2019/4/2 更新 ビジネスプロフェッショナルに聞く 変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味

【KPMG税理士法人】20代でグローバル戦略の担い手に。「国際税務」で企業経営を変える

  • KPMG税理士法人
  • コンサルティング
  • 変革

ビジネスプロフェッショナルに聞く
変革期のコンサルティングファームで働く醍醐味
ここ数年、急速に進む技術革新の影響を受け、コンサルティングファームの使命や、手掛けるビジネス領域は大きく変化している。各社がこれまでのビジネスのあり方、コンサルタントの働き方などを見直す“大変革期”を迎える中、次世代コンサルタントにはどんな成長が求められるのか?各社のビジネスプロフェッショナルに聞いた。

KPMG税理士法人

KPMG税理士法人 代表
駒木根 裕一氏

1985年、ピートマーウィック東京事務所(現KPMG税理士法人)入所。ミラノ事務所の初代ジャパンデスクを務めた他、ワシントンD.C.事務所にて国際税務戦略の開発センターを立ち上げるなど、豊富な海外勤務経験を持つ。2016年1月より現職

実は今、税理士法人はとても大きな変革期を迎えています。従来の税理士法人の仕事といえば、税務申告書の作成業務を思い浮かべる人が多いかもしれません。確かにそれも重要な仕事の一つですが、以前は業務の多くを占めていた税務申告書の作成業務は、現在、減少傾向にあります。テクノロジーの進化により、人の手を介さずにできるようになりつつあるためです。電子申告制度も普及してきて、税務署への申告もワンクリックで済みます。こういった技術革新は今後もさらに進み、KPMGでもプロジェクトを立ち上げて、完全な自動化を目指しています。

申告業務自動化が進む一方で、急増しているのが税務コンサルティング業務です。特に国をまたがる取引や投資に関わる国際税務コンサルティングのニーズが、爆発的に高まっているのです。 実はこれまで日本では、全社的な税務マネジメントを行っている企業はそれほど多くありませんでした。日本企業は、伝統的に営業利益を重視しており、税金は、目標を達成した結果として支払うものだという考えが主流だったからです。実際に日本企業は、世界各地に海外子会社を持っていても、子会社の税務は現地任せというケースがほとんどです。

これに対して欧米企業、とりわけアメリカ企業は、株主へのリターンを最大化することが経営者の責務であるとの考えから、一般的に株主配当の原資となる「税引き後利益」を経営の指標としています。つまり税金はコストの一部だと捉えている。そのため、CFO(最高財務責任者) 直轄の税務責任者が、海外子会社も含めたグループ全体をマネジメントし、税金というコストを厳格に管理しています。

こうした企業とグローバル競争をしていくには、日本企業も対策を講じる必要があります。しかも今、国際税務の枠組みが大きく変わろうとしており、「BEPS」対策のための新ルールへの対応が求められています。BEPS(Base Erosion and Profit Shifting) とは『税源浸食と利益移転』のことで、各国税制の違いや課税ルールの抜け穴を利用して、一部のグローバル企業が行きすぎた節税をしている問題のことです。著しく税額が低くなってしまうことが問題視され、OECDが新たな国際ルールを策定し、2015年10月に最終報告が公表されました。グローバル企業は各国の税務当局への情報開示が義務付けられ、より厳しくチェックされるようになります。

増え続けるニーズに対して国際税務のプロ育成が急務に

事業環境が変化する中、当社では、KPMGのネットワークを活用してグローバル企業の税務ニーズに幅広く対応しています。例えば移転価格税制への対応では、グループ企業内での国際取引における適正な販売価格を分析・提案し、各国への適切な納税をサポートします。場合によっては、各国の税務当局との交渉も行います。

M&Aでは買収対象企業が適正に納税しているか調査する税務デューデリジェンス業務を手掛ける他、税コストの適正化を図るため、各国の税制を踏まえて企業グループの組織再編のアドバイスも行います。いわば国際税務コンサルティングとは、各国の法律や制度を踏まえて最も適切な組織や事業のあり方を考え基盤構築をサポートする仕事なのです。しかし増え続けるニーズに対して、国際税務の専門家は圧倒的に不足しています。そのため、当社では各階層別に体系的なトレーニングを整備し、人材育成に取り組んでいるところです。 育成の一つは、専門性を高めるテクニカルトレーニングです。新卒の場合、内定段階から税務講座受講の機会があるなど、専門知識を養うサポートをしている他、新入社員研修で税法の基礎はしっかりと勉強してもらいます。

ただし税務の知識だけでは十分ではありません。プロフェッショナルとは、クライアントの質問にただ答えるのではなくその裏にあるニーズを見極めて問題解決できる人のことです。そこで、ロジカルシンキングやコミュニケーションなどコンサルタントとしてのスキルを養うソフトスキルトレーニングも用意しています。「キャンプ」と呼ばれる宿泊研修もあり、階層別に行っています。
また、実際のプロジェクトでは海外事務所とのやり取りが多いので、語学トレーニングも充実しています。入社2年を過ぎれば海外語学学校への短期留学に参加できますし、シニア以上になると海外事務所との短期派遣にも応募できます。交換留学のような形で、海外からも人が派遣されており、国際経験の第一歩となっています。

税務コンサルタントとして取り扱うテーマも、関わる国や地域もどんどん広がっている今は、非常に面白い時代だと思います。若手にもチャンスがたくさんあり、私も今の時代にもう一度新入社員を経験してみたいと思うほど。自分のアドバイスが確実な成果として実を結んだときの醍醐味をぜひ味わってほしいですね。

Company Information

KPMG税理士法人

KPMGのメンバーファームとして、1954年に日本に進出。日本の税務専門家集団の先駆けとして高品質なサービスを提供。グローバルネットワークを活用し、あらゆるニーズに応える幅広いサービス提供力が強み。資格取得者に限らず『税務コンサルタント』の新卒採用を強化しさらなる成長を目指す。

設立年 2004年1月
資本金 非公開
売上高 非公開
従業員数 約700名

合わせて読みたいこの企業の記事