コンサルティングファーム9社の経営者に質問
「活躍できる若手」のタイプは各社でどう違う?
ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。
A.T. カーニーが手掛けるのは、「変革系」と「創造系」のプロジェクトです。前者は企業の本質的な変革、後者は企業の新規事業創造や、産業・社会の仕組みづくりを指します。まず「変革系」プロジェクトについて。これまでは自社内にテクノロジーやクリエーティブの専門部隊を大量に抱える大規模コンサルティングファームと共に、変革系プロジェクトを推進する企業が数多くありました。ところが数年前から、少数精鋭メンバーで構成されたA.T. カーニーへの相談が増え続けています。
ITの内製化が進むコンサルティングファームでは、自社で開発・運用することを前提にテーマ設定や要件定義を行いがちです。一方われわれは少数精鋭の強みを生かし、クライアント企業にとって本当に必要なことを客観的に考え抜いた上で、組織内外から集めた本物のプロフェッショナル人材からなるベストチームを組み上げることにこだわっています。もう一つの「創造系」プロジェクトは、コンサルタント各自が人生を懸けて成し遂げたいテーマを見つけ、パッションを持って取り組みます。例えば、あるコンサルタントは「日本に宇宙産業を創造し、日本社会の未来をつくる」というテーマで、産官学に働き掛け、業界組織を立ち上げ、当該領域における世界水準のリーダーへと進化しています。「創造系」の仕事はビジネスとしてリターンが限定される面もあります。それでも私たちが注力するのは、日本企業や日本社会の可能性を解き放つことにつながるからです。
日本企業の技術やブランドには大きなポテンシャルがありますが、生かしきれていない企業が多いのが現状です。原因は、〝創造と変革のリーダー〟の人数不足であると考えます。そこでわれわれは、2050年までに世界の経営のロールモデルになる大企業20社とメガベンチャー200社を日本から創出すること、それを牽引する創造と変革のリーダーの輩出、志を共にするネットワーク、つまりA.T.カーニーファミリーを構築することを目標に掲げています。そのために、ビジネス、テクノロジー、クリエーティブの各領域で専門性を高め、これら三つを統合できる人材の育成を目指します。
A.T. カーニーの門を叩く方は「ジェフ・ベゾスとラリー・ペイジとスティーブ・ジョブズを合わせたような人」を本気で目指すような人であってほしい。また、パッションを持ち、セルフドライブできる人材が向いています。その前提として不可欠なのが、自分を知ること。「自分は何のために生きているのか」といった問いと向き合うことで、パッションの在りかが見えてくるでしょう。
世界水準の仕事を目指すには、体力、気力、能力のいずれも必要です。体力には「身体的な体力」と「精神的な体力」があり、「身体的な体力」があるから考え、動き続ける気力が生まれ、能力が磨かれる。コンサルタントらしくないアドバイスですが、体力を付けることは重要です。また、「精神的な体力」とは自分のアイデアやアウトプットを否定されても「いつかできる」と信じ、前向きに挑み続ける力のこと。「今できなくても工夫すればできる」と思い込む。そんな“過剰な楽観視”と〝圧倒的な努力〟が、イノベーションをもたらす人材には求められます。
A.T. カーニーではパッション溢れる若手のキャリア形成を応援すべく、ベンチャーへの出向やデザイン・テクノロジー留学、兼業など、多様な選択肢を用意しています。新卒で入社して経験を積み重ね、いずれ先ほどの「20社+200社」から求められる創造と変革のリーダーになる。そして「日本を変える、世界が変わる」を実現する人物になることを目指してほしいと考えています。
感動品質・世界水準の仕事を目指すべく、パッションを胸に抱き、自分で自分をドライブさせられる人材こそが、当社が目指す「日本を変える、世界が変わる」を成し遂げられる人です
世界水準の人材を目指すには、論理的思考、ストーリー構築などの基礎能力の他、特定の業界やテーマの専門性が必要です。双方の能力を磨くには「身体的な体力」と「精神的な体力」を土台にした気力が欠かせません
ビジネス領域のみならず、テクノロジー領域やクリエーティブ領域の専門性を高め、「日本を変える、世界が変わる」の実現にコミットする目線の高さが求められます