190を超える国々で34億人以上が製品を使用している世界最大級の消費財メーカー。『LUX』や『Dove』などの有名な日用品ブランドをはじめとする、日本人のニーズに合った多種多様なブランド・製品を展開している
取締役副社長 兼 営業本部長
2009年に大学を卒業後、ユニリーバへ営業職として入社。トルコ、オランダへの赴任なども経て、21年1月より現職。ユニリーバ・ジャパングループ史上最年少かつ初の女性の営業本部長に就任
情報に満ちあふれた社会で
進むべき道を自ら決定し
自走し続ける人材
現代におけるテクノロジーの進歩は、日用品業界のビジネスに大きな変化をもたらしています。例えば商品開発。クラウドファンディングで資金調達をし、3Dプリンターをはじめとした新技術を用いて物を作れば、オンライン販売などで売ることができる。今や誰もがアイデアをかたちにすることができるようになりました。市場への参入障壁が下がったことで企業間の競争は激化し、高付加価値商品の開発や、市場の動きを捉えたスピーディーな商品化が求められています。さらに、流通を介さず商品やサービスをダイレクトに消費者へ届けるD2Cなどのビジネスモデルも誕生。SNSの普及も相まって、幅広いマーケティング手法でユーザーニーズを理解し、よりパーソナライズ化した商品を作りあげていくことが、企業に求められるようになったのです。
最近ではユニリーバ・ジャパン(以下、ユニリーバ)も、商品パッケージのデザイン選定にAIを活用するなど、新たな手法に挑戦しています。グローバル水準のナレッジを持ち、日用品業界の最先端を走る企業として、データ分析や業務プロセスの構築などにテクノロジーを積極的に取り入れているのです。しかしユニリーバは、テクノロジーそのものに価値を感じているわけではありません。時代に合わせてビジネスを進化させていくことが求められる現代には、人間のスキルがこれまで以上に問われるからです。データのビジネス活用一つをとっても、従来のやり方にとらわれない思考を持つことが、新しいビジネスを生み出すようになるでしょう。
だからこそ今後活躍する人材には、決まった仕事をただ遂行する力だけでなく、世の中にあふれる有益な情報の活用方法を自らの基準で決定していく力が、必要不可欠なのです。
実際にユニリーバは日頃から社員に対して、自らの意思決定のための判断基準を持ちながら働くよう促しています。社員一人一人が「働く目的=パーパス」を持つことを推奨しているのです。働く目的を明文化すれば、それが仕事における道しるべとなり、発展し続ける現代社会の中で情熱を持って自走し続けるための原動力にもなるでしょう。
選ぶべきは、「個」を尊重するカルチャーを持ち
進む道を自分の意思で定められる会社
パーパスを見定め、判断基準を確立させるためには、まず自らの価値観や志向性を知る必要があります。どんな時に心が動くのか、何にわくわくするのか、という視点でこれまでの人生で経験してきた感情の起伏を振り返り、自分を理解する。例えば「新しい挑戦をする時に、面白さを感じることが多かった」のなら、常に変化や進化を感じられる環境でこそ、やりがいを得られるタイプなのだと分かるでしょう。感情を読み解くことで見えてくる自分の好みや傾向が、自分らしい判断基準を持つためのヒントになるのです。
忘れてはいけないことは、仕事における価値観は常に変化するということです。何度も繰り返し自己理解に努めることで、誤った自己理解を避けることができます。ユニリーバでは、年次や役職を問わない社内研修として、パーパスを見極めるためのワークショップを開催。社員が定期的に自身の価値観を再確認できる機会を設けています。
社員のパーパスを重視するユニリーバに根付いているのは、多様な人材が自分らしく活躍することを大切にする風土です。「Be Yourself(あなたらしく)」を合言葉に、社員それぞれが自身のパーパスに沿って意思決定できる会社でありたいと考えています。社員が持つユニークな価値観や思いはテクノロジーで代替することはできません。会社は個性を持つ人間の集まりです。その一人一人が自らのパーパスに沿って働き、自分の色を発揮することが、会社の成長に必要不可欠であり、ビジネスの長期的な成功にもつながるのです。
ユニリーバはパーパスを持つビジネスとして創業し、現在も「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」という会社のパーパスに沿い、社員一人一人の個性を尊重しながらビジネスを展開しています。今後社会がさらなる変化を迎えたとしても、ユニリーバが大切にしてきた風土や職場環境は変わらず守り続け、今の時代が求める自走型人材をより一層育てていきたいと考えています。
さまざまな企業や人と出会う就職活動ですが、新卒採用であれば特にキャリアの選択肢も幅広く、先輩や家族などからの助言を参考にする機会も多いかと思います。だからこそ、もともと持っている自身の意思や価値観を見失わないようにする意識が重要です。自らの判断基準を持って自走できる環境を見極めるためにも、自分以外の誰かの判断軸でキャリアを決めてしまわないように。自分は何をしたいのかという思いを基準に、あらゆる仕事や価値観と自分を照らし合わせてみるといいでしょう。あなたのありのままの個性や思いが尊重されるような環境を見つけられれば、自分の意思で進む道を決定し自走する経験をいち早く磨けるはずです。