留学経験を経て日本の魅力を再認識し、日本人であることに誇りを抱くようになった私。日本から世界に影響を与えたくて、就職活動では大手の日系企業を志望しました。三菱重工業を選んだ理由は二つ。環境問題に取り組むプロジェクトが多いことと、OBOG訪問で見た、仕事を誇らしそうに語る社員の姿に感銘を受けたことです。

入社後、私は国内の原子力発電所の再稼働を支援する営業職に就きました。私の役目は、チームの中心に立ってプロジェクトを取りまとめること。特に印象に残っているのは、入社1年目から3年間担当したプロジェクトです。そのプロジェクトのミッションは、地震や竜巻でも壊れない原子力発電所の実現。東日本大震災後の厳しい規制基準を満たすため、耐震性と防護性の両立という高い壁を乗り越える必要がありました。印象深かったのは、技術者が課題に対して白熱した議論を繰り広げる姿です。クライアントに提案する解決策を用意するため、彼らはなんと約50ものアイデアを検討し、熱く議論を交わしていたのです。私は初めて、表には出ない技術者の試行錯誤を目の当たりにし、その妥協を許さない情熱に圧倒されました。そして技術者に対する敬意と信頼が、より一層深まったことを覚えています。

この仕事で再認識したのは、プロジェクトの成功には、共に取り組む仲間の存在が不可欠だということ。実は入社前、営業の仕事は「一人で成果を追い求めるもの」だと思っていました。しかし、実際には多くの関係者の試行錯誤と努力があってこそ、成果に結び付きます。その積み重ねによって、世界に誇る技術を提供できていることに改めて気付いたのです。

それ以来、私は「仲間の努力を無駄にしない」と決意。信頼できる仲間と共に全力で取り組んでいるという心強さと、エネルギーの未来に大きく貢献する誇らしさを日々実感しています。

プロジェクトメンバーには、技術、調達、施工と多様な部門の関係者がいます。部門ごとの視点の違いから、時には意見が衝突することも。しかしどの意見も試行錯誤の結果であり、優劣はありません。プロジェクトメンバーと信頼関係を築き、円滑に意見をまとめるのが私の役割。この仕事で、意見を尊重しながら調整する力を磨けたと思います。4年目からは、外国の原子力発電所関係者とも折衝をするように。文化が違う相手との仕事は、一層多様な意見が飛び交う刺激的な環境です。目標は、誰からも信頼される人になること。世界の舞台でも、プロジェクトメンバーの意見を尊重しながら、培った調整力を活かし、活躍したいです。

制作担当／宮嵜夏南子