2025/10/31 更新 ボストン コンサルティング グループ(BCG)

【BCG日本支社長/服部 奨氏】限られた条件の中で徹底的に考え抜き、将来の自分が納得できる選択をする

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ビジネス賢者に聞く後悔しない仕事人生の始め方

「いい就職」って何だ?

就活も働き方も「効率」が重視される時代。しかし目先の損得勘定に固執し過ぎても「いい仕事人生」は得られないはずだ。では本質的な「いい就職」とは一体何なのか。後悔しない仕事人生を始めるための思考法を、各界のビジネス賢者から学ぶ。




世界有数のグローバルファームの
 北東アジアを率いる新リーダー

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ボストン コンサルティング グループ(BCG)
日本支社長 兼 北東アジア総責任者
マネージング・ディレクター&シニア・パートナー
服部 奨
三井不動産を経て、2004年にBCG入社。東京オフィスを経て、08年にBCGパリ・オフィスに勤務。全社戦略、中期経営計画策定、グローバル戦略の策定・実行支援、トランスフォーメーション、プライシングなどのプロジェクトを数多く手掛ける。25年7月より現職

「仮説思考」で
キャリアを選択する

私が学生から「いい就職」とは何かと聞かれたら、「限られた時間・情報・経験の中で、最も考え抜いたキャリア選択をすること」だと答えます。ごく短期間のうちに、採用側との間には持っている情報量に差がある中で、社会人経験のない学生が職業選択をしなければいけない。改めて考えると、就職活動は非常に難易度の高いミッションです。

そのためには、まず自分を知ることが何より重要です。自分は何をしていると幸せを感じるのか、仕事を通じてどうなりたいのか。さまざまな軸で自分を突き詰める必要があります。

とはいえ、部屋にこもって考え出すと、自分探しの旅が始まってなかなか答えにたどり着けません。それを回避するには、仮説思考による検証が有効です。「私はこの業界・企業・職種を選択する」と仮の答えを設定し、「数年後の自分はどうなるか」をリアルに考えてみるのです。

多くの人は情報をたくさん集めるほど、より良い意思決定ができると考えます。しかし社会に出る前の段階で学生の皆さんが、100%正確な情報を捉えることは簡単ではなく、情報量の多さに戸惑いを覚えることもあるでしょう。ならば先に自分のスタンスを決め、仮説検証によって職業選択を考えれば、判断の精度が上がります。

加えて重要なのが、その会社で働く人に話を聞いたり、インターンシップに参加したりして、生きた情報を取りに行くこと。実体験から得られる情報は、インターネットや生成AIが教えてくれる情報とは密度が違います。

キャリア選択では、最後は「人」が決め手になることが多いものです。仕事を通じてどんな人に出会えるのか、その会社で働く人たちはどう成長し、何をやりがいに感じているのか。これらは一次情報でしか得られない貴重な判断材料です。その中でも「個人が成長できる環境があるか」という視点は持っておくといいでしょう。人が育つ組織に共通するのは、一人一人が頑張ればギリギリ手が届くくらいの高い目標を設定して、成長を加速させる環境があることです。そんな会社を選択すれば、早いペースで自分の可能性を伸ばしていけるはずです。

「どこへ行くか」より
「行った場所でどう頑張るか」が重要

先ほど「いい就職」とは、考え抜いた上で納得できる職業選択をすることだと話しました。一方で、「どの業界や会社へ行くか」は仕事人生を決める要素のうち2割程度でしかなく、残り8割は「行った場所でどう頑張るか」にかかっていると、私自身の経験からも実感しています。

私が新卒で就職したのは、大手不動産会社でした。今振り返っても素晴らしい環境で、上司や先輩は魅力的な人ばかりでしたし、若いうちから責任ある仕事を数多く任され、自分を成長させることができたのは本当に幸運だったと思います。そして数年後、私はこの会社を退職し、私費によるMBA留学を経てボストン コンサルティンググループ(BCG)に入社します。周囲からは「あんなに良い会社を辞めて、しかも自腹で留学するなんて大丈夫か」と心配されました。

それでも私が揺らぐことなく、現在まで歩んで来られたのは、最初の就職先で過ごした時間が充実していたから。あれだけ魅力的な環境を投げ打ってこの道を選んだからには、最初のキャリアを超えるさらに充実したキャリアにするしかない。そんな思いが大きな原動力になりました。

BCG入社後はグローバルで連携する仕事が増え、クロスボーダーでチームを組む機会も多くなりました。多様なバックグラウンドを持つ仲間と共に、BCGが持つ世界中のリソースやベストプラクティスを駆使して、クライアントを支援する。グローバルファームならではの醍醐味を味わえる環境に立ったとき、自分の居場所にたどり着いたような感覚がありました。これは就職先、留学先、転職先と、どの場所へ行っても力を尽くして頑張ったからこそ、得られたキャリアだと考えています。

そんな私の信条は、「チャンスが来たら全力で取りに行く」こと。今ある安定や居心地の良さを捨ててでも、思い切って挑戦するからこそ、これまで以上の成功や成長を得られる可能性が開けます。選択を迷ったときは、チャンスの波が来ている方へ勇気を持って踏み出す。私の場合は、このポリシーが後悔のないキャリアにつながっています。

就職活動は難しいと言いましたが、視点を変えれば、この期間は人生においてとてもぜいたくな時間です。これだけ多くの会社や魅力的な人たちに出会える機会は、そうそうありません。選考の結果だけを心配するのではなく、学生の皆さんにはぜひ就職活動のプロセスを存分に楽しんでいただきたいと思います。

サブカット

今年7月に現在のポジションに就任。「日本と韓国を中心としたBCGの成長を促進するのが私の役目」と服部氏


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限られた条件の中で徹底的に考え抜き
将来の自分が納得できる選択をする

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