日本取引所グループ(東京証券取引所・大阪取引所) 2021/9/17 更新

リスクコントロール機能としての価値を発揮し
市場の「公正性」と「信頼性」を守る

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先輩社員22人、入社前後の仕事観の変化をたどる
私たちが働く理由

自分の志向にマッチした企業へ入社すると、仕事のパフォーマンスも上がりやすいもの。しかし自分が成し遂げたいこと、かなえたいことが一体何なのか、言語化しきれなかったり、入社してみないと分からないよ……と悩んだりする学生も多いだろう。そこで各企業の先輩たち22人に、「学生時代」「入社数年経ってから」「コロナ禍を経験した今」、それぞれの時期の「自分が働く理由」を聞いてみた。
自分自身の働く理由を考えると同時に、「仕事選び」の視点を養っていこう。

日本取引所自主規制法人(JPX-R)考査部 部員
塩見高央

2017年に早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、日本取引所グループに入社。株式売買が公正に行われるよう市場の動向を監視する東京の株式部に配属される。18年、仕事の幅を広げたいという思いから自ら希望し、先物取引などの金融商品に携わる大阪の市場管理部に異動。現場の最前線で実績を積んだ後、20年8月より、証券会社などの考査を行う現在の部署に異動

東京証券取引所グループと大阪証券取引所、この二つの取引所の経営統合により誕生したのが、日本取引所グループ(以下、JPX)です。投資家の方々が安全に取引できるよう、取引所金融商品市場の開設や運営を行っています。上場企業として利益を追求する民間性と、日本経済の社会インフラを支える公共性、両軸を兼ね備えた唯一無二のビジネスを展開しています。

私がJPXへの入社を決めた理由は二つあります。一つは、経済活動の中枢に身を置き、経済の専門知識を深めたいという思い。二つ目は、お金を稼ぐという目的だけではなく、社会に役立つ公共的な仕事がしたいという価値観からです。学生時代にジャーナリズムを学んだ経験から、社会インフラを提供するJPXの事業に興味を持ったのです。

入社後は東京の株式部に配属され、市場に届いた証券会社からの注文に対し、異常がないかをリアルタイムで監視する役割を担いました。入社当初は知識や用語を覚え、目の前の業務に向き合うことに必死。経済の知識も浅かったため、とにかく勉強の毎日でした。しかしそのかいもあってか、入社1年目の冬には仕事の素地を身に付けられた実感があり、さらに知見を広げたいと思うように。入社2年目に自ら希望し、大阪の市場管理部に異動しました。市場管理部はデリバティブ(先物取引、オプション取引といった金融派生商品)の取引を監視する部署で、1年目とは領域が全く異なり、新たな知識を再度学ぶ苦労がありましたが、二部署を経験したことにより、JPXが関わる市場や商品について幅広い知見を蓄えられたことが、私の強みになりました。

公正な市場を支える使命感の下
能動的に発案し、周囲に貢献

現在は考査部という、証券会社などの業務執行体制や財産の状況を把握し、必要に応じて是正を促す部署に所属しています。誰でも直接取引所に発注できるのではなく、一定の基準を満たし承認を受けた取引参加者と呼ばれる証券会社などが発注することになりますが、この点で取引参加者には市場のゲートキーパーとして、ルールにのっとり適切に業務を行うことが求められます。考査部は日本取引所自主規制法人(以下、JPX-R)に属していますが、取引所内に考査機能があるのは、国際的には当たり前ではありません。JPX-Rは取引所の運営をより安全にするため、市場に最も近い存在として専門性を持ちながら、別法人として中立的な立場で考査を実施できる点が特徴です。私のいる総務企画グループでは、違反や不備の発生を未然に防げるよう、考査に関する施策の立案・推進をしています。

その仕事に通じる部分として、これまでは周囲の要望に応え、成果を発揮することが醍醐味でしたが、今は周囲が求めることを先んじて考え、価値を創造することに魅力を感じています。特殊な立ち位置の考査部をどのように能させるか、時代の変化に応じて考え方をアップデートさせ、多くのステークホルダーに価値を提供したいです。

「働く理由」はどう変わった?

入社

社会を動かす根幹である
経済を学びたい

学生時代はゼミでジャーナリズムを学んでおり、世界情勢や世の中の動向には興味がありました。そして、ゼミでの関連性もあることから、生放送のニュース番組にテロップを入れるアルバイトをしていたのです。その際に、社会で起きている全ての事象が経済につながっている現実を実感し、その奥深さと、より専門的に経済を学びたいという思いが、JPXに引かれた理由につながっています。そのため、入社1年目では経済や取引市場における膨大な知識を覚える必要がありましたが、未知の領域を習得しながら視野を広げていける、楽しい日々でもありました。

また、ニュース番組では立場の弱い人々の声や海外の社会問題など、普通に生活をしていては知り得ない情報を多くの人々に届けることができます。その「公共性」の側面にも価値を感じていました。
経済を学びたい。また、公共的な仕事に携わりたいという好奇心と期待が、入社前の仕事観でした。

2年

BCPの一助を担い
JPXの持続性を守る

株式部で業務にあたる中、株式市場とデリバティブ市場が密接に関連していることが分かってきました。「市場の全体感を知るために、市場管理部を経験したい」。その思いが高まり、上司との面談で希望をアピール。

入社2年目で異動をかなえました。市場管理部には、自分より1年アドバンテージがある初期配属の同期社員が多数いました。そのメンバーの中で自分は何ができるのか、懸命に考えていましたね。そこで考えたのが、株式部で得た業務知識を共有すること。JPXでは、BCP(緊急時事業継続計画)対策の一環として、大災害の発生時に、中央機能を各拠点で引き継げる体制づくりを進めていました。

万一大阪で株式部の業務を対応することになった場合を想定し、東京での知識やノウハウの共有を求められていたのです。そのプロジェクトの一員として、勉強会では講師役を担当。BCPの必要性を肌で感じたとともに、組織や会社への貢献も意識するようになりました。

現在

ステークホルダーや
業界への使命を果たす

株式部と市場管理部は、市場のオペレーションを担当する業務部門でした。現場でのキャリアを積んだことから、「バックオフィスの部門で現場をサポートしたい」と思うように。
考査部の総務企画グループに異動しました。ステークホルダーから求められていることや部署の現状を踏まえ、市場の信頼性を守りながら、JPXのビジネスをサポートする必要がある立場です。また、施策を実行するために納得いただける根拠が必要で、説明責任が発生します。結果、自分はこの部署にどう貢献し、何がしたいのか、能動的に考えるようになりました。問題が顕在化した後の対応だけでは市場の信頼性を守ることはできません。金融取引の規制が厳しくなり、取引参加者がコンプライアンスやリスク管理に対応するコストが高まる中、潜在的なリスクを共有することで、取引参加者と取引所の双方にとって価値を発揮し、より良い市場をつくることが、私の今の目標です。

会社のミッション

日本の取引市場の発展を支え
攻守を兼ね備えたアプローチで経済を支える

JPXのミッションは、公共性及び信頼性の確保、利便性、効率性及び透明性の高い市場基盤の構築並びに創造的かつ魅力的なサービスの提供により、市場の持続的な発展を図り、豊かな社会の実現に貢献すること。近年は金融とコモディティ分野のデリバティブの取引を一つの口座で行える「総合取引所化」の推進など、新たな挑戦に積極的に取り組んでいます。

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