─ お二人は今、どんなお仕事を担当されているのでしょうか?
郡司 2017年の夏頃からRPA(Robotic Process Automation)の開発プロジェクトを担当しています。RPAとは、単純作業と呼べるようなルーティン業務をロボットが自動で行うこと。でも、ここで言うロボットというのは皆さんがイメージするPepperくんとは異なり、パソコンの中で動くソフトウエアのようなものです。請求書や申請書の登録業務なども、RPAを活用して自動化できる業務の一つ。RPAを用いて業務の効率化を進めたいと考えるお客さまが増加しているので、当社でも、この分野には特に力を入れて取り組んでいるところなんです。
川内 私もRPAを扱うプロジェクトのメンバーとして、現在はあるお客さま先に常駐し、開発業務を担当しています。この間までは、Excelベースの依頼書を基幹業務システムに自動登録するための開発を行っていました。
─ システム開発会社やWeb系の企業ではなく、コンサルティングファームでエンジニアとして働く違いは何でしょうか。
郡司 一般的にはエンジニアのことをシステムエンジニアと呼びますよね。けれど、当社ではその呼称を使っていません。当社のエンジニアは、ソリューション・エンジニア。つまり、システムを作ることが目的ではなく、テクノロジーを使ってお客さまにソリューションを提供することが第一の目的です。そのためには、まずはお客さまの業務内容の全体像を知ることからスタートします。その上で、どうビジネスを改革すればお客さまの課題をスムーズに解決できるか、それをどうシステムに落とし込んでいくかを徹底的に考えていきます。
─ つまり、エンジニアであっても技術力だけでなく、ビジネス的視点や、コンサルティング能力が求められるんですね。
郡司 はい。簡潔に言うと、当社のエンジニアは提案型。お客さまから「これを作ってください」と言われたものをそのまま作ることはしません。なぜそれを作る必要があるのか、目的と本質をとことん議論します。その中で、もっとこうした方がいいという意見が出れば必ずお客さまにも伝えますし、その結果、「RPAを導入する必要はない」という結論に至ることもあります。でも、それでいいんです。なぜなら、先端技術を企業に導入することが私たちのゴールではないからです。他の方法でより早く効果が出る施策があるならば、迷わずそちらを選ぶと思います。
─ 川内さんは、そんなアクセンチュアの環境の中で新卒1年目を過ごし、ご自身の成長をどのように実感していますか?
川内 私はそもそも文系出身で、コードも何も書けないところからのスタートでした。だから、この1年間で学んだこと全てが私にとっては成長そのもの。自分の作ったシステムを自分で起動させ、それがちゃんと動いているのを見た時は感動しましたね。この間も、私の作ったシステムに対して、お客さまが「ここの工程は人がやる
とついミスをしがちなんだけど、やっぱりロボットはミスしないんだ。すごい!」って喜んでくださって。その時は、自分の仕事の価値を感じられました。
─ 貴社では若手エンジニアの成長を加速させるために、どのような工夫をしていますか?
郡司 一つは研修制度ですね。当社では、新人研修をはじめ、クラスルーム型、オンラインなど、いろいろな研修があり、オンラインだけでも2万4000種類以上。各々のニーズ、レベルに応じたトレーニングを常に受けられます。また、もう一つ特徴的なのが、キャリアカウンセラー制度。全社員にプロジェクトでの上司とは別にキャリアカウンセラーが付き、今後伸ばしたい領域や世の中で求められるスキルなど、自分自身の成長について定期的にディスカッションします。また、2年前から新たな評価制度を導入。社員同士を比較するのではなく、一人一人がプロフェッショナルとして成長することに主眼を置いています。組織の多様性を重要視する中、画一的な評価基準のもとで社員同士をランク付けし、競争させても、多様な人材は育ちません。
川内 それは私もすごく実感しています。キャリアカウンセラーだけでなく、現場の上司とも話し合う場が業務時間内に設けられていて、そこで自分の目標と組織から期待されていることは何かを整理できるのは、すごくありがたいですね。私の場合、人とコミュニケーションを取るのが得意。そういう私らしさを理解した上で、上司からは今一緒に働いている中国のメンバーとの橋渡し的な役割をお願いしたいと言われました。組織の中で自分に期待されていることがはっきり分かるだけで、自分の意識も変わるし、行動も変わる。単に目の前の開発だけをやっていればいいわけじゃないと気付かされます。
─ 貴社では技術系部門においても一人一人の志向性や適性を尊重したキャリア支援があるんですね。
郡司 まさにそうです。“Think Straight, Talk Straight”がアクセンチュアの文化。皆が素直に自分の色を出してくるので、むしろ目が痛くてチカチカしてしまうくらいです(笑)。
川内 エンジニアだけで見ても、本当にいろいろな人がいますよ。私のチームにも、時短で働くワーキングマザーもいれば、育休明けの男性マネジャーもいる。国籍もさまざまで、働き方に対する考えも十人十色。だからこそ、お互いの違いを受け入れるカルチャーがある。自分の個性や価値観を活かして働いている状態が自然なので、すごく心地良くいられますね。
郡司 それをシンボリックに表しているのが、『キャリアズ・マーケットプレース』という制度です。これは社内転職サイトのようなもので、Webから応募ボタンを押すだけで、別の部署への異動を申請することができます。しかも、上長の承認は一切不要。異動がかなうかは受け入れ先次第ですが、自分で自分の未来を選べる自由があります。アクセンチュアは、常に「市場価値の高いプロフェッショナル」を育てるための最高の環境をアップデートし続けている会社です。それは、自信を持って断言できますね。
取材・文/横川良明 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER)