2020年以降、企業はどう成長するのか。
トップが挑む「経営改革」ビジネストレンドが目まぐるしく変わる昨今。2020年以降も、さらなる変化の波が押し寄せてくる――。そんな中、日本を代表するリーディングカンパニーの経営者たちは、“生き残りをかけたチャレンジ”に踏み出した。各社の成長戦略や、経営理念を知り、企業で働く醍醐味を感じてほしい。
株式会社マネジメントソリューションズ
代表取締役社長 高橋信也氏
たかはし・しんや/1972年生まれ。上智大学経済学部で組織論、日本的経営を研究し、卒業後はアンダーセン コンサルティング(現・アクセンチュア)に入社。プログラミングから業務設計まで幅広い工程を経験した後、2001年にキャップジェミニのマネジャーに転じ、経営管理および業績管理コンサルティングに携わる。SONY Global Solutionsでは、当時最年少でプロジェクトマネジャーに就任。グローバルシステム開発プロジェクトのPMOリーダーとして研さんを積む。05年、マネジメントソリューションズ創業
※所属部署・役職は取材当時のものです
先日、ある記事を読みました。それは、安倍首相が所信表明演説の中で用いた「改革」という言葉の数に着目する内容でした。歴代の首相と比較しても非常に多かったというのです。考えてみれば、企業経営陣からのメッセージにも、近年「改革」「変革」という言葉が数多く登場しますし、まさに現代は改革の時代なのだと言えるでしょう。
コンサルティングをメイン事業とするマネジメントソリューションズ(以下、MSOL)でも、この言葉を使わない日はありません。政治であれ、ビジネスであれ、リーダーたちは「変わらなければ」という危機意識を高めているのです。ところが、肝心のビジネスの最前線を見ると、リーダーの呼び掛けが空回りしている実態が浮上します。ビジョンや戦略の中でどんなに改革を訴えても、実行されなければ絵に描いた餅。現場にあるリアルな課題や問題点を解決できない限り、「改革」は「実行」されないのです。
コンサルタントは、以前から「経営改革を支援する担い手」として存在感を示し、クライアントからの期待を背負ってきました。しかしながら、かつて効力を発揮した専門性、例えばロジカルに状況を把握する能力や、問題点を抽出する力、その解決策を編み出し提案するノウハウだけでは、改革を達成できない時代が来ています。そもそも、すでにそうした専門性は、随分前からクライアント側の人材が十分に身に付けており、それでも改革を達成できないからこそ、現代のリーダーたちの危機意識がこれまでになく高まっているわけです。今やコンサルタントも「実行」達成の能力を問われていると言えます。
MSOLは創業時からPMOを軸とした「改革の実行」を目指してきました。PMOとは「プロジェクトマネジメントオフィス」のこと。それは、あらゆる業種の企業が事業において手掛けているプロジェクトにおいて、そのリアルな目標を達成するべく、プロジェクトチームのヒト、モノ、カネをまとめ上げ、最適化していくことを意味します。創業以来、「実行」の重みを知る企業の経営陣からオファーを頂き、成長をしてきたわけですが、「改革」の時代が本格化する中で、戦略実行型のコンサルティングが業界の「サードウェーブ」としても位置付けられるようになりました。今年7月にMSOLが上場を達成したのも、言ってみれば「改革」という時代性が追い風になったからだと私は自負しています。
改革請負人=PMOにとって 最も重要な資質は「人間力」
では、MSOL自体の「改革」は何なのかといえば、上場を果たして飛躍のチャンスを迎えた今こそ、「実行の担い手」としてのPMOソリューションに磨きをかけていくことに他なりません。これまでもクライアントの大部分が東証一部上場企業でしたが、ここ数年はさらに、業界や市場を席巻するリーディングカンパニーの経営陣ばかりからお声が掛かります。「改革」を呼び声では終わらせず、確実に「実行」しなければいけない、という危機意識。それをどこよりも強く抱いているであろう経営陣から、改革実行のパートナーとして指名されるようになったのです。光栄なことではありますが、責任も重大。任されるプロジェクトは、規模や予算も大きく、用いられる技術も先進的で、業界や国を越えて多様な人々が集います。そんな集団をまとめあげていかなければいけません。
世の中では、IoTやAI、デジタルといったバズワードが革命的な変化をもたらすと言われていますが、それらを用いてイノベーションを起こそうとしているプロジェクトでも、現場では数々の生々しい問題が発生します。きれい事ばかりでうまくいくほどプロジェクトマネジメントは甘くないのです。先進性や複雑性が増せば増すほど、PMOの難易度もまた増していくもの。その部分に多くのビジネスリーダーが気付き始めたことで、私たちは期待をかけてもらっているのかもしれません。
知見や経験に基づくノウハウに加え、テクノロジーやマネジメントへの理解も求められる中で、私としてはMSOLのメンバーに、何よりも強く人間力を求めています。実行の担い手には、泥臭い対応がついてまわります。「改革」をうたう経営陣と「現実」を抱える現場とがしていれば、双方に言いにくいことを言ってのけるメンタリティーも問われます。危機意識と、目の前の事象や現実をあえて悲観的に捉えて将来に備える姿勢、そして戦略実行への情熱を兼ね備えた、高度な人間力を有することがPMOの条件です。急拡大する期待に応え、改革実行集団としてさらに飛躍できるよう、人づくりに注力したい。そう思っています。
[Company info]
”コンサルティング業界のサードウェーブ“と呼ばれる戦略実行型のマネジメントコンサルティングビジネスを展開。東証一部上場企業を中心に60社以上と取引を行う。2018年7月、マザーズ上場を果たした