国内リーディングカンパニーの経営者たちに聞く “ 伸びる会社”の条件
世界経済に甚大な影響を与えたコロナショック。ビジネス環境が劇的に変化する中で、これからも“伸びる”会社は何が違うのか。各社のアフターコロナにおけるビジョンを知り、企業理解を深めよう
タタ・グループはインド最大の複合企業であり、150年以上の歴史を持ちます。企業を表すのに「塩からソフトウエアまで」と言われるほど扱う幅の広さについても世界的に知られており、例えば英国の有名自動車ブランドのジャガー・ランドローバーもタタ・グループの傘下。グローバルなビジネスシーンにおいて多様な領域で成果を積み重ねています。その中でタタコンサルタンシーサービシズ(以下、TCS)は、タタ・グループの中でも時価総額と人員数の両方でトップを走る最大のグループ企業であり、ITサービス分野では世界トップクラスの規模。直近(2020年3月期)の年間売上は220億ドルです。そして日本TCSは、世界屈指のITサービス企業であるTCSと、日本市場に関する豊富な知見を持つ三菱商事の合弁会社として2014年に発足。以来、TCSに在籍する44万人以上のさまざまな領域のエキスパートと協働しながら、日本とグローバルの知見を融合し、日本のお客さまに業界最高水準のサービスを提供。当社はこの体制をハイブリッドモデルと呼び、他社にはない最大の強みであると考えています。
日本TCSが提供しているサービスのうち、特に近年はアジャイル開発、自動化システム、クラウドの導入など、いわゆる「デジタル技術」の比重が大きくなっています。その理由は、今回のテーマである「これから伸びる会社の条件」とも重なってきます。
実は新型コロナウイルスの影響が現れたとき、日本企業のおよそ9割がリモートワークに素早く切り替えました。「日本企業には機敏性が欠けている」と言われることが多いものの、決してそうとは言い切れないところを見せたのです。ただし、ニューノーマル時代の到来が叫ばれている中で今後の企業活動を考えた場合、まだまだ取り組むべき課題は数多くあります。例えばオペレーションの自動化に注目すると、ものづくりの自動化は急速に進展している一方で、バックオフィスなどの自動化は遅れています。老朽化した古いシステムを抱えていたり、過度にカスタマイズしたシステムが足かせとなって、先進技術トレンドである自動化をスピーディーに実現できないのです。全社レベルでデジタル技術の強みを活用していける企業、つまりデジタルエンタープライズが今後のビジネス界で勝利していくのは間違いありません。
またTCSは、事業環境が急速に変化する中で、企業がビジネス変革を実現するために不可欠な行動指針と技術的要素を示す独自の概念、「Business 4.0™」を提唱。現在のような危機的状況でも、虎視眈々とビジネスチャンス、すなわち勝機を見極め、そこに適切な価値を提供できることも重要だと考えます。例えば、コロナショックにおいても、アマゾン、ネットフリックス、Zoomといった企業は危機を勝機に変えた事例と言えるでしょう。
Zoomの成功に着目すると、彼らはコスト面で違いを明確にしました。並み居るIT業界の巨人たちもまたオンラインコミュニケーションという同様のサービスを展開していたものの、彼らはセキュリティーに力を注いだことにより高コスト化していたのです。ところがZoomは一定のセキュリティーを担保しつつも、導入価格による競争力でライバルに差をつけました。もちろんセキュリティーも重要です。しかしコストも導入する企業には大きな要素。この事例から学ぶべきなのは、真に市場や顧客が求めている価値を見極めて、多くの顧客を満足させるだけのコストでその価値を提供できるか否か。これもまた今後伸びる会社の条件だと言えるのです。
以上の条件を満たすために、これからの企業には、①アジャイル、②自動化、③クラウド活用、④インテリジェンス化(情報の戦略的活用)の4つの技術や手法が不可欠だと私たちは考えます。だからこそ、日本TCSは今、これらの実現を日本のお客さまと共に目指しているのです。
では、学生の皆さんはこれらの条件を満たす「伸びる会社」に入社すればそれだけで良いのかというと、私は違うと思います。三つのメッセージをお伝えしましょう。
一つ目は、人生で何を成し遂げたいのかを見定め、そのための機会を模索してほしい、ということ。二つ目は、絶えず変化するIT業界で生きていくためには、新しいことを学び続けなければなりません。そのために何よりも必要となるのが、人。グローバルに広がる仲間や業界をリードするお客さまと共に、世界中の最先端テクノロジーに触れ続けることが、成長を後押しするでしょう。三つ目が、学びや成長の機会を積極的に与えてくれる組織に身を置き、チャンスを活用することです。
これら三つを全て追い掛けられる環境が日本TCSにはそろっています。例えば、インドに日本企業専用の開発チームを設けているだけでなく、世界各地のTCSの開発チームとも連携。これにより、日本のお客さまに世界標準レベルの先進技術を導入している日本TCSの社員は、常に日本と世界の双方と正面から向き合うことになります。
自分を伸ばす環境がどこにあるのか。それをしっかり見極めることが重要だと、私は強く伝えたいです。圧倒的に成長したいと考える皆さんと共に、さらに日本TCSを発展させていきたいですね。