2023/9/27 更新
三菱総合研究所

金融や医療の現場におけるDX推進を通じて
人々の生活に直結した社会課題を解決する

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デジタル・イノベーション部門
DX技術顧問 研究理事
比屋根 一雄

東京大学大学院工学系研究科を修了。AI研究開発からキャリアを始め、ITソリューション開発やITの社会インパクト研究、各種IT政策の企画立案にも携わる。現在はコンサルティングの部門において、AIを中核に、企業のデータ活用やデジタル変革の技術指導を行う

DXの概念が浸透した昨今、企業がAIなどのデジタル活用に取り組む動きが活発化しています。ただ、AI活用に必要となるデータそのものが圧倒的に足りないケースや、データがレガシーシステムに蓄積されており効率的に抽出できないという課題に直面する企業は少なくありません。企業のデジタル変革を実現するためには、データに基づいて科学的に経営を行っていく「データ駆動経営」の実施が最重要事項です。そのためビッグデータ分析に関する豊富な実績を持つ三菱総合研究所(以下、MRI)の元には、デジタル改革の構想立案にとどまらず、実行までをサポートするニーズが強く寄せられるようになりました。MRIはシンクタンクとしての側面も持ち合わせているため、国や行政とのつながりから豊富なデータを取り扱うことができます。ビッグデータ分析の機会に富み、さまざまなビジネスに派生させることができるため、多くの企業から多岐にわたる要請を受けているのです。

とりわけMRIが注力しているのは、ビッグデータが大量に蓄積されている金融業界におけるDX推進です。膨大な量の書類作成や確認作業、問い合わせ対応によって業務がひっ迫するケースが散見される金融業界では、テクノロジーを用いて事務作業をいかに自動化するかが、直近の大きな課題です。そこで白羽の矢が立っている技術が、今注目を集めている生成AI。従来は人間が担っていた業務をAIに処理させることで、大幅な業務効率化を目指しています。また、シンクタンクならではの強みを活かし、国や行政と連携してヘルスケア領域でのAI・データ活用にも注力。現在は、厚生労働省が管理する公的医療データベースを分析し、次なる医療政策や福祉施策の策定に向けた判断材料を提供する事業が進行中です。

社会課題の解決につながるビッグデータを
テクニカルに活用できるチャンスが豊富にある

前述した金融やヘルスケア領域というのは、人々の生活と密接な関わりがある業界です。生活に直結した社会課題解決の一種を経験できることは、MRIのコンサルティング業務ならではの醍醐味だと思います。健康状態をAIで予測することで、病気の発生を未然に防ぐ策を提供する。国民の医療や健康に関わるデータを整理し、医療政策をより円滑に策定させるシステム化を推進する。こうしたビジネスに携わることは、医療費が急増している日本社会の現状を踏まえると、大きな社会的意義を持った取り組みだと言えるはずです。そしてMRIでは2023年10月付の組織編成にて、「医療・介護DX本部」を新たに発足させました。これはまさに、ヘルスケア領域におけるコンサルティングに対して、より一層会社を挙げて取り組んでいくという姿勢の何よりの表れです。この動きと同時に「生成AIラボ」という組織も立ち上げており、主に金融業界の企業に対して、今後どのように生成AIを用いていくのかという施策立案を、全社横断的にリードする役割を担っています。

データ活用の活発化や生成AIの登場など、テクノロジーの進歩により、これからの社会ではデジタル環境を駆使したコンサルティングがより活発に行われるようになるでしょう。デジタル時代を生き抜くことになる次世代の皆さんは、ぜひデータサイエンスにまつわる幅広いスキルを磨いていってください。MRIが目指しているのは、単なるコンサルティングにとどまらず、データ解析やAI活用をシステム化したソリューションを提供し、クライアントのビジネスそのものを成長させることです。人々の生活に直結する社会課題を解決に導くという大きな目標を達成するためには、先端的なビッグデータ解析技術やAI技術などの知見が必要不可欠。加えて、クライアントと伴走して課題に立ち向かうというコンピテンシーや、未来を想像していくイマジネーションは、コンサルタントにとって恒久的に求められる要素です。生成AI時代が幕を開けた今、技術的な専門知識と、深い洞察力や傾聴力を併せ持ったコンサルタントの重要性がより増していくのではないでしょうか。

Technology × Consulting プロジェクト事例

融資審査の効率性と客観性向上のため
AIによる自動判別システム導入を推進

三菱総合研究所、めぶきフィナンシャルグループが共同で推し進めている、金融機関業務のDX推進プロジェクト。従来は人間が行っていた融資可否の審査業務において、審査結果を学習したAIモデルを搭載したシステムを、金融機関の審査業務システムに連携。審査の自動化を促進するDX支援サービスを立ち上げた。審査内容に応じてAIモデルが審査の承認確率を算出し、求められた値に応じて業務フローを制御する仕組みを実現している。この取り組みによって、全体の50~80%程度の案件については人間の審査を介さずに自動かつリアルタイムでの承認回答が可能となった。判別性能の高いAIモデルを構築することで、人間の業務をAIに代替させた事例の一つだ

2022年11月から本サービスの利用に向けたシステム開発・受け入れテストを開始。23年12月からの実務適用を予定している

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