「働く」を誤解していた
先輩たちが「失敗」から学んだこと
AIの登場により、私たちは瞬時に「正解」を得られるようになった。一方で、仕事には、効率やタイパだけではたどり着けない学びもある。
一足先に社会人になった先輩たちは、どんな失敗や経験を経て“仕事の本質”を知っていったのか。等身大のエピソードを通じて、「検索して得た正解」をなぞるだけでは見えてこない、働くことのリアルをひも解いていく。
兼 不動産ファイナンス部
AIの正解だけではビジネスは動かせない
多くの人を巻き込む力が大規模案件を導く鍵
仕事でどんな失敗した?
現在は、スーパーゼネコンなど大企業のお客さまへの法人営業を担当しています。信託銀行の幅広い機能を活かす総合窓口として、日々お客さまの課題解決に向き合うのが私の役割です。
最も印象に残っている失敗は、大型の風力発電プロジェクトファイナンス案件での経験です。当時の私は、それまで取り組んできた通常のコーポレートファイナンス案件と同じ感覚で必要な論点を整理し、関係者へ合理的な説明をすれば、プロジェクトは前に進むと思い込んでいました。
しかし、大規模なプロジェクトファイナンスにはスポンサーや法律事務所、技術アドバイザーなど多数の関係者が存在し、それぞれ異なるリスク認識を持っています。私は論点整理や社内調整を中心に進めましたが、それだけでは合意形成に至らず、想定スケジュールから遅延させてしまったのです。「合理的な説明や資料を作れば人は動く」という前提が、根本から間違っていました。
現代では、AIを使えばある程度の情報収集や論点整理はできるかもしれません。しかし、複雑な利害が絡む大規模なプロジェクトでは、AIが示すような一般論だけで人は動きません。効率を求めて一人で業務を完結させるのではなく、関係者一人一人のニーズや懸念を泥くさく聞いて回り、周囲を巻き込み信頼関係を築くプロセスを踏むことこそが、仕事の本質だと痛感させられました。
仕事への取り組み方はどう変わった?
人を巻き込むことの重要性を知ってからは、プロジェクトを推進するに当たって「論点管理」以上に「関係者管理」を重視するようになりました。まずは社内の各専門部署へ足を運び、事前の認識合わせを徹底しています。
ここで活きたのが、新人時代から培った「ミーティングで必ず一つは笑いをとる」という営業スタイルです。正論で協力を仰ぐ前に懐へ飛び込む。そこから信頼を得た先で初めて、専門家の輪が広がります。
失敗から学んだ周囲を巻き込む力と自身のキャラクターが掛け合わさった結果、関係者が多数に及ぶ大規模案件であっても、複雑な利害を調整して着地点を見いだせるようになりました。
今後どんな仕事に挑戦したい?
将来的には、海外の社会インフラ開発など、大規模な事業を金融面から支援するプロジェクトファイナンスに挑戦したいです。学生時代から「社会や人々の暮らしを根底から支え、その成果が目に見えるかたちで残る仕事がしたい」と考えていました。
現在、建設業界のお客さまを担当しているのですが、まずはこの業界で、再生可能エネルギー施設やアリーナといった国内インフラの高度化に貢献し、社会課題の解決に必要な知見を蓄えていきたいです。そして、失敗を通して身に付けた「関係者を巻き込む泥臭い推進力」を武器に、世界中のインフラ整備をけん引できるプロフェッショナルを目指したいです。

当社には、若手の「やりたい」という意志を全力で後押しする風土があります。研修制度や資格取得支援のみならず、「やりたい」と思う業務に手を挙げる業務公募制度や副業制度もあります。また、部内独自の取り組みとして「他の担当者が進めているプロジェクトを丸ごと疑似体験できるトレーニング制度の導入」や「担当者同士の勉強会を毎週実施」など、社員一人一人の専門性や市場価値を高めるための投資を惜しまない姿勢が根付いています。主体性を持って行動すれば、自分自身の可能性を大きく広げられる環境です。


