三菱総合研究所
産官学をつなぎ
社会インフラの新しい“当たり前”をつくる
ICTインフラ戦略グループ
2007年に東北大学大学院修了後、三菱総合研究所に入社。サイバーセキュリティーグループに配属となり、官公庁や民間企業のリサーチ業務に従事。10年より電波の安全性に関する官公庁のリサーチ業務に参画。17年にプロジェクトリーダーに昇格。電波利用システムに関わる幅広い調査をリーダーとしてけん引
成長を加速させる3つの思考法
全ての仕事・お客さまに軽重の差をつけず最大限誠実に取り組む
仕事に誠実に取り組む。当たり前なことですが、お客さまも規模も期間も、さまざまな仕事に同時に携わりながらこのマインドを維持することは、容易ではありません。だからこそ、常に意識して取り組んでいます
成果物の品質につながる慎重すぎるほどの確認のプロセス
安全性というテーマを担う仕事だからこそ、一つの間違いが取り返しのつかないことになる可能性も。はたから見ると心配性すぎるのではないかと思われるくらいの慎重さで、丁度いいと思っています
協力してくれるあらゆる人への感謝の気持ちを忘れない
シンクタンクの調査にはさまざまな方の協力が必要不可欠です。パートナー企業・産官学の関係者・一般の方など協力してくださる全ての方に、感謝の気持ちを常に持つことが、次の仕事につながっています
工学部・工学研究科の電気系専攻と理系出身だった私の周囲では、メーカーへの就職が一般的でした。しかし、幅広い分野の研究に携わりたいと考えていた私は、一つの分野を深掘るメーカーの研究職ではなく、さまざまな分野の社会課題に取り組むシンクタンクを志望していました。中でも、リーディングカンパニーである三菱総合研究所(以下、MRI)は、産官学を巻き込みながら、未開拓の分野にも積極的に参入しており、この姿勢に“仕事のあるべき姿”を見いだせたことが、入社の決め手です。
入社後最初に配属されたのは、サイバーセキュリティーグループでした。セキュリティー事故の原因調査、発生時を想定した演習、再発防止への取り組みなどを担っていました。3年が経った頃、新しい領域に携わるチャンスをいただきました。それが、現在も携わっている電波の安全性に関するプロジェクトです。
通常、スマートフォンや無線LANなどの機器から発せられる電波の強度は、身体や他の機器に悪影響が出ないよう、十分なマージンを持った安全基準値が設けられています。5Gなど新しいシステムが世の中に出た際に、基準値を守りながら安全に電波を利用できるよう調査を行い、結果をもとにガイドラインなどを作成し啓発する、というのがこのプロジェクトの目的です。
私が初めて手掛けた仕事は「医療機器への安全性」に関わるものでした。一例を挙げると、日常生活や病院内でスマートフォンを使用した際に、ペースメーカーやその他の医療機器に悪影響を及ぼさないか、どのような影響を及ぼす可能性があるのか。そういった観点で、企業や大学、医療機関といった協力者を取りまとめながら調査を進め、影響防止に向けたガイドラインを策定する、といった内容です。
当プロジェクトは、電波を監理している総務省を顧客としていましたが、これまで民間の調査機関が参入した事例はほぼない中でMRIが受託したものでした。先例をつくっていくという刺激的なプロジェクトに、まだ入社3年目ながらコアメンバーとして参画できたのは、非常に貴重な経験だったと思います。
手探りの状態だからこそ、試行錯誤しながらも、積極的に新しい試みも実行。例えば、他のプロジェクトで行った、一般の方に電波の測定器を貸し出し、生活環境で電波を測定していただくといった調査も、これまでにない取り組みでした。この調査のポイントは、一般の方が「データを見て安全性を実感できる」こと。私たちの仕事は、調査をして安全を確保するだけではありません。一般の方に、安心して快適に電波を使っていただけるようにするのも大切な仕事の一つです。
華のある分野ではなくても社会にとって重要な仕組みづくりを
産官学の間に立ち、中立の立場からプロジェクトをリードし、社会インフラを変えていけるのは、社会課題を起点とした事業展開をするMRIならではです。私たちの名前が表に出ることは多くありませんが、縁の下の力持ちとして安心・安全を守り、当たり前の日常を支える価値ある仕事に、大きなやりがいを感じています。
入社から15年が経った現在は、リーダーとして、電波の安全性に関するプロジェクトをけん引しています。繰り返しにはなりますが、電波の安全性は、私たちの日常を支える重要なテーマです。しかし、まだ専門性を持ったメンバーが少ないのが現状です。この重要な仕事に、一緒に取り組める仲間を増やし、産官学を巻き込みながら、人々の安心・安全、かつ快適な社会インフラをつくり上げていくこと。それが私の目標です。