2025/9/26 更新

ビジネスパーソンの転換点を深掘り

キャリアの成長 Before/After

効率や最短ルートの追求だけが「いい仕事」なのか? ビジネスパーソンとしての成長は、試行錯誤を必要とする困難や挑戦を乗り越えた先にあるはずだ。

本特集では、各企業の第一線で活躍する社員のキャリアにおける成長のBefore/Afterを深掘り。彼らが壁を乗り越え、飛躍を遂げたリアルな姿から、効率だけでは語れない仕事の奥深さと、確かな成長イメージを学ぶ。

富士フイルムビジネスイノベーション
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調達本部
中央調達部
曽雌恭伍
2013年に入社後、ハードウエア設計エンジニアとして開発部門に配属。3DCADを駆使したものづくりに携わり、プリンター内部の重要ユニット設計などを担当。20年までの約7年間、エンジニアとして腕を磨く。現在は調達部門へ異動し、製品開発に関連するさまざまな資材調達を担当している
新商品に使用する部品の調達。組立品全体の「適正コスト」を一から構築するという未知の領域に挑戦した。具体的には、コストを部品費・加工費・工場経費に細分化し、最適解を導き出すことに注力。特に工場経費については取引先の運営コスト全体を把握した上で、当社が支払うべき適正価格を決定するという難しい課題に直面した。年間数億円の原価に影響する、責任ある仕事を経験することができた
技術的な正解を求めて与えられた役割の中で最適解を見つける
自ら正解を創り出し会社や市場にインパクトを残す
確かな論理と決断する勇気を持つことで
正解を自ら導く推進力

コスト決定という未知の領域に挑み
数億円の原価を左右する責任と向き合う

小さい頃から車のおもちゃを分解して組み立てる遊びが好きだった私。仕組みを学んだり、自分で作ったりする楽しさを原点に、大学では機械工学を専攻しました。将来はものづくりを仕事にしたいと考えていたとき、日本を代表するメーカーである当社にひかれ入社を決意。入社後は3DCADを使ったハードウエア設計職としてキャリアをスタートしました。プリンターの内部機構設計を担当する中で、最初は自身の設計根拠について、上司からの質問にうまく答えられず苦戦を強いられました。そんな課題を乗り越えたきっかけは、先輩社員からの学びにあります。論理的思考力や、根拠を構築するための筋道の立て方などを学ぶことで、製品設計における正解の出し方を身に付けたのです。さまざまな製品の設計を行う日々はやりがいに満ちていましたが、業務を通じて他部門の方と関わるうちに、次第に設計以外の仕事に興味を持つようになりました。

今まで以上の裁量と新たな挑戦を求めた結果、21年に調達部門へ異動。そこで担当することになったのが、製品作りに必要な「組立資材の調達」でした。調達の仕事は、サプライチェーン全体を捉え、取引先とコスト交渉を行い、最適な資材と利益を確保することが重要。つまり、自分自身で最適解を見つけていく正解を生み出す仕事なのです。そしてこの仕事は想像以上に難しいものでした。特に困難を極めたのは、24年10月に市場導入された新商品に使用する部品の調達。複合機の構成部品の一部を、組立品として取引先から購入するという案件でした。問題は、そのコストをどう決めるかという点。新商品になるため、これまでの当たり前が通用しないのです。特に工場経費の算出には苦労しました。ベトナムにある取引先の工場の運営コストを把握した上で、当社が支払うべき適正費用を決める必要があったからです。ベトナムの賃金水準や、工場の電気代、設備投資など、全ての要素を調査し、ロジックを組み立てるのに3カ月。この過程で、開発時代に培った論理的思考力が大いに役立ち、結果として最適なコストで資材を調達することに成功。問題を細分化し、一つひとつ解決していくアプローチが実を結んだのです。調達の仕事は、決めたコストによって会社の利益が年間数億円以上変わることも少なくありません。自分の判断がこれほど大きな影響を持つことに、今までにない責任とやりがいの両方を感じています。

この経験を通じて、ビジネスパーソンとしての私の姿勢は大きく変わりました。以前は与えられた課題に対して最適解を見つけるという姿勢でしたが、今は自分自身が「これが正解だ」と信じられるものをつくり上げ、周囲を巻き込んでいく力が求められる。だからこそ、不確実な状況でも前に進む推進力が身に付いたと思います。今後の目標として、ベトナムでの駐在も検討中。取引先の工場をさらに深く理解し、品質向上やコスト削減に貢献したいです。エンジニアから調達へ。その転換点で得た経験は、私のキャリアに新たな可能性をもたらしました。正解のない世界で、自ら正解を創り出す力こそが、私のキャリアを支える大きな武器となっています。

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