世界120カ国以上、40を超える業界でビジネス変革の支援をしている総合コンサルティング企業のアクセンチュア。同社の戦略コンサルティング本部で活躍する田口貴規氏は、アクセンチュアの実践型プログラムを受けた一人だ。
「日本経済を強くしたいという想いを胸に、就職活動初期は事業会社のインターンに参加していましたが、1社のみで及ぼせる影響範囲に限界を感じました。もっと経済全体へ影響力を発揮できる環境で仕事をしたいと考え、コンサルティング業界に絞り込み、当社のプログラムに参加しました」
田口氏が参加した4日間のプログラムで与えられたワークのテーマは、実在する家電メーカーの中長期経営戦略策定を、IR情報をもとに考えるというもの。最終日には居並ぶアクセンチュアの経営陣へのプレゼンが待っているが、講義は初日の約3時間のみ。プログラム概要が伝えられ、すぐにワークが始動する実務さながらのスピード感と、個人の本当の実力が試される実践形式が特徴。田口氏は、売上増加中の海外製品に着目し、さらに続伸させる戦略を立案。滑り出しは順調であった。
「なぜ、これが課題だと思った?」1日目の社員フィードバックは、田口氏の予期せぬ質問だった。
「売上が低調の製品に着目しない理由を追及されました。課題の特定において自ら選択肢を狭め、都合良く目的を設定していたことを突かれ、緻密な思考のプロセスの重要さに気づかされました」
発表まで残り3日。社員への相談を繰り返しながら最終プレゼンに備えた田口氏。
さまざまなケースを想定した問答集を用意したつもりだったが、最終プレゼンでは、「商品拡販において、新規消費者に購入を促すのか、既に製品を持っている人に買い換えを促すのか、どちらがターゲットなのか?」など、想定外の質問を浴びた。準備した回答案では、対応できない問いも残したまま発表を終えた。
「考え尽くすことの難しさを痛感しました。ロジックを積み重ねて判断を下す、コンサルワークの根幹を肌で理解できました」
インターンでは自身の力不足に打ちのめされる学生が多い中、プレゼンを終えた田口氏は悔しさよりも純粋に面白さが勝っていた。
「自分は思考することが好きなのだと改めて実感しました」
田口氏はアクセンチュアに入社後M&A専門チームに配属され、複数の案件に従事。現在は海外に駐在して、現地支社の仲間と共に、日系グローバル企業の世界展開を支援している。
「入社後、コンサルティングの実務がインターンでの体験そのものだと実感しました。思考プロセスを理解できただけでなく、自分が好きな仕事だと知れたからこそ、今では仕事に夢中です。日本経済を強くしたいという夢を実現出来る環境であると確信し、実現に向けて邁進しています」