2025/10/31 更新 タイパ就職の先にある超早期退職のリスク

超早期退職者の実体験から考える 後悔しない社会人人生の踏み出し方

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新卒の早期退職に関するアンケートを経営者に行い、2社目の転職先として応募があった場合に懸念する前職の在籍期間を聞いた(下記Q1)。2~5年未満に1年未満が含まれることを踏まえると、1年未満の超早期退職者を懸念する企業は半数を超える。新卒入社1年未満で退職した若手人材から応募があった場合の対応(下記Q2)についても「選考はするが、採用は慎重になる」が46.5%と約半数を占めた。「通常通り選考を行う」と回答した企業も4割近いが、その理由を尋ねたフリー回答で「人手不足だから」という声が目立つことを考えると、積極的というよりは「やむを得ず」という企業の内情が見て取れる。そもそも「選考はしない」という企業も14.4%あり、総じて超早期退職者への企業の目は厳しいといえる。

Q1 Q2 Q3

【アンケート調査概要】
調査方法:『Fastask』によるインターネットリサーチ
調査対象:全国の経営者・役員
調査期間:2025年7月31日~8月7日
有効回答者数:187人



一方、退職代行『モームリ』を利用した2025年度新卒への調査(上記Q3)では、超早期退職の理由として「入社前の契約内容・労働条件と勤務実態の乖離」が4割を超える。具体的な理由の多くに共通するのは「事前に確かめたが、実態は違った」という点。アンケート回答だけで真相の判断はできないが、企業に問題がある場合でも、自分の確認不足や勘違いが原因である場合でも、就職活動では制度や待遇などのハード情報と、社風や社員の人柄、口コミサイトなどから見える現場のリアルな声といったソフト情報の両面から会社を見る必要があるのだろう。双方の情報を照らし合わせ、矛盾や違和感がないか、自分がその会社に対してどう感じるか、時間をかけて考える。それは契約や労働条件のギャップを埋めるだけでなく、企業文化や人間関係を理由にした退職を防ぐことにもつながりそうだ。

※本記事は、2025年8月~9月にかけて取材した内容・データをもとに制作しています。

超早期退職者の実体験から考える
後悔しない社会人人生の踏み出し方

1社目を1年以内に辞めてしまった人たちは、今何を思うのか。
識者の解説と合わせて、悔いのない1社目の選び方を考える。


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専門家が
アドバイス

入社後のギャップは必ず生じる前提で
まずは「絶対に譲れない条件」を明確に



【プロフィール写真】

カイラボ 代表取締役

井上 洋市朗

2012年カイラボ設立。新卒入社後2年弱で退職した実体験から、早期退職者の声をまとめた『早期離職白書』を発行。早期離職防止コンサルティングや学生向けキャリア教育などを行う




私はこれまで数百人の早期退職者から話を聞いてきましたが、1年未満で辞めた人たちの中には、入社前に見極められたのではと感じるケースもあります。もちろん、入社後のギャップは大なり小なり生じるものです。だからこそ「土日は確実に休みたい」など、自分にとって絶対に譲れない条件とその理由を明確にしましょう。それだけで致命的なギャップは防げます。

また、譲れない条件については定量情報と具体的なエピソードを選考過程で確認しましょう。具体的なエピソードは「脚本家としてその会社の社員を描く」つもりで、例えば育休取得率に加え、取得期間、復帰後に同じ仕事ができるかなど、自分が詳細にイメージできるまで聞いていきます。そのために社員と面談を組んでもらうのもお勧め。採用に力を入れている会社なら面談を調整してくれます。逆に最適な人が居ないなどの理由で面談を組まない会社は要注意です。

入社後は長期的な視点を持つことも重要です。配属を理由に早期離職する人も居ますが、たとえ希望以外の仕事であっても一定期間取り組むことで、社内異動の希望が通りやすくなったり、未経験分野への転職でも社会人経験が短い人より有利になったりと、プラスに働くことは多いのです。

第二新卒枠があるとはいえ、早期の退職にはリスクもあります。早々に企業に見切りをつけることも時には必要ですが、辞めるリスクとリターンを天秤に掛けて、冷静に判断する気持ちを忘れないでほしいです。

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