「もともと、私にとって就職というのは、数ある選択肢の一つでしかありませんでした」と話すのは大学卒業後の進路について、大学院への進学や留学も視野に入れ就職活動を行っていた竹内友夏さんだ。当時、就職という選択の優先順位は高くなかった竹内さんはA・T・カーニーのインターンシップを受けた理由を、知人のすすめだったと振り返る。
「経営コンサルタントとして活躍する知人の話に興味を持ち、参加しました。理系出身で、経営コンサルティングの世界とは無縁だった私にとって、インターンシップの内容は、すべてが新鮮でした」
与えられたテーマは、大手飲料品メーカーの売上向上施策の立案。解のない課題に向き合い、苦労しながらも、インターンシップの期間中は充実していたという。
「現役の経営コンサルタントがスーパーバイザーとしてついてくれる議論の場が毎日あり、用意されたわずか1時間で、自分が考えた拙い仮説がみるみる進化していくのを肌で感じました。知的好奇心が満たされ、コンサルティングの面白さに引かれていきましたね」
異なる視点を交え、より良いアウトプットを目指す過程は、実際のプロジェクトでも同じ。苦しくも心地よい濃密な時間を経験し、竹内さんの就職への価値観が大きく変わり始めたのである。
インターンシップ・プログラムの最終日には、成果を発表する場が設けられ、先輩コンサルタントからの質疑応答がある。その発表に参加したのは偶然にも、竹内さんが経験したワークのテーマと同じプロジェクトを進めていたコンサルタントだった。
「質問の一つ一つが非常に深く鋭く、いち学生に対してというより、リアルなプロジェクトでのやり取りを彷彿とさせるかのような真剣さでした。刺激的だったと同時に、『仕事にこんなにも熱くなれる人たちと働けたら、やりがいがあるだろうな』と素直に思いました」
同社のインターンシップで疑似体験した経営コンサルタントの熱量と高揚感。それをもっと感じてみたいというのが、竹内さんが入社を決意する動機となった。竹内さんは入社後、持ち前の好奇心を発揮し、幅広いプロジェクトに従事する中で、コンサルティングを受ける側の視点に興味を抱き、事業会社に転職。その約2年後に再び同社への復帰を決める。脳裏をよぎったのは、当時味わったあの感覚だったという。
「一度、会社を離れてみて強く感じたのは、同じ方向を向いて全力で仕事ができる仲間の貴重さです。立場も年齢もバックグラウンドも異なるビジネスパーソンが、一つの課題に全力で向き合う。あの連帯感や充実感は何ものにも代え難いですね」
インターンシップ当時から竹内さんを魅了してやまないコンサルティングの高揚感は、まだ当分の間、やむことはないだろう。