2023/11/08 更新
A.T. カーニー
インタビュー
「自分らしく働く」がかなう会社とは?

A.T. カーニーにみる
“個”を尊重する新時代の職場環境

  • A.T. カーニー
  • キャリア
  • コンサルティング

働き方の多様化が進み、就職先を選ぶ上で「自分らしく働けそうか」を重要視する学生が増えてきている。そうした希望をかなえるべく、かつては「コンサルタント=激務」といった印象を持たれやすかったコンサルティングファーム各社も職場環境づくりに力を入れ始めている。

中でも、「HR先進企業」というビジョンを掲げ、社内改革を進めるA.T. カーニー(以下、カーニー)は、その一環としてDEI(Diversity, Equity & Inclusion)の実現にも力を入れ、多様な人材のキャリア形成支援やそのための働きやすい環境作りを進めている。

カーニーが目指す「HR先進企業」とは何なのか。DEIの姿とはどのようなもので、そのためにどのような取り組みを進めているのか。同社のDEIや働き方改革等の各種イニシアチブをリードするVice Presidentの高頭 千代子氏と、「自分らしく働く」を体現しているマネジャーの中村文香氏と毛 慧菁氏に話を聞いた。

  • Vice President
    高頭 千代子氏
    津田塾大学学芸学部卒。1992年に新卒でグローバルコンサルティングファームに入社後、25年超に渡り、石油・化学業界を中心に数多くのBPR案件等に従事。2022年3月にA.T. カーニーに入社後は、同社を「HR先進企業」へと導くべく、DEI含むさまざまな社内改革を推進
  • Manager
    中村文香氏
    南オーストラリア州立フリンダース大学卒業後、東京大学大学院医学系研究科国際保健学にて修士号を取得。2012年、新卒でA.T. カーニーに入社。消費財・小売プラクティスにて主に飲料・食品メーカーのマーケティング戦略、新規事業戦略、海外事業戦略などに従事
  • Manager
    毛 慧菁氏
    英ランカスター大学コンサルティング学部卒、ケンブリッジ大学土地経済学部修士修了後、2018年1月に新卒でA.T. カーニーへ入社。PE&MAと通信領域を中心に、ビジネスデューデリジェンス、海外事業戦略策定などに従事

「尖った個」を伸ばす育成の仕組みと
自分らしく働ける環境を整備

社員が持つ個性や強みを生かす、とは近年よく聞く言葉でもあるがカーニーは創業時から一貫して「個の尊重」をうたってきたコンサルティングファームだ。「多様な人たちがより力を発揮していける環境づくり」をカーニーはどのような取り組みで実現しているのか。コンサルタントのキャリア形成支援に始まり、DEIや働き方改革等の各種イニシアチブをリードする高頭氏に話を聞いた。

ダイバーシティーの根底にあるのは「個の尊重」

「HR先進企業」というのは、2020年に現代表の関灘(茂氏)がトップに就いて強く打ち出したテーマです。私自身も、この「HR先進企業」を実現すべきミッションとして、22年にカーニーに移ってきました。

入社後、まずは代表の関灘らと「HR先進企業とは何か」の議論を重ねました。そして、カーニーの目指すHR先進企業の状態とは、50年までに「日本を変える、世界が変わる」というカーニーのビジョンを実現すべく、「多様な人財のWell-Being向上」「10年・20年単位のキャリア形成」「創造と変革のリーダー輩出」ができている状態であることであると定義。これを、社内でも共有をしました。

現在、この大きなテーマの下、各種イニシアチブを立ち上げ、さまざまな活動をしているわけですが、その根底には「個の尊重」というカーニーの企業カルチャーがあり、DEIへの取り組みもその一つになります。

カーニーでは、DEI推進とは「個の尊重」そのものであると考えています。性別や国籍、年齢などの属性も一つの個性ですが、例えば、新卒・中途入社の違い、入社までのバックグラウンドの違い、前職の経験、ライフステージや家族関係、時短勤務や兼業・副業といった働き方などもダイバーシティーのあり方だと考えています。

つまるところ、一人一人の個性は違うので、それを相互に尊重しあいながら、キャリア形成できる環境を整えることこそ、カーニーが推進するDEIの取り組みになります。

キャリアの歩み方は一つではない

カーニーでは「強い個」「尖った個」という言葉がよく使われています。これは、個が尊重され、それぞれの多彩な才能をさらに伸ばしていくことによって、強い組織が作られるという考えからくる言葉です。そして、個を尊重するため、さまざまなスキル構築・キャリア形成の仕組みがあります。

まず、入社後には、コンサルタントとしての基礎スキルを取得するため、数週間に渡る研修プログラムを用意。その後、実践研修ともいえるOJT期間があり、プロジェクトにOJTアサインされ、先輩コンサルタントの指導を受けながらスキルを磨いていくことになります。

この立ち上がり段階で、不安や悩みを抱える方は少なくありません。そこで導入しているのが、バディー制度やメンター制度です。入社2週間後をめどに「バディー」とよばれる比較的近しい立場の先輩コンサルタントが一人一人にアサインされ、研修時の困りごと、スキル取得の仕方、社内のことなどの相談相手となってくれます。バディーの任期は1年間。立ち上がり期の強いサポーターです。

その後、研修が終了する頃をめどに、「メンター」がアサインされます。メンターは、キャリア形成における中長期的な相談相手として寄り添ったり、時には壁打ち相手となってアドバイスをくれたり、良きガイド役となってくれる存在です。「メンターに何を求めるか」は、人それぞれなので、可能な限り柔軟に、そして最も効果ある形でメンターのアサインやメンター制度の運用を行っています。これも、私が入社してから、制度として大きく変更を行った取り組みの一つです。

OJTを卒業すると、コンサルタントは「チームアップ」というアサインメント公募の仕組みを利用して、プロジェクトへのアサインメント希望を出すことが可能になります。これは、コンサルタント個人の意思を尊重し、自らキャリアを切り開く姿勢を高く評価するカーニーらしい制度の一つです。

キャリア形成においては、他にもさまざまな制度があります。例えば、出向制度。これは、プロジェクトを複数経験していく中で、事業サイドの立場に立って経験を積みたいと考えるコンサルタントが多く利用している制度です。その他、海外オフィストランスファー制度や、MBA留学制度、自己研さんのための休職制度など、各自が自身のキャリアをプロデュースしていけるような仕組みがあります。

他にも、スタッフミーティングという全社会議が各月で開催され、社内情報やプロジェクト事例の共有を行ったり、コンサルタントが自身の出向経験や「壁の乗り越え方」を語ったりと、風通しの良く刺激し合い、高め合える環境ができていると思います。

また、DEIの取り組みの一つとして、昨年から今年にかけて、「Meeting Women @Kearney」という企画を実施しています。これは、日本では女性のシニアコンサルタントのロールモデルが少ないという課題感を払拭するため、グローバルファームであるカーニーの土壌を活用した試み。日本に閉じずに海外の女性シニアコンサルタントとの接点を設け、キャリア&ライフの歩み方を相談したり、ロールモデルを見つけたりするための企画です。この企画は、若手女性コンサルタントたちの要望から生まれました。

特徴は、海外の女性シニアによるオープンな「キャリアトークセッション」とクローズドな「コーヒーチャット」の二部構成で開催していることです。話を聞くだけではなく、双方向の会話を経て多くの学びと共感を得ることができるため、「海外オフィスのシニアコンサルタントとの距離感が縮まった」と、大変好評を得ました。そして、日本オフィスの企画として実施していたこの企画は、海外オフィスからの強い要望により他オフィスにも開放することに。結果としてグローバルファームらしい海外ネットワーキングも推進されるという効果も得ることができました。

このように、カーニーでは、自身のキャリアへのWill(強い意思)がある限り、コンサルタントがそれぞれのキャリアの歩みを進めていけるよう、さまざまな仕組みやサポート体制を整えています。そして、「HR先進企業」を目指すカーニーとしては、さらにこれを進化させていきたいと考えています。

複雑化する社会だからこそ、多様な才能が必要

社会が複雑化していく中で、自社だけでは解決できない難しい問題が増えています。コンサルティングニーズは今後も増えていくことが予想され、未開拓の領域もまだまだたくさんあります。

もちろんそれだけ責任の重い仕事であることは確かです。だからこそ、心から意義を感じられる課題に向き合ってクライアントの変革を支援し、世の中に貢献していく喜びを感じてほしいと願っています。

能力や才能を測る物差しは一つではありませんし、プロジェクトの現場では、おそらく学生の皆さんが思っているよりもずっと幅広いスキルや発想が必要とされています。

多様な人材が自分らしく働き、それぞれの個性や才能を存分に発揮していくことが、新しい世界を切り開いていく力になる。

「日本を変える、世界が変わる」というカーニーのビジョンに共感し、自分なりの強みを見つけて成長していきたいなど、熱い思いを持っている人は、先入観にとらわれず、一度カーニーの門をたたいてもらえればと思っています。

「仕事」も「子どもとの時間」も大切に
自分らしいベストバランスを探りたい

ここからは新卒でカーニーへ入社し、「自分らしく働く」を体現しながら活躍中の女性マネジャー2名の話を聞いていこう。

まずは、2012年入社の中村氏。「大学時代は看護師を目指して勉学に励んでいた」という中村氏だが、一転、コンサルタントを目指したきっかけは何だったのだろうか。

個々の事情や働き方を尊重する風土が支えに

学生時代は、自分がコンサルティングファームで働くとは考えていませんでした。もともとはグローバルで活躍する看護師になりたいと思い、看護学部のあるオーストラリアの大学に留学。しかし、世界を見渡すと社会インフラを整えなければ医療問題も解決しないという現実を目の当たりにして、帰国後は大学院で医療政策を学ぶことにしました。

そこで避けて通れないのが、やはりお金の話。限られた予算をいかに配分して投資すべきかという議論の中で、企業活動を通じて生み出されたお金が世の中に回って人々が幸せになる、その循環が大切なんだなと感じるようになりました。

コンサルティング業界なら、そうしたお金の循環が垣間見られると知って興味が湧き、中でも「日本を、社会を良くする」というビジョンを掲げていたカーニーでビジネスを学びたいと思い入社しました。

まずはビジネスを学びたかったので、入社当初は、とにかくいろいろやってみようと、あえて自分からは希望を出さず、来た仕事は何でも受けるスタンスで臨みました。

その中で徐々に自分の領域が固まっていき、現在は消費財・小売プラクティスのマネジャーに。消費者が何を考え、どうすれば人々がより楽しく暮らせるかに興味があり、マーケティングや新規事業戦略の案件を多く担当しています。

ライフの面では、入社後に社内結婚し、現在、小学生と幼稚園生の娘2人の子育て中です。2回の産休・育休を経て、今はフルリモートの時短勤務で働いています。

家事はできるだけ効率化を図る一方、子どもと食事を共にする時間は大切にしたいなど、自分らしい生活のバランスを探って試行錯誤している毎日です。

正直、想像以上に仕事と家庭の両立は大変で。「もう無理だ!」と思うことは何度もありましたが、それでも仕事を続けてこられたのは、柔軟に働ける制度が整っていることに加えて、会社に自分の状況を素直に話せる環境にあることが大きいと思います。

子どもの成長段階によって状況が変わってくるので、そのたびに会社と相談して働き方を調整してもらいました。

「当面は業務の負荷を減らして、それに応じて報酬も調整してください」というように、オープンに相談できるのは本当に助かります。

周囲の上司や先輩方も話を聞いて温かくサポートしてくれますし、しっかりと責任を果たしていれば、個々の事情や働き方を尊重してくれるのはカーニーの魅力。その根底にあるのは、個を尊重する思想です。

仕事におけるバリューの出し方についても、人それぞれのやり方があります。専門領域での高度なハードスキルを備えている人もいれば、私もそうであるように、さまざまなステークホルダーの声を聞き、プロジェクトが円滑に進むような場作りや地ならしを得意とする人もいます。

多様な個性を持つ人材がそろっているからこそ、それぞれの強みを生かし、うまく組み合わせていくことで、チームとして価値を発揮できる。それこそがカーニーの強みだと思います。

最もパフォーマンスが出せるような
時間の使い方を自由に決められる

カーニーに入社後はグローバル案件を中心に手掛け成長してきた毛氏。自身のことを「知的好奇心旺盛で、少し飽き性」と話しながらも、自分らしく働ける領域を見つけてプライベートとの両立を実現している。

彼女のエピソードからは、一人一人の志向に寄り添うカーニーに息づく「個を尊重」する風土の確かさがうかがえた。

寛容なカーニーだから、特性に合う領域に出会えた

出身は中国で、大学時代からコンサルタントを志望しており、当時としてはめずらしいコンサルティング学部のある英国の大学に留学しました。大学院まで進み、コンサルティングファームへの就職活動をしている中、たまたま縁あって来日することに。留学先で知り合った日本人の友人に誘われて同行したキャリアフォーラムで、カーニー日本オフィスの面接を受けることになったのです。

日本語は独学で勉強したものの、まだビジネスの場で使いこなす自信がついておらず、言葉の面で不安があると素直に伝えたところ、「あなたのスキルセットを生かしてくれればいい。それと並行して日本語をキャッチアップしていけば十分だ」という言葉をもらって。外国籍の学生としてではなく、私個人を見てくれているという実感があり、安心して入社することができました。

入社してから数年間は、中国語や英語の語学力を生かせるグローバル案件を中心に、いろいろな領域を経験。私はよく言えば知的好奇心が旺盛、悪く言えば飽き性なところがあり、チームアップ制度を有効活用して、短いスパンでどんどん新しいテーマにチャレンジしていきました。

その中でも自分の特性に合っていると思えたのが、ビジネスデューデリジェンスの領域です。買収や売却の意思決定に際して企業の価値を評価する仕事なので、短期間にいろいろな業界の知識を吸収することができ、非常に刺激的な仕事だと感じました。

国際経験や語学力を生かしたプロジェクトで強みを発揮しながらビジネスデューデリジェンスの経験を積み、入社5年目から戦略開発、企業価値評価、買収計画などに関わるM&Aプラクティスのマネジャーを務めています。

働き方に対する考え方が変わっていったのも、ちょうどこの頃。

もともとコンサルティング業界の仕事に憧れを抱いていたこともあり、「成果を出すため、仕事に全力投球しよう」と突っ走ってきたタイプではありましたが、ライフステージやプライベート事情の変化と共に「もう少し仕事とプライベートの配分をバランスよくしたい」「プライベートもしっかり充実させたい」と思うタイミングもありました。

PE&MAプラクティスではクロスボーダー案件を扱うケースが多いこともあり、海外のステークホルダーとのやり取りが頻繁に発生。時差の関係で早朝や深夜にインタビューやミーティングが入ることもあり、仕事の時間は不規則になることもあります。

そこで、日中にリフレッシュタイムを持とうと、趣味のゴルフのレッスンを入れることにしました。例えば午後に1時間、空き時間ができたら近くの練習場でレッスンを受けて戻ってくるといったことをしています。

隙間時間ですが、心身ともにスッキリし、仕事へのパフォーマンスにつながっています。

もちろん上司には事前に話をしているのですが、自分の裁量で時間を使うことを認めてくれただけでなく、リフレッシュ法の一例として、全社のスタッフミーティングで紹介してくれたこともありました。

そうした風土があるので、より一層安心感を持って自分らしく働けているように思います。

ちなみに、プロジェクトの合間には長期休暇も取りやすく、故郷にも頻繁に帰っています。今年だけで5回も帰省しているんですよ。

確かにコンサルティングは責任が重く、楽にできる仕事ではありません。成果にコミットする姿勢は大前提です。しかし、多様な人材の多様な「個」が尊重されるカーニーだからこそ、働き方の自由度は高く、寛容な風土が広がっています。

自分らしさを発揮しながらコンサルタントとしての本質的な成長に向き合える。それがカーニーで自分らしく、長く働き続けられる理由だと実感しています。

取材・文/瀬戸友子 撮影/赤松洋太

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