2019/11/1 更新 超AI時代に企業はどう備えるか 経営者たちの課題と挑戦

【野村アセットマネジメント】「すべてはお客様のために」 それだけを考えて挑戦し続ける

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超AI時代に企業はどう備えるか
経営者たちの課題と挑戦
Society5.0の実現を目指す「AI戦略」を国が発表した。 産業分野におけるAI化の促進や、AI人材の育成がさらに加速していく見込みだ。 そんな中で、企業を取り巻くビジネス環境はどのように変化し、それに対してどのような打ち手が必要となるのか。 経営層が持つ課題意識や、今後のビジョンを知り、各社の企業理解を深めよう。

野村アセットマネジメント

専務執行役員
商品本部長・コーポレート本部長
田邊 実氏
1964年生まれ。資産運用会社に入社し、国内外にお ける運用、営業、コーポレート部門などの経験を重ね る。2005年、マーケティングコミュニケーション担当 として、野村アセットマネジメントに転職。08年に総 合企画室長に就任。12年、国内リテール・ビジネス向 け営業本部担当執行役員に就任。ホールセールをはじ めETF、確定拠出年金向け戦略の企画、立案、実行に 携わる。14年には台湾ジョイントベンチャーを担当。 台湾におけるリテール、事業会社、機関投資家向けビ ジネスの大きな足掛かりを創る。帰国後、17年4月に コーポレート本部(総合企画部、財務部、人事部)担 当常務執行役員に就任。19年4月より現職

野村アセットマネジメントは、野村グループにおけるアセットマネジメント部門の中核を成す資産運用会社です。投資信託と投資顧問の2大ビジネスにおいて、業界のリーディングカンパニーとして革新的な取り組みを続けてきました。

現在、投資信託ビジネスでは、充実した商品ラインナップと、野村證券をはじめ全国の証券会社・銀行・郵便局など幅広い販売チャンネルを有しています。投資顧問ビジネスでは、国内の公的、私的年金、海外ビジネスでは年金や政府・中央銀行、事業会社など、さまざまな機関投資家に質の高い運用とサービスを提供し、高い評価を受けています。

また、日本の運用会社としてはいち早くグローバル化に取り組んできました。現在では、東京・ニューヨーク・ロンドン・ドバイ・フランクフルト・シンガポール・クアラルンプール・香港・上海・台湾など、世界中に拠点を広げています。

こうした挑戦の歴史は、ひとえに「すべてはお客様のために」という基本観に基づいてのことです。顧客と共に栄えるというのが、創業以来受け継ぐ野村グループのスピリットであり、時代が変わってもその基本は変わりません。

現在、日本人は金融資産のほとんどを預貯金の形で持っており、欧米に比べて投資商品の割合が極端に低くなっています。資産形成について若いうちから学ぶ機会も少なく、金融リテラシーにも違いがあります。

しかし近年、超低金利が続き、政治・経済状況ともに不透明感が高まっています。漠然とした将来への不安を感じている人も少なくありません。人生100年と言われる時代、ライフステージによってもニーズは異なります。少子高齢化が進んでいくなかで、相続という問題にも関心が高まっています。世代をまたいで資産を受け継ぐにはどうしたらいいのかという悩みを抱える方が増加しています。 そのなかで当社がすべきことは、こうした方々の多様なニーズに耳を傾けること。これまで資産形成に慣れ親しんでいなかった方々に対しては、さまざまな情報を発信し、役に立つ知識を持っていただくよう努めています。

商品としては、「ファンズアイ(Funds-i)」というインデックスファンドシリーズを用意。豊富なラインナップのなかから自由に組み合わせることができ、投資の初心者にも選びやすい商品になっています。

今、お客様が何にお困りなのか、常に時代や市場の変化に目を向けながら、多様化するニーズに即した商品や運用戦略をご提供していくことが大切です。

時代の潮流をみれば、今後AIを含むデジタルテクノロジーの進化が、あらゆる分野に変化をもたらすことは間違いないでしょう。この大きな変化に適応し、成長を続けていくために、社内にイノベーション・ラボを設置。資産運用業における研究室として、資産運用における機械学習やデータマイニングなどの技術やブロックチェーンを活用した新しいビジネスの検証など、将来を見据えた多様な研究を進めています。

自分がすべきことをみつけ 自ら機会を取りに行け



とはいえ、テクノロジーはあくまでもツールに過ぎません。AIを活用してデジタライゼーションが進めば、業務効率化や商品の高付加価値化が図れるとしても、AIはどういう計算をして商品のパフォーマンスを上げたのか、などということは説明してくれません。デジタライゼーションには、そもそも何をすべきかを判断し、総合的なプランを立て、全体のコーディネーションを行う人 間の力が必要になります。その意味で、どれだけテクノロジーが進化しても、外部環境が変化しても、企業にとって最も重要なのは人です。必要なものを見極め、ビジネスに結びつけることができる人材の育成が、今後の企業の成長を決めると言っても過言ではありません。「すべてはお客様のために」という思いを全員で共有しながら、社員一人一人がプロフェッショナルとして自立し、そのために自分は何をすべきか、何ができるのかを自ら考え行動していく。当社は、そんな会社であり続けたいと考えています。

そのために、昨年度入社からコース別採用を開始しました。入社する段階から、「自分は何をしたいのか」という意志をしっかりと固めてほしいという思いからです。人事制度についても刷新を図り、自分に足りないものを自分で考え、必要な能力開発の機会を自ら選ぶ形にシフトしています。当社では、チャンスは与えられるのではなく、自ら取りにいくもの。そして会社は、挑戦する個人を最大限にサポートしていきます。

ただし、それは「すべてはお客様のために」行うもので、自己満足ではありません。お客様の大切な資産を委ねていただくことは、人生を委ねていただくも同然。運用資産総額の大きさは、信頼の証しでもあるのです。その責任の重さをかみしめながら、プロフェッショナルとして挑戦を続けていった先には、お客様からの深い信頼を獲得し、お客様と共に栄える喜びを感じることができるはずです。