2018/10/27 更新 トップが挑む「経営改革」

【バークレイズ証券】325年以上の歴史で培った価値観とグローバルマインドで変革へ挑む

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2020年以降、企業はどう成長するのか。
トップが挑む「経営改革」
ビジネストレンドが目まぐるしく変わる昨今。2020年以降も、さらなる変化の波が押し寄せてくる――。そんな中、日本を代表するリーディングカンパニーの経営者たちは、“生き残りをかけたチャレンジ”に踏み出した。各社の成長戦略や、経営理念を知り、企業で働く醍醐味を感じてほしい。

バークレイズ証券株式会社



代表取締役社長 木曽 健太郎氏 きそ・けんたろう/1967年生まれ。東京大学経済学部を卒業後、JPモルガン銀行東京支店に入行。金利スワップ、外国為替部門で従事した後、98年に渡英。ロンドンでジャパンデスクを創設した。2004年、バークレイズ銀行ロンドン本店に入行し、SSA(公的セクター)およびMTN(仕組債)を統括。欧州金融危機に直面しながらも、SSA、MTNの双方で業界トップランキングを実現。その後、アジア太平洋地域全体の債券およびローンシンジケーション業務の統括を経て、16年7月より現職

今、あらゆる業界の企業経営で、ノンコア(非中核分野)を削り、自社の強みであるコアにリソースを集中させていく動きが広がり始めています。世界的コングロマリットのGEでさえ例外ではありませんでしたし、現在拡張を続けるアップルやフェイスブックなどの先進グローバル企業でも、今後は政治主導の規制強化により同様の動きが出てくるだろうと考えています。実はこの「リスクを極力抑え、強みにフォーカスしていく経営手法」をどこよりも早く手掛けたのは、グローバルな金融機関でした。「バーゼル規制」と総称される、自己資本比率(ROE)を高めていくための規制を各金融機関が本格的に取り入れ始めたのは2000年ごろから。バークレイズもまた、いち早く適応し、ROE重視の経営にシフト。リーマンショックや欧州金融危機など、数々の困難を克服し筋肉質な経営体質を実現してきたのです。
その努力が結果に表れ、当社は数年前に「新たな成長軌道へ乗せるフェーズ」へ突入。世界規模で展開するトランスアトランティックバンクとして、欧州・米国双方に同等の強みを持つ一大金融機関に成長し、大型案件に寄与してきました。例えば17年にはアサヒグループ・ホールディングスが、中東欧5カ国のビール会社を買収するという大きなディールを実施しましたが、当社はバイサイドのアドバイザーを務めました。近年、日本でも各産業を代表する大企業が、M&Aを始め「リターンやスケール重視の経営」への注力を開始していますから、今後もバークレイズはそのグローバルな知見を通じて大いに貢献できると確信しています。また、世界的な潮流であるESG投資(環境・社会責任・ガバナンスを主眼にした企業価値分析に基づく投資)についても、欧州を中心に業界に先駆けて実施。加えて、業務や事業のデジタル化もワールドワイドなスケールで進めています。オートメーション化を推進する姿勢は、あるいは「人員削減によって経営効率を上げる施策」のように見られるかもしれませんが、私たちはそう捉えていません。技術に依存できる部分を増やすことで生まれる余力でスタッフは新しい挑戦ができる。その機会を創出しているのです。
17世紀に設立されたバークレイズには、長い年月をかけて培った強みがあります。リーマンショック以降は、確かに体質改革のための努力、ノンコアをそぎ落とす決意を強いられたものの、だからこそ今、より一層強みに磨きをかけた組織へと成長しました。これからは、この力を進化させていくのみだと考えています。



クロスボーダーとモビリティー、ダイバーシティーが鍵となる



バークレイズは、資金調達や運用、リスク管理ソリューション、アドバイザリーなど幅広いサービスを提供しています。今、新たな成長フェーズに突入し、本部のバークレイズグループからもこれまで以上に日本に対する期待が高まっていますが、一方で日本市場は世界の金融関係者から「ジャパンパッシング」される、つまり欧米の政府や企業が外交や投資相手として、日本への興味を失いつつある、ともささやかれています。
以前から投資関係者の間では、「日本には1800兆円ともいわれる巨万の富が貯蓄という形で眠っている。この眠りを揺り起こし、ほんの一部でも動かすことができれば、大きなビジネスチャンスが訪れるはずである」といわれてきました。しかし失われた20年の産物でしょうか、日本市場はボラティリティー(価格変動)が小さいという特徴があります。よく言えば安定し、悪く言えばダイバーシティーが欠如し、変化が遅く夢を描きづらい市場だということです。結果、一部の金融のプロだけで短期間の売買を繰り返すスケールの小さなビジネスを続けてきました。このままでは世界の情勢から立ち遅れ、パッシングされてしまいます。日銀の金融政策がこの不動相場を助長してきたことから私は、社長に就任して以来スタッフにこう呼び掛けています。「多彩なストーリーがないところで動くお金はない。日本独自の物語を構築し、世界へ発信すると同時に、世界の潮流を実感してほしい」と。冒頭に申し上げたダイナミックなクロスボーダーM&AやESG投資への挑戦も、当社のこの価値観で進めてきました。私はクロスボーダーとモビリティー、ダイバーシティー、すなわち俊敏な変動性や柔軟性を備えた人に可能性を感じます。新しい領域や海外にチャンスを見たら、すぐに動ける人材が世界中から集うのがバークレイズというコミュニティです。そんなグローバルなプラットフォームを活かしてダイナミックに動ける方と、日本そして金融界に変革を起こしていきたいと願っています。



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325年以上の歴史を誇る、ロンドンに本拠を構える金融グループ。英国から世界へ事業拡大を続け現在では40カ国以上に進出。社員数は全世界で8万人にも及ぶ金融グループ。為替や融資、投資などのサービスを提供

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