2024/9/27 更新
技術を駆使する
現場にフォーカス

ITエンジニアプロジェクト図鑑

「エンジニア」といっても、その仕事内容は千差万別。

関わるプロジェクトによって、難しさもやりがいも違う。

チーム体制、扱う言語、そしてプロジェクトの目的は?

4人のエンジニアが、自社の注目プロジェクトを徹底解説。

技術で価値を生み出す現場の最前線をのぞき見してみよう。

セイコーエプソン
  • セイコーエプソン
  • エンジニア
  • キャリア
  • ビジネス
プロジェクト名
マイクロデバイスの製造工程を変革するDX推進
概要
プリンターやプロジェクター、産業用ロボット、ウオッチ、半導体などの製造を手掛けるセイコーエプソン。その中でもマイクロデバイス事業部は、半導体、水晶デバイスなど高性能なデバイスの開発・製造を行っている。現在取り組んでいるのは、水晶デバイスの製造プロセス効率化を目指すプロジェクト。従来よりも短期間で、かつ高いクオリティーでの製造・量産を実現することが目標だ。また、製造プロセスのシステム化は、マイクロデバイス事業部の枠にとどまらない。データ抽出や数値シミュレーションを自動化することで、セイコーエプソン全体のものづくりを、より高効率・高品質なものにすることができる。次世代のものづくりを実現するロールモデルとなるプロジェクトだ。
チーム編成
15
プロジェクトマネジャー2名、プロジェクトリーダー2名、メンバー11名
開発メンバーを含め、AIアルゴリズム開発部、DX企画設計部、製品製造部門など、3つの部署が連携し、多角的な視点でシステム開発を行っている
開発期間
1 9ヵ月
2023年5月~2025年1月予定
使用言語・フレームワーク
Python/R/SQL
プロジェクトリーダーを担当
DX企画設計部
係員
H.Masanari
大学院を卒業後、2021年にセイコーエプソンに入社。DX企画設計部の一員として、自社製品の組立製造・品質管理におけるデータ活用などに従事している。現在は、本プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、システムの要件定義やプロジェクト全体の管理から担当し、自社のIT活用をリードしている

製品の生産性や品質の向上をITで実現
会社全体のものづくりに貢献できる

このプロジェクトの難しいところ
水晶には、機械的な圧力を加えると電荷が生じる圧電効果と、外部から電圧をかけると機械的なひずみが発生する逆圧電現象があります。この現象を利用した水晶デバイスは、安定した周波数を出力できるため、電子機器の制御には欠かせない電子部品です。
まずは、水晶特性の理解から始める必要がありました。チーム全体でも、製造プロセスに対する課題意識を統一し、製品に対するリテラシーを高めなければならず、膨大な時間を要しました。
加えて、過去のデータの中から、どの領域でどのような項目を抽出するかという点も課題の一つでした。前提条件の擦り合わせから、現場レベルでの要望のキャッチアップまで、プロジェクトを進める難しさを知るきっかけとなりました。
このプロジェクトのやりがい
最上流から開発を手掛けられること、会社全体のものづくりに貢献できること。この二つが私が感じたやりがいです。
例えば、既存の製造プロセスで使用されていたExcelファイルや、設計者ごとの個人ノウハウなどの全てを確認し、実現可能なシステムに統合。さまざまな部門のニーズや課題を吸い上げ、全体を俯瞰したアウトプットを生み出すのはとても刺激的な体験でした。
また、このプロジェクトのテーマは製造時間の短縮や品質向上など、ものづくりの現場における永遠の課題といえます。それはすなわち、他の製品の製造工程にも応用できるテクノロジーでもあるはず。マイクロデバイスのみならず、会社全体のものづくりの進歩にプラスの貢献ができるという充実感がありました。
このプロジェクトで得られた成長
システムの必要性、データのあり方など、ものづくりの本質に向き合った経験は、私にとって大きな成長をもたらしました。現状の課題整理や一つ一つのデータに対する理解を深め、分析のプロセスを踏めるのは、自社の製品を持ち、製造工程を見渡してPDCAサイクルを回せるメーカーならではといえるでしょう。
さらに、販売部門からの意見もヒアリングし、要件定義に取り組むと同時に、入社3年目にして10名以上のプロジェクトをリードする経験も積めました。
ものづくりに求められるのは技術力だけではありません。時に、折衝力やロジカルシンキングも必要であることを早期に学べたこの経験は、私のこれからのキャリアをつくっていく上でとても大きな財産になると思います。

制作担当/向川巧真
AIによる飼料分析システム開発
畜産振興に向け、飼料(エサ)を撮影し、画像の波長分析から飼料成分を推定できるシステムを開発。成分分析を迅速かつ低コストで実施することで、牛の体重や健康維持のプロセスを簡素化する。経験の浅い技術者や農家の生産性向上に寄与する
GPSトラッキングシステム開発
トライアスロンの公式大会で使用される、 GPSトラッキングシステムの開発プロジェクト。選手の位置や状態をリアルタイムで検知し、安心・安全な大会運営の実現や、選手の運動分析データを抽出し活用することで、競技の新たな楽しみ方を提案する

合わせて読みたいこの企業の記事