ビジネスと技術を融合し企業のグローバル化とデジタル化を支援する
――ITバブル崩壊や世界金融危機を経て、企業を取り巻く環境は激変しました。2000年代と2010年代とでは、顧客ニーズにどんな違いがありますか?
大きな変化が2つあります。1点目はマーケットや生産拠点、人材の獲得を目的に、自社のグローバル化を推し進め、海外M&Aなどにも積極的に乗り出す日本企業が増えていること。そして2点目が、IT活用の広がりです。基幹システムのクラウドへの移行やサイバーセキュリティ対策の強化など、既存のビジネスの延長線上にあるIT投資に加え、IoT(Internet of Things)、RPA(Robotic Process Automation)、アナリティクスといった新たなテクノロジーの活用を真剣に検討しているお客さまが非常に増えています。
2000年代の後半までは、こうした取り組みに積極的なのは一部のIT系企業だけに限られていましたが、2010年代に入ると、金融業や製造業、官公庁においても、こうした動きが活発化してきました。
――そのような変化を受け、どのような取り組みで顧客の期待に応えているのでしょうか?
アクセンチュアは、デジタル化する社会を見据え、13年に『アクセンチュア・デジタル』を独立する形で設立、お客さまのデジタル・トランスフォーメーションを積極的に支援する姿勢をいち早く打ち出しました。
さらに17年2月には、ラボ機能やリサーチ機能を備えた支援体制『アクセンチュア・イノベーション・アーキテクチャ』を発足し、新興テクノロジーの啓蒙や実証実験、適用範囲の拡大に取り組み、お客さまに提供するサービスの質を高め、社会の変化にも備えています。
――アクセンチュアの競争優位性は、どこにあるとお考えでしょう?
「お客さまのビジネスをデジタル化する」といっても、IT化がゴールではありません。「お客さまのビジネスに最適な先端テクノロジーを融合することで、その時々に必要なお客さまの変革を実現させる」ことが真のゴールです。
アクセンチュアには現在、『ストラテジー』『コンサルティング』『デジタル』『テクノロジー』『オペレーションズ』の5つの部門があり、それぞれが横断的に協力し、付加価値の高いサービスやソリューションを提供しています。
つまりアクセンチュアの強みは、戦略策定からテクノロジーを活用したオペレーションの実行まで、ビジネスの全領域を切り離すことなく、トータルに課題解決に当たれること。すなわち、最先端のデジタル・テクノロジーに、経営コンサルティングで担ってきたビジネス経験と広大なナレッジを加味して、お客さまに全体的な視点でサービスを提供できる点がアクセンチュアの大きな武器だと言えます。
――コンサルティングビジネスの醍醐味を聞かせてください。
プロジェクトやチームをリードする責任者ともなると、まるでオーケストラの指揮者のように、必要に応じて世界中から適切な“演奏者”を集め、お客さまのビジネスに貢献することが求められます。お客さまと共に成し遂げたプロジェクトの成果が、歴史に残る大改革につながることも少なくありません。
企業変革という大きな目標を達成するために、多様な知見を持ったプレーヤーと協力してお客さまのビジネスの成長に貢献できるのは、コンサルタントの仕事の醍醐味と言えるのではないでしょうか。
――これからの時代のコンサルタントには、どのような素養が求められるでしょうか?
テクノロジーが急速に進歩し社会も常に変化し続ける中で、私たちコンサルタントに必要とされるのは、何といっても変化を率先して楽しむ姿勢だと思います。今、世の中でどんなことが起きているのかなど知的好奇心を持ち続けて、新しいことや価値があること、より画期的なものを見つけ続ける気持ちを大切にしてほしいと思います。
また、同時に世の中で自分はどんな価値を出したいのか、何がしたいのかをしっかり考えることを忘れないでください。どれだけ考え抜くことができるかが、自分のキャリアはもちろん、最終的にはお客さまのビジネスの成否をも決めます。
今後、挑戦が求められる局面はより増えるでしょう。こうした激動の時代で多くのことを吸収してほしいと思います。アクセンチュアには、さまざまな志や専門性を持った人材を受け入れる土壌があります。お客さまの支援を通じて、社会を変えることに興味がある方にとって、これほど刺激的な環境はないはずです。
PROFILE
ほりえ・あきこ/1993年、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業し、アクセンチュアに入社。主にメガバンク、生命保険、損害保険、証券など、金融業界でコンサルティングプロジェクトに従事。現在は、アジア・パシフィック証券グループ統括として、さまざまな顧客の変革を支援している。また、同時にインクルージョン&ダイバーシティ統括として、ともに働く人のバックグラウンドや考え方の違いを受け入れ、年齢、国籍、宗教、性別、性的指向などにとらわれず、活気あふれる誰もがリーダーシップを発揮できる組織づくりを目指している