AI時代、人事は学生の何を見ている?
新卒採用「変わったこと」「変わらないこと」
売り手市場に陰りが見え始めている今、選考の現場では、学生を見極める視点にどのような変化が生まれているのだろう。
その答えを求めて、採用現場を熟知する人事担当者に「新卒採用の変わったこと・変わらないこと」を聞いた。変化の時代でも活躍する人と伸び悩む人の違いは何か。そんな比較も交えながら企業が選考で重視するポイントを探ろう。
金融市場の現場で活きる「考える力」を問う
定型作業が自動化された今
真に問われる思考力・対人力
選考で見極める軸は、「何を知っているか」より、「どう考えるか」というソフトスキルの重視へと変化しました。企業の買収や資金調達といった巨大な金融取引に挑む現場では、資料作成や情報収集などの下準備は劇的に自動化されています。だからこそ求められるのは、集めた知見をチームで研ぎ澄まし、お客さまと誠実に信頼を築く「対人力」です。さらに、AIで膨大な情報が提示される時代だからこそ、その信憑性を厳格に見極める力や、物事に対して「なぜ」と疑問を持ち徹底的に追求する知的好奇心、そして土壇場の局面における的確な判断力の重要性も高まっています。こうした書類だけでは見極められない資質を測るため、選考ではあえて抽象的なオープンクエスチョンを投げかけ、これまでの学業や課外活動の中でいかに課題を自発的に突き詰め、仲間とどう答えを創り出してきたかという「思考の軌跡」を深く掘り下げています。
思考を支える確かな基礎力と
チームで成果を出す協調力
AIが知識や情報を補完してくれる現代ですが、学生時代までに培ってきた知性や基礎能力は今も変わらず重要視しています。選考軸である「どう考えるか」を支える土台として、論理的な思考力や正確に言葉を操る語学力が不可欠だからです。確固たる基礎がなければ、AIから適切な答えを引き出す「問い」を立てることすらできません。私たちが最重視する現場での判断力や対人力も、全てはこの土台があってこそ成り立ちます。もう一つ大切なのは、チームで壁を乗り越えるための協調力です。当社には、部門や拠点、国境の垣根を越えて連携する「ワン・ゴールドマン・サックス」の精神が息づいています。会社全体の知見を結集し、お客さまに最善を尽くす。そのクライアントファーストを体現するのも、突き詰めれば「人」に他なりません。だからこそ、仲間と力を合わせる姿勢も変わらず見極めていきます。
物事に対して強い好奇心を持ち
「なぜ?」を突き詰める人
市場が変化しても第一線で活躍し続ける人物の共通点は、扱う分野に対して「好き」だと言えるほどの情熱を持っていることです。指示されたタスクを正確にこなすだけにとどまらず、「なぜこうなっているのだろう」と自ら疑問を持ち、どこまでも泥くさく探求を続けられる旺盛な好奇心こそが自発的な行動の原動力となります。私たちが選考の場で「ご自身の知的好奇心を表すエピソードを教えてください」と問い掛けるのも、まさにこの探求する姿勢を見極めるためです。自分の仕事に熱量をもって取り組み、現状に満足せず「さらに付加価値を生み出すにはどうすべきか」を自ら考え抜き、やり遂げられる人こそが、時代の変化を越えて成果を上げ続けます。
自分のやり方に固執し
周囲に助けを求められない人
途中で壁にぶつかってしまう人には、過去の成功体験に固執するあまり、一人で抱え込んで周囲に助けを求められないという共通点があります。変化の激しい金融業界において従来の方法に固執することは衰退と同義であり、柔軟性を欠くと時代の波に置き去りにされかねません。また、一人で出せる成果には限界があるため、プライドや遠慮から周りを巻き込めずにいると、成長のスピードも停滞してしまいます。当社には、日本の若手が国境や役職を超えて海外のリーダーに助言を求めても、すぐに「Happy to help(喜んで助けるよ)」と支援が届く頼もしいカルチャーがあります。自身のやり方にとらわれず周囲を頼り、知恵を貪欲に吸収できる人こそが、大きな壁を突破できるはずです。
学生の皆さんには、流行に流されすぎず自分の「好きなこと」を突き詰めてほしいと思います。Excelやプログラミングなど、注目されるスキルや技術は時代とともに移り変わります。流行しているからと表面だけを学ぶのではなく、本当に好きな分野を、構造や歴史から深く追究してください。土台から理解していれば、環境が変わっても、「新しい技術をどうビジネスに活かすか」という応用力を発揮できます。そして、その探究心や若い世代ならではの視点こそ、組織が前進し続けるために必要だと思っています。皆さんは企業の未来を共につくる大切な存在です。自分がやりたいことに自信を持ち、臆することなく自分の言葉で伝えてください。就職活動を、自分の「好き」を未来につなげる機会にしてほしいと思います。


