-まずは皆さんのチームについて教えてください。
角山
アクセンチュアの中でも、より先進的な技術を取り扱っているチームです。技術力の高いメンバーが多いですね。
星川
ある程度、実績があって、自分から率先して動いていける人ばかりです。先端技術に精通しているメンバーがここに集まっているので、一つのプロジェクトを回していくだけでなく、同時並行で複数のプロジェクトに関わり、アドバイザー的な立場で別のプロジェクトメンバーから技術的な相談を受けることも多いです。
山田
2人とも技術力は突出していましたから。星川さんが新卒入社してきた時は、新人研修で周囲を置き去りにしたらしいと社内で噂になりました。「すごい人が来た」と思っていたら、3年後に角山さんが中途で入ってきた。当初から物怖じせずにぐいぐい意見を言ってきて、またしても「すごい人が来たな」と(笑)
角山
そんなメンバーを、山田さんがうまくまとめてくれていますよね。コミュニケーションをとって、チームとして確実に課題をクリアしていく手腕は見事です。人を巻き込むのもうまくて、僕も巻き込まれた一人です(笑)
-テクノロジーを活用して、新しい働き方を実践しているそうですね。
星川
一つのプロジェクトに固まらず、横断的に技術を見ているわけですが、人数も限られるので、一人一人の生産性を上げていかなくては仕事が回っていきません。そこでテクノロジーを活用して、クイックに物事を進め、時間あたりの効率を上げていこうというのがきっかけです。
山田
例えば、社内では最近メールはほとんど使いません。ビジネスチャットで短文のやり取りをする形に変わってきています。私たちの場合は『Slack』というツールを使っていますが、社内標準ツールは『Microsoft Teams』のため後者を使う社員も多いです。こうしたツールを使うことで、定型作業をできる限り自動化。今ではミーティング資料を提出しろとか、もう締切だとか、タスクの管理についてもボットが自動的に
ハンドルしてくれます。
角山
個々の勤務時間をチェックして、ボットが「○○さん、疲れてない?」なんて気遣ってくれたりもするんですよ。
星川
メンバー間のコミュニケーションは、プロジェクトごとにグループを作ってチャットベースで行います。メッセージが届くと通知が来るので、その場でさっと見て返事をする。プロジェクトの場所が異なっていても、リモートで対応できるのが便利です。メールと違って「おつかれさまです」といった前置きも不要で、すぐに本題に入れる点もいいですね。
角山
大規模なプロジェクトになると、皆が一堂に集まって対面で話すのも難しいですし、どこにいても情報共有できるのは助かります。時には出社せずに家で仕事をする
こともできる。こうしたツールを導入したことで、時間や場所に縛られずに働け
るようになりました。
山田
単に生産性を高めるのではなく、こうしたツールを導入することで、皆の可処分時間、つまり自由に使える時間を増やしたいと考えています。その方がイノベーションに近づくからです。イノベーティブなアイデアは、いろいろな体験をしている多様な
人たちがコラボレーションすることで生まれると思っています。ですが、いつも同じ生活を送っていたら、そんなアイデアなど、なかなか浮かんでこない。ツールを使っ
て効率良く働くことで、一人一人の可処分時間を増やし、友達と食事に行ったり、旅行に出掛けたりと、普段とは少し違うことをどんどんやってほしいですね。
星川
ツールを入れてから、生産性が高まると同時に、より楽しく働けるようになりましたよね。皆が「いいね!」のようなスタンプをどんどん自作するので、最近では派手なスタンプが繁殖しています。
角山
コミュニケーションはとりやすくなりましたね。いちいちメールで知らせたりはしませんが、チャットだと「こんなことをやりました」という報告も、会話のように気軽にできます。それに対して「いいね!」と反応してもらえると、モチベーションも上がりますし。
山田
人は接する頻度が増えるほど仲良くなると言いますが、チャットのやり取りはメールの何十倍にもなるので、お互いの距離がぐっと縮まります。
星川
時には泣き言のようなメッセージも見かけますが、オープンにすることで気持ちが楽になる。気楽に発信できる場があることで、一人で抱え込まずに済んでいるのではないでしょうか。
山田
これまでの経験から、成功したプロジェクトに共通するのは、柔らかい空気が流れていることだと思います。根底に不信感があると何重にもチェックが必要になるなど、時間もコストも掛かってしまう。お互いを信じられれば、生産性も上がります。チャット上ではこうした柔らかい空気が流れていて、例えば「寝坊しました」という報告に対して、「人間だもの」というスタンプが返ってきたりしています
星川
寝坊ばかりしていては困りますけどね(笑)。でも上司もメンバーのやり取りをよく見ていて、何か問題が起こると、すかさず突っ込んでくれるので、安心です。
山田
マネジャーとしては、かなり意識してメンバーの状況把握に努めていますね。
角山
メールと違ってオープンなコミュニケーションなので、自分の領域だけでなく、全体の状況を把握できる点も良いと思います。プロジェクト全体が見えると、お互いにカバーできる範囲も広がるし、取りこぼしや認識違いを避けることができる。何よりも、担当とは異なる領域の仕事や、いろいろな人の考え方に触れられるので、視野が広がりますし、とても刺激を受けています。
山田
私自身も、仕事の時間や場所にとらわれなくなり、オンかオフかではなく、ハイかローかで考えるようになりましたね。休日でも、何か思いつくとチャットに投稿するなどローモードを保っています。アイドリング運転のようなもので、これが自分に合っていると感じています。
-常に連絡が取れる状態に、プレッシャーは感じませんか?
星川
私は家では仕事をしない主義です。休日はチャットの通知も切ってしまいます。技術が好きなので、結局、休日も自分の興味のある技術のことを考えているのですが、業務は一切しません。
角山
僕は通知が来たら気になってついチェックしてしまうタイプですが、チャットではリアルタイムな対応を求められているわけではありません。緊急の場合は、直接会ったり、電話で話したりするので、特にプレッシャーは感じないですね。
山田
むしろツールを使いこなすことで、一律の働き方に縛られず、それぞれがより自分らしく働けるような気がしています。
取材・文/瀬戸友子 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER)