“自分にベスト”な1社を見極めるには?
20代15人、就職の決め手「自分に合う会社」って一体どうすれば見つかるんだろう? その答えを探るべく、この特集では、トップカンパニーでイキイキと働く先輩たちに、就職先選びで重視したことを聞いてみた。自分に最も合った会社とは何か、先輩たちの実体験を通して、“ベストな1社”を選ぶためのヒントを教えてもらおう。
大学でビジネスマーケティングを専攻していたことから、メーカーに絞り就職活動を始めました。食品や化粧品など身近な業界に憧れを持ち、複数の企業の説明会に参加。しかし、なかなか業界を決めきれず、軸を固める必要性を感じ、自己分析を行いました。
やりたいこと、譲れないものは何かを問い続けて、「海外で活躍」「若手から裁量の大きな仕事ができる」「挑戦を続けられる」という3つの条件が見えてきたんです。これらがかなうのは、製品が誕生する川上から川下まで関われる影響力の大きさと、海外展開というスケールの大きさを併せ持つ化学メーカーだと気付きました。中でも昭和電工は石油化学、化学品、無機、アルミニウム、エレクトロニクスなど さまざまな分野の製品を生み出す個性派化学メーカー。攻めの姿勢が理想に一番近いと感じ、入社を決めました。
配属先は入社前から志望していた、化学素材の物流を担当する部署。中でも電化製品などに使われる半導体の製造に必要な高純度ガスの安定供給がミッションです。世界でニーズが急上昇しており、昭和電工が最も注力している製品のため、成長スピードが速く、裁量の大きな仕事を経験できそうだと胸が高鳴ったのを覚えています。
配属から3カ月後には、海外拠点と製品の主担当を任されました。私の部署はチームで動くというより、一人一人が担当する拠点への製品の安定供給に責任を持ちます。もし自分の担当する製品の供給が止まることがあれば、シェアが競合他社に奪われるだけでなく、お客さまの製品生産が滞り、数十億円規模の賠償問題に発展する可能性すらあります。1年目からこれほど責任と裁量の大きい仕事を任され、身の引き締まる思いでした。
物流は、船の遅延や原材料不足など常にトラブルと背中合わせ。中でも配属当初に苦戦したのは、ガスの製造現場との調整でした。トラブルによる突然の製造計画の変更は工場側の負荷が大きく、「やってほしい」だけでは到底受け入れられません。調整に難航する私を見た先輩からのアドバイスは「とにかく現場に足を運ぶ」こと。安定供給には大本の製造現場の協力は欠かせません。用事の有無に関わらず現場に足しげく通い、膝を突き合わせ、私自身が担当者と関係性を築くことが大切だと教わりました。この言葉はその後の私のモットーになり、どんなに忙しくても週2~3回は現場に出向き、信頼関係を深めることに注力しました。
この取り組みが実を結んだのが、同年に起きた大型製造拠点の停止トラブルでした。高純度ガスの製造が止まれば、お客さまの製品の製造も止まってしまいます。物流を船便から空路に変更し、別ルートでガスを入手して供給するなど策を講じましたが、やはり肝となるのはマイナス分を挽回するため、早期にフル生産を再開することでした。この無理難題を通すために工場に掛け合ったところ、何度も顔を合わせている担当者から「雨谷さんの頼みならやるしかないね」と承諾を頂き、無事に当初予定の量の供給を完遂。自分の担当を全うでき、お客さまや営業担当から感謝の言葉を頂けた時には、達成感と安堵の気持ちでいっぱいになりました。
入社して1年半がたち気付いたのは、想像以上に昭和電工は若手にチャンスを与えてくれる会社だということ。私自身、1年目に韓国拠点へ単身で出張し、システム導入のサポートを経験。2年目には社内で初の試みとなる新たな物流経路立ち上げプロジェクトの主担当を任されています。
就職活動を振り返ると、ひたすら自分と向き合い、価値観を見極めた時間は無駄ではなかったと思います。業界のイメージや憧れで入社しても、実際の業務や環境、社風が自分と合わずギャップが生じてしまいます。譲れない軸を定め、それがかなうかどうかを確かめて、満足できる環境を見つけてみてはいかがでしょう。就職活動当初は見ていなかった、意外な業界や会社との縁があるかもしれません。
学生時代は約15カ国を旅するほど海外好き。ゼミでアメリカに滞在し、現地の大型小売店のマーケット調査を行った際に、さまざまな価値観に触れる毎日が刺激的で、世界を舞台に活躍したいと思いました。昭和電工の説明会の動画で若い先輩が海外で活躍する姿を見て、希望がかなうと確信しました
飲食店のアルバイトで仕事を任された時、自ら積極的にアイデアを出し、実行した経験が自分を成長させてくれたのだと実感していました。昭和電工は組織規模は大きいものの、各部署の独立性が高く、少数精鋭の体制。一人一人の裁量が大きく、若い内から多くの経験を積めると感じました
当初はやや保守的な業界を想像していましたが、「不撓不屈」の精神で攻め続ける社風を感じました。私が入社する頃、市況が低迷していた分野に対しても先を見据えた海外M&Aを行い、数年後に市況が好転したことで大きな利益を出しました。常に挑み続けたい私にはこれ以上ない理想の環境です