2018/8/23 更新 挑戦者たちの人生論

【平井陽一朗氏の人生論】数十年先までの計画など無意味。目の前の5年間に全力で挑む

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挑戦者たちの人生論~仕事がくれた、彩り豊かな景色の数々~
目まぐるしく社会環境が変わっていく中、固定観念や常識に縛られ、安定を追い求めていては、これからの時代を生き抜くことなど到底できない。常に新たな挑戦を続ける者だけが、しなやかに力強く、自分らしい人生を手にすることができるのだ。トップビジネスパーソンたちの挑戦の歴史を振り返りながら、真に豊かな人生とは何かを考えてみたい。

BCGデジタルベンチャーズ
パートナー&ジャパンヘッド
平井陽一朗氏

ひらい・よういちろう/東京大学経済学部卒業後、三菱商事を経てボストン コンサルティング グループ入社。戦略案件に多数携わった後、ウォルト・ディズニー・ジャパンへ。2006年以降はオリコン副社長、ザッパラス社長兼CEOなどを歴任し、再びボストン コンサルティング グループへ。パートナー&マネージング・ディレクターとして活躍するとともに、社内の若手人材育成プロジェクトを統括。そして2016年、米国で始動していたBCGデジタルベンチャーズの日本拠点の設立をリードし、ジャパンヘッドとして統括を担っている

日本企業の未来を変える 壮大な挑戦を仕掛けたい

私のキャリアを振り返ると、まさに「無計画」に尽きます(笑)。

十代の頃から映画やドラマが大好きで、将来はエンターテインメント系のビジネスに携わりたいと漠然と思っていました。そこで、当時CS放送事業にも出資していた三菱商事を本命として就職活動を始めましたが、「とりあえず各業界のトップ企業を受けていこう」とメディア大手や金融など脈絡もなくいろいろ受けましたね。結果、第一志望だった三菱商事に運良く受かったので、入社を決めたわけです。もちろん、エンターテインメント事業を手掛ける部門への配属を希望しました。

が、入社後配属されたのは自動車産業グループ。社会人になって初めて自分の無力さや世の不条理を感じました(笑)。しかも新人ですから、最初に任されるのはもちろん仕事の基礎となる事務的な作業ばかり。でも「そんなものだけやっていても面白くない」と思い、基本業務を猛スピードで習得し、「もう完璧に理解しました! 新しいことをやらせてください!」と上司に直訴して、早々に現場に出してもらったんです。そして南米での自動車関連の新規事業立ち上げプロジェクトにアサインされたのですが、これがやってみたら面白かった。ただ、充実はしていたものの、このままずっとこの部門に身を置き、出世を目指すイメージは持てずにいました。

そんな時、日本に帰国した際、ある友人と再会し、彼の成長ぶりに驚かされました。ほんの2年ほど前までは「確かに頭はいいけれども、仕事をさせたらオレの方が上だ」なんて思っていた彼が、ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)に入社して見違えるほど変わっていた。私だって随分と成長した気でいたのに、明らかに彼の方がビジネスパーソンとして自立できている。それが悔しかったし、BCGって一体どんなところなんだと興味が湧いたことが、転職のきっかけになりました。BCGという場を最大限有効活用して、自分も大きく成長したいと考えたのです。

その後も「やりたい」と思える仕事が現れると、後先を考えずに転職し(笑)、複数の会社でエンターテインメントやデジタル領域の事業に携わってきました。もともと生き急ぐタイプの人間ですから、目の前に魅力的なチャンスが巡ってくると、挑戦しないではいられないところがあったからだと思っています。

ゴールが見えると途端に目の前の風景は色あせる

そして、縁あってBCGに再び復帰し、改めて市場を俯瞰してみると、日本の産業界のデジタル事業は完全に世界の先進勢力から周回遅れの状態でした。「何とかしたい」という気持ちでいたところ、ちょうどBCGデジタルベンチャーズ(以下、BCGDV)の東京オフィス立ち上げの話が持ち上がり、責任者を務めることになったのです。

BCGDVは、2014年に米国ロサンゼルスで誕生した、大企業の変革パートナーとして共にデジタル領域の新しいサービス、事業を創出することに特化した組織です。この日本拠点を通じて、日本の大企業に変革を起こし、揺り動かしたい。日本の大企業が持つ「眠れる資産」、つまり豊富な資金と優秀な人材を活かしてビッグ・ベンチャーを創出し、大きなインパクトを生み出したいと考えたのです。

我々が介在することで、新しい挑戦に踏み出す機動力を失っている大企業に一歩踏み出す成功体験をしてもらい、硬直化した文化を壊していけたら、やがてそれは日本の産業界を変える大きなうねりへとつながっていくかもしれません。日本企業の未来を変える起爆剤となる。そんな壮大な挑戦を仕掛けていきたいと、今は思っています。

今という時代は先が見えない時代です。例えば人生100年のうち、70年近く仕事に携わるとして、70年先まで計画を立てるなんてできるはずがないし、全くの無意味。70年後に後悔しない人生であるために、目の前の5年間で何を選択し、なすべきかを考える方がずっといい。

以前、ある企業に在籍していた時、上司に退職意思を伝えたら、「君にはこれから出世が約束されているのだから、今辞めてはもったいない」と言われたことがありました。それを聞いて「よし、辞めよう」と即座に決めたことがあります(笑)。ゴールが見えると、途端に目の前の風景は色あせていく。先が見えないからこそ、面白いのです。

「今、魅力的だと感じるもの」に飛び付いて、そこで結果を出し、成長をしたなら、次のチャンスが巡ってくる。「先」のことは、その時にまた考えればいい。その積み重ねが、どこに行っても1人で生きていける“自活力”を養ってくれます。それこそが不確実な時代を生き抜く最大の力になると思っています。

※2017年11月1日発売のtype就活プレミアム・マガジンの情報を転載しています。記事内の情報は取材当時のものです。

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