“自分にベスト”な1社を見極めるには?
20代15人、就職の決め手「自分に合う会社」って一体どうすれば見つかるんだろう? その答えを探るべく、この特集では、トップカンパニーでイキイキと働く先輩たちに、就職先選びで重視したことを聞いてみた。自分に最も合った会社とは何か、先輩たちの実体験を通して、“ベストな1社”を選ぶためのヒントを教えてもらおう。
リーマン・ショックで世界経済が揺れ動いた2008年から09年。当時、高校生だった私に衝撃を与えた金融危機をきっかけに、金融のメカニズムを学びたいと考え、大学では経済学を専攻。就職活動を始めた当初はメーカーや商社なども見ていましたが、気付けば選考は金融系の企業が中心に。大学で学んだ知識を生かし、社会貢献がしたいという思いが就活中にますます募っていきました。
その中で生まれた選択肢は二つ。中央省庁などの公的機関か、民間の金融機関か。公的機関で制度改革などの大局的な仕事がしたい気持ちと、民間企業で実行者として市場を盛り上げたい気持ちの両方がありました。
迷っていた際に出会ったのが、日本取引所グループ(以下、JPX)です。東京証券取引所と大阪証券取引所(現大阪取引所)の経営統合により誕生したJPXは、取引所の運営という日本経済の心臓部としての役割を担います。社会インフラを提供する公共性と、上場企業として利益を生み出す民間性を併せ持った独自のビジネスモデルを知りました。「公」と「民」、両軸の機能を有するJPXは、私の想いを叶える働く場所として、理想の環境でした。「市場の持続的な発展を図り、豊かな社会の実現に貢献する」というJPXの企業理念は、私の実現したいことをまさに言い表していたのです。内定をもらった時は、迷いなく入社を決めましたね。
入社後はマーケット営業部(当時)に配属され、ETF(上場投資信託)という商品のプロモーションを任されました。今でこそ、日銀の金融緩和にも活用され、知名度も上がってきたETFですが、当時は日本では規模の小さいマーケット。どうすればETFの魅力を投資家に対して伝えられるのか、
日々チームでアイデアを出し、試行錯誤する連続でした。個人の投資家にはETFの仕組みやメリットなどをまとめた冊子を作成し、証券会社に配布してもらったり、著名な投資ブロガーの方を招いて勉強会を開催し、その内容を発信してもらったりしたことも。
また、金融機関の方に直接商品の説明をすることも多かったのですが、入社したばかりの私に対して相手は役職も運用経験も上の方ばかり。知識不足で、その場で質問に答えられないこともありました。ただ、そうした中でも、担当者の方とのお話を通じ、相手の事情やニーズを把握することで、その後のプロモーションに生かすことができました。例えば、金融機関の規制に対応したETFが上場した際には規制の概要やその商品のメリットをまとめ、雑誌に寄稿。実際、その記事を持参して金融機関を訪問したのですが、「そんな便利な商品があったのか」とポジティブな反応が返ってきたときは嬉しかったですね。ETFを通じて投資家が市場に資金を供給することで市場の活性化にもつながる。その業務に携われて、やりがいも大きかったです。
一方、多くの投資家と関わる中で、個別の商品であるETFを超えて、取引所の上場制度や取引制度に対するご意見を頂くことも増えていました。市場を根本から盛り上げるには、制度そのものを変えなければ課題解決にはつながらないと考えるように。入社4年目の春、上場制度の企画・設計に携わる上場部に異動になりました。
現在、私は上場部で市場構造などの見直しやコーポレート・ガバナンスの充実に関わる業務を担当。例えば、15年にコーポレート・ガバナンス・コードを制定して以降、日本の上場会社のガバナンス改革は大きく進捗しており、自分が携わる仕事が社会に大きな影響を与えたことを実感しています。
私の仕事のベースには、企業理念である「市場の持続的な発展を通じた、豊かな社会の実現」があります。これは「公」と「民」、双方の機能を併せ持つJPXだからこそ実現できると感じています。将来やりたいことと、企業のビジョンが合っているかをしっかり確かめること。これが、後悔しない会社選びの鍵ではないでしょうか。
大学で学んでいた金融という領域。就活中も関心は衰えず、金融に関わることができる企業を中心に探していました。数ある企業の中でも、JPXは取引所を市場に提供し、日本経済の活性化に貢献している企業です。社会インフラに携わりながら金融の仕事ができる点に魅力を感じました
公的機関では制度をつくることはできますが、実際に実行し、目の前の多くの人々の反響を得られるのは民間企業。それぞれに魅力があり悩んでいましたが、取引所という社会インフラを提供する公共性と、上場企業として施策を実行し、利益を追求する民間性を共に兼ね備えたJPXは唯一無二でした
結婚・出産など、ライフイベントを経ても興味のある分野でキャリアを築いていけるところも入社の決め手になりました。実際に私自身も2018年に出産し、産休・育休を取得しています。同年10月から同じ部署に復帰しましたが、母親になった今も、好きな仕事を続けることができています