2022/4/08 更新

金融業界 × テクノロジー

農中情報システム

「JAバンク」と「農林中央金庫」のIT戦略パートナーとして、上流工程から金融システムの開発・運営を担うユーザー系システム会社。最新技術を活かしたイノベーションで、日本の農林水産業に貢献する

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テクノロジーの力で持続可能な農林水産業を実現したい

技術力とビジネス視点を兼ね備えた人材を育成しイノベーションを創出

代表取締役社長
吉田 光

1990年、農林中央金庫に入庫。2016年にIT統括責任者に、18年には常務執行役員に就任。20年、農中情報システムの代表取締役社長に就任し、現在は、農林中央金庫のIT統括責任者と兼務で、イノベーションを生む組織への変革に尽力

農中情報システムは、農林水産業の発展に貢献する民間金融機関「農林中央金庫」の子会社として、同社のIT戦略を担っています。農林中央金庫やJAバンクが使用するあらゆる金融システムの開発・運用を通して、日本の農林水産業に貢献する当社は、農林水産・金融・ITと、三つの業界に深く関わっています。この三業界全てに共通する課題は、「テクノロジーを活かしたビジネスデザイン」が求められる時代に突入しているということ。

IT業界で言うと、CPU、ネットワーク、ストレージとあらゆる基礎技術が進化しており、これらを用いた新製品が次々と現れています。ここ数年で台頭したクラウドやIoT、AIといった技術も全て、基礎技術の進化による産物です。こうした新しい技術の流れを傍観するのではなく、ビジネスに活かす提案ができる企業が求められるようになっていくでしょう。

金融業界においても、全てが数字で表される世界になるため、デジタルとの相性がよく、テクノロジーを使用した新しい製品へと移り変わっていくのは必至です。

農林水産業界においては現在、「グリーン(持続可能な農林水産業の実現)」と「人手不足」という二つの大きな課題を抱えており、これらの解決にも、テクノロジーの力が欠かせません。

こうした中、三領域にまたがる事業を展開する当社が今まさに注力しているのは、「ビジネスデザイナー集団」の形成です。注文通りのシステムを開発するのではなく、ビジネス視点で新しい技術を活用したソリューションを提案できるチームづくりを目指しています。その一方で、銀行のシステムは絶対に止めてはならないため、安定運用を維持することも大切な役割です。新しい技術を用いたビジネスデザインと、現行システムの安定運用。このどちらも遂行することこそが、私たちのミッションです。

活躍できるのは、ビジネスモデルやUXを考える工程を楽しめる人材

私たちが実現を目指しているのは、農林中央金庫・JAグループと共に、テクノロジーの力で農林水産業を変革すること。持続可能な農林水産業を実現するためには、地球に優しいのはもちろん、ビジネスとして成り立たせなければなりません。例えば、環境保全のための植林にかかるコストと古木の売値のバランスを取るために、森林の調査にドローンや定点カメラを使用する「スマート林業」の取り組みを加速させる、といった具合です。

グリーンで人手のかからない農林水産業実現への第一歩となるのが、JAグループで立ち上げた『AgVenture Lab(アグ・ベンチャーラボ)』でしょう。これは第一次産業や地方が抱える課題解決に向けてイノベーションを起こすことを目的に立ち上げられた組織で、行政や大学、スタートアップの企業が集い、新しいサービスを生み出す場となっています。農林中央金庫や当社が道具立てや、農協や農家、農業法人とのネットワークづくりのサポートを行う一方で、ITを使ったビジネス創出のプロセスに参画することで、スタートアップ企業からビジネスデザインの手法を学ばせてもらっています。

農林中央金庫とスタートアップ企業などの協業の具体例を挙げると、 FinTechを用いて、農村地域に宿泊して人々との交流を楽しむ「農泊」を促進するサービスの開発や、野菜の収穫をロボ化する「野菜収穫ロボ」の開発を行ったりしています。また、群馬県と「農と食のイノベーション創出に係る連携協定」を締結するなど、当ラボは、着実に活動の幅を広げています。

もう一つの大きな取り組みが人材育成です。座学・ケーススタディー・体験を繰り返すことで、「UX」「ビジネスモデル」「テクノロジー」の三つの側面からビジネスデザインができる人材を育成しています。テクノロジーの力を用いて、素晴らしいUXをつくれるITのプロフェッショナルがいるチームこそが、ビジネスの世界を勝ち抜けることは確実ですから。

人材育成の取り組みの一環として、新しいテクノロジーの導入や社内への情報の横展開を目的に、「デジタルクリエーション推進部」という組織を2018年に発足。地道な啓蒙活動の成果もあってか、最近では、当社のJAバンク部門の開発プロジェクトにおいて、UXにこだわったアプリをリリースし、グッドデザイン賞を受賞。オンラインで海外の技術セミナーに自主的に参加する社員も増え、全社的にベクトルが合い始めているのを感じます。

これから仲間に加わる若手社員に期待したい素養は、「どんなユーザー体験・ビジネスモデルをつくるか」を考える過程を楽しめること。あとはテクノロジーが好きという気持ちです。これらを持ち合わせていれば、ビジネスデザイナーとして、農林水産業の未来を切り開いていけるはずです。