メーカー業界 × SDGs
コニカミノルタ
創業以来培ってきた材料・光学・微細加工・画像の四つの技術をもとに多彩な事業を展開。世界で4万人の社員が在籍し約200万社と取引を行う。ビジネスの変革をリードする「課題提起型デジタルカンパニー」を目指す
五つの重要課題に基づく「SDGs経営」に力を注ぎ社会課題の解決に貢献
事業ポートフォリオ転換や多様な人財活用で会社・業界に変革を起こす
事務・光学機器メーカーで人事として採用活動に1年従事した後、製薬会社に転職。採用、広報、調達やアメリカの海外駐在も経験する。その後、食品会社でIR機能の立ち上げを担当。2022年1月からコニカミノルタの執行役員に就任
コニカミノルタは、四つのコア技術「材料・光学・微細加工・画像」を進化させ、オフィス向け複合機、ヘルスケア、プラネタリウムなど、時代の変化とともに多岐にわたる事業を展開してきました。例えば、コロナ禍でITを活用した新たな働き方が広がりを見せる中、全国の自治体が抱える問題を解決するため、「自治体DX」というプロジェクトを推進。膨大なペーパーワークを抜本的に見直し、新たな業務プロセスを構築するためのお手伝いをしています。
特に、SDGs経営には力を入れており、五つの重要課題を挙げてさまざまな取り組みを推進しています。
例えば、「働きがい向上および企業活性化」の観点では、オフィス全体をフリーアドレス化し、在宅勤務を8割程度にまで進めました。「健康で高い生活の質の実現」においては、介護・ヘルスケア事業を展開することで、人々のQOL(Quality of Life)の向上に寄与しています。また、「社会における安全・安心確保」についても、イメージング技術を活かした画像IoTプラットフォーム『FORXAI(フォーサイ)』により、リスクの可視化やセキュリティー対策などを通じて安全・安心に幅広く貢献。さらに「気候変動への対応」においても、カーボンニュートラルではなく「カーボンマイナス」を目標に掲げ、調達先を含めた先進的な取り組みを実行しています。「有限な資源の有効利用」では、事業の軸となっている商業向けの印刷分野においてオンデマンド印刷への変革をけん引し、資源使用量の削減を進めています。
上司・先輩・同僚と協力しながら
変革の推進力を生み出せる人
コニカミノルタでは2030年の社会のありたい姿と、その実現に向けて解決すべき環境・社会課題について議論を重ねました。そして世界が持続的に発展する自律分散型の社会に向かうという認識の下、「持続可能な社会の実現」と「人間中心の生きがい追求」に貢献することを当社の存在意義と再定義し、 25年までに二つの事業ポートフォリオ転換の完遂を目指しています。
その一つがオフィス事業の転換です。ペーパーレス化が進む中でも利益を生み出せる収益構造を確立するのと同時に、お客さまの業種・業態ごとのデジタルソリューションを提供することで、高収益を生み出すデジタルワークプレイス事業へと転換を図ります。
また「見えないものを見える化」する計測・検査・診断領域での事業基盤の確立を目指します。昨年4月には遺伝子検査による日本初となる未病検診プラットフォームを社会福祉法人と協業で開始しました。疾病の早期発見や個人に合わせた予防的治療の支援が可能となります。
こうした変革は、コニカミノルタの伝統芸と言えるかもしれません。当社の歴史を振り返れば、コニカとミノルタの経営統合、そして07年には100年以上の歴史を持つカメラ・フォト事業からの撤退という大きな決断をしました。かつて3000億円規模を誇った創業事業を手放し、得意の画像技術を活かしながら、新たな領域を切り開いてきたのです。近年では、自前主義を捨て、積極的に他の企業とタッグを組んでいます。丸紅と協業し、商業施設の来店客を分析する「人流マーケティング」の提供もその一例です。
こうした大胆な変革は、既存ビジネスの延長では成し遂げられません。重要なのは、変革を担う新たな人財です。コニカミノルタではダイバーシティの重要性を感じ、特に若手、女性、グローバル人財の育成を強化しています。 22年度には30代前半の執行役員が登場しますし、外国人のリーダーも既に誕生しています。
何より大きな期待を寄せているのが、若手人財の活躍です。規模の大きな組織は役割が細分化され、チャンスが巡ってこないと誤解している人もいるかもしれませんが、そのようなことは決してありません。むしろ、若手ならではの強みを活かし、上司や先輩、同僚たちと協力していけば、大きな力を発揮することができます。変革をいとわないコニカミノルタであれば、大きな変化を与えるきっかけを自ら生み出し、社会に幅広く貢献していけるはずです。