AI時代、人事は学生の何を見ている?
新卒採用「変わったこと」「変わらないこと」
売り手市場に陰りが見え始めている今、選考の現場では、学生を見極める視点にどのような変化が生まれているのだろう。
その答えを求めて、採用現場を熟知する人事担当者に「新卒採用の変わったこと・変わらないこと」を聞いた。変化の時代でも活躍する人と伸び悩む人の違いは何か。そんな比較も交えながら企業が選考で重視するポイントを探ろう。
変化を成長の糧にできるかを重視した採用に
変化に適応する柔軟性と
自ら課題を発見する力
市場や技術の変化が激しい今、企業は従来の事業や枠組みに依存するだけでは、持続的に成長できません。だからこそ、変化に適応し、自ら課題を見いだし行動できる人材を、これまで以上に求めています。セイコーエプソン(以下、エプソン)は現在、プリンターメーカーという枠を超え、テクノロジーイノベーション×エンジニアリング企業へ進化しているさなか。アパレルやバイオといった産業分野へのインクジェットの応用や、半導体と水晶技術を融合した次世代デバイスの開発など、培ってきた「省・小・精」の技術を活かしながら、新たな事業領域への挑戦を加速させています。
このような変革期にあるエプソンだからこそ、面接で重視しているのは、自ら一歩を踏み出した経験があるかどうかです。どのような課題を見つけ、なぜ行動を起こしたのか。挑戦の背景にある課題意識や思考のプロセスを丁寧に掘り下げています。
さまざまな人と協力し合い
物事を成功へと導く推進力
組織や立場を超えて協働し、周囲を巻き込みながら成果を生み出す力は、今後も選考において重視していくポイントです。
仕事とは、決して一人の力だけで完結するものではありません。特に、エプソンの製品開発では、一つの製品を世に送り出すまでに、ソフトウエアやメカ、エレキなどの技術部門をはじめ、事業戦略、商品企画、品質保証、さらには海外の販売拠点や製造拠点など、職種や国境を超えた多種多様なメンバーが関わります。エプソンのものづくりをこれからも発展させていくためには、それぞれの領域に精通したプロフェッショナルが知見を持ち寄り、一つの目標に向かって力を発揮することが不可欠です。だからこそ、専門性や立場が異なる関係者と協働する力や、プロジェクトを成功へと導くために周囲を巻き込む推進力は、これからの時代においても求められる資質だと考えています。
現状に満足することなく
常に学び続ける姿勢を持つ人
活躍し続ける人は、未知の領域と向き合うことを恐れません。慣れない業務に挑むときも、「経験がないから」と尻込みするのではなく、「どうすればできるようになるか」を考え、自ら知識を吸収していく。その姿勢こそが、成長する人の共通項です。変化や新たな挑戦を成長の機会と捉え、より良い成果を追求し続ける人ほど、若手のうちから大きな役割を担い、活躍の幅を広げています。
実際にエプソンでは、入社4年目でチームリーダーを務める社員もいます。また、評価で重視されるのは、年齢や社歴ではなく、一人一人の成果や挑戦。個人の取り組みが昇給や昇格というかたちで正当に評価される環境です。
業務を正確にこなすのみで
挑戦の一歩を踏み出せない人
受け身な人は、成長が頭打ちになりやすい傾向があります。新しい仕事や学びの機会を「与えられるもの」と捉えていると、自ら行動を起こす場面が減ってしまうものです。新たな挑戦や成長のきっかけを待つのではなく、自分からつくり出す姿勢こそ、成長を左右する大きな要素になります。
特にエプソンは、自ら手を挙げて挑戦できる機会が豊富です。社内公募制度やグローバル拠点への赴任を目指せる海外トレーニング制度など、興味や志向が変わっても、自分の意思で新たなフィールドへ挑戦できます。そうした制度を最大限に活かせるのは、自ら一歩を踏み出せる人。主体性がある人ほど、自分らしいキャリアを切り開いています。
社会人としての一歩を踏み出す前に、「自分の考えを問い直す習慣」を身に付けることをお勧めします。例えば、研究やサークル活動の中で、壁にぶつかることもあるでしょう。そんなとき、最初に思いついた仮説や方法に固執するのではなく、「より良い選択肢はないか」と視野を広げてみてください。これからの時代は、テクノロジーの進化や市場環境の変化によって、将来を正確に見通すことがますます難しくなります。だからこそ、あらゆる可能性を検討しながら最適な答えを導き出す力や、変化を前向きに受け入れて挑戦する姿勢が重要になります。学生時代は、失敗を恐れずにさまざまな方法を試せる貴重な期間。試行錯誤した経験の一つ一つが、変化の時代をしなやかに生き抜く力につながります。


