2020年以降、企業はどう成長するのか。
トップが挑む「経営改革」ビジネストレンドが目まぐるしく変わる昨今。2020年以降も、さらなる変化の波が押し寄せてくる――。そんな中、日本を代表するリーディングカンパニーの経営者たちは、“生き残りをかけたチャレンジ”に踏み出した。各社の成長戦略や、経営理念を知り、企業で働く醍醐味を感じてほしい。
アクセンチュア株式会社
常務執行役員 金融サービス本部 統括本部長 中野将志氏
なかの・まさし/慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、1995年にアクセンチュアへ新卒入社。金融機関のシステム開発、テクノロジーコンサルティングを経た後、2000年には戦略グループへ異動。約20年にわたって金融業界の事業戦略や海外展開の支援や、M&A戦略などに携わり、ビジネスおよびテクノロジー双方への深い見識と経験から、多数の大手金融機関に変革をもたらしてきた。05年よりマネジング・ディレクター、13年より金融サービス本部統括本部長(現職)、17年12月より常務執行役に就任
2010年代に入ってから現在に至るまでの数年間で、ビジネスシーンは大きく様変わりをしています。とりわけ注目すべき変化は3つ。
1つ目はスピードの激化。デジタル化の進展で製品やサービスのサイクルがどんどん短くなり、必要とあらば組織形態まで変えてしまう企業が増えています。
2つ目は「クロスインダストリー×クロスボーダー」。少し前までは想定してもみなかったような企業が、デジタルの力を生かしつつ業界や国境などの既存の垣根を越えて参入し、市場を席巻する。それが当たり前になっています。アマゾンなどが分かりやすい例です。
3つ目は複雑化のさらなる進行。例えば、以前ならば欧米で売れているモノをコピーして日本に持ち込むだけでも、エンドユーザーは買ってくれましたが、今のユーザーのニーズは以前とは比較にならないほど多様化しています。スピードが求められる中で『一人十色』ともいわれるお客さまのニーズに応えようとするわけですから、社内外、国内外問わずいろいろな人たちとつながって協働しつつ、複雑かつ多様なことをコントロールしながら短期間で一気に動かさなければならない。それが現代を生き抜く企業の至上命題なのです。
お客さまがビジネス上の成果を出すことにフォーカスしていくのが、アクセンチュアのコアバリュー。そのため、以上のような大きな変化が企業に起きているからには、これに正面から立ち向かい、突破していくことが、アクセンチュアにとっても最大の課題になっています。
変化を受け入れるのではなく 進んで変化を起こす集団に
もちろん、このような変化の時代にも、旧態依然の体質から抜け出すのに苦労している産業や企業もありますが、アクセンチュアが真価を発揮するのは、変化の荒波を乗り切ろうという気概を持った企業との協働です。新しいテクノロジーをいち早く活用して、新しい業務や新しい事業をお客さまとともにつくり出して、ビジネスにしていく。そこにコミットしています。
そうした挑戦の典型例であり主軸となっているのがデジタルを用いたイノベーション。今ではどのコンサルティング会社でも事業会社でも「デジタル」というキーワードを使いますが、アクセンチュアには創立以来、長年にわたってテクノロジーの力を生かしてお客さまのビジネスの変革実現を支援してきたゆるぎない実績があります。デジタル化への対応も早くから始め、2013年にはデジタルに特化した組織“Accenture Digital”を設立。18年にはAIT(アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京)という、デジタルに特化した専門スキルや社内外の先端技術を集約したイノベーション創発拠点を立ち上げました。変革志向の企業やタレントが出会ってつながることでイノベーションを実現する場です。
さらに言えば、「自分たちの仕事に、どれだけデジタルの要素が活用されているのか」を指標として計測し、これをどんどん引き上げていくという目標まで設定しています。現状、グローバルでは6割がデジタルにリンクした仕事になっていますし、日本のアクセンチュアはこの高水準をさらに上回る勢いです。
どこよりも早く、どこよりも大胆に取り組み、とことん徹底した改革を進めたことで、今では多くの企業と対等なビジネスパートナーの立場で、新しいビジネスを推し進めるようになりました。先進性の高いベンチャーとも、経営変革をダイナミックに進める大企業ともつながることができたのは、他ファームではあり得ないほど徹底した改革を進めてきたからです。
新しい価値を生み出すイノベーションは、いろいろな考えがぶつかり合うことから生まれます。そのため、多様な人材とのコラボレーションが不可欠。デジタル領域から異才の持ち主が参画し、異領域の企業同士をつなぐハブとなる。そして、自らも出資をしてお客さまとのジョイントベンチャーを次々と設立しています。つまり、私たちは、もはや他のコンサルティングファームとは似て非なる組織に生まれ変わっています。
そもそもアクセンチュアは、私も含め「人と同じ事をしていたって面白くない」という人間の集まり。ですからこうした変化をむしろ楽しみながら進めています。お客さまの成果を飛躍的に上げるためならば、まず自らを変え、そうした改革を面白がって進めていく。それがアクセンチュアなのですから、誰かが育ててくれるのを待つのではなく、自ら育ちたいと強く望む人たちと、今後もどんどんつながっていきたいと思っています。
[Company info]
世界53カ国、200以上の都市で働く約44万9,000人の社員を有し、「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供