ビジネスパーソンの転換点を深掘り
キャリアの成長 Before/After
効率や最短ルートの追求だけが「いい仕事」なのか? ビジネスパーソンとしての成長は、試行錯誤を必要とする困難や挑戦を乗り越えた先にあるはずだ。
本特集では、各企業の第一線で活躍する社員のキャリアにおける成長のBefore/Afterを深掘り。彼らが壁を乗り越え、飛躍を遂げたリアルな姿から、効率だけでは語れない仕事の奥深さと、確かな成長イメージを学ぶ。
部長代理
既存の枠組みを超えて真摯に取り組む
実績が出ない苦しい時期を乗り越える契機になったのは
お客さまの覚悟に応えていく濃密な経験
今は人事部で新卒採用を担っていますが、入行後のファーストキャリアはリテール営業でした。個人の富裕層のお客さまに対して、資産運用や資産承継を主とするトータルコンサルティングを行い、お客さま一人一人の人生に深く寄り添っていくポジションです。キャリアの転換点を迎えたのは入行6年目のこと。より資産規模の大きな富裕層にアプローチするWMBというポジションへ昇進・転勤し、そこで出会ったとあるお客さまのことは、今でも忘れられません。
当時、行内最年少でWMBになりましたが、既存顧客の引き継ぎがなく、300件ものお客さまの開拓をゼロから任されることになりました。お客さまの多くは、既に金融機関からアプローチを受け、へきえきしている方もいらっしゃり、1年間ほとんど成果が出ない日々が続きました。一方で、同期の社員は主要顧客を引き継いで成果を上げていく。「自分の存在意義はあるのだろうか」という焦りを感じ、とても苦しい時期でした。とはいえ、結果を出すにはお客さまと信頼関係を築くほかありません。諦めずにお客さま先に足繁く通い、名刺や手紙をお届けする。まずは私の顔を覚えてもらおうと、アプローチし続けていく活動を一心不乱に続けてきました。
ある時、多額のご預金をお持ちの高齢のお客さまから一本の電話が。「今後のことを考え、財産を整理したいが会うのは煩わしいので電話で手続きしたい」というご要望でしたが、手続きが多岐にわたるため対面でしか対応することはできません。準備は全てこちらで行うので一度だけお会いできないかと強くお願いしました。何度も交渉を重ね、ようやくお伺いできたのは、ご自身の財産をとある大学に全額寄付したいという強い意志です。そのお気持ちに共感した私はお客さまの想いの実現に向けて、銀行業務の枠を超え、大学との交渉やお客さまの終活に向けたサポートなど思いつく限りの支援をしました。この経験を通じて「成果とは金額だけではない」「人にフォーカスした社会貢献」という新たな魅力を発見できたのです。そこで芽生えたのが、営業というキャリア以外でも自分が輝けるのではないかという想いです。
当行には、こうしたキャリアチェンジを支える公募制度があります。若手のうちからお客さまをメインに担当し早期に成長できるだけでなく、失敗を恐れずに挑戦できる風土、そして自分の目指すキャリアに自由に取り組める仕組みがあるのです。それゆえに、社員一人一人が自分のキャリアを主体的に考え、中長期的な視点で自分の未来像を描けるのは大きな魅力です。私自身、人事部への異動を志し、公募制度を利用し、自分の意思で新たなキャリアを切り開くことができました。
今後は、人事部の一員として、自身の経験を活かし、当行の魅力を社内外に発信したいと考えています。営業出身者として、多様なキャリアパスや、お客さまの人生に深く関わる仕事の奥深さを学生の皆さんに語れる存在になりたいです。そして、将来は再びリテール営業へ戻りたい。そのために、まずは目の前の仕事に真摯に取り組んでいきたいと思います。


