ビジネスプロフェッショナルが解説
「真の企業力」を見抜く方法
会社の良しあしは「知名度」だけでは測れない。これから先も長く発展し続ける会社、急成長を遂げる可能性を秘めた伸びしろのある会社は、どうすれば見極められるのだろうか。企業経営、組織開発・採用のプロフェッショナルたちが、各社の事例を用いて「真の企業力」を見抜く方法を解説。インターンシップで確認すべきポイントも紹介する。

IT人材採用担当
真の課題を見抜く力が個人と企業の成長を加速させる
最善策を生み出す人材に成長できるかどうか見極めよう
日本国内外で約1000店舗を展開する私たちニトリグループは、「暮らしの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマン(志)の実現に向け、中長期計画として2032年までに全世界でグループ3000店舗・売上高3兆円というビジョン(目標)を掲げています。目標達成のため、特に成長著しいアジア諸国・地域へのグローバル展開を加速するとともに、家電事業やアパレル事業など、事業領域を拡大しているところです。
その最大の特徴が、「製造物流IT小売業」と呼ばれるビジネスモデル。お客さまの暮らしを豊かにする商品を「お、ねだん以上。」の適正な品質で提供するため、商品の企画から販売、お届けまで全ての工程を一気通貫でコントロールすることにより全体最適を図り、徹底的な効率化を実現しています。そして、このビジネスモデルの要となるのが、IT部門です。ニトリでは約30年前からIT部門の内製化を進めており、現在ではシステムの約8割を自社グループで内製開発、運用しています。
そのため、ニトリではIT人材の採用と育成にも力を入れています。32年までに社内IT人材を約1000名規模とすることを目標に、19年からはIT専門職の新卒採用も開始。さらに、22年には国内外の優秀なIT人材を集める拠点としてグループ会社「(株)ニトリデジタルベース」を設立しました。一方で、IT知識・経験のない社員に対しても基礎から最先端技術まで学べる段階的なIT教育プログラムを提供しています。
現場業務理解に基づく真の課題解決力と
個人・企業の成長を支える「現状否定」の文化
ニトリではエンジニアとしての「ITスキル」だけでなく、「業務そのものの理解」を重視した人材育成を行っています。ITを用いて変革を起こしていくために、ニトリのIT人材は入社後約1年半をかけて、店舗の現場を経験。「製造物流IT小売業」の中でもお客さまとの大切な接点となる店舗の業務を実際に経験するほか、物流の仕組みについても理解を深めるのです。現場経験を通じて、「言われた通りにシステムを作る」だけでなく「業務を理解した上で本質的な課題を見つけ出し、最適な解決策を提案できる」人材の育成を目指しています。
また、ニトリが大切にしている企業文化として「現状否定」があります。常に今までのやり方を否定して、変えていくことが重要である、という考え方です。一見うまくいっているように思えることであっても、常により良い未来に向かうために改善・改革を繰り返すことを大切にしています。
そして、ニトリではこの「現状否定」による改善・改革を促進する活動が多数あります。その代表的なものが「NWC(Nitori group World Circle)活動」という小集団活動です。全従業員対象の改善・改革活動で、日々の業務の中で問題点を発見し、原因を推定、対策案を考え、PDCAサイクルを回して改善・改革案の提言まで行います。時には部署の垣根を越えた連携をとりながら、徹底的に「現状否定」を行うチャレンジングな活動です。また、入社3年目の「アメリカセミナー」では、全社員がアメリカを訪問します。ニトリが掲げるロマンの原点であり、流通業界の最先端であるアメリカで、暮らしの豊かさ・買い物の楽しさを五感で学ぶのです。現地での講義や視察を通して、豊かな暮らしを実現する買い物の裏側の仕組みを学び、成果発表として現状に対する問題提起や会社への提言を行います。こうした「現状否定」の取り組みを通じ、成長するチャンスが豊富なことも特徴です。
個人・企業ともに長期的に成長するために意識していただきたいポイントは、まず「企業に明確なロマン(志)とビジョンがあり、社内に浸透しているか」です。社会貢献に対する明確な志が社員に共有されているからこそ、全社一丸となって行動できるはず。そしてビジョン(数値目標)があることで、そこから逆算し、優先順位をつけてやるべきことに取り組んでいくことができます。
次に、その企業に「変化に対応できる基盤」が整っているかどうかにも注目してみてください。ニトリでは、さまざまな業務領域を一気通貫でコントロールする「製造物流IT小売業」という独自のビジネスモデルによって、社会情勢や人々のニーズの変化に対して素早く柔軟に対応し、継続的にお客さまへ価値提供を行うことが可能です。
最後に、「挑戦できる社風」も重要な指標です。変化の目まぐるしい現代において、変わらないことはリスクであり、新たな挑戦を行わない企業に成長は望めません。ニトリには変化に強い基盤を保有するのみならず、人材に対しても常に挑戦による変化を求め、若手でも大胆な提案ができる風土が根付いています。
このように、就職活動では、「この会社で働くことで自分はどう成長できるか」という視点を持つとともに「会社自体も持続的に成長できる基盤を持っているか」を見極めることが重要です。変化を恐れず新たな価値を創造し続ける企業の中でこそ、「本質的な課題を見抜き、より最適な解決策を提案できるIT人材」へと成長できると私たちは考えています。
制作担当/篠田健太郎

ハッカソン形式の5日間のインターンシップでは自社システム改善やWebアプリ開発に挑戦。要件定義から開発まで実践的に体験できる
インターンシップMUST DOリスト
-
1
事前の企業分析で
理解を深めようインターンシップに参加する前に、企業の事業領域や強み、課題について調査しましょう。公式HPなどから情報を集め、企業の背景を理解することで学びが深まります。特に中長期ビジョンや経営戦略を把握しておくと、成長性も見えてきます。
-
2
主体的に参加し
積極的に発言を与えられた課題に対して受け身ではなく主体的に取り組みましょう。グループワークでは積極的に発言し、メンバーの意見にも耳を傾けることで、多角的な視点が身に付きます。社員との交流機会を活かして、社風も感じていただきたいです。
-
3
体験を自分事に
落とし込もうインターンシップで得た情報や体験を単なる知識として終わらせず、自分の将来とどう結びつくかを振り返りましょう。「この企業で働くとしたら、自分はどんな価値を提供できるか」と考えることで、企業理解が深まるだけでなく、自己理解も進みます。