「ゆるい職場は物足りない」。そんな想いから新卒で入社した会社を去り、新たな活躍の場を求める第二新卒が目立つようになってきた。
働きやすさだけを売りにした環境では成長できないことに、多くの20代社会人が気付き始めているのだ。では一体どんな会社を選べば、早くから成長ができるのだろうか?
今回お話を伺うのは、建物を持たず土地のみに投資をする独自の不動産投資手法「JINUSHIビジネス」を展開する地主株式会社。
上場企業の中でも群を抜く初任給や平均年収の高さが目立つが、それを実現するのは、独自のビジネスモデルと裁量の大きい少数精鋭組織だ。裁量が持てる分、責任も伴うが、それに見合う報酬がある。そんな環境に新卒で飛び込んだ若手社員たちは「年齢に関係なく仕事ができる環境だからこそ、ビジネスパーソンとしての成長を実感している」と口をそろえる。
長く使える「働く力」を磨きたい学生は、人生でたった一度の新卒就職のタイミングでどのような環境を選ぶべきなのだろうか。
地主株式会社で活躍する4名の社員に、若手が成長できる同社の特徴について話を聞いた。
ーー御社が展開する「JINUSHIビジネス」は、これまで日本になかった独自の新しいビジネスモデルだと伺いました。具体的にどんな点が一般の不動産企業と違うのでしょうか?
白田:一般的な不動産ビジネスでは、建物を建築し、売却したり、賃貸に出したり、投資を募ったりするのが主なアプローチとされています。しかし、私たちが手掛ける「JINUSHIビジネス」は、建物を持たず、土地のみに投資をするのです。まずここが他の不動産会社と大きく異なるポイントです。
寺下:JINUSHIビジネスは、四つのステップに分かれています。当社は、まず土地を仕入れ、その土地をテナントに貸します。貸した土地に借地料が入り、金融商品となった時点で、その土地を売却します。売却先は主に当社グループで運用している地主プライベートリート投資法人=地主リートという底地特化型の私募リートです。この地主リートで、機関投資家の資金を運用しています。
井上:この土地だけの不動産金融商品は、建物を保有しないことで、様々なリスクや手間を排除していることが特徴です。建物にかかる保守や修繕・改修などの追加投資も不要で、テナントとは20年から50年の期間で契約を結んでいるため、長期の安定収益が見込めます。
建物を建てたり、所有したりするのではなく、資産価値の高い土地を使った不動産金融商品を創ることから、私たちは自らを不動産会社ではなく、不動産金融商品のメーカーだと考えているのです。
伊集院:JINUSHIビジネスは、土地の売主や、土地をお貸しするテナント、テナントが店舗や施設を地域の方、そして投資家の方にも必要とされるビジネスであることが魅力的だと思っています。
白田:底地(そこち)専業でビジネスを展開する企業は国内では当社だけです。JINUSHIビジネスを通じて、2000年の当社創業時には存在しなかった底地のマーケットを、25年かけて生み出して来ました。この底地マーケットは、現在、6兆円規模となり、2026年には10兆円規模にまで拡大する見込みです。更なる成長が見込まれるマーケットのトップランナーとして、これからさらに成長していきたいと考えています。
ーーその中で、みなさんは日頃どのような仕事をされているのでしょうか?
井上:私と伊集院は、所属は違いますが、同じ営業として働いています。テナントが誘致できそうな魅力的な土地を自分で見つけ、仕入れる。それから、入居するテナント探しから契約、その後の土地の売却、管理まで一貫して行っています。
土地の売主やテナント、金融商品を購入する投資家など、さまざまなステークホルダーと相対しているのが特徴です。
白田:私は上記の業務に加えて、副本部長として営業メンバーの育成や指導に当たっています。
副本部長に任命されたとき、社長の西羅からは「好きにやってみて、困ったり悩んだりしたら飲みにでも誘って」と言われました。自分のやる気次第で若いうちから大きな裁量と責任を持たせてくれる、当社らしいエピソードかと思います。
寺下:私も元々は、国内で営業を担当していましたが、現在は、アメリカで事業拡大に挑戦しているところです。
自らローカルパートナーのネットワークを開拓し、投資対象となる不動産を探しながら、3人の部下のマネジメントを行っています。
ーー皆さんはなぜ就職先として地主を選んだのでしょうか?入社経緯を教えてください。
白田:地主への入社を決めたのは、インターンに参加したときです。学生時代の私は「仕事」や「会社」というものに対して「楽しいものではない」という印象を抱いていました。
白田:ところがインターンを通じて地主で働く社員たちと接していると、暗い顔をして働いている社員が一人もいなかったんです。当時の私にはとても大きな衝撃でした。
みんな仕事や会社が好きで、自信を持って働いているんだとヒシヒシと感じました。
伊集院:私も社員のイキイキとした姿には感銘を受けました。
当初は総合デベロッパーへの就職を志望していたのですが、私の入社当時社長をしていた創業者が「日本の大地主になる」というビジョンをまっすぐな目で語るのを見て「この会社はきっとすぐに大きくなる。入るなら今だ!」と強く感じました。
寺下:僕も実際に創業者にお会いして、人生を楽しもうとする姿勢や、年齢に関係なく相手をリスペクトする態度を見て、尊敬できる人だと感じたことも決め手の一つですね。創業者の人柄は、この会社全体に伝播しているようにも思います。
また、入社前に実際のオフィスを訪れて、社員同士の関係性がフラットだと感じたことを覚えています。ここなら自分らしく働けそうだと思いました。
井上:僕も最後の決め手は人柄や雰囲気ですね。
大学では教職課程も取っていましたし、さまざまな選択肢があったのですが、インターンや面接で感じた地主の社員の人柄に強く惹かれるものがあり、ここに入社したいと直感で思ったのです。
ーー入社時のイメージはその後どのように変わりましたか?
寺下:フラットな雰囲気は、社員が増えた今もほとんど変わらないですね。社長も社員と同じスペースにデスクを置いていて、分け隔てなく誰でも会話ができます。
白田:実際に仕事をしていると苦しい局面があることも学びましたが、そのプロセスも含めて楽しんでいる社員が多いんだなと思いました。
伊集院:当初の予想通り、会社がどんどん成長していると感じます。
最初は「個の力」で会社が伸びているイメージが強かったのですが、今は社員数も増えて「組織力」で戦う会社に変わりつつありますね。
井上:最初は、地主の社員がなぜこんなにも誇らしげに仕事をしているのか、理由がよく分からなかったんです。でも今考えると、成果重視の評価制度が影響している気がします。
成果を出せばそれに見合った報酬が得られる環境なので、社員一人ひとりがやりがいも自信も得やすいのだと思います。
ーーどのような点に、この仕事の醍醐味を感じていますか?
伊集院:「三方良し」の仕事ができることです。「JINUSHIビジネス」は売主・テナント・買主に対して、メリットのある提案ができると考えています。
伊集院:売主やテナントの力になりたいという想いと「JINUSHIビジネス」の提案が純粋に結びつくので、自分の気持ちに嘘偽りなく、前向きに取り組むことができます。
社長の期待を直に感じられるのも、働きがいにつながっています。若手だからといって軽視されることはなく、会社の一戦力として信頼を寄せられている環境では、より一層頑張ろうと思えます。
井上:土地の仕入れからリーシング(テナントと借地契約を結ぶこと)、貸している土地の売却、その後の管理までを全て一気通貫で担当できるのが醍醐味です。責任を持って仕事を進めるからこそ自信が生まれますし、案件を進める上で必要な人とのつながりの大切さも実感します。この仕事を通じて得られた人脈は、自分にとってかけがえのない財産です。
白田:私も全く同じで、最初から最後まで担当できることは、営業にとって大きなやりがいです。ほかの不動産会社では、土地の仕入れ、リーシング、売却とそれぞれのステップで担当者が分かれていることが一般的ですからね。仕事の裁量も経験できる業務の幅も違います。
加えてビジネスモデルがシンプルだからこそ、そこにどう肉付けするかは自分次第。もちろん責任は伴いますし、案件を進める中では様々な課題に直面しますが、それを乗り越えるプロセスを含めて、地主で営業として働く醍醐味だと感じます。
特に、何かトラブルが起きた時に冷静に対処できたときは、充実感があります。想定外の問題が発生してもパニックにならずに、自分の中に選択肢を持った上で対処できると、今までの苦労した経験が活かされていると感じますね。
寺下:私は「やれそうになかったこと」がやれたときに、一番やりがいを感じます。実はアメリカ行きを打診されたときは、あまり前向きではなかったんです。学生時代に現地で暮らした経験があったので、それなりに苦労することが見えていましたから(笑)。
実際、赴任した頃は、英語から現地の不動産ビジネスの常識までたくさんのことを学ばなければならず、大変苦労しました。しかし、一つひとつの課題に取り組んでいった先で大きな成果を生み出せたことは、貴重な成功体験につながりました。
それから、ステークホルダーが協力的な環境もやりがいにつながっています。これまで土地の仲介業者やテナントの方、ジョイントベンチャーのパートナーなど、さまざまなプレーヤーと接してきましたが、悪意のある人は皆無。「ビジネスを成功させよう」という目的が一致しているから、米国でも日本であっても、友好的な関係性のもと仕事を進めることができているんだと思います。
ーー一気通貫で担えるからこその面白さがある一方で、自分一人に仕事の負担が集中してしまうことはありませんか?
伊集院:営業一人ひとりが個別に案件を担当して動いていますが、もちろん組織としての連携や助け合いがあります。白田さんは副本部長に就任する前からよく相談に乗ってくれていましたし、何より私たちは社長との距離が近いので、ほとんどの社員が毎日社長と会話をしています。社長に限らず、誰にでも何でも相談できる雰囲気があるのは、地主の特徴ですね。
寺下:そうそう。どの部署の人も相談すればちゃんと教えてくれるので、当社では「全社員が味方」です。困っていることを話せば助けてくれる仲間がいるからこそ、安心してチャレンジができます。
白田:人によって自分の強みや得意を発揮できるフェーズも違うと思うので、経験を積む中で自分のスタイルを発見してやり抜くのも面白さが増してくると思いますよ。
私自身が一番ワクワクするのは最初に土地を購入するタイミングです。テナントに紹介できる良質な物件が見つかると、「よし、ここからビジネスが始まるぞ」と気合も入ります(笑)
伊集院:私はテナントに対するリーシング業務がうまくいった時に、大きな手応えを感じます。ここで当社とテナントの間で条件を擦り合わせる難しい交渉が発生するのですが、この交渉次第で案件が成約するかどうかが決まるからです。
井上:私もどちらかというとリーシングに力を入れていて、テナントさんの新規開拓を重視していますが、営業の力点は人によって答えが違う気がしますね。
全員が各々のパーソナリティーに合ったやり方で仕事をしているので、ある人の成功体験がそのまま他の人に当てはまるとは限りません。
自分ならではの営業スタイルを追求できるのも、地主で営業に就く魅力だと思います。
ーー入社して最も大変だったことも教えてください。
井上:3年目で大阪の営業部に異動したときが一番つらかったです。
本当は食事の機会などをつくりながらお客さまとの距離を縮めたかったのですが、コロナ禍で実現できませんでした。
何とか状況を打開しようと思って数をあたっても、なかなかうまくいかなくて途方に暮れていました。
ただ、後に自分なりの営業スタイルを見つけられたのは、この時期の試行錯誤があったからだと思います。
自分は「この人は楽しいな」と思う人を見つけたら、その人に特化して距離を縮めたいと思うタイプ。今はどんなに外部環境が厳しくても、自分のやり方で前進することができています。
寺下:私もちょうど米国に移ったタイミングでコロナ禍になり、刻々と変わる感染症関連情報と、現地の不動産マーケットの状況を把握しながら案件の組成を進めなくてはならなかったことは本当に大変でした。
米国行きが決まったのは入社5年目の時でしたが、米国進出は社内でも初の取り組み。前例がない中で、JINUSHI USAのVice Presidentとして「一人社長」のようなかたちで赴任し、模索の日々が続きました。
寺下:ただ、こうした大役を年齢に関係なく任せてもらえたのは非常にありがたかったですし、地主らしい決断だと感じます。日本からのサポートもあり、米国での売却実績を積み上げることができ、今では部下も4名に増えました。
国内では得られなかった幅広い知識を学べましたし、米国で「JINUSHIビジネス」を広げられている実感も湧き、手応えを感じています。
白田:私は入社して数カ月がたった頃に、あるテナントのお客さまにお叱りを受けたことが今でも忘れられません。
自社のために良かれと思って価格交渉をしていたのですが、それが「ずる賢い営業」としてお客さまの目に映り「君は誰と仕事がしたいの?」と先方に言われてしまったのです。
その時に現社長の西羅から「もっと素直に自分の思っていることをさらけ出した方がいい」というアドバイスをもらい、実行してみました。
すると、そのお客さまとの信頼関係の回復につながり、成約もかなえられました。
「目の前の人と真摯に付き合う」という今の営業スタイルが確立されたのは、この経験があったからです。
伊集院:私もとある案件で売主さまからお叱りを受けたことがあるのですが、信頼を取り戻すためにできる策をすべて講じた結果、最後には成約につながりました。
逃げることなく自分自身で問題に向き合った結果、「こんなに難しい状況でも自分で解決できるんだ」という自信につながりましたし、会社の看板を背負っている責任を改めて痛感しました。
結果的にお客さまとの関係も深められて、苦くも良い経験になりました。
一生懸命取り組んでいても、うまく進められずに悔しく思うことは多いです。
でも、どれも自分で始めた案件なので、「絶対にやり遂げよう」という強い意志を持つことが大事。プライドにも近いその意志があるからこそ、最後まで踏ん張れるんだと思います。
ーー御社の採用は「超難関」とも言われていますが、どんな学生がチャンスを掴めそうですか?
伊集院:当社の営業にはルーチンワークのような決まったタスクはなく、自分の仕事を自分で作る必要があります。待っていれば仕事が与えられるような環境ではないので、能動的に動けることは絶対条件ですね。
白田:その通りですね。加えて「素直さ」も成長のためには必要です。どんなに熱意があっても、周囲からのアドバイスを受け入れる柔軟性がなければ、自分の可能性を伸ばすことはできませんから。
寺下:最近気が付いたのですが「他の人がやったことがないことを楽しめる」というのは、意外と才能のような気がします。誰もやってないのであれば、まずは自分がやってみようと思えるかどうかで、その先の成果がずいぶん違ってくる。積極的に行動できる人は当社向きだと思います。
井上:私は「信念」を持ち続けることが大切だと思います。どうしてもやり遂げたいという強い想いがあることによって、案件を最後まで進めることができますし、そういう人は困ったときに手を差し伸べてもらえます。少なくとも僕は絶対に助けますから、信念のある人は、ぜひ当社に挑戦してみてください。
厳しい環境をチャンスに変えることができる人であれば、誰よりも大きな成長を手にすることができると思います。