NTTドコモ
業界ナンバーワンクラスのシェア率を誇るモバイル通信事業をはじめ、近年はAIなどの最先端技術の実用化研究・開発を行い、さらなる成長と社会への新たな価値提供を目指したサービスを提供している
妊婦の一声で研究の意義を再認識
人や未来へ思いをはせるように
2015年に東京大学大学院を卒業後、同年NTTドコモに入社。クロステック開発部第一企画にて女性の妊娠期間中に発症する、妊婦に特有の疾患予防・早期発見方法の確立に関する研究開発に従事。現在は人事として採用業務を担当
入社後は、ヘルスケア領域の研究開発職に配属され、妊娠中にかかりやすい病気の早期発見や、予防に向けた研究開発を行うプロジェクトに参画しました。約300人の妊婦の協力を得ながら、私は妊娠中の血圧に関するビッグデータを活用した研究を担当。当初の私は、誰のための研究なのか、実態をイメージしきれていなかったように思います。妊婦特有の病気の多くは原因が分かっていませんでしたので、原因を探るために多くのデータが必要でした。プロジェクトでは、妊婦に、血圧、脈拍、室温、体温、体重増加量、肺活量、歩数、気分、睡眠状況、食事内容、胎動数など、たくさんのバイタルデータの提供をお願いしていましたが、データを毎日入力する大変さまで考慮できずにいました。
そんな私に気付きを与えてくれたのが、研究に参加していた1人の妊婦からの「大変ですが、私のこのデータが未来の妊婦さんの役に立つならうれしい」という声でした。自分の研究は、その先にいる、妊婦の健康や安心に貢献しているのだと改めて実感できたのと同時に、ユーザーである妊婦の気持ちや使いやすさにまで思いを巡らせられるようになりました。そうした経験を経てからは、同じ研究作業でも、分析の進め方や情報の取捨選択において、研究に協力してくれる方々や、研究の成果の先にいるユーザーの利便性も意識しながら取り組めるようになりました。結果、研究の成果を導入したアプリ『母子健康手帳アプリ』の使いやすさにつなげることができました。病気を未然に防ぐためのシステムを浸透させる。そのためにはシステムを使う側の視点に立ち、時には感情まで意識して初めて達成されるのだと、再認識できた研究でした。
私たちが手掛けたこの研究は、世界でも初となる、妊婦の病気の予兆を示すライフログや体内物質の変動パターンを明らかにし、周産期領域で世界最大規模となる国際会議で報告できるほどの成果を上げることができました。
固定概念にとらわれず
広く視野を持つことが大切
研究開発を約5年経験したのち、現在は人事を担当しています。就活生の目線に立ってどんな情報を発信すれば良い出会いにつながるのか、日々試行錯誤しています。就活生の皆さんに大切にしてほしいのは、やりたいことと直結する事業や企業だけを見るのではなく、広い視野を持ってほしいということです。私自身、NTTドコモがヘルスケアの研究開発を行っていたことは就職活動時に初めて知りました。特に最近は多彩な事業を手掛ける企業が多いので、思いがけない領域で理想の出会いがある可能性も。固定概念に縛られず企業選びしてみることもマッチする会社に出会う秘訣かもしれません。