2017/12/20 更新 ビジネスキーワードで読む日本の未来

AIの進化で新たに生まれる仕事に、人材リソースをいかにシフトさせるかが企業変革のカギになる 【連載:ビジネスキーワードで読む日本の未来 Vol.2】

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ビジネスキーワードで読む日本の未来 Vol.2 ―powered by DTC―
「100年先に続くバリューを、日本から。」というスローガンのもと、持続可能な社会の創造とその発展に貢献していくことを掲げるデロイト トーマツ コンサルティング。同社のコンサルタントたちに、日本の未来を占う最新ビジネス動向を解説してもらう。業界研究、ビジネス研究はもちろん、強い日本を創ることに貢献したいと考える就活生にとっては仕事選択のヒントにもなり得る、ビジネスの最前線で今起きている変化の兆しを追ってみたい。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
執行役員 ジャパン テクノロジー リーダー
安井 望氏

戦略策定からシステム改革を含むオペレーション改革まで、企業のトランスフォーメーション実現に関する支援に多数従事。現在日本においてDeloitte Digitalを含むテクノロジープラクティス全体の責任者を務め、最新テクノロジーを企業戦略の策定やトランスフォーメーションにどう活用していくかについて、ビジネスとシステム両面の統合を前提とするコンサルティングを展開している。テクノロジーと経営に関する出版、寄稿、講演多数



すさまじい速さでテクノロジーが進化し続ける今、どんな業種や業界においても、その力をいかに活用できるかが企業の成長のカギを握っている。では、日本のビジネスの未来に大きなインパクトを与えると予測されるテクノロジーとはどのようなものか。

デロイト トーマツ コンサルティング(以下、DTC)のデジタル専門チーム『Deloitte Digital』を率いる執行役員の安井望氏に、3つのキーワードから解説してもらった。

【キーワード・1】 ダーク・アナリティクス

「デジタルというツールを使って、お客さまの経営課題を解決する。それが我々『Deloitte Digital』のミッションです。

企業におけるデジタル化は、ただ新しい技術を導入すればいいという話ではありません。まず経営課題があり、それを解決するためにデジタルをどう最適化するかという視点を持つことが不可欠です。

それをサポートし、企業の変革を実行するところまでやり遂げるのが我々の役割だと考えています」

テクノロジーに精通したコンサルタントに加え、エンジニアやデザイナーによるクリエイティブチームも有するDeloitte Digital。クライアントから寄せられる相談に対し、多様な専門性を持つメンバーが連携して課題解決に当たっている。

安井氏によれば、海外企業に比べて日本企業のデジタル化は2年ほど遅れているのが現状だという。

「デジタル化が進まない最大の理由は、日本企業内部のIT人材が圧倒的に不足していることにあります。

デジタルの世界はこれまでのやり方とは違い、トライアンドエラーを小規模に繰り返しながら改革を進めるアジャイル方式を採ることが多い。そのようなアプローチを採るとすると、本来なら自社のビジネスを熟知し、なおかつ技術にも詳しい社内の人間が主導して変革を進めるのがベストですが、それができる人材を持つ日本企業は少ない。

だからこそ、我々のように戦略からオペレーションまで幅広い企業変革を実行してきた経験とテクノロジーの知見の両方を持つコンサルタントが、クライアント企業の経営全体を見渡して、『ビジネスのどの部分に、どのデジタルを活用するか』をコーディネートすることが求められています」

クライアントの課題と日々向き合っている安井氏が、テクノロジー領域のトピックとして挙げるのが「アナリティクス」だ。

「検索エンジンやソーシャルメディアの発達で、テクノロジーが生み出すデータ量は爆発的に増えました。しかも、今後IoTが普及すれば、あらゆるデバイスから毎秒ごとに膨大なデータが送られてくるようになります。

ただ、あまりにデータ量が拡大し続けたため、大半の企業はデータをただ集めるだけで、ほとんど分析されずに手つかずになっている。これをいかに活用し、経営の意思決定や優れたサービス提供につなげるかが課題となります」

中でも注目されるキーワードが、「ダーク・アナリティクス」だ。

従来は、企業の顧客情報や経理データのように、コンピュータシステム上のデータベースに格納することのできる、構造化された情報をデータと呼び、分析などに活用してきた。

一方、ダーク・アナリティクスで取り扱うのは、データベースにはおさまらない“非構造化データ”だ。SNS上の書き込みやメールでやりとりされた文書や画像、動画、IoTから生成されるセンサーデータ、普通の検索エンジンではたどり着けない深層Webと呼ばれる領域のローデータなどを指す。

こうした非構造化データを探索することで、従来の構造化データでは読み取りきれない、クライアント企業のビジネスに関する精度の高いインサイトを見い出すことができる。

「データ量が増えたことで統計分析の精度は飛躍的に高まり、人間が意思決定するための材料が増えて、企業が経営判断を下すスピードも上がりました。

ただ、日本企業はいまだにERP導入などの基幹システム開発への投資には積極的でも、アナリティクスに対する投資には積極的でない傾向があります。海外企業のテクノロジー領域における投資先の最上位はすでにアナリティクスです。今後は日本企業も投資配分の戦略変更が必要になってくるでしょう」

【キーワード・2】 MI(Machine Intelligence:機械知能)

続いて安井氏がトピックとして挙げるのが「MI(機械知能)」だ。

MIとは、機械学習やディープラーニング、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、ボットなど、コグニティブ・コンピューティングと呼ばれる領域のテクノロジーの総称。一般の人もよく耳にするようになったAI(人工知能)は、MIの概念に含まれる技術の一つという位置付けになる。

「先ほど挙げたダーク・アナリティクスとMIは、連動する1つのテーマとして捉えるべきです。なぜなら、これだけ膨大なデータを人間の力で集め、分析するのは不可能だから。その作業は、AIやMIに任せるしかありません」

そう聞くと、「人間の仕事がなくなってしまうのでは?」と思うかもしれない。だが、安井氏はその見方を否定する。

「AI・MIが出した分析結果を企業の経営にどう反映し、実際のアクションにつなげるかを考えるのは、人間にしかできません。またAI・MIに学習させるデータを用意したり、プログラミングするのも人間の手が必要です。

企業にとって重要なのは、AI・MIの導入によって生まれる新たな仕事に、社内の人材リソースをどうシフトさせるか。その戦略を考え、実行を支援するのがコンサルタントの役目です。

人の配置を換えれば、オペレーションや人事組織の戦略も変わるし、M&Aで買収する企業の選定も変わってくる。先ほど話した通り、テクノロジーに詳しいだけでは企業の変革を支援するのは難しいということです」

Deloitteの調査によれば、グーグルやAmazon、アップルをはじめとするグローバルのトップ企業は、機械学習の領域に大規模投資をしていることが明らかになっている。だが日本企業はアナリティクスと同様、そこまでの集中投資をしているケースは少ない。

この領域でも日本企業は投資戦略で海外に遅れをとっているわけだが、安井氏はそれほど悲観する必要はないとの見方を示す。

「間違った戦略が遅れの原因なら、正しい戦略さえ実行すれば、海外企業に追いつくのは可能ということ。テクノロジーで海外と同じ土俵に立てば、あとはアイデアや製品で勝負できる。グローバルで勝てる日本企業も必ず出てくるはずです」

【キーワード・3】 XaaS(Everything-as-a-service)

もう一つ、日本企業が海外企業をキャッチアップするためのキーワードが「XaaS(Everything-as-a-service)」だ。

これは、既存のビジネスや製品、業務プロセスを、組織の垣根を越えて共有できるサービスの集合体として捉えるコンセプトのこと。以前なら基幹システムやERPパッケージを自社に導入しなければ使えなかったリソースが、クラウドの登場により誰もが低コストで使えるようになったのも、XaaSの一例だ。

「XaaSが本格化すれば、世の中にある既存のサービスを自由に組み合わせて、自社の業務を構築することも可能になります。

高いコストと時間をかけて自前のシステムやインフラを作らなくて済むようになれば、今まで2年かかっていたことが半年でできるかもしれない。その分、日本企業はグローバルのレベルに近づけるはずです」

ただし、「すべてを刷新すればいいわけではない」と安井氏。場合によっては、これまでに作ったものをそのまま生かした方が効率化や業務改善につながることもあるからだ。

「日本企業は横並びの意識が強く、『あの会社が新しいことをやったなら、うちもやる』となりがちですが、どの方法を選択すべきかは企業の事情や環境によって違ってくる。

その点、我々はDeloitteがグローバルで手掛けた先進事例を多数共有しているので、そのクライアントに近いケースを参考にして、サービス化を推進すべき部分と従来のリソースを活用すべき部分をアドバイスできます。

日本企業が競争力を高められるかどうかは、いかに迅速かつ的確な意思決定ができるかにかかっている。そこにコミットすることこそが、これからのコンサルタントの存在価値なのだと考えています」


これらの話から分かるのは、テクノロジーは間違いなく日本企業の未来を左右する大きな要素であるということだ。さらに安井氏は、「デジタル化が影響を与えるのはビジネスや企業活動だけではない。日本社会そのものを変えていくはずだ」と語る。

「例えば、IoTによってあらゆるものがデバイスになれば、ハッキングも起こりやすくなる。日本ではサイバーを含むセキュリティに関する法律はまだ整備されていませんが、EUでは2018年5月から『GDPR』という個人情報保護に関する規則が施行されます。これはEU圏内でビジネスをする外国の企業にも適用されるため、日本企業も遵守しなくてはいけない。

このように、日本はデジタル化を推進するための仕組みそのものも海外に遅れを取っています。企業戦略だけでなく、国家戦略もテクノロジー抜きでは語れない時代になっているのです。

裏を返せば、テクノロジーの知見がある人なら、今こそ新しい仕組みを作り、日本の社会を動かしていく一員になれるということです」

そして、今後コンサルタンティング業界に入って来る若い人たちに大きな期待を寄せる。

「これから社会に出てくるのは、デジタルネイティブ世代。日常的にデジタルテクノロジーを使いこなしている人たちなら、Deloitte Digitalのメンバーが持つ価値観も共有できるし、若いうちから活躍してくれるでしょう。

プログラミングなどの技術は、社会に出てから身に付けても遅くない。それよりも、常に新しいものに興味を持ち、吸収しようとする姿勢と、デジタル領域に高い感度を持っていることの方が重要です。これからの変化の時代に新たな価値を創出する大きな力になっていくはずです」

取材・文/塚田有香 撮影/小林 正(スポック)

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