コンチネンタル・オートモーティブ
グローバル自動車部品サプライヤーとして世界58カ国で事業展開するコンチネンタルの日本法人。総合サプライヤーとして、自動運転やコネクテッドカーなど、さまざまなモビリティに対応する幅広い技術領域を手掛ける
自動車技術の安全性を実感し
社会的影響を意識した姿勢に変化
Function Development & Vehicle Integration Engineer
大学・大学院時代の2度にわたり就職活動を経験。中央大学大学院理工学部都市環境学科卒業後、自動車業界に挑戦する。未来のモビリティ開発に取り組む同社で、電子制御ブレーキシステムの要求解析や設計などを担当
自動車業界での一歩を踏み出した私にとって、2年間にわたるJ.DRIVEという当社独自の育成プログラムの存在は大きいものでした。半年間の基礎トレーニングから始まり、無線操縦できるミニカーのプログラミング実習や自動車部品の製造工程の見学など、多種多様なコンテンツがあります。当時、部品の名称や機能すら知らなかったため、自動車構造の全体像を理解する手助けとなりました。
その後は、6カ月ごとに配属先をローテーションします。私は最初に先行開発の部署に配属され、バス型車両の自動走行実現プロジェクトに携わりました。自動走行バスの普及に向けた仕組みを学ぶため、モビリティ先進国のドイツへ出張し、日本帰国後は公道での走行を想定した実証実験に参加しました。入社1年目ながら濃密な時間を過ごした一方で、自分自身の課題も浮き彫りになります。先行開発は与えられた仕事があるわけではありません。自らやるべきことを設計する必要がありましたが、専門知識の土台が固まっていなかった私は苦戦を強いられました。
こうした背景から次の配属は、自動車知識を深められる既存製品の部署を希望しました。配属先は、横滑り防止装置/Electronic Stability Control (以下、ESC)という、タイヤの横滑りや空転を防ぐためのシステムを開発する部署です。この頃の私は、目の前の製品知識を学ぶことに考えが偏りがちで、手掛ける製品が人々に与える影響にまで考えが及びませんでした。しかし、凍結した路面にハンドルを取られ、ESCの制御機能に助けられた体験から、自社製品が人の命を守っていることを痛感しました。それ以降、私の仕事のゴールは先進的な製品を開発することではなく、製品の先にある安全・快適なモビリティ社会をつくることだと捉えるようになりました。
多様な選択肢に触れることで
就職活動の軸が研ぎ澄まされる
どのような場面で、誰に、いかなる影響を与えているかを想像して働くようになり、私の行動はより能動的に変化しました。その一つが、自社製品のテスト走行への参加を志願したことです。上司が社員の意欲に真摯に向き合ってくれる会社だからこそ、認可がなければ立ち入ることのできないテストコースへのアクセスを手配してくれたり、走行試験のための北海道出張を認めてくれたり。製品づくりの意義を体感する場を与えてもらったことにより、データ上の数値と実際の自動車の動きが合致していることを確認でき、仕事の価値はさらに明確になりました。
土木・建築を学んでいた大学院時代には、自動車業界でキャリアを歩む私の姿は想像できませんでした。こうした今があるのは、視野を広げて行った就職活動時の選択があってこそです。理想と合致する企業は、視野の外にあるかもしれません。多くの企業と接点を持つことで、どのような会社がフィットするかがよりクリアになり、企業選びの軸が固まるでしょう。