私はネスレ日本の中でも、栄養を通じて人々の健康に貢献することをミッションに掲げている、ネスレヘルスサイエンスカンパニー(以下、NHS)という事業部に所属しています。この部署では例えば、飲み込みが難しい方でも摂取できるゼリー状の栄養食や、食品に混ぜやすい粉末状のサプリメントなど、老若男女問わず栄養摂取がしやすい食品を扱っており、私は現在、主に6種類の流動食を手掛けています。NHSでは担当する製品の開発から戦略、プロモーションまでを一貫して手掛けており、非常に裁量が大きいことが特徴です。営業チームや製造チームなどとも連携を取りながら、より良い製品を生み出すべく、プロジェクトを進めています。

就職活動時は、業界や職種を絞らずさまざまな会社の説明会に参加していました。その中でもNHSの説明会で聞いた「食で治す」という考え方に感銘を受けたことをきっかけに、NHSに興味を持ちました。当時、祖母が病気でご飯を食べられず弱っていく姿を見ていたため、食事での栄養摂取を通じて健康的な生活を支えるという姿勢に強く共感し、入社を決めたのです。入社直後は営業職として、医療・介護現場のリアルな声を聞いていたのですが、次第によりニーズに応えられる製品を現場に届けたいと考えるようになったことが、マーケティング職を選んだ理由です。NHSのマーケティング職なら、製品開発からプロモーションまで一貫して担当できるため、私の思いをかなえられると考えました。異動を志望したところ、挑戦を後押しするNHSの風土もあって実現。今では営業経験を活かしながら製品開発やマーケティングを手掛けています。

入院中の患者さまやそのご家族、介護施設に入居している方など、NHSの製品を必要とする方々のニーズに応えられる製品を自分の手で生み出せるところです。営業職時代に聞いてきた、医療・介護現場のリアルな声から課題を設定し、まだ世の中にない理想の製品を形にできることにやりがいを感じます。

効果のエビデンスとなる情報を集めることが大変です。例えばある製品では、お客さまが安心して選べるように特別用途食品の一つである「総合栄養食品」の表示許可を消費者庁より取得し、あわせてパッケージに日本で初めて疾患名を記載しています。難しさはありますが、こうした事例を増やし、信頼していただける製品をさらに生み出していきたいです。

約2年間をかけて新製品をゼロからつくり上げたことです。営業時代に、病院や介護施設に足を運ぶ機会を通して、現場で「下剤を使わず、健康的に排便をしたい」という声を聞いていました。その思いに応えるべく、便秘にアプローチができる製品の開発を始めたのです。製品の効果にこだわるために、他部署との連携のもと、成分に関する学術的なエビデンスの収集に注力することはもちろん、製品を使用いただく人がどんな生活をしているかまでを具体的に想像し、製品設計をしました。完成後、医師や患者さまからも「驚くほどの変化があり、患者の苦痛軽減や看護師の業務負担の軽減につながりました」と喜びの声が届いたときはとてもうれしかったです。

ゼロから製品を生み出し、世の中に広めるという仕事は決して1人ではできません。製品を開発して世の中に流通させるまでには、製造や営業、代理店など、社内外の10ほどの組織と連携を取る必要があります。常にチームワークが求められるからこそ、関わる人全てを考慮した広い視野を持ってプロジェクトをリードする大切さを学びました。

今は、状態が悪くなった場合、薬や点滴による管理が一般的ですが、食品を通して栄養を摂取することで治療に役立てるという選択肢があることを、世の中に浸透していきたいです。NHSの「食で治す」という考え方を、小さい子どもから大人まで誰もが知るくらい、当たり前にしたいと考えています。

先入観を持たずにさまざまな会社を広く知ることが大切だと思います。当初、医療の分野には興味がなかった私も「食を通して医療や患者さまに貢献する」という仕事ができるNHSと出会ったことで、今、熱意を持って働けています。関心の有無に関わらず、さまざまな会社の価値観を確かめれば、自分らしい仕事と出会えるのではないでしょうか。