私が学生から「いい就職」とは何かと聞かれたら、「限られた時間・情報・経験の中で、最も考え抜いたキャリア選択をすること」だと答えます。ごく短期間のうちに、採用側との間には持っている情報量に差がある中で、社会人経験のない学生が職業選択をしなければいけない。改めて考えると、就職活動は非常に難易度の高いミッションです。
そのためには、まず自分を知ることが何より重要です。自分は何をしていると幸せを感じるのか、仕事を通じてどうなりたいのか。さまざまな軸で自分を突き詰める必要があります。
とはいえ、部屋にこもって考え出すと、自分探しの旅が始まってなかなか答えにたどり着けません。それを回避するには、仮説思考による検証が有効です。「私はこの業界・企業・職種を選択する」と仮の答えを設定し、「数年後の自分はどうなるか」をリアルに考えてみるのです。
多くの人は情報をたくさん集めるほど、より良い意思決定ができると考えます。しかし社会に出る前の段階で学生の皆さんが、100%正確な情報を捉えることは簡単ではなく、情報量の多さに戸惑いを覚えることもあるでしょう。ならば先に自分のスタンスを決め、仮説検証によって職業選択を考えれば、判断の精度が上がります。
加えて重要なのが、その会社で働く人に話を聞いたり、インターンシップに参加したりして、生きた情報を取りに行くこと。実体験から得られる情報は、インターネットや生成AIが教えてくれる情報とは密度が違います。
キャリア選択では、最後は「人」が決め手になることが多いものです。仕事を通じてどんな人に出会えるのか、その会社で働く人たちはどう成長し、何をやりがいに感じているのか。これらは一次情報でしか得られない貴重な判断材料です。その中でも「個人が成長できる環境があるか」という視点は持っておくといいでしょう。人が育つ組織に共通するのは、一人一人が頑張ればギリギリ手が届くくらいの高い目標を設定して、成長を加速させる環境があることです。そんな会社を選択すれば、早いペースで自分の可能性を伸ばしていけるはずです。
 
   
           
     
                      
                       
                      
                       
                      
                       
                
               
                
               
                
               
              
            

