その中で特に有力視されているのが水素。水素を動力とする燃料電池車の開発を目指す自動車メーカーや、エネルギー関連の企業、さらには政府まで巻き込むスケールで取り組みを進めています。
例えばオリンピックを水素エネルギーで実現しようとするなど、水素を軸にして動く社会の営みを多様にし、どこにもなかった「水素産業」というものを創り出そうとしています。将来はこの新産業を世界に輸出していくことも可能になるでしょう。
他にも、ビジネスのルールを創る「ルール形成」に取り組んでいます。これまで日本は欧米先進企業が確立した業界ルールやビジネスルールの下で競争するケースがほとんどでした。しかし、結局はルールを創ったところが競争に勝つ。過去の歴史を振り返ってみると、さまざまな事例がそれを証明しています。
それならば、先述のようなチャレンジを実行して新たな産業、新たな市場を生み出していく一方で、従来にはなかったような新しいルールや常識も率先して創っていく。そのためには業界のみならず政府や公的機関も巻き込み、国民からの支持も獲得して世論まで膨らませていく。そうすることで、新しい可能性を切り拓くのです。 最近では、AIやIоT、ロボティクス、ビッグデータ活用といった分野の可能性が頻繁に報じられています。企業がこれらを用いてイノベーションを創出しようとする中、コンサルティングファームもこの新領域に注力しています。
DTCはいち早く先端技術に熟知した「Deloitte Digital」という専門集団を立ち上げ、すでに多くの案件で成果を上げています。しかし、個別の事業やサービスを断続的に起こすだけでは、ライバルを圧倒するような変革や成果には至りません。そもそも前例のない技術を用いて事業を作り上げようとすれば、そこに新たなルールが必要になります。新しい技術の追求は当然のごとく進めていきつつ、国や業界も巻き込んだ社会変革も成し遂げた時、初めて個別企業も産業界も大きな実りを得るのです。

大きなパッションとチームプレイの意識を持て
こうなれば、今後コンサルタントに求められる資質も変化します。ロジカルな思考力や仮説検証思考といった旧来から望まれてきた資質だけではなく、特に以下の3つのことが必要になってくると思います。①社会をより良くしていきたいというスケールの大きなパッション、②個として価値を出せるだけでなく、チームプレーヤーとしても秀でた素養を発揮できること、③自己課題を掌握できる認識力と、あらゆる事象に対するオーナーシップを持ち、コミットしていく姿勢です。
DTCでは「自分の意見をしっかりと伝える姿勢」をコンサルタントに求め続けています。クライアントが喜びそうなことを口にして気に入られるのがコンサルタントの使命ではありません。仮に反対されることが予想できても、伝えるべき意見があれば毅然として伝える姿勢が必須。とりわけ、多様な立場の人々を巻き込んで社会変革という大きな渦を創造することが求められる未来において、この資質や姿勢はより重要性を増していくはずです。
「ロジックや知見ばかりでなく、パッションやクリエーティビティーも働かせて世の中や日本を良くしていきたい」と望む若い人がいるのならば、DTCこそがその活躍の場。私は自信を持ってそう断言します。

企業のさまざまな組織・機能・目的に対応したサービスを提供するコンピテンシーサービスと、さまざまな業界・業種ごとの専門的知識とプロジェクト経験を持つインダストリーサービス。DTCでは常に専門的な知見を深め、経験を蓄積しているこの2つの軸で、クライアントの抱える経営課題に応じて適切なチームを組めるマトリックス型のサービス提供を実現している

>>新産業創成プロジェクトの裏側(前編)を読む

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