私は今でこそ、サンリオピューロランドの館長として充実した毎日を送ることができていますが、実はバリバリ働いてキャリアを築いてきたわけではありません。私が就職した頃は、「お嫁さんになって仕事を辞める」のが幸せな女性のロールモデルだと思われていた時代。私も例外ではなく、新卒で大好きだったサンリオに入社したものの、「子どもが生まれるまでは頑張ろうかな」くらいの気持ちで働いていました。結局、25歳で結婚を機に退職。その後は、10年以上専業主婦として、家事・育児に専念する日々を送っていました。
30代後半で仕事に復帰した時は、子どもを2人抱えた女性ができる仕事は少なく、やっと就職できたのは、たまたま声を掛けていただいた化粧品販売の仕事。全くの未経験だったので、苦労も多かったですが、販売の仕事ができる自分がうれしくて、一生懸命やっていたのをよく覚えています。
化粧品販売の仕事を経て、またサンリオの関連会社に転職した私はある時、一般客としてサンリオピューロランドを訪れました。そこでさまざまな課題を感じ、サンリオの創業者である辻信太郎社長(当時・現名誉会長)に課題点をつづった手紙を送ったのです。これがきっかけで、サンリオピューロランドの館長として立て直しに取り組んでいくことになりました。
30代後半まで専業主婦だった私がなぜ今、やりがいを持って責任ある仕事に取り組めているのか。振り返れば、自分のことをメタ認知(客観視)できていたからだと思います。仕事復帰したばかりの頃はつらいことも多かったですが、仕事ができることのありがたみや社会と関わることで世界が広がる面白さを実感でき、そんな自分を客観視できたからこそ頑張れました。
また、無知な自分も客観的に受け止めることができていたため、分からないことは人に聞くことができたし、できないことはできないと言えた。そして、知識がないからこそ、学びへの意欲も強かった。そんなことも、今につながっているように思います。
悪い方向に流されたり、つまらないことでつまずいたりしないためにも、自分をメタ認知する力は必要です。特に女性は出産や子育てなどのライフイベントに振り回されやすいからこそ、自分と対話し、自己理解を深めながら進んでいくことが幸せに生きる上で大切だと感じています。
 
   
           
     
                
               
                
               
                
               
              
            

