2017/9/27 更新 監査法人で描くコンサルティング・キャリア

変革に潜むリスクを洗い出し、企業の新たな挑戦の成功可能性を引き上げる“守りのコンサルティング”の醍醐味

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監査法人で描くコンサルティング・キャリア 【第2回】
公認会計士が集い、監査業務を行っているのが監査法人。そんな画一的なイメージが先行しがちだが、PwCあらた有限責任監査法人では、監査業務を通じて得たリスクマネジメントの知見をコンサルティングサービスとして提供する部門の存在感が増している。それが“守りのコンサルティング”と呼ばれる領域で企業の経営基盤を支える、システム・プロセス・アシュアランス(SPA)部門だ。監査法人の枠を超え、チャレンジングなビジネスを手掛ける同部門の実態に迫る。連載第2回は、転職を経て同社へ入社した佐藤要太郎氏に、SPAならではのビジネスの面白さについて聞いた。

PwCあらた有限責任監査法人
システム・プロセス・アシュアランス部
マネージャー
佐藤 要太郎 氏

東京理科大学理工学部経営工学科卒業後、新卒で2007年4月に大手シンクタンクへ入社。エンジニアとして保険会社のシステム開発などに携わった後、総合系コンサルティングファームへ転職。マネジャーとして主に大規模システム開発案件等のPMO業務を担った後、2014年に現職へ転職。プレーイングマネジャーの立ち位置で数々のプロジェクトを指揮するとともに、若手世代の育成にも力を注いでいる

――大手シンクタンク、総合系コンサルティングファームでキャリアを重ねていらした佐藤さんから見て、PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)のシステム・プロセス・アシュアランス部門(以下、SPA)の仕事の面白さとは何でしょうか?

 会計、IT、ビジネス(業務)という要素と向き合い、企業経営に潜むリスクを見つけ出し、管理して、課題解決を導いていくのがSPAの仕事です。一見、私が前々職や前職で担ったミッションに似ているようにも見えますが、決定的な違いがあります。それは「徹底した外部からの目線」、つまり「世の中目線」でクライアントの業務やシステムを精査し、信頼の醸成を第一の使命とする点です。
 私はもともと、社会と自分とがどうつながっているのか、確かな手応えを感じながら生きていきたい、という思いが強い人間なんです(笑)。だからこそ、世の中からの信頼性を醸成する、PwCあらたの「ビルド・トラスト」という使命にはとても共感しました。現職への転職を決めた最大の理由も、ここにあります。

 前職で私は大規模なシステム構築プロジェクト等を担当し、そのプロジェクトが円滑に効率良くゴールに到達するようPMOと言われる役割を実践しながら、企業経営陣の意思決定にも提案をする立場でした。
 そこで直面したのが「外部からの目線」の重みです。企業経営陣は、単に「自社のプロジェクトがうまくいくことだけ考えていればいい」のではありません。例えば株主やエンドユーザー、そのビジネスに関わる規制当局といった、外部のさまざまなステークホルダーからの評価を意識しながら、経営の意思決定をしていかなければいけない。
 その判断は非常に高度で難解であり、多くのCxOと呼ばれるチーフ・オフィサークラスの経営陣が悩む姿を目の当たりにしていました。SPAの仕事は、まさにそうした経営陣に寄り添い、同じ視点で課題解決に取り組める点が大きな魅力だと思っています。

 極論すれば、経営陣に「変革をしましょう。そのためのソリューションはこれです。共に成し遂げましょう」と提案するのがコンサルタントで、「変革に向けた新たなチャレンジには、こういうリスクが想定されます。それを回避する解決策はこれです。さて、チャレンジを決断しますか?」と問い掛けるのがSPAです。
 現代の経営者の多くは「リスクテイクをしてでもチャレンジをしないと生き残れない」という危機感を抱いています。そうした経営者に対して、SPAは客観的な視点を持ったリスクマネジメントのプロフェッショナルとして、想定されるリスクとその解決手段を提示し、意思決定のサポートをしていきます。

――リスクの提示によって、企業の新たなチャレンジを止めることにはなりませんか?

 リスクとは基本的にはネガティブなもの。一見、そう受け取られるかもしれませんね。ですが、むしろ逆なのです。
 ネガティブな「変動可能性」をマネージし、強固な守りを築くのがリスクマネジメント。守りを固めていくことで、新たな挑戦の成功可能性を引き上げ、むしろ企業の変革スピードを加速させることができるのです。企業が継続的に前進するために、堅牢な土台を創ることがSPAの最大のミッションだと考えています。

 もともと、企業の活動を阻害するようなリスクの可能性を察知し、それに立ち向かうための備えができているかどうかを判断するのは、監査法人の重要な仕事です。SPAではさらにその一歩先まで踏み込み、「このリスクの可能性を排除するために、具体的にこういう備えをしませんか?」という提案を先んじて行うことも多くあります。
 リスクマネジメントは“守りのコンサルティング”と呼ばれる領域ですが、決して受身でいるわけではないんですよ。

――例えば、どのような提案をしているのでしょうか?

 具体例を挙げましょう。国連が近年提唱している災害リスク管理のプラットフォーム構築を行う『R!SE(ライズ)』(※1:関連情報) という取り組みがあります。 リスクレジリエンス(※2:関連情報)と呼ばれる領域ですが、SPAのパートナーには、この分野の第一人者がおり、先鋭的なリスクマネジメントを望む企業に対し、その可能性を提示したりもしています。

 SPAには、自分で案件を取ってきてチームをアサインし、自ら主導してプロジェクトを動かしたい、と考えている若手社員たちがたくさんいます。自分の提案が世の中に流通していくことにモチベーションを感じる社員が多いですね。
 私自身も現在、デジタルトランスフォーメーションに対応した新サービスを企画中で、上司であるパートナーに相談しながら、クライアントへの提案準備を進めています。とても思い入れのある企画なので、絶対実現させたいと思ってるんですよ。

システム・業務・組織・データ、すべてに精通した経営のプロへと成長できる


――佐藤さんは理系出身で、前職でもシステム開発に携わっておられました。SPAの仕事でも、ITの知見が必要とされると聞いています。新卒入社でも、やはり理系出身者の方が有利なのでしょうか?

 正直なところ、大学で何を学んでいたかというのは、SPAではあまり関係ないと思っています。
 SPAの仕事でも、プレゼンや報告書作成などの論理的な説明が必要とされる場面では理系の発想が役に立つこともあるでしょうし、クライアントのCxOクラスなどとディスカッションをする局面では文系人材が得意だとされているコミュニケーションスキルが問われます。結局、理系・文系のどちらの特性も必要ですし、そもそもほとんどの人間が現場の仕事を通じて専門性や汎用性を高めているのが現実ですから、あまりそこは意識しなくてもいいと思います。

 ただ、理系学生の多くは、「監査法人に自分の知見が活かせる場などあるはずがない」という認識ではないかと思うのです(笑)。そうした意味では、先ほどの意見と相反するようですが、SPA部門であれば理系バックグラウンドも大いに活かせますから、先入観でキャリアの選択肢から外すことはしないでほしいですね。

 SPAにいる人材のバックグラウンドは凄まじく幅広いんです。
 PwCあらたには、当然のことながら会計のエキスパート、監査の達人、ITのスペシャリスト、業務や経営の専門家など、多様な人材が在籍していますし、PwCグループ全体で見れば、攻めのコンサルもいれば、税金や法律の専門家などもそろっています。独特の多様性がチームにも個人にも蓄積された環境です。
「自分は理系だから」とか「文系だから」という単純な発想で私たちの存在を圏外に置いてしまうのではなく、興味を持って見てくれたらうれしいですね。

――そうした多様性溢れる環境の中で経験を積むことで、どのような成長が実現できますか?

 特にSPAは、企業と社会との結び付きというものを大局的に見る力と、システムや業務を細かに見つめていく専門性というのをグッドバランスで磨いていける点が魅力です。ITベンダーやコンサルとの大きな違いもここにあると思っています。

 経営の意思決定をサポートするためには、経営層に対し、システム・業務プロセス・組織・データ分析など、企業経営のあらゆる領域に潜むリスクを洗い出し、その解決手段までを提示していく必要があります。ITの専門性も、ビジネスや業務についての深い理解も求められますが、クライアントが私たちに求めるのはあくまでも同じ視点で経営を語ること。決して、いち分野の専門家であれば良いわけではないのです。
 クライアントが組織の中でITをどう活用して事業を進めているかを深く理解し、会社の実情を大局的に把握することが求められますが、私はそれこそが一番面白いと思っています。

 世の中のメガトレンドを先取りして、その知見を企業経営に活用してもらう。その領域がリスクに関わるため“守りの”という呼び方をしていますが、先ほども申し上げたように、私たちは前向きな経営に役立つ新しいことを、どこよりも早く吸収し、その活用を推進する立場にもいます。
 だからこそ、学生の皆さんには偏見を捨てて、もっと私たちを知ってほしいと願ってもいるんです。変化が激しい時代だからこそ、“守りのプロ”への期待はどんどん高まっていますし、どこよりも新しいことに積極的にトライしているのが私たちだと自負しています。

(取材・文/森川直樹、撮影/大島哲二)

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